序幕
人びとは憧れを持って、彼らを見る。
強く、賢く、勇ましく、悪党どもを
槍をもって打ち倒すその姿を。
彼らは騎士。騎士の道、騎士道を生きる者たち。
そして、騎士道を生きる者たちを
描いた物語、“騎士道物語”――
それは人々の憧れ、かくありたいと
願う姿、誇り高き英雄たちの物語。
だが理想は破られる。
どんな英雄も、最後にはこの世を去る。
鎧は破れ、槍は折れ、剣は砕ける。
荒涼たる戦場に、骸が転がる。
だが、それでもなお、
残るものがあるとするならば――
ストーリー
騎士の時代の終わり
開幕:『万象の栞』の導きに従い、一行はエレナの故郷の想区を訪れる。だがそこでは、謎の軍勢と、アーサー王の軍勢が、激しい戦いを繰り広げていた。一行は、アーサー王に襲いかかるロビン・フッドの軍勢と、戦うことになる。
終幕:ロビン・フッドの軍勢を退けた一行。体調が芳しくないアーサー王とともに、キャメロット城へと向かう。一方そのころ、戻ってきたロビン・フッドを迎える、謎の黒い騎士と、その軍勢の姿があった。
騎士たちの終焉
開幕:アーサー王とともにキャメロット城へと向かう一行。その途上で、この想区のアーサー王が、妻グィネヴィアの禁断の恋によってランスロットとガウェインを失い、大幅に力をそがれてしまったことで、謎の軍勢、解放軍相手に、劣勢にさらされていることを知る。さらにそこに襲いかかる謎の軍勢と、一行は戦う。
終幕:襲いかかってきたのは、味方であるはずのモードレッド軍だった。「間違えただけ」と言い張るモードレッドだが、その目には明らかに、父アーサー王への憎しみが宿っていた。
疲弊したアーサー王を連れ、一行はキャメロット城へと急ぐ。
王の帰還
終幕:城に入った一行は、アーサー王に『万象の栞』について尋ねるが、手がかりは得ることが出来ず、また、エレナに縁のある、魔法使いマーリンの居所を聞くが、すでに彼はこの世を去ったことを知らされる。
暗躍の魔女
開幕:翌朝、一行はアーサー王から、解放軍との戦いに加わってほしいと要請を受ける。特定の想区の事情に深入りする危険を感じながらも、解放軍の背後にいるカオステラーの存在、なにより、状況を動かす必要性を感じ、参戦を承諾し、アーサー王とともに出陣するのであった。
終幕:一行がアーサー王と出撃した後、キャメロット城では、モードレッドが、“魔女”と不穏な会話を交わしていた。モードレッドは解放軍と内通し、裏切りを企んでいたのだ。“魔女”の名を問うモードレッド。“魔女”は、己を「モーガン」と名乗った。
モードレッド反逆
開幕:再びロンドン橋に向かう、キャメロット軍と一行。後方に残したモードレッドの存在に不安を覚える彼らの前に現れたのは、ロビン・フッドの敵であるはずの、ラックランド王であった。兵士たちをなぎ倒し迫るラックランド王に、一行は疲労著しいアーサー王に代わって、立ち向かう。
終幕:ラックランド王を倒した一行。アーサー王は、これを好機と捉え、全軍を前進させ、解放軍の領内に攻め込む。しかし、それは解放軍の罠だった。キャメロット軍が敵陣深く入り込んだ時、キャメロット城から伝令が走る。「モードレッド謀反」――不義の息子とは言え、我が子が解放軍と手を組んだことに気づき、アーサー王は愕然とする。
キャメロット落城
開幕:キャメロット城に戻った一行とアーサー王。城に残されたアーサー王派の兵士たちは皆殺しにされており、モードレッド軍との戦いとなる。だが、そこにモードレッドの姿はなかった。アーサー王の全てを奪おうとするモードレッドは、グィネヴィア王妃がいるロンドン塔に向かっていた。一行はアーサー王を先に行かせ、残った兵士たちと戦う。
終幕:キャメロット城内で奮戦する一行。しかし、奪われたロンドン橋を通って、解放軍の兵士たちが次々となだれ込んでくる。やむなく一行は城を放棄、アーサー王が向かった、ロンドン塔へと移動する。
黒騎士
開幕:ロンドン塔では、モードレッドが暴虐の限りを尽くし、グィネヴィア王妃を力ずくで我が物としようと迫る。そこに駆けつけるアーサー王。不義の親子は、刃をぶつけ合う。一方、ロンドン塔にたどり着いた一行の前に、解放軍が送り込んだ刺客、銀月の騎士サンソンと、ペレス司祭が現れる。二人の姿を見て、アリシアの中に、不安が生じる。
