魔弾~DerFireischutz~
まだんでぃあふらいしゅっつ
外すことのない恋の魔弾を この胸に撃ち込んでよ
T.M.Revolutionが14thシングルとして2000年9月6日にリリース。
本人が三十路を迎える直前に発表した曲でもある。
歌劇「魔弾の射手」をモチーフに失恋に狂う男の心境を歌い、歌詞からはBSS的な要素も見え隠れする一曲。
失恋曲故に歌詞の内容はかなりネガティブなものなのだが、それを感じさせないくらい勢いのある曲に仕上がっている。
この曲を語る上で欠かせないのはMVだろう。
小津安二郎映画をオマージュした作りになっており、恋人が出来た娘に複雑な思いを抱く父の葛藤を描くのだが、終盤に凄まじくカオスな展開が繰り広げられることで有名。
ちなみにMV内での演者の口パクはこの曲の歌詞になっている。
その奇抜さゆえ、2000年の「SPACE SHOWER Music Video Awards」ではBEST MALE VIDEO賞を受賞した。
MVのあらすじ
※セリフが無いため映像から読み取れる範囲でのあらすじとなる。
詳しくは実際に自分の目で見て確かめてほしい。
町工場を営む「父」が仕事を終え帰宅すると、娘から恋人(西川貴教)を紹介される。二人は結婚を視野に入れて交際しており、誠実な西川に母親も好感を持っていた。父も表面上は喜ぶものの、一人娘が結婚することに対して複雑な思いを隠せない。そんな父の思いをよそに、西川と娘は編み物の雑誌を読みながら仲睦まじく談笑していた。
気を紛らすためにスナックに飲みに出かけた父は、そのことをスナックのママに打ち明ける。そして何気なくテレビに目をやると、歌番組が放映されており、その中で西川が歌っているではないか。ママも西川を称賛し「歌手と結婚できるなんて素晴らしいじゃない」と羨ましがるものの、芸能人という浮ついた職業の西川と娘が結婚することが許せない父は、そのままやけ酒をあおり酔い潰れてしまう。
目を覚まして帰宅した父は、娘が夜なべしてセーターを編んでいるのを見かけた。西川へのプレゼントを作っているのだと思い込んだ父は怒りが頂点に達し、工場で自分の右腕に武器を仕込む改造を施してしまう。
翌日、西川が花束を手にして、娘との結婚を正式に申し出るために訪ねてくるが、父は西川に向かって右腕に仕込んだミサイルを発射する。西川は服がちぎれ飛んだだけで済み、ファイティングポーズを取ってみせるものの、父は続けて第二射を放つ。慌てて避けた西川は、もはや迎撃する以外に道はないと覚悟を決め、第三射を放つ父親に向けてロケットパンチを発射する。そこへ娘が仲裁に割って入り、ミサイルとロケットパンチを抱きしめて止める。父と西川は娘に向かって慌てて駆け寄るが、無常にもミサイルは爆発してしまう。父は肉体を改造していたことが功を奏してか無事で済んだが、娘と西川は爆発に巻き込まれて消えてしまった。
娘を失った父は、彼女が編んでいたセーターが、自分の65歳の誕生日を祝うために編んだプレゼントだったことを知る。父はそれを羽織り、自分の早とちりと勘違いが生んだ悲劇に対してただ悲嘆に暮れることしかできなかった。
L'Arc~en~Ciel:こちらは魔弾が受賞した同年度の「SPACE SHOWER Music Video Awards」で『STAY AWAY』のMVがMVA BEST VIDEO OF THE YEARを受賞。