概要
2000年6月22日に放送された「謎の老婆」シリーズの一つで、通信販売をテーマにしている。
このエピソードに限り、謎の老婆が「購入者の視点で」直接的に登場しない。
原作は星新一の『世界の終幕』だが、ボタンの機能以外の大半のストーリーはアニメオリジナル。
ストーリー
29歳の会社員・吉田正人(よしだ まさと、CV:飛田展男)は、人付き合いを嫌い、友達もおらず、出世も絶望的であったが、一人でいることが自分の時間を存分に使えるために満足していた。そんな彼の趣味は通信販売であり、ある日カタログを読んでいると、「幸せの鏡」なる怪しい商品に目が行く。好奇心からその商品を購入し、届いたその日にさっそく開梱すると、鏡と説明書が入っていた。「その鏡を割ると、身近な誰かの不幸と引き換えに自身に幸運が訪れる」という説明書を読んだ吉田は、「気晴らし程度に」鏡を割る。その翌日、ふらりと入ったパチスロで大当たりを出しまくり、一攫千金を果たす。しかし、会社の同僚が胃潰瘍で入院してしまった。そのことで「幸せの鏡」の効果は本物であると確信したのであった。
その割れた鏡の欠片を取ると、次の商品が紹介された。その名も「日本の運命を左右するおみくじ」。それも購入した吉田は後日商品が届くとさっそくおみくじを引く。すると、凶が出て関東が台風の被害に遭い、交通手段の復旧のめどが立たなくなるほどの不幸になった。大嵐の際にも吉田は「俺が凶を引いたからこうなったんだぞ!」と狂喜していた。
その凶のおみくじの裏には、顕微鏡じゃないと見えない文字が書かれており、次の商品が紹介される。その名も「世界の運命を左右するボタン」。それも迷わず購入した主人公は支配欲が沸き、「世界を滅ぼす事ができる」と思い、今でいう中二病じみた独裁者気分に浸り、電車の揺れでぶつかってきた客を怒鳴り散らすなど横暴化していった。その晩、ワインで酔ってボタンを押そうとするが、「もし押したら世界が滅んでも、同時に自分も死ぬ」と言うことにあきらめようとするが、支配欲と好奇心から迷った末にボタンを押してしまう。そこで爆発し、世界が滅んだと思い込んだ吉田は狂喜していたが、実際には自分の身の周りと家一軒だけが爆発しただけであった。
吉田はモノローグで「世界の運命を左右するボタン」の本当の効果は「他人の事を考えない、自己中心的で危険な思想の持ち主の排除」であることを悟り、因果応報の末路を迎えたのであった。
余談
老婆いわく「商品をどう使うかは、お買い上げになった方の心がけ次第」。
吉田が「世界の運命を左右するボタン」を、本当に世界が危機に陥った場合に押していたら、どんなことになっていただろうか……?