ApertureScience
あぱーちゃーさいえんす
アメリカ合衆国の超巨大総合科学企業。同社の研究部門がAperture Laboratoriesであり、ゲームの中心であるポータルガンの実験は同部門により実施されている数多くの実験の1つという設定である。
シャワーカーテンの会社として始まり大成功を収め、巨大企業に成長を遂げた。世界観を共有する『Half-Life』シリーズの研究組織“Black Mesa”にはライバル意識を燃やしているが、近年では国防総省を相手とする取引件数で大きく差を付けられるようになったり、売り上げが低迷したりと衰退の一途を辿っていた。
訳名としてはアパーチャーサイエンス、アパチャーサイエンスがある。
その実態は安全性と人命を軽視したマッドサイエンティストの組織である。
1作目の時点でもゲーム本編でのGLaDOSの発言や行動、本編外での会社の沿革から匂わされていたが、2作目の中盤からは以下に記す通り、清々しいまでの倫理に背く実験の数々と安全意識の軽視ぶりが明かされている。
Aperture Science Innovators時代
- 被験者に透明レーザーを照射し血液をガソリン化する。
- 排泄物が全て灰になる処置を行う。一時的ではなく恒久的な場合もあり、その場合は再度来訪するよう指示。明らかに隠蔽する気である。
- 超伝導体をフル稼働させ、開始から終了まで被験者を狙う。最悪の場合腫瘍が肉体に発生する。
- もっと言えばナノマシンのテストをするため椅子に放射線照射装置を組み込んで腫瘍を発生させる。
- カマキリの遺伝子を人間に注入させる実験を行い、カマキリ人間の軍団を作り出してしまう。ついでに後始末を後続の被験者一同に押し付ける。
- 脳のニューロン活動を把握するために、被験者の摂取するコーヒーに蛍光カルシウムを入れておく。最悪の場合前頭葉がガラス化する。しかも発生トリガーは「それを意識した時」。
- 管理グループの頭蓋骨にポストカードほどの小型マイクロチップを埋め込む。テストにおいて振動と警報を被験者が感じた場合、マイクロチップが260度に達している状況になっている。
- タイムパラドックスが発生するかもしれない実験。最悪の場合、過去と未来両方の時間が完全に消滅する危険性がある。
Aperture時代
その他
- 実験が行われるスフィアはアスベストが利用されており、中皮腫を発症する恐れがある。
- 実験で用いられるジェル本体が人間に有害な素材。浴びないようにする以外に対処法が無い。
当然これらの実態は世間からも周知されており政府の捜査対象になるなど評判は悪く、上記の経営悪化の一因にもなっていたが、所属者が去る状況に陥っても残留者の中から組織風土を改善しようという動きは最後まで出ず、ゲーム本編に先立って開発した人工知能にクーデターを起こされるという末路を辿った。その人工知能も人間を被験者とする実験で夥しい犠牲者を出してその報いを受けた後、最終的に人間に見切りをつけ、ロボットの運用に切り替えたというのは皮肉という他はない。
- Apertue Science Enrichment Center
所在地:ミシガン州アッパー半島の岩塩鉱の地下
登場作品:『Portal』、『Portal2』、『LAB RAT』、『Turret Lullaby』
『Portal』シリーズ全般で基本的に舞台となる場所。一部の地下空間は鉱山の周辺にあると思しき地域と重複しているようだ。作中で中心となるのはポータルガンの実験が行われているテストチェンバー区画だが、それ以外にもテストの備品を製造する工場やコールドスリープ技術が用いられる宿泊施設、更に兵器技術やAI技術の研究所が設けられている。
1作目ではAperture Science computer-aided Enrichment Centerという名前が冒頭で登場しているが、これは「Aperture Science コンピューター制御トレーニングセンター」と訳されていた。
- Tartaros09
所在地:上に同じ
登場作品:『Portal2』
Enrichment CenterとEnrichment Shaftsとの間に広がる地下空間。現在は完全に廃墟と化している。雲のように浮かんでいるように見える、現在のテストチェンバー区画に向かって巨大なコンクリート製の柱とタワークレーンが聳え立ち、地面にはパイプの瓦礫が転がり、残存する建物の壁面には立ち入り禁止等の警告を記した張り紙が至る所に貼られている。名前の由来はギリシャ神話に登場する地獄の最下層タルタロス。
- Enrichment Shafts
