CV: Ellen MacLain
注意
他の同名のキャラクターとの区別のため、Portalのタグと併せて検索する事を勧める。
概要
Aperture Scienceの女性科学者にして秘書。直接の登場はせず、ゲーム中盤にChellが過去のAperture Scienceの実験施設跡地、9番シャフトを探索する中でCave Johnsonの録音メッセージで時折言及される。稀ではあるが、本人も録音メッセージ内で登場するが、上司の言葉に相槌を打つ程度に留まっている。
Aperture Scienceへの貢献ぶりはCaveをして「この施設に不可欠な要員」、「科学以外には興味を示さない」と評する程の熱心さ(特に後者については原語ではShe was married to Science.(彼女は科学と結婚している。と言っている)を見せ、晩年の彼の身の回りの世話も引き受けていた。
隠し要素
ゲーム本編で彼女の名前が最初に言及される場面はCaveの録音メッセージ内ではなく、チャプター5のタレット工場内である。道中の回収ラインのベルトコンベアを流れていたタレットを回収すると、タレットは返礼として彼女の名前を告げてくれる。
また、ジャガイモ電池に移植されたGLaDOSとの合流後、チャプター7最初のテストチェンバーの監視室にはCaveと共に描かれた肖像画が飾られており、テストチェンバークリア後にポータルガンを利用して監視室へアクセス出来るようになる。肖像画を発見すると、GLaDOSが「肖像画に描かれている人間たちに...見覚えがあります。」というコメントをしてくれる。
ネタバレ
「おそらく彼女は、自分には無理だと拒むだろう。それでも、彼女にやらせるのだ。」
「私のコンピューターに押し込んででもな。」
実は彼女の人格はGLaDOSの人格のベースになっていた。
前述のとおり彼女自身の発言や登場場面は決して多いものではなく、人物像についてはCave以上に不明瞭なのだが、メインフレームから分離されて半日程は経過していたGLaDOSがCaveの怒りの言葉に対して相槌を打っている場面や数々の反人道的実験を行ってきたAperture Scienceに長きに渡って勤務していた経歴も踏まえると、彼女も大なり小なりマッドサイエンティスト気質の人物だったのではないかと推測される。
1980年代初頭、実験中の事故により余命幾許もない身となっていたCave Johnsonはエンジニア達にコンピューターに人格を移植する研究を行わせていたものの、自分が生きている間では完成には至らないと悟り、Aperture Scienceの経営並びに施設の運営をCarolineに委ねる事だけでなく、彼女の意識をコンピューター上へと移植するよう指示を出していた。
上記の通り彼女は拒むだろうとCaveは推測していたものの、実際に彼女がどのような反応を見せたのかは作中では明かされずに終わった。
GLaDOSとして施設を管理していた間はCaroline時代の記憶や人格は全く見られなかったが、移植された後でもCarolineの人格は残っていたらしく、Cave Johnsonの録音メッセージと跡地探索を通じて徐々に過去の記憶や人格を取り戻していく事になった。(それでも自分の出自を知らされた後では、かつての上司の事を「あの変な男」(原語ではthat crazy man と更に手厳しい)と呼んでもいるが。)正体判明前はChellとの合流直後のテストチェンバーの録音メッセージでのCaveのCarolineへの呼びかけに対して、「イェッサー、Mr.Johnson」と全く同じ相槌を打って困惑を示す程度だったが、正体判明後、チャプター8のテストチェンバー3ではWheatleyのChellの養子だという出自を悪し様に言う言葉に対して「養子の何が問題ですか?」と反論する、Wheatleyの秘密基地へとファンネルにより運ばれていく時は「でも今聞こえるのは、良心の声です。しかもおそろしいことに、初めて自分の声で聞こえてくるのです。」と漏らしたりと、確実にGLaDOSの人格へと影響を及ぼすようになっていた。だがWheatleyから施設の全権を奪還した後、GLaDOSはChellの目の前でCarolineのデータを削除した。その直後に約束通りエレベーターで主人公を地上へと送り出し、地下の旅の連れに別れを告げたのだった。