終幕:一行が勝利した二人は、アリシアの故郷の想区の物語、“ドン・キホーテ”の登場人物であった。不安がよぎるアリシア。そこに、モードレッドの断末魔の叫びがこだまする。駆けつけた一行が目にしたのは、すでに息絶えたモードレッドと、息絶えようとしているアーサー王であった。二人を倒した、凶気をまとった黒き騎士。その男の名は、アロンソ・キハーノ、“ドン・キホーテ”になるはずの男だった。もう一度やりなおすため、エレナはリ・ページを発動させる。
アリシアの過去
開幕:リ・ページが発動し、一行はロンドン橋に戻る。そこでアリシアは、ロンドン塔で出会った黒き騎士が、自分の叔父、アロンソ・キハーノであったことを話す。しかし、その話が終わる前に、解放軍の兵士たちに見つかり、一行は先とは逆に、解放軍側の領内に向かう。
終幕:敵陣を突破した一行は、一旦森へ向かい、話の続きは森で聞くことにする。その時、彼らを見つめる謎の影があることに一行は気が付いていなかった。
再会、そして…
開幕:森に潜み、アリシアは話の続きを語る。アリシアの叔父アロンソ・キハーノは、人びとに嘲笑われ続ける“ドン・キホーテ”としての運命に耐えきれず、心と体を壊し、ついにはアリシアにさえ絶望の叫びを叩きつけ、息を引き取った…その彼が、なぜこの想区にいるのか。そこに、「アリシアと話がしたい」というアロンソの使いとして、一人の少女が現れる。単身で敵陣に乗り込む危険な話であったが、いざとなれば、リ・ページを発動させればいいと考え、一行は送り出す。
終幕:モードレッド配下の兵士たちを倒した一行だったが、僅かな隙を突かれ、エレナが危機に晒される。その危機を救ったのは、解放軍の一人、ロビン・フッドだった。彼は、「エレナという娘とその連れを連れてきてほしい」と、とある“魔女”に頼まれたのだという。魔女とは一体何者か…正体がわからぬものの、一行は手がかりを求め、その誘いに応じる。
災厄の魔女
開幕:解放軍拠点に向かったアリシアは、そこで、叔父アロンソと対面する。彼はやはり、アリシアの知る“アロンソ・キハーノ”であった。望まぬ偽の騎士の運命を押し付けられたアロンソは、この世から騎士と騎士道を撲滅することで、世界への復讐をもくろんでいた。一方そのころ、ロビン・フッドにいざなわれた一行が辿り着いたのは、「カムランの丘」であった。そこで待っていたのは、妖妃モーガンであったが、その正体が、エレナの中にいるはずのモリガンであることが暴かれる。
終幕:モリガンに勝利する一行。かつて圧倒的な力を誇った“災厄の魔女”の落ちぶれた姿に、エクスは「惨め」とすら断じる。そして、彼女の願いが、デウス・プロメテウスに「取り込んでもらう」ことだと知り、一行は驚く。激高するモリガンは、自らのイマジンを展開し、一行にさらなる戦いを挑もうとする。
イマジン造反
開幕:モリガンは、呼び出したイマジンたちに、「エレナを殺せ」と命じる。しかし、エレナとモリガンは同一人物であるため、イマジンたちは混乱し、二手に分かれ、片方はエレナを、もう片方はモリガン自身を攻撃し始める。混乱するモリガンをよそに、一行は、イマジンである、お菓子の魔女と、カオス・ドニアザードと戦う。
終幕:モリガンのイマジン、お菓子の魔女と、カオス・ドニアザードに勝利する一行。自分の思い通りにならない現状にいらだち、取り乱すモリガン。そこに、謎の女の声が響く。その声に導かれるように、一行の姿は何処かへと消える。泣きわめくモリガンの前に残されたのは、なぜか一人だけ置いていかれた、レヴォルであった。
美・魔女
開幕:一人残されたレヴォル。モリガンを前に、命の危機を覚悟するが、モリガンは泣き続けるだけで、なにもしない。まるで子供のような彼女を見ていられず、レヴォルは、彼女に声を掛ける。一方他の一行は、どこかの洞窟に飛ばされる。レヴォルがいないことに気づき、困惑しうろたえるが、彼らをそこに飛ばした何者かが「奥に来い」と告げる。
終幕:取り残されたレヴォルに、モリガンは語る。「自分は“なにか”になりたかった、でもその“なにか”が見つからなかった」と、そんな彼女にレヴォルは返す。「君は誰かが好きになった自分しか、好きになれないのか」と。一方、他の一行は、ようやく謎の女の謎掛けを解き、彼女の庵に通される。現れた正体不明の女は、老婆から少女にまで姿を変え、一行を困惑させる。女の名はラグネル。円卓の騎士ガウェインの妻であり、エレナが幼き日に出会った、「魔女おばさん」であった。