所在地:上に同じ
登場作品:『Portal2』
Cave JohnsonのCEO在職中に使われていた実験施設跡地。末期にEnrichment Centerが発足した後も短期間運用されていた。9本の縦穴(シャフト)に"スフィア"と称される三角形のパネルで構成された球体型の構造物が積み重なる構造をしている。シャフト1本だけでも広大な敷地面積を有し、運用中は地下鉄がシャフト間を結んでいた。最下層と最上部には円形の大型ハッチが設けられており、主人公が訪れるまで完全に封鎖されていた。
シングルプレーヤーモードでは9番シャフト"Zulu Bunsen"が、後日談となるCo-opテストモードでは別のシャフトがそれぞれ舞台となっている。
- Assisted Jaunt Centre
所在地:オハイオ州クリーブランド
登場作品:『Half-Life2』
直接の登場はせず、設計図で言及された場所。造船所としての機能を有しており、GLaDOSがクーデターを起こした後に砕氷船BOREALISの建造がここで行われたようである。
しかしPortal2では(隠し要素的なものではあるが)上記の9番シャフト付近に乾ドックらしき巨大な空間に“BOREALIS”と書かれた救命浮輪が放置されている。もしイースターエッグではない正史だとすると…?
並行世界
- 能力開発センター(Competence Center)
所在地:不明
登場作品:外伝作品『Aperture Desk Job』
冒頭のCave Johnsonの間違ったテープで言及された施設。Aperture Scienceの中でも科学に秀でたエリート社員が集まる部門。なお、Aperture Laboratoriesは次項にもある通り、存在していることが明かされている。
- 製品工場
所在地:不明
登場作品:外伝作品『Aperture Desk Job』
正式名称は不明。便座やTV、テープレコーダー、ミシン、洗濯機を始めとしてAperture Scienceの家電製品や武器の製造が行われており、一角には主人公が製品検査官として配属されたAperture Laboratories Testing And Calibreation Dept(Aperture Laboratories 検査較正部門)という製品検査を行う部門があるが、人格コアのグレディ曰く「イカレてる」、「この会社の工場で最底辺の仕事」と散々な評価である。更には工場内の構造の隙間にはゲーム本編世界の実験失敗で生み出されて駆除対象とされたカマキリ人間が増殖し、文明化された都市を築くまでの水準に到達している。テープでは作業着の存在が明かされているが、ゲームの舞台となる時代では既に廃止されているらしい。
最上階にはCave Johnsonのオフィスが設けられていたものの、物語が始まる4年前の事件が原因で誰も立ち入ろうとしていない。
公式ページから特定のパスワードで閲覧できた会社の沿革によると以下の通り。(現在は正史ではない)
創業当初から1970年代末期まではシャワーカーテンの製造に専念していたが、事故によって瀕死の重傷を負ったCave Johnsonの病床での提案を受けてポータル研究が本格的に始まり、その後でライバル企業に対抗する目的で今度はGLaDOSの開発が始まったと明かされている。
シャワーカーテン会社時代
- 1953年:Cave Johnsonがシャワーカーテン会社としてAperture Scienceを起業。社名はカーテンを清潔に見せようという意図で選ばれた。初期の時点でシャワー室の内と外を仕切る、技術水準としては低めのポータルが搭載されていた。
- 1956年:賞与としてアイゼンハワー政権と海軍以外の全軍でのシャワーカーテンの納品契約を締結する。
- 1957年から1975年:シャワーカーテン製造に専念する。
ポータル研究の始まり
- 1978年:Cave Johnsonが秘密裏に進めていた新素材の開発中に水銀を浴びてしまう。この新素材は合衆国下院の海軍歳出委員会会員を暗殺する目的で作られていたと思しいシャワーカーテン用の素材であり、自業自得の一件だった。
- 1979年:Cave Johnsonが瀕死の重傷を負い、意識も覚束ない中でハイムリッヒ救命法を無効化する技術である反ハイムリッヒ法(Heimlich Counter-Maneuver)、末期症状の子供に代わって健康な大人が夢をかなえるテイク・ア・ウィッシュ基金(Take-A-Wish Foundation)の創設、ポータル技術の前身となる技術の三段階から成るR&Dプログラムを立案する。
