概要
網走市出身の国会議員で次期内閣総理大臣就任予定の政治家。戦時中は大日本帝国海軍の将校に就任していた。
現在は政治活動の為に東京に居住を移しており、大臣選挙の為に故郷の北海道を訪れ、公演演説を行う予定。
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この先、本作における最大のネタバレの為、注意!!
彼こそが本作の黒幕であり、一連に渡る連続殺人事件を引き起こさせた元凶でもある。
- 真相
全ての始まりは40年前の終戦がきっかけだった。
当時の日本は敗戦の影響で食糧難に陥っており、唯一の命綱はアメリカから送られてくる救援物資のみだった。
だが当時、その救援物資を他所に横流しさせ、それを元手に荒稼ぎする犯罪グループが存在した。その首領が阿久津であり、阿久津は元海軍将校の肩書を利用し、凡ゆる人脈を辿りながら闇市や行政機関の高級官僚に対して高値で物資の密売を行なっていたのだ。その手下には密輸用の船を製造した奥村、密売の実行役でもある行商人の白木、その船を操縦担当していた野村安吉がおり、彼らの手によって幾多に渡る救援物資の横流しを行い続けていた。
だが、次第に警察は阿久津らによる密売グループの存在を知るようになり、やがて自分達に操作の手が回るようになると、阿久津達は証拠隠滅の為に密輸船を破壊し、その操縦士でもある野村を口封じとして殺害し、船諸共海に沈ませてしまった。そして、阿久津の手下の一人でもある新聞記者の駐在員の飯島は野村の死を事故死とし、全ての罪は野村一人による単独犯によるものだという、でっちあげた記事を掲載させ、阿久津らに疑いの目を寄せられないようにしたのだ。
案の定、阿久津らの悪行は闇に葬られたが、漁師仲間でもあった浦田甚五郎は彼の死を不審に思い、独自の調査で真相を探り、裏で暗躍していた阿久津らを突き止める事が出来た。ところが、程なくして浦田は強盗殺人容疑で逮捕され、網走刑務所に収監されてしまった。
そんなとき、浦田は同じ房で殺された野村の息子でもある源次と瓜二つの増田文吉と出会う。実は増田は源次の双子の兄であったが、浦田はその事実を知らず、全くの瓜二つの別人と思い込んでしまったのだ。そして、浦田は源次の父親の過去やその事件の真相を四方山話で喋り、自分では何も出来ない憤りを綴った。
だが、その真実を知った増田は出所後、弟の源次の元を訪れ、浦田から聞いた父親の死の真実を話してしまう。更に増田はかつて阿久津の手下でもある飯島を過去の悪事をネタに脅迫し、金を強請り取っていたのだ。そして、阿久津が現在は国会議員で活躍していることを知った増田は、そのまま東京へと向かい、案の定阿久津を強請った。
しかし、当時の阿久津は裏社会とも繋がりを持っており、過去の大罪の暴露を恐れた阿久津は配下の暴力団組織『北竜会』との協力の末、増田は殺害されてしまう。更に阿久津は、殺害した増田は事件とは全くの無関係の源次と勘違いし、これ以上自分に脅迫をかけられないように、源次の実の娘でもあるゆかりを交通事故に見せかけて殺害したのだ。
つまり、増田の軽率な行為が原因で一連の殺人事件発生の火種となってしまったのだ。
そして、父親の死の真実を知らされた源次は増田とゆかりの死、そして自分の命が幾許もない事を機に遂に阿久津らへの復讐を決行する。源次はかつて阿久津の手下のでもある白木、飯島を立て続けに殺害し、三人目の奥村をも殺そうとしていたが、奥村は以前に飯島から何者かに強請られていた事を聞き、その飯島が殺され、更には白木も殺された事を知った奥村はいつかは自分も殺されるかもしれない恐怖と自責の念に駆られ、源次に殺される直前にそのまま自殺を遂げていた。
一方、かつての手下達が立て続けに殺されていくのに郷を煮やした阿久津は遂に源二の娘でもある、ゆかりの姉の真紀子までを巻き添えにし、彼女を殺害しようとしたが、主人公とシュンの機転で一命を取り留める。
やがて、阿久津は最後の手段として北海道での演説会に乗じて源次を抹殺を企て、同じく源次も最後の敵でもある首謀者の阿久津殺害の決行を決意する。
そして、演説会の日。札幌駅に降り立った阿久津を待ち構えていた源次と、源次殺害を目論見る阿久津らが鉢合わせてしまった事から最悪の事態が引き起こされてしまう。
だが、そこへ駆けつけた主人公とシュンの活躍で阿久津の配下の暴力団らは一網打尽にされてしまい、同時に源次は殺人及び殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
最終的に阿久津は増田、ゆかりに対する殺人教唆と真紀子に対する殺人未遂の容疑で逮捕され、そのまま連行されて行き、彼の政治家としての人生や大臣への目論見は完全に壊滅した。
(その後、逮捕された源次は収監中に死亡し、浦田も跡を追うかのように獄中死した。)