ただし本当にCarolineとしての人格と記憶が削除されたのかは怪しい所がある。というのもエンディングテーマ『Want You Gone』では「今やCarolineも私と一緒」と歌っているのである。
本編外での登場
明確に登場するものはなく、Cave Johnsonの発言や社の物品から間接的にその存在が語られている。
- 『Perpetual Testing Initiative』
『Portal2』のDLCのボイスドラマ。Gregとは対照的に、彼女はどの並行世界でも全く登場しないどころか、存在自体が言及されていない。但し地球1のCave Johnsonがナレーションをしていると思われるAperture Scienceの広告風の予告映像の1つではCarolineへ呼びかける場面がある。(参考)ゲーム本編同様、ボイスドラマにおいてこの世界のCave Johnsonは研究チーム(日本語訳では該当箇所では「研究室の職員」と別の訳語が当てられているが、原語版では複数名かつ本編と同じ名称の「Lab boys」である。)の存在を言及し、お抱えの科学者が何人もいることを明かしているため、もしかしたら地球1の世界ではGregとCarolineが両方いて、前者が多元宇宙論、後者がポータルガンの実験をそれぞれ任されているのかもしれない。
- 『Aperture Desk Job』
並行世界の過去の時代が舞台の外伝作品。直接の登場こそしないものの、『Portal2』で登場した肖像画が終盤に訪れるCaveのオフィス手前のロビーに瓦礫で埋もれている。この肖像画の存在を踏まえると、今作における彼女もCaveの下で働いていた事になるのだが、彼が意識をコンピューターへ移植した後で暴れ回った後の消息は一切語られていない。暴れ回った際に死亡したにせよ、生き延びたにせよ、彼女がこのプロジェクトの時点でCaveと決別したのは確かである。
余談
- 中の人はGLaDOS、そしてタレットと同じである。開発者コメンタリーでは、元々Caveの下で働く科学者としてGregという騙されやすい人物を登場させる予定だったが、出番が少ないキャラクターに新しく声優を雇うのもコストがかかるという事で見送られ、Ellenに新しく担当してもらった経緯が語られている。つまり中の人つながりから発生したキャラクターと言える。
- ゲーム未使用音声には何かを拒絶するかのような叫び声が含まれており、GLaDOSへの人格移植は本人の意に反して行われた可能性が示唆される。その場合、GLaDOSが『LAB RAT』で描写されたように人格コアを取り付けられても職員に対する殺意を持ち続け、最終的に神経毒散布という凶行に及んだのは、長きに渡って科学と企業に貢献してきたにもかかわらず、恩を仇で返すかのごとく自らの拒絶に反して人工知能への意識の移植を実行した職員たちに対して強い憎悪と殺意を抱き続けていたからだと推測される。また、チャプター8のテストチェンバー5クリア後にGLaDOSが明かした所によると、メインフレームには一から人工知能を構築したのであれば搭載されるとは考え辛い「テストに対し強い陶酔感を感じる機能」が搭載されており、これも科学者達がCarolineとしての殺意を抑制し、科学者としてテストへと関心を向けさせようとしていたからと推測される。
- 尤も『Perpetual Testing Initiative』においては本来の計画通りに進んだCaveも最終的に精神に異常を来してしまった経緯が語られており、Aperture Scienceのコンピューター上に人格を移植するという発想自体が間違いだった可能性もある。
- 作中ではGLaDOSの時点ですら、Chellの過去について知っているような発言をしたり、別れ際にタレット達に歌わせているオペラ『Cara Mia Addio』の歌詞で「私の娘よ」と歌っている事から、ファンからは「Chellの養母がCarolineだったのではないのか?」と言われる事もある。そうなると父親とされる人物は...。
- Cave Johnsonの未使用音声の中には、Carolineに録音メッセージの確認をはじめとして警備員の増強や解雇直後の人物の対応等様々な指示を出しているものが含まれており、音声収録には彼女が少なからず立ち会っていた事が分かる。
関連タグ
Doug Rattmann: 同じくAperture Scienceに勤務する科学者。時期としては彼女がCEOを務めていた後の時代に活動していた。