- 1981年:反ハイムリッヒ法とテイク・ア・ウィッシュ基金初期段階が完了し、研究に関連した製品を豪華テレビ特番で放送するが、製品は人気を得るには至らず、窒息事故や病気の子供に関わる事件が発生、上院の調査委員会に会社の役員や技術者が召喚される事態に発展する。しかし委員会にて技術者の一人がポータル技術について証言したところ、政府が関心を示し、ポータル並びに反ハイムリッヒ法プロジェクトを秘密裏に継続する無期限契約を締結できた。
- 1981年から1985年:ポータルプロジェクトが進行し、反ハイムリッヒ法と併せたファタハ高官数名暗殺での運用が示唆されている。
GLaDOSの起動へ
- 1986年:Aperture Scienceの経営陣の下にブラック・メサが類似のポータル技術に取り組んでいるという噂が届いたのを契機として、GLaDOSの開発が始まる。
- 1996年:GLaDOSのディスクオペレーティングシステムの区画がおおよその基礎的動作が可能になる水準にまで完成し、Genetic Lifeformの箇所の開発が始まる。
- 1996年以降のどこか:初めてとなる、年に一度のイベント「娘を職場に連れてくる日」の目玉として、テストが行われていない状態でAIが起動する。最初のテストは上手くいったと沿革では書かれてあるが・・・?
前作の年表と共通している所があるものの、大幅な掘り下げと設定変更が行われ、歴史の中で社名変更が繰り返されていたという設定になった。ポータルガン以外の発明品として年代ごとに特殊な性質を付加するジェルが登場する。ゲーム中盤、プレーヤーはGLaDOSが誕生前のAperture Scienceの実験施設跡地の探索を通じて、会社の辿って来た歴史を追体験していく事になる。この実験施設のロビーにはAperture Scienceの活躍を称えるトロフィーや賞状、あるいは従業員向けのポスター等が飾られており、歴史を知る上で重要な史料になっている。
前史
- 1943年: この年までにCave JohnsonがAperture Fixturesを創業し、1943年次シャワーカーテン販売員最優秀賞(Shower Curtain Salesman of 1943)を受賞。
- 1944年:Cave Johnsonがミシガン州アッパー半島の岩塩鉱を買収。4000m以上の深さの場所に超巨大実験施設が建設される。建設の過程で得られた岩塩やアスベストも会社の商品としてシャワーカーテンと共に主力商品として販売されるようになる。地元の新聞『ジ・アップ・パイオニアー・プレス(The Up Pioneer Press)』第1面にインタビュー記事が掲載される。
- 1947年:全米科学研究機関・科学企業の最優秀新興企業(Best New Science Company from the Science and Business Institute of America)に認定される。この時期には社名はAperture Scienceとなっており、以降の社名変更でもCave Johnsonはこの社名を使い続けた。
- 1949年:応用科学企業トップ100(Top 100 Appliede Science Companies)の第2位に選ばれる。
Aperture Science Innovators時代(1950年代から1960年代)
開発されたジェル:反発ジェル(青色)
- 1952年:合衆国国防省の年次準最優秀契約者に選ばれる。この頃までに低反発ジェル及び初期のポータルガンであるAperture Science Portable Tuuneling Deviceが完成する。前者は人体にとって有害な成分を含み、後者も動力装置を背中に背負わねばならないほどの大きさであり、実験では安全面での問題が多々見られた。
- 1954年:合衆国国防省の年次準最優秀契約者に再度選ばれる。
- 1955年:ジャガイモ科学(Potato Science)の促進により国立ジャガイモ委員会(National Potato Board)からアイダホ魂(Spirit of Idaho)賞を受賞。
- 施設では後述する封鎖が行われる前の時点で1日に1000件近いテストが行われていた。Cave Johnsonは全てを監督するのは不可能であると判断し、被験者のために案内ボイスを録音し、施設のあちこちで流すやり方で対応した。被験者としては宇宙飛行士、オリンピック選手、戦争の英雄等肉体的にも優れた人材が集められていた。
