貫頭衣とは、布の中央に穴をあけ、その穴に頭を通すタイプの衣服である。貫頭衣は古代世界では広く着用されていた。古代ローマではトゥニカが上流階級の下着ないし下層階級の普段着として着用された。日本でも弥生時代には一般的衣服であった。現代まで生き残っている貫頭衣としては南米のポンチョがある。メキシコでは、女性の民族衣装としてブラウス・ウィピルが現在でも儀式に用いられる。巫女の上着として使われる千早も貫頭衣の一種とすることがある。
弥生時代の貫頭衣(狭義の貫頭衣)
弥生時代の女性の多くは貫頭衣を着用していたようである。魏志倭人伝には「婦人被髪屈、作衣如単被、穿其中央、貫頭衣之」と明記されている。ただし、当時の日本の織物は体の半分程度を覆う幅のものしか作ることができず、現代の千早のように左右の身傾を縫い合わせて首と両腕を通せるよう3か所を縫い残したものではないかと思われる。
卑弥呼の衣装も(飛鳥時代以降の巫女の前開きタイプではなく)貫頭衣を基本と想定されることが多い。pixiv内で調べてみたところ、無双OROCHIの卑弥呼が史実に近いと想定される「左右身傾あわせ貫頭衣」にもっとも忠実であった。