TheLastofUsPart2
ざらすとおぶあすぱーとつー
ノーティードッグ製作のホラーアクション『The Last of Us』の続編。2020年6月19日発売。
前作から5年後を描いた物語で、エリーを新たな主人公に据え、「復讐」をテーマに掲げる。
ゲームシステムは前作を踏襲しながらも、匍匐前進や回避行動などの新アクション追加、グラフィック・敵AI強化など随所で改良が図られており、難易度やアクション性を向上させている。
当初正式なプレイヤーキャラクターはエリーのみという宣伝告知だったが、実際にはアビーというもう一人の主人公が存在し、第二の操作キャラクターとなっている。
19歳。本作の主人公。とある理由からアビーへの復讐を誓い、彼女を追ってシアトルへと旅立つ。
本作発売まで公表されなかったもう一人の主人公。シアトルの武装組織「WLF(ワシントン解放戦線)」の兵士。とある行為により、復讐対象としてエリーに命を狙われることとなる。
前作の主人公。エリーと共にジャクソンシティに定住していたが…。
- トミー
ジョエルの弟。エリーとジョエルが住まう居住地ジャクソンシティのリーダーであるマリアの夫。
- ディーナ
メキシコ出身の女性。エリーとは同年代の友人・恋人同士。エリーの復讐の旅に同行する。
- ジェシー
アジア系の男性。ディーナの元恋人。面倒見の良い性格で、エリーとも仲が良い。
- オーウェン
武装組織「WLF」の兵士。アビーの同僚。同じく同僚で医師のメルと付き合っているが、アビーとも何やらただならぬ関係性を見せる。
- ヤーラ&レブ
宗教団体「セラファイト」の規律を破り脱退した姉妹。とある理由からアビーと共闘体制を取る。
- WLF(ワシントン解放戦線)
今作の主な舞台となるシアトルを実質的に支配する強大な武装組織。通称「ウルフ」。シアトル隔離地域を支配していた軍を排除した抵抗勢力から発展し、豊富な兵力と高い武力、軍用犬までもを擁する。エリーが復讐対象としてその足跡を追うアビーが所属している。
- セラファイト
WLFとシアトルの覇権を巡って争っている宗教団体。カルト的な風習を有しており、兵士らは身体のどこかに傷を持つことから、WLFからは「スカー(scar:傷跡)」の蔑称で呼ばれる。
彼らが崇める「預言者」と呼ばれる女性は作中時点で既に死亡しており、レブによると預言者の教えを曲解して過激な思想に至る者が増えてしまっているとの事。
- ジャクソンシティ
発電が可能になった事で、人間らしい生活ができる程に発展した街。
感染者を近づけさせないだけでなく、難民を保護したりできる程余裕ができた。
- ラトラーズ
カリフォルニア州サンタバーバラを拠点にする極悪ギャング。
仲間以外の人間は手あたり次第、奴隷にするか殺すかしている他、あろう事か彼らが根城にしている敷地内で感染者を鎖に繋いで遊ぶ等、常軌を逸した行動が見て取れる。
前作から登場している寄生菌の感染した人間の成れの果て。自我と知性を失い、獲物を執拗に狙うクリーチャーと成り果てている。
- ランナー
初期段階の感染者。見た目は人間とほぼ変わらないが、人間を見るや全力疾走で襲い掛かって来る。
- ストーカー
第二段階の感染者。攻撃方法はランナーと一緒だが、待ち伏せや奇襲を重視した行動を取る。
前作ではランナーに毛が生えた程度の存在だったが、今作では待ち伏せ場所を積極的に移動する、待ち伏せ中は気配を察知しづらい、壁に広がったキノコと同化して擬態する、近接攻撃するプレイヤーを押し飛ばして距離を取る等、ストーカー独自の行動パターンが増え厄介な存在になっている。
また、ストーカーが主人公を視認しているだけでは発見状態にはならないが、奇襲してくると他の感染者にも気付かれてしまいステルスプレイが崩れるのもかなり厄介。
第三段階の感染者。視力はないが音を頼りに獲物の位置を正確に把握できる。
前作同様、ステルスキルや掴まれた時の離脱にはナイフが必要。
エリーは消耗しないナイフを常備している為問題ないが、アビーのナイフは工作が必要な消耗品の為、所持本数に気を配る必要がある。
- ブローター
第四段階の感染者。驚異的な耐久力と激しい攻撃を仕掛けて来るボスクラスの強敵。
クリッカー同様、視力は無く音を頼りに敵の位置を把握する。ステルスキル不可であり、また掴まれると即死。
前作では遠くの人間には胞子の塊を投げつつ重い足取りで徐々に近づき、近くなったら移動速度を上げて掴みにかかってくる、といった比較的対策のしやすい行動を取っていたが、今作では胞子の塊を投げるのは変わらないものの、遠くにいても走って突進、壁や障害物も壊してくる様になるなど、さらなる難敵に仕上がっている。
- シャンブラー
今作で新たに登場した感染者の新形態。詳細は不明だが、シアトル特有の多雨により発現したブローターのなり損ないではないか、という考察が作中の遺物で為されている(ただし、遺物内でも「さっぱりわからん」としている上、雨が少ないサンタバーバラでもその存在は確認できる為、信憑性は限りなく低い)。