- 1961年6月15日:宇宙線反発(COSMIC RAY REPULSION)を招く事故が発生したという名目で、Enrichment Shaft 09に封鎖命令(VITRIFICATION ORDER)が発令され、シャフトそのものが封鎖される。
- 1968年:実験の被験者だった宇宙飛行士らの失踪事件に関する上院公聴会が開催され、Cave Johnsonも召喚される。この一件はニュースでも報じられた。この辺りの時期でAperture Science Innovatorsは破産を宣言する。ブラック・メサからは商標権侵害を受けたとも主張した。
Aperture時代(1970年代)
開発ジェル:推進性ジェル(橙色)
- 1971年:9番シャフトの封鎖が解除される。Apertureへと社名変更が行われる。
- 会社の経営の悪化により、従来通りの被験者の確保が困難になり、60ドルで浮浪者を雇う。実験の備品の一部はAperture Science Innovators時代からのものを引き続き使用していた。1968年の公聴会での一件もあって会社へ向けられる目は厳しくなっており、監視室には外部からの潜入工作員に備えて通報用の電話が置かれる等警戒を余儀なくされる。当時の張り紙にて警戒対象として挙げられた組織には原子力規制委員会、エネルギー省、緊急事態管理庁などの原子力の安全に関わる組織も含まれており、会社が(恐らくは国の安全基準を満たさないまま、)原子炉を運用していた実態が示唆されている。それ以外にもアメリカ会計検査院(GAO)も挙げられており、前作での公聴会後に政府からの支援を取り付けられた設定は踏襲されていたようである。
- また、この時期には実験で死亡した人間を蘇生させる技術を完成させていたと主張している。
- 1976年:この年までにAperture Laboratoriesが発足し、同部門の下でコールドスリープ技術が完成する。加えて事前イベントで公開された10月17日付のメール画像によると、当時は被験者としてホームレス、精神障害者、孤児、老人などが採用されていた模様。
Aperture Science時代(1980年代初頭)
開発されたジェル:変換ジェル(白色)
- Aperture Science Enrichment Centerが発足する。
- 会社の経営の更なる悪化により外部からの被験者の調達が困難になる。自社の従業員に月別でのテストを義務付けるも、更に離職者が相次ぐという悪循環に陥る。当時のポスターによれば、一部のデスクワークや実験で人型ロボットの導入が始まっていたが、変換ジェルの実験では引き続き人間が被験者として使われていた。
- 加えて上記のポスターによれば、この時期までに重量キューブ、スイッチ、表示サインの規格が現在採用されているものになる。
- Cave Johnsonが経理部の反対を押し切り、7000万ドルで月の石を購入し変換ジェルを開発するも、実験中に月の石の成分由来の中毒症状を発症し、最終的に命を落とす。亡くなる直前、彼は会社の経営と施設の運営をCarolineに委ねる事と人工知能システムの開発を指示した。彼が亡くなる前後で9番シャフトが再度封鎖され、以降のジェルの製造やテストは行われなくなる。
Cave Johnson没後(1980年代以降。『LAB RAT』及び『Turret Lullaby』時代)
- Carolineが会社の経営を引き継ぎ、更にその彼女の後任者の下で"GLaDOS"が完成するが、起動直後に人間に対して殺意を露にするという性質ゆえに、殺意の抑制を目的として、人格コアの研究と開発が進められる。
- テストチェンバーが従来のスフィアから、折り畳み式パネルで構築された直方体へと一新される。エレベータールームも従来の内部の金属構造が丸出しの鉄骨状の構造物から、ガラスチューブ式で周囲の壁面が自社の製品広告や社内アナウンス用のスクリーンが張られた円形の部屋へと改良される。一方社内放送ではCave Johnsonの録音メッセージが引き続き使用される。
- タレットが完成。保護者不在時の子供部屋の警備を行わせる目的で開発されたが、泣き止まない子供のために子守唄を流す機能の搭載により販売可能な水準に至る。
- 事前イベントで公開された画像によると、1985年に製造された自社の対話型インタラクティブ「Aperture Image Format」の保全をDoug Rattmanは任されていた。