お狐さまのお導き
開幕:事態のカギを握るのはマーリンであると、ラグネルに告げられた一行は、彼女の力で再び外界に転移する。マーリンのもとに向かう前に、一行ははぐれたレヴォルの捜索に向かうのであった。
終幕:葛葉童子の力によって、レヴォルとの再会を果たす一行。一方そのころ、解放軍拠点のアリシアは、情報収集をするべく、拠点内を調べていた。そんな中、叔父アロンソが、何者かと密談しているところを目撃する。その相手こそ、この想区のカオステラー、カオス・ベネンヘーリであった。それを知ったアリシアは、何者かに殺されそうになるが、謎の仮面の騎士に救われる。窮地を脱したアリシアの合図を目にして、エレナはリ・ページを発動させる。
策謀の足音
開幕:リ・ページが発動し、集合した一行。それぞれが持ち寄った情報を総合し、これからの方針を立てる。モリガンは、『再編』の際に生じた僅かな隙をついて、デウス・プロメテウスによって分離されたエレナの魂。しかし、まだそれはつながっている。さらに、この想区のカオステラーが、“ドン・キホーテ”の作者、ベネンヘーリであることが分かる。一行は、新たな手がかりを求め、マーリンのいるストーンヘンジを目指す。
封じられし魔術師
開幕:マーリンがいるというストーンヘンジについた一行。そこに並ぶ無数の岩には、なぜかエレナの顔が彫られていた。不思議な光景に困惑する一行、そこに謎の声が響くや、何体もの敵が現れ、問答無用で襲いかかってきた。
終幕:倒しても倒しても、次々現れる謎の敵。しかし、エレナの声に、謎の声の主はようやく攻撃をやめる。現れた謎の声の主は、幽体となってこの地に存在していた、魔法使いマーリンであった。義理の親子とも言える、マーリンとエレナは、一時、久々に、
親子の会話を交わす。
幻想の島
開幕:事情を聞いたマーリンに、一行は、その未来予知の力で、これから先なにをすべきかを示してもらおうとする。しかし、この想区のマーリンは、未来予知能力は有しておらず、あくまで、膨大な過去に基づいた予測を立てているだけだと知らされる。しかし、マーリンはその予測によって、「聖杯を手にしろ」と、一行に助言し、ストーンヘンジを組み換え、アヴァロンへの門を作り、一行を彼の地へと送り出した。
終幕:アヴァロンへと向かった一行。しかし、すでに聖杯は、ガラハッドによって持ち帰られたあとだった。一旦、帰還を考える一行だったが、それを妨害すべく、再び現れるモリガン。帰還のための門を破壊し、一行に迫る。だが、そこに現れたのは、この想区にはいないはずの、ハートの女王とハンプティ・ダンプティであった。二人の攻撃に身動きが取れなくなるモリガン。彼女の前に、さらにもうひとり、ある女性が現れる。
騎士たちの挽歌
開幕:ついに激突する解放軍とキャメロット軍。怪物たちまで動員するアロンソに、キャメロット軍はついにカムランの丘にまで追い詰められる。しかしそこにおいて、ランスロットやモードレッドなど、アーサー王と確執のあった騎士たちが駆けつけ、趨勢は変わる。アロンソの前に姿をあらわす一行。アリシアは、彼に戦いを止めるよう訴えるが、アロンソは聞かず、配下を差し向け盾にし、ロンドン塔に向かってしまう。
終幕:アロンソの配下の兵たちを倒した一行。アーサー王の前にモードレッド、そして死んだはずのガウェインが現れる。ランスロットとモードレッドがアーサー王のもとに駆けつけたのは、ガウェインの説得によるものだった。一度は分裂した主従が、再び手を取り合う。一行は、アーサー王らと共に、アロンソとベネンヘーリを追って、ロンドン塔へと向かう。
ベネンヘーリの正体
開幕:グィネヴィアのもとに向かう途上、一行はアーサー王に事態の説明をする。マーリンは、全てを「予測」していた。あえて一行を、聖杯のないアヴァロンに向かわせ、追ってきたモリガンを、“彼女”が封印。そして、一行がアヴァロンに隔離されたと油断した、アロンソとベネンヘーリに奇襲をかけるという作戦だった。アロンソたちはグィネヴィアの前に迫るが、彼女は不敵に笑う。グィネヴィアの正体とは――
終幕:グィネヴィアの部屋にたどり着いた一行。そこで展開されていたのは、グィネヴィアに化けていたある女が、アロンソやベネンヘーリを圧倒している光景だった。その女はラグネル…だがそれも、彼女の「仮の姿」だった。彼女の正体は、マザー・グース、元『グリムノーツ』の一員、創造主であった。マザー・グースによって、あきらかになる、諸悪の根源ベネンヘーリの正体、それはデウス・プロメテウスの配下、ミュンヒハウゼン男爵であった。
