概要
古代の日本列島にあった国の1つとされる「「邪馬台国(邪馬壱国)」の女王。
時代は紀元3世紀前半、弥生時代から古墳時代への移行期と推定される。
邪馬台国・卑弥呼ともに実在したと断定できる証拠は見つかっていない。
当然、実際の人物像や生涯・事績についても断片的な伝聞以上の情報はない。
古代日本において記録や伝承が遺らなかった・散逸した・抹消されたと考える事もできる。
あるいは事実無根の偽史であるから伝承されていないのは当然だと考える事もできる。
この点は創作の題材として非常に都合が良く、「古代日本の女王」という抽象的なイメージの受け皿として度々用いられてきた。
日本史学・日本考古学における一種の都市伝説でもあり、学閥政治における予算誘致策として延々擦られ続けている研究テーマでもある。
なお、関連用語「邪馬台国」「卑弥呼」「倭国」「鬼道」全てが漢文における侮蔑的表現であり、当該の人物が実在したとしても自ら「卑弥呼」を名乗ったり、祖国を「倭国」「邪馬台国」と号したり、自らの生業を「鬼道」などと称していたとは考えにくい。
歴史
中国の『三国志』魏書「烏丸・鮮卑・東夷伝」倭人条によれば、大乱の続いた倭国の諸国をまとめ、「鬼道」と呼ばれる呪術で人々を率いた巫女とされる。
中国の三国時代、卑弥呼は魏に使者を送り、皇帝から「親魏倭王」の称号を授かった。
卑弥呼は常に宮殿の奥で鬼道に従事しており、未婚であったとされる。弟が卑弥呼の食事の世話をし、国政を助けていたらしい。1000人の女の奴隷がいたが、卑弥呼に会えるものは弟ただ1人だけだったという。
対立する狗奴国との戦いの最中で亡くなり、大きな墓に埋葬されたとされる。
年齢についても諸説あり、「魏志倭人伝(『三国志』)」では「年已長大」、『後漢書』「東夷伝」では主に擁立された時に「年長」としている。「魏志倭人伝」に従った場合、魏の曹丕が数え32歳の時、呉質への手紙で自らを「年行已長大」、呉の孫権が34歳で皇帝即位した曹丕を「年已長大」と呼んでいることから、30代でもあり得る呼び方である。
一方で『後漢書』では、桓帝・霊帝の頃に起きた倭国大乱の後、「年長」の卑弥呼が主となったとあるので、これに従うなら、死去した時には70歳以上の高齢であったと考えられる。
卑弥呼の死後、後継者争いが起きるが、台与(いよ)が13歳で女王になったとされる。
関連人物
- 張政:魏の臣下で帯方郡の責任者。使者として日本に20年滞在し、中国に帰国している
- 難升米(なしめ):卑弥呼が魏に使わした男性。魏から率善中郎将の官職を与えられる
- 卑弥弓呼:ライバル国の狗奴国の男王。狗奴国は邪馬台国と同等の勢力であったようだ
史料批判
この一連の記述については以下の点に留意する必要がある。
- 「倭国」「邪馬台国」について記述された同時代の類書が見つかっていない。
- 事実に関する記述に明白な誤りが含まれている文献である(日本列島に牛馬がいない事になっているなど)。
- 地理的記述が不正確であり、「倭国」と日本列島を同一視してよいものかも疑わしい。
- 同時代の日本における史書・口伝が全く現存していない。
- 排外的な差別文化が読み取れ(「卑弥呼」の字からして相当酷い)、妄想による誇張・作り話の可能性を否定できない。
- 中華王朝には朝貢の使者に対してその国の王号を勝手に授ける慣習があり、魏が倭国の政情をどこまで理解していたか疑わしい。
- 「卑弥呼(卑彌呼)」というのは中国側の蔑称であり、日本での呼び名は不明である。
- 記述全体が伝聞の採録であり、事実を正しく記録しているか疑わしい。
あえて詳述は避けるが、邪馬台国や卑弥呼についての研究には冷戦・共産党・左翼・マルクス史観にまつわる陰謀論を論ずる余地もある。歴史観にはどうしても政治的な恣意がつきまとうものだ。
卑弥呼と邪馬台国の実在性
邪馬台国の場所や実在については江戸時代以来300年以上も研究と論争が続いており、今なお決着がついていない。
言い換えると、今なお実在を立証できていない。
邪馬台国が架空国家である可能性も度々指摘されてきたが、こちらについても実在していなかったという事実の立証はできていない。
日本において文字が使われ始めたのが5世紀頃であるため、卑弥呼の時代とされる当時の有力な文字史料は日本国内には存在しない。
また、卑弥呼を指していると思われる口伝・神話・民話が同定された例もない。卑弥呼を皇室の祖先とする説、大和朝廷に滅ぼされた国家とする説、日本神話の天照大神・神功皇后・倭迹迹日百襲姫命などを卑弥呼と同一視する説もあるが、いずれも確たる証拠はない。
当時の日本列島、特に九州または近畿地方において貿易を行える規模の文明が存在していたのは考古学上ほぼ間違いない。