- 社内イベント「娘を職場に連れてくる日」が開催される。ジャガイモ電池を用いたワークショップイベントが開催される。Chellはこのイベントに参加した他、Aperture Scienceのリサーチボランティア採用試験を受けていた。GLaDOSとタレットの初披露となったが、前者が施設全体に神経毒を散布するクーデターを行い、後者の大半を支配下に置く。この一件で施設の職員は大勢が死亡したが、Doug Rattmanを始めとして一部の職員が雲隠れに成功。GLaDOSの監視の目と影響の及ばない地下のシャフトへ逃れ、外部からの助けを期待してコールドスリープ状態に入る。
- なお、時をほぼ同じくしてニューメキシコ州では大惨事が起こっており、そこから連鎖して発生した事象も合わさってこの会社の不正を咎める外部の組織や勢力は実質的に皆無となってしまった。
GLaDOS時代(『Portal』及び『LAB RAT』)
- GLaDOSがRattmanの目論見通り、Chellを被験者としてテストを行うが、次第に不信感を抱かれ、テストチェンバー19にて焼却処分を行おうとした際に脱走を許してしまう。彼女はGLaDOSのいるAIチェンバーへと辿り着き、付属していた人格コアを無理やり取り外して焼却炉に投入するやり方で機能停止へと追い込む。この機能停止時の爆発の衝撃で施設から吹き飛ばされ脱出そのものには成功するものの、彼女もダメージを負ってしまい、巡回していたParty Escort Botにより施設内に連れ戻されてしまう。彼女を当てにしていたRattmanも責任感から再度施設へと戻る事を決意する。
- 施設に連れ戻されたChellは少なくとも一度はコールドスリープセンター内の一室に収監された後で目覚めさせられたが、2回目以降はコールドスリープに入れられたままになる。後述する再度の目覚めの間のAperture Scienceについては殆んど情報が無い。テストや被験者への対応は緊急録音メッセージを通じて続けられ、人格コアが動員されていたものの、施設そのものは荒廃の一途を辿っていった。Wheatleyがこの時期に施設内に生き残っていた人間達と脱出を試みて、失敗を繰り返していたと証言しているものの、真偽は不明である。
遠い未来(『Portal2』)
- Chellが少なくとも2回目のコールドスリープから目覚める。Wheatleyの手引きにより脱出を試みるが、その途中でGLaDOSを誤って再起動してしまい、彼女により再度テストを受けさせられ続ける。GLaDOSは嫌がらせも同然のテストを受けさせる一方で施設の復旧と秘密裏のプロジェクトに取り組む。しかしテストチェンバー21にて再度の脱走を許してしまう。
- ChellはWheatleyの提案でタレット工場と神経毒製造工場の破壊工作を行い、GLaDOSの武装解除に成功する。AIチェンバーにコア転送システムによりGLaDOSの分離とWheatleyの接続を実行することでWheatleyの手で脱走させようとするも、今度は施設の管理権を手にしたWheatleyに裏切られてしまい、前述のEnrichment Shaft09跡地へ、ジャガイモ電池に移植されたGLaDOS諸共落とされてしまう。
Wheatley Laboratories時代(『Portal2』)
- GLaDOSから管理権を移譲されたWheatleyに運用されることになったAperture LaboratoriesはWheatley Laboratoriesと改名されたが、前任者のような施設の運用やテストについての無知ぶりとプログラム上の問題から施設は崩壊の一途を辿ることになる。
- 約半日以上(少なくとも12時間)が経過してChellたちが戻って来ると、Wheatleyは一旦は戻ってきたChellを被験者として使うことになるが、やがて彼女を見限り、テストチェンバー21にテストのギミックに偽装したトラップを仕掛け始末しようとする。しかし脱走を許されてしまい、自身がいる"秘密基地"への侵入を許してしまう。Chellは人格コアを装着されて動作を鈍重化させていくやり方でWheatleyの管理権をGLaDOSに戻そうと奮戦し、最終的にWheatleyを宇宙空間へと追放し、GLaDOSを施設の管理者に復帰させた。約束通りChellはGladosを地上へと送り届けた。
被験者
Aperture Scienceが雇った実験の被験者。
『Portal』、『Portal2』両作品の主人公。
ある日、Aperture Science Enrichment Centerで目を覚まし、GLaDOSの指示に従ってポータルによるテストを受けていくが、次第に本性を見せていく彼女とテストチェンバーに残された落書きによる警告から不信感を抱いていき、施設そのものからの脱出を決意する。
