概要
現在の東海道新幹線新横浜-小田原間のうち、相模川の東側にある八軒町昇降階段付近から酒匂川の西の鴨宮駅付近およそ30kmが新幹線開通前に新技術の試験や試作車によるデータ収集、乗務員訓練などを目的に先行して整備された。
1962年6月に鴨宮モデル線基地から東に10kmの区間が完成。走行試験が開始され、同年10月にはモデル線全線が完成した。
モデル線では0系のプロトタイプとなる1000形2編成が走行試験を行い、1963年3月30日に最高速度256km/hを記録した。
モデル線では技術試験や乗務員訓練だけでなく、新幹線計画への理解を深めるという目的から試乗者の受け入れも積極的に行っており、内外の要人から一般人まで延べ10万~15万人を受け入れたという。
なお試乗車両のトイレは鴨宮基地に汚物処理施設がないため通常閉鎖されていたが、どうしても走行中に利用したいという試乗客の要望から乗務員判断で使用させていたという。そうこうしているうちにタンクがいっぱいになってしまい、ある日の夜中に前照灯・尾灯・車内灯全てを消灯させた完全な無灯火で基地を発車。酒匂川橋梁の上に停車して汚物タンクのコックを開け、中身を処理したという逸話が残る。