偽りの騎士
開幕:男爵によってカオステラーの力が注ぎ込まれ、擬似カオステラーと成り果て暴走するアロンソ。騎士や騎士道への呪いの言葉を吐く彼に、別の想区の“ドン・キホーテ”を知るエクスは、彼の言葉をもって喝破する。追い詰められ、襲いかかるアロンソに、アリシアは「ドン・キホーテの姪」として、戦う決意を固める。
終幕:一行はアロンソに勝利するも、サンチョの娘、ジュニアが現れ、彼を何処かへ連れ去ってしまった。追いかけようとする一行を、男爵は阻む。しかし、その男爵を、マザー・グースが食い止め、一行を先に行かせる。対峙する男爵とマザー・グース。マザー・グースは男爵に問う。存在しないはずの創造主、“ミュンヒハウゼン”を名乗る、お前の正体はなにものだ、と。
忠実なる従者サンチョ
開幕:逃走したアロンソとサンチョ・ジュニアを追う一行。ジュニアの目に、なにか言いようのない危うさを感じ、シェインの顔に緊張が走る。ロビン・フッドの助言で、二人が逃げたのが、解放軍拠点と判明し、一行は走るが、誰もいなくなった拠点では、サンチョ・ジュニアが、アロンソを父の仇として、その命を奪おうとしていた。
終幕:解放軍拠点にたどり着き、二人を発見する一行。だがそこで見たものは、サンチョ・ジュニアに裏切られ、死に瀕しているアロンソの姿であった。悲しみのあまり、詰め寄るアリシアを、死にかけのアロンソが制する。全て彼の願いどおりだった。勝敗にかかわらず、最後にジュニアに殺され惨めな姿を晒し、騎士道へのあこがれを世界からなくすことが、彼の目的だった。言いようのない悲しみに包まれる中、男爵の嘲るような声がひびく。現れた男爵は一同に告げる。「自分こそがこの想区のカオステラーだ」と。
混沌の語り手
開幕:男爵は、虚構の力によって“騎士道物語”の想区に入り込み、みずから『魔法の豆』をうちに取り込むことによって、この想区のカオステラーに成り果ててしまった。さらに、ガラハッドを欺くことで手に入れた聖杯によって、アーサー王たちをもってしてもかすり傷もつけられないほどの、強大な力を手に入れる。一行は、因縁の決着を付けるべく、男爵に戦いを挑む。
終幕:カオス・ミュンヒハウゼンに勝利した一行。しかし、聖杯の力によって、カオス・ミュンヒハウゼンは無限の力と回復能力を有していた。「これが現実だ」と嘲笑うカオス・ミュンヒハウゼンに、エレナは「その現実を変える」と、『創造』の力を叩き込む。『創造』の力により、苦しむカオス・ミュンヒハウゼン。彼がかつて、『グリムノーツ』と旅をし、創造主に憧れるも、その夢を果たせなかった、『空白の書』の持ち主であることが明かされる。
だから僕はお前が嫌いだ
開幕:突如として降臨したデウス・プロメテウス。配下であったはずの男爵の苦しみを意に介さず、存在が消えかけていた彼の体から、聖杯を奪い取る。聖杯こそ、この想区に隠されていた、もう半分の『万象の栞』だった。最後の力を失い、消えゆく、「男爵であった者」。彼は最後に、エレナに「鏡を探せ」と言い残し、消滅する。あまりにも悪辣なデウス・プロメテウスに一行は戦いを挑むが、その前に呼び出されたシャドウたちと戦いとなる。
終幕:シャドウたちを倒した一行。だが、デウス・プロメテウスとの力の差はあまりにも大きく、アリシアが生命の危機にさらされる。それを救ったのは、死んだと思われた、アリシアの叔父、アロンソであった。謎の苦しみの声を上げ、見逃すように一行の前から立ち去るデウス・プロメテウス…残された一行は、アロンソの最後の言葉を聞き、彼の死を見送る。そして、エレナは『再編』を発動させる。
騎士道物語
開幕:エレナの『再編』によって、“騎士道物語”の想区は、これまでと異なる世界へと変わった。その中で、ガウェインも、アーサー王も、モードレッドも、己の運命に準じ、それを全うしていった。一行は、マザー・グースに言われたとおりマーリンのもとに向かう。
次なる道標
終幕:マーリンの元を訪れた一行。そこで、次なる手がかりがあると思われる想区の情報を得る。それは、異質なる想区、“灰雪姫”の想区であった。
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