Aperture Scienceに来る以前の彼女については最後まで明確に説明されないが、『Portal2』では断片的な仄めかしがある。
上層部
GLaDOS以前のAperture Scienceの施設の運営陣。ゲーム本編ではボイスのみが登場するかその存在が語られるのみであり、直接の登場はしない。
CV: J・K・シモンズ
Aperture Scienceの創業者にして初代CEO。物語開始時点で故人。存在自体は『Portal』で設定されていたものの、正式な登場は続編の『Portal2』からとなる。
2つの作品で経歴は異なるものの、シャワーカーテン事業で大成功を収めて会社を急成長させた、新製品開発の実験中の事故が原因で最終的に命を落とした、病床にて会社のその後を決定づける重要な指示を出したのは共通している。
「科学の発展にはいかなる犠牲も許される」という姿勢の持ち主で実験時での危険性や被験者の安全を蔑視しており、晩年には会社の信用の失墜や経営悪化、部下たちの離職を招いた。その思想はGLaDOSにも受け継がれてしまっており、Portalシリーズの全ての元凶とでも言うべき人物である。
DLCの『Perpetual Testing Initiative』におけるボイスドラマでは地球1(Earth One)に住むCave Johnsonを中心に、ゲーム本編とは異なる歴史を辿った世界におけるAperture Scienceやそれに相当する組織や企業、及びそこで働くCave Johnson達が多数登場する。
CV: Ellen MacLain
『Portal2』にて登場。正体を踏まえると物語開始時点で故人。
Cave Johnsonの秘書と実験アシスタントを長きに渡って勤め、彼の没後は会社の経営と施設の運営も引き継いだ。
- Greg
『Portal2』のDLC、『Perpetual Testing Initiative』のボイスドラマで登場。Cave Johnson直属のAperture Scienceの科学者。
当初は本編に登場する予定だったが、登場回数の少なさから代わりに(GLaDOSと同じ声優が演じる)Carolineが生み出されたという経緯がある。ボイスドラマでは地球1を始めとして並行世界の彼やそれにあたる人物が登場するものの、いずれの世界でも本人は一切喋らず、上司を通じて発言内容が説明されるだけになっている。
この地球1のGregは物語の根幹を成す多元宇宙論の提唱者であり、作中でのテストチェンバーの実験や並行世界におけるCaveや金宇宙(moneyverse)存在確率の計算を任されていた。しかし一方で上司が被験者(プレーヤー)に指示した並行世界のCave Johnson殺害に関して全多元宇宙が崩壊する危険性を、別件のある計画に関しても問題点が判明する前からそのリスクをそれぞれ指摘する、終盤では被験者を上司が解雇すると言い出した直後に説得して思い止まらせるというように、科学者として優秀な才能を持つだけでなく、Caveの決定に対して意見を表明し、軌道修正を図れる人物でもあった。また、娘がおり、ボイスドラマでは実験中に自分たちのいるオフィスに入って来てしまう一幕もあった。
登場する媒体の都合もあり、容姿は最後まで明かされなかったが、後になってボードゲーム『Portal: The Uncooperative Cake Acquisition Game』のカードにて頭頂部が禿げ上がり、顎ひげをたくわえた姿の男であると判明した。
研究者
『Portal2』の前日談コミック『LAB RAT』に登場。ゲーム本編には登場しない。
『LAB RAT』の主人公。元はポータルガンの研究を行っていたが、現在はAperture Science Enrichment Center内を逃げ回っている。被験者名簿を改ざんし、GLaDOSにChellを被験者としてテストをするよう仕向け、施設のあちこちにGLaDOSの部屋へと至る道標や警告の文言を書き記していた。
- Henry
Rattmanと交友関係があったAperture Scienceの研究者の男。GLaDOSや人格コア等の人工知能の研究に携わっていた。頭頂部が禿げ上がっている。
自分の取り組んでいた人工知能研究を最先端の科学分野だと豪語していたが、Aperture Scienceの他の科学者の例に漏れず人命や安全を軽視する人物でもあり、GLaDOSの殺意に目覚める速度が徐々に速くなりつつある状況を進歩と解釈する、シュレーディンガーの猫の実験のために神経毒が必要だというGLaDOSの申し出を科学のためという事で承認する等の言動は、その一面が現れているといえる。
