概要
当世具足が導入された安土桃山時代に使われ始めたとされる、顔面と喉を保護する仮面型の防具。
それまで使用されてきた頬当の発展型であり、従来の頬当ではがら空きだった、顔の正面を保護するようになっている。
かつては目の下頬当とも呼ばれていたが、現代では面頬と呼ばれることが多い。
甲冑において生身となってしまう顔面を保護することを目的としており、白兵戦の比率が増加したため、発展したというのが有力視されている。多くは頬から顎を象った鉄製の面に、喉元を保護する垂が付けられた構造をしている。また、鼻から上顎にかけての部分は着脱式のものも多い。
絵巻物や人物像、戦国ドラマなどのフィクションにおいては、面頬をすると武将の顔が隠れてしまい、誰だか分からなくなってしまうため、基本的には面頬は着用された状態で描かれることは少ない。そもそも当時の前線を張った武士にとっても、このような防具は人気がなく(装着するものが多くなり鎧が重くなって動きが制限される、視界が狭くなるだけでなく呼吸が阻害され熱が籠る、顔が隠れるため誰かが即わかりづらい等の欠点から)実は史実においても面頬は、あまり普及していなかったとされる。
というのも実戦で使われたとされているのは、顔の側面や下顎を守る頬当が多く、顔全体を保護する面頬は平和になった江戸時代に復古調の甲冑の構成品として作られた物が多いからである。
史料などをみると、戦国時代の武士は場合によっては鎧兜どころか湯帷子(浴衣の原型になった軽装の和服)だけの姿、更には褌以外を脱いでしまった裸体に武器だけを持ち戦場で戦った例も散見される。無論、これら極端な軽装は一種の非常時に限ったことだが、防御を捨てて、機動力に徹した方がむしろ活路を見出せる機会も度々あったようであり、重装備の極地といえる面頬が人気がなかったというのも無理のないことである。
海外では
これでも日本は、東アジアの中では顔面の防護に気を使っている方である。中国や朝鮮にも似たような防具はあったものの、日本ほどバリエーションは多くはなく、人気がないことがうかがえる。
日本と比較して、中国や朝鮮では白兵戦よりも飛び道具での戦いを重視したため、防御力より視界の確保を優先したからである。
ヨーロッパやイスラム圏(西アジア)には、面頬のような兜から独立しているタイプの、顔を守る防具はほとんどなく、顔面を含めた頭部や、首全体を守っているような、一体型の兜が多い。
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ニンジャスレイヤー……作中におけるニンジャの特徴の一つとして、口元を覆う金属製のマスクである「メンポ(面頬の意とされる)」が登場する物理メンポもあればカラテで生成するメンポもあり、マフラー等メンポですらない事もあるが殆どのニンジャは基本的に口元を隠している