概要
CV:内藤有海
名前はアニメ版のクレジットより。
みすぼらしい服を着た少女の姿をした魔族。丁寧な口調で話す。
「魔族にとって言葉は人を欺くためのもの」「人の声真似をするだけの猛獣」ということを示し、魔族がどのような生物かをヒンメル(と読者)に教える存在となった。
出演
ヒンメル一行が立ち寄ったとある村で少女を食い殺し、討たれそうになるが、まだ幼い子供にしか見えぬ容姿、そして「痛いよ、お母さん…」と呟いたことでヒンメルは動揺。そして境遇を哀れんだ村長の温情により、村長の養女となる。「娘を返して」と激昂し泣き叫ぶ被害者の母親を制してまで救いの手を差し伸べた村長に共感したヒンメルは、「今殺しておかないと後悔する」というフリーレンの反対を押し切り、様子を見る事にした。村長には同じくらいの年頃の娘がおり(その娘と重なったというのが助命の大きな理由と思われる)、二人は姉妹のように仲良く遊ぶ姿が見られ、村長とヒンメルの判断は正しかったかに思われた。
しかしその数日後、少女魔族は村長夫妻を殺害した。
炎上する家の前で、気を失った村長の娘を抱きかかえた彼女は、なぜ村長を殺したのかとヒンメルに問われると、「やはりあの時殺しておくべきだった」と詰る例の被害者の母親の方へ向き直り、淡々と答える。
「あなたから毎日のように殺意を感じていました。私は平穏に過ごしたい。
ですから用意しました。私が食べてしまったあなたの娘の代わりを。」
彼女は、自分が食った被害者の母親から向けられる殺意の視線が鬱陶しかったため、代用品を差し出せば済むだろうという、決して人間が思いつかぬ思考により村長を殺害したのだ。
ヒンメルが「その子は村長の娘だ」と怒りを見せても、「村長はもういませんよ」と事も無げに返す有り様で、ヒンメルを始め村人たちも、人間と魔族の決して相容れぬ価値観の違いを思い知らされる。
そこでようやく周囲の恐怖と軽蔑に満ちた視線に気づいて、「私は何か選択を間違えてしまったようですね」と呟き、一転して村長の娘を人質にしようとするが、ヒンメルによって腕を切り落とされ、娘を奪還される。そして「もう止めないよね?」とヒンメルに言って進み出たフリーレンに「お母さん…」と呟くも、聞く耳を持たぬフリーレンの魔法の一撃でとどめを刺された。
魔族は子育ての習慣がなく、産み落とされてから多くの時間を天涯孤独で過ごすものであり、『家族』という概念が存在しない。なのになぜ『お母さん』などという言葉を使うのかとフリーレンに尋ねられた彼女は、
「だって殺せなくなるでしょう。まるで魔法のような素敵な言葉」
と答えて、罪悪感一つ見せる事なく消滅した。
魔族にとって言葉とは、人類を欺く手段でしかない。この出来事により、ヒンメルの心には「魔族は決して信用してはならない、言葉が通じない獣」という思いが刻まれる事になった。
余談
上記のセリフを利用して、人助けをしようとして間違った行動をとる所謂「良かれと思って」「地獄への道は善意で舗装されている」的なシチュエーションのネタが流行っている。