概要
データウエストから発売されたFM-TOWNS用アドベンチャーゲーム。正式名称は「サイキック・ディテクティヴ・シリーズ VOL.4 Orgel」で、シリーズ4作目にあたる。
人間の心に潜る能力を持つ探偵(サイコアナリスト)・降矢木和哉(ふるやぎかずや)が、影藤智名子(かげふじちなこ)の依頼で郊外の洋館・奇談亭に向かうというもの。
いわゆる館を舞台にした推理ゲーム。グロテスクなゲーム写真で、当時はなにかと話題に上がった。残酷な殺害描写の印象が強いが、このゲームのテーマは『親子の愛』である。
ちなみに前半は屋敷のあちこちを調べて情報収集を行うが、智名子のことについてはともかく、招待客たちの素性や抱える問題については、はっきり言ってストーリーとはあまり関係がなかったりする。
ゲームクリア後、DAPSリプレイというモードが追加されて、ゲームのストーリーを映画のように再生して見れるが、そのナレーション等で初めてわかる事実や設定があったりするので、クリアした後は一度はDAPSリプレイを見てみることをおすすめする。
アニメーション部分は京都アニメーションが制作していて(オリジナル版のスタッフクレジットでは「有限会社京都アニメーション」と表示)、アニメーションや作画の美麗さは必見である。
ちなみに、今作は降哉木の若い頃の事件になるので、恋人の森崎梨絵香が登場しない唯一の作品。アンチ梨絵香ファン感涙の一作としても評価されている皮肉な面もある。…梨絵香は「MEMORIES」以降、路線変更したのかわがままな言動が目立っているので、仕方ないことなのだが。
ストーリー
降矢木和哉は、有名建築家の妻である影藤智奈子から依頼を受ける。智名子の依頼内容は、屋敷・奇談亭にやって来るゲストの招待客5人の中に、当家に代々伝わる自動人形を盗もうとしている者がいるのでそれを阻止してほしいというものだった。
かくして降矢木は、奇談亭に赴き、情報収集を行ないながら、自動人形を盗もうとしている犯人を探し出すことになる。ところが屋敷の主人であり依頼人である智奈子は姿を見せず、やがて召使いの老婆も姿を消してしまう。
そんな中、予期せぬ来客が訪れる。智名子の友人である羽柴奈緒美とその妹の弘美、降矢木の同業者で同じサイコアナリストの樋渡京介だった。
そして日が暮れて夜になると、突然の地震と共に第一の殺人が起きてしまい…。
登場人物
- 降矢木和哉(声:寺窪浩司)
主人公。特A級(スペシャルエー)のサイコアナリスト。
- 影藤智名子(声:山本恵子)
今作のヒロインで依頼人。有名建築家・影藤秀郷の妻。淑やかに見えるが、エキセントリックな性格の美女。招待客たちを悪魔と呼び、降矢木に人形を盗もうとしている者を探し出して人形を守ってほしいと依頼する。実はある理由で精神を病んでおかしくなっていた。
- 召使いの老婆(声:山本恵子)
智名子に影のようにつき従う老女。智名子からは「ばあや」と呼ばれている。智名子の乳母であり、智名子を育てた後も影藤秀郷に嫁に行くときも智名子に付き従い、智名子の心の中でも智名子の一部(補助自我)として存在していた。
- 樋渡京介(声:宅磨仁)
サイコアナリストの青年。降矢木の同業者。皮肉屋な性格だが、アナリストとしては優秀。後の作品「SOLITUDE」でも登場する。
- 桜沢加奈子(声:隅田順子)
奇談亭に招かれた招待客の一人。セクシーな美女。降矢木にはイラストレーターをしていると自己紹介するが、実は嘘であり、秀郷の愛人だった。第六の犠牲者で、殺害されて全身の皮膚がはがされた死体がクローゼットにしまわれていた。
- 加茂川宗尋(声:カッパ)
奇談亭に招かれた招待客の一人。芸人をしている青年。とても軽い性格。最初の犠牲者で、死体は目をくりぬかれていた。
- 坂藤幸信(声:伊藤博高)
奇談亭に招かれた招待客の一人。医者をしているが、医療ミスで患者から多額の賠償金を請求されている。第三の犠牲者で、耳を欠損した状態の首が冷蔵庫に入れられていた。
- 菊岡みどり(声:坂上真千子)
奇談亭に招かれた招待客の一人。女子大生。横柄でわがままな性格。イケメンの樋渡に興味津々など、かなりミーハー。みどりは自分の父は奇談亭で執事をしていたと自慢げに話すが、坂藤曰くみどりの父は庭師をしていたとのことで、正確にはどちらなのかははっきりと明かされていない。第四の犠牲者で、殺害されて鼻を切断された状態の死体が洗濯機に頭から突っ込まれていた。
- 山田影一(声:鶴井泰人)
奇談亭に招かれた招待客の一人。電気技術者。受け継いだ工場の運営がうまくいかず、資金繰りに苦慮している。第二の犠牲者。地震で停電した奇談亭の電気を、発電機を動かして復旧させるが、その直後に殺害され、唇を欠損した状態の死体が発電機のローターに巻き込まれていた。
- 羽柴弘美(声:柴尾早百合)
奇談亭に招かれた招待客の一人。穏やかな雰囲気の女性。姉の存在を常に意識している。パニック状態になったみどりを気遣うなど、心優しい性格。第五の犠牲者と思われたが、実は自殺だった。正体は智名子の乳母である召使いの老婆(物語の舞台が智名子の心象世界(心の中の世界)であるため、姿を変えることができたと思われる)。智名子に復讐をやめるように手紙を残していた。容姿性格ともに大変好感が持てる女性のため、ファンサイトの人気投票ではダントツで1位になるなど人気が高かった。
- 羽柴奈緒美(声:山本恵子)
奇談亭に招かれた招待客の一人。弘美の姉。弘美曰く口がきけないとのことで、まったくしゃべらない。ピアノが得意なようで、ピアノで曲を奏でることで、殺された招待客への哀悼の意を表していた。常にサングラスをしていて素顔は不明。正体は智名子。復讐のために、心の中で何度も招待客たちを殺していた。
- 影藤秀郷(声:伊藤えん魔)
智名子の夫。マテリアルの鬼才と呼ばれる有名な建築家。智名子が帰った後、降矢木の事務所を訪れて、真実を話して智名子を救うように依頼した。加奈子という愛人がいるものの、妻や娘を愛し、精神を病んだ智名子を心配する優しい男性。
- 影藤京子(声:坂田ユミ)
秀郷と智名子の娘。智名子が守ってほしいという人形とは京子のことである。7歳の誕生日の日に起こった不幸な事故のために死亡して、作中ではすでに故人。