貿易が可能だったなら、中華王朝(魏)に使者を送って朝貢を行った可能性もあるだろう。
ただし、それらの考古学的知見は、古代中国の史書(それもたった一編)の著述内容が真実であったという事では全くない。
卑弥呼なる女王についての記述はこの点で特に信憑性が低く、真偽を検証する余地自体ほとんどない。
創作
教科書によく掲載されている卑弥呼像は戦後の画家・安田靫彦の作品で、当時の杖や装飾品など歴史考証に基づいて描かれている。彼は九州説を採用としており、頭の被り物には火の鳥の文様が施され、神聖なる火の山(阿蘇山)に仕える巫女としている。
戦前まで遡ると、引用できるような卑弥呼の図像は見つからない。この事は、卑弥呼のイメージが戦後の創作文化(特に都市伝説ブーム・オカルトブーム・妖怪ブーム)の影響下で形成された集団創作物である可能性を示唆している。
現代の創作上でもミステリアスな古代のキャラクターとして人気が高く、数多くの作品に登場して様々な立ち位置で描かれている。
beatmaniaⅡDX
beatmaniaIIDX EMPRESSで彼女をモチーフにした曲とキャラクターが登場。
その後もたびたびゲーム画面上の動画に登場する。
無双OROCHIシリーズ
無双OROCHIシリーズのオリジナルキャラクターで、なぜかけんか腰関西弁の少女。
敵である妲己になついているが故、大体の場合初めて会うときは敵である。
三国志大戦
魏志倭人伝つながりで母娘とも魏に所属している。
恋姫†無双
火の鳥
1CV:来宮良子
『黎明編』に登場。作中ではヒミコ表記。
老いさらばえていく自分の肉体に不安を感じ、不老不死の力を持つ火の鳥の生き血を得るのに躍起になっているヒステリックなオバサン。本作では天照大神もモデルになっており、弟の名はスサノオ、中盤で皆既日食(天岩戸)も発生している。
実は乳癌を患っており余命いくばくもなく、天弓彦が射止めた火の鳥の死体を手にするも、口にする前に寿命が尽き絶命。ヤマタイ国もニニギにより滅ぼされた。
仮面ライダーゴースト
「未来を予告!邪馬台国!」
ゴーストの形態の一つに卑弥呼の魂が憑依した形態である「ヒミコ魂」が登場する。
モンスターストライク
限定ガチャ「超獣神祭」で入手できる。火属性最強モンスターの一角。
ギャグマンガ日和
第103幕(6巻)『女王卑弥呼VS宇宙人』の主人公。
一応、邪馬台国の女王で邪馬台国を支配しようとやって来た「うんこ星人」に3日前に拘束された。
(まぁ宇宙人の攻撃でアレを投げつけられまくられたから仕方がない…)
占いは得意だが呪術は不得意で自信がないらしく(できないわけではない)使っても他人には効かず何故か弟だけには効く
呪術の言葉は「ヒミヒミコッコ〜〜カァ〜〜〜ッ」である
そして得意技は「ヒミコフラッシュ」(ただの蹴り)
話の前半はまともだと思いきや欲張りかつ卑怯な性格。
一応、女王なのかそのプライドはあり「呪術が得意」と意地っぱりなとこがある。
実はステーキが好物。
※主に男性率の高い日和の偉人の中では初の女性偉人のキャラである。(一応)
Fate/GrandOrder
主にぐだぐだシリーズイベントに登場する邪馬台国の巫女。
本項の卑弥呼たちの中でもひときわ田舎娘っぽいキャラ付けであるが、実力は本物。
ねこねこ日本史
もしも歴史上の人物が猫だったら…という設定で描かれる本作故、もちろん猫。
仮面ライダービヨンド・ジェネレーションズ
⇒卑弥呼をモチーフにした、ヒミコ・クリスパーというクリスパーが登場する。
「卑弥呼」という名前の別キャラ
京四郎と永遠の空
(※画像左)
『京四郎と永遠の空』の登場人物はひらがな表記。
東月封魔女学園の女子生徒であり、綾小路家の長女綾小路三華の愛人の1人。
紫の瞳に栗色の髪のロングヘア。ひみこの名前は三華の僕として三華がつけたもので、本名ではない。
絶対天使であるかおんに安定したエネルギー「マナ」を送れる者として、常にかおんに寄り添っている。
引っ込み思案で弱気な性格であるものの、かおんのためなら命を投げ出すことも厭わない。
一騎当千
声:たかはし智秋
大和学院の頭主。2年生。
関西の闘士たちを率いて関東に遠征してきた、一連の襲撃事件の黒幕。
※イラストを検索する際は「卑弥呼 一騎当千」で検索すると良い。
GetBackers
『GetBackers-奪還屋-』の登場人物。通称『レディポイズン』と言われる運び屋。
火魅子伝
姫島日魅子というキャラクターが登場するが、メディアによって設定が大きく異なっている。
ハイキングウォーキング
お笑いコンビ・ハイキングウォーキングの鈴木Q太郎の一発ギャグ。「ひみこさま~~!ひみこさま~~!」…と伝える伝令役。
関連タグ
ブーディカ:イギリスでの似たような存在