目らしきものは確認できるがクリッカー同様に視力はなく、音を頼りに行動する。
周囲に強酸性の体液を撒き散らす。ステルスキル不可だが、掴まれても即死ではない。しかし、掴んだと同時に撒く酸の体液で体力を急速に奪ってくる。また絶命時にも体液を放出するため、倒したからといってすぐに近寄らない事。
- ラットキング
シアトルで最初に感染者が確認された病院に登場する感染者の集合体。
ブローター1体をベースに複数のクリッカーが様々な体勢で結合した禍々しい姿をしている。
ブローター以上の苛烈な攻撃を繰り出す上、獲物がどれだけ逃げても見失う事はない(主人公曰く「(獲物を)諦めるつもりゼロ」)。
ある程度ダメージを受けると左の脇腹あたりにいるストーカー(頭部の形状はクリッカーに近い)が強引に抜け出し、ブローター側とストーカー側に分離する。
分離したストーカーは通常のストーカーよりもタフであり、また右肩に付いた胞子の塊をブローターの様に投げる事ができる特殊な個体。
海外のデビューサイト「メタクリティック」のメタスコアでは100点中95点以上とかなり絶賛されているがユーザーレビューは発売当初で10点中3.5点とかなり評判が悪く、現在でも5.7点と賛否の分かれるゲームになっている。
ゲーム性、BGM、グラフィックは前作と引き続き好評だが、シナリオに関しては誰も救われない陰鬱で非常に重い、多大な不快感を催す内容となっており、序盤のイベントで大多数のプレイヤーが心を抉られることに。物語中盤で公式から何の事前情報もないままエリーから復讐の仇にプレイングキャラクターを交代させられ、ゲームを投げ出すプレイヤーが続出する結果となってしまった。
レビューサイトなどを見ると、本作が大いに荒れた原因はおおよそに分けて3つあり、
1,アビーの存在
前述にも述べたように公式から何の事前情報もないまま彼女をプレイアブルキャラクターとして登場させた。
これが単なる新キャラで、エリーとのバトンタッチが演出上緻密かつスムーズであれば反応は荒れなかったであろうが、よりによってアビーはエリーとは致命的な敵対関係にあり、しかもエリーの視点でゲームを進めてきたプレイヤーからはの彼女の詳細なバックグラウンドについてまるで情報がないまま操作を手渡されることになる(ただし、キャラクター交代に至るまで不自然なまでに描写が少ないことから、意図しての演出と思われる。つまりシナリオ製作上のミスではない)。
キャラクターの詳細に関してはこちらの記事→アビー
2,前作キャラ達の扱い
ジョエルやエリー、トミーと言った前作の人気キャラクターたちが今作でも続投しているが、前作と比べ相当に性格が変わっていたり等、前作ファンからかなり顰蹙を買っている(特にエリーとトミーに差違が大きい)。
しかしこれも人格が変化した原因が容易に推測がついたり、前作の時点では語られるだけで表面化していなかった部分があったり(トミーの血の気の多さなどはその最たるものである)と、人格は一貫しないし、多面的なものというごく当たり前な現象を描こうとした結果である。
その上で「原因に対して自然な変化」と見るか「さすがに不自然な変化である」と見るかは、受けとる側の人間観に非常に左右される。
3,ポリコレ要素
本作では所謂ポリコレ、特にジェンダーやLGBTQ問題に対して大幅な配慮がされており、国内外を問わずこの配慮を過剰として問題視、非難する層が少なくない(例えばエリーとジェシーの交流、アビー、レブの存在等)。
フォローしておくと、前作でもビルがゲイであることやエリーがレズビアンであることを仄めかす程度の要素はあった。さらに、描写がジョエルとエリーの二人に大きくフォーカスされており、今作に比べて非常にクローズドな人間関係を構築していたことも前提におくべきである。
しかし本作ではそれら描写がしっかりとしており、かつストーリーライン直接的に関与してくるため特に目立ち、結果多くの非難が飛び交うことになった。
またシナリオを制作した男性がある時期から女性支援に熱心にのめりこみ、
人が変わったようにLGBTQ支援の発言をするようになった。
そして前作の男性主人公があっさり殺され、女性が活躍する本作が発表。
ある意味、はっきりとポリコレに配慮した象徴的な作品と言える。
GOTYでは圧倒的な強さで7冠を達成。
ユーザー内では大不評の作品が受賞したことによりGOTYはユーザーの意見を一切排除したとなり、炎上に拍車をかけた。
本作はGOTY受賞に値する作品であるとポジティブな意見を持つユーザーたちでも、
ほとんどの賞を独占するほどの他作品のクオリティの違いは無かったとする意見が多い。
しかし独占しない場合は投票しなかった評論家、そして代わりに受賞作品が非難されるのは目に見えていたため、
はっきり言えば受賞させなくてはいけなかった作品と言える。