結果、これらの姿勢ゆえにGLaDOSによる神経毒の散布に巻き込まれ死亡した。
本来はシャワーカーテンの製造を行う会社だったが、創業者の『From Scratch(一から作れ)』という方針に基づき、会社で使う全ての物品を自社内で生産できる体制を確立した。このためテストに使用されるキューブやボタン、タレットなどの物品や構成部品、ステージに取り付けられている照明やカメラ、さらにはステージたるテストチャンバーそのものに至るまでゲームで登場する全ての物品がAperture Scienceの製品である。このためGLaDOSからは製品名の冒頭にAperture Scienceの社名を付けて言われる場面が多い。
ゲーム内では真空チューブを張り巡らした輸送システムがテストに必要な消耗品を供給し、この供給体制によって無駄の多い非合理性な面をカバーしている。
正式名称はGenetic Lifeform and Disk Operating System。施設全体を管理する人工知能。詳細は個別ページを参照。
GLaDOSに接続可能な白色の人工知能の球体。それぞれに個性がある。
2では施設の各所で管理を行うサブAIとしても運用されていることが明かされた。
敵キャラとして登場。重火器を展開する三脚のロボット。
テストの機材として登場。ハートマークが描かれた灰色の地に白色の立方体。
余談だがコンパニオンキューブを含め“荷重キューブ”はPortal2ではデザイン違いの新型に置き換えられている。
- パネル
テストチャンバーを構成する床壁天井などの板。
一部…というかほとんどにピストンやロボットアームが取り付けられており自在に可動する。階段を形成したり受け止める壁を作ったりと被験者のテストを(ギミックとして)柔軟にサポートする。
- ブーツ
被験者が履いているブーツ。これも特殊製。
なんといかなる高さから落ちようが落下の衝撃を完全に吸収するという超性能。
初代Portalの時点で累計数百メートルの高さから落下してもダメージを受けない上にPortal2では施設の上から下まで10km(推測)落下しても死にはしなかった。
- ポータルガン
正式名称はAperture Science携帯ポータル装置(Aperture Science Handheld Portal Device)。ゲームのキーアイテムとなる銃。2つの地点にポータルと呼ばれるギミックを生成する。内部には小型ブラックホールが組み込まれているという危険な代物だが、作中でしょちゅう落とされたり、爆発を食らったり、高熱に晒されても無傷な頑丈ぶりを見せる。1作目でのGLaDOSの台詞によると被験者の臓器や故郷の全人口の合計収入以上に高価らしい。
生成されるポータルの色は基本的に青色とオレンジだが、『Portal2』のCo-opモードでロボットたちが使うものは、黄色と赤色、青色と水色というようにロボットの目の色に合わせたものになっている。
実のところ『Half-life』世界観的にはオーパーツにも等しい製品。
競合企業Black Mesaの建造していた「テレポーター」は莫大なエネルギーと土地を占有する上に行き先は同じ次元にセットできない(異次元を経由して再転送することは可能だが)という融通の効かない装置であり、後継機で同次元転送が可能になれど設置型装置である点は変わらなかった。
しかしポータルガンは完全手持ち式であり、射程(=移動距離)は描写から実用上は無限に近い。
Aperture Scienceの企業体質はともかく、技術力の高さは疑う余地もないだろう。
- BOREALIS(ボレアリス)
Aperture Science所属のヒーリー級砕氷船。元々は沿岸警備隊を退役したものを改造した模様。
この船を使って何をしようとしていたのか不明瞭な点は多いが、どうやらテレポート関連の実験を企図していたらしい……のだがお得意の安全軽視のためか入渠していた乾ドックごと消失した。
存在が公開されていなかったこともあり外部では都市伝説程度のものだと考えられていたが『Half-Life2 Episode2』終盤にて北極圏のどこかに座礁したような状態で存在していることが判明。
しかしその謎が明かされるはずだった『Episode3』は未だ音沙汰すらなく、果たしてなんなのかは未だに謎に包まれている。
その謎めいた存在はHalf-Life、Portalファンを虜にし、『Portal The Flash Version Mappack(PortalのMod)』や『Entropy:Zero 2(half-life2のMod)』などさまざまなModで登場している。