概要
スラヴ神話に登場する。とされている善神で日本ではベロボグとも表記される。
「白い神」という意味の名を持つ太陽神で、昼と幸運、生を司り、「黒の神」と呼ばれるチェルノボーグと対立する存在であるという。
12世紀のサクソン人キリスト教司祭、ボーザウのヘルモールトは当時の西スラヴの民の文化について自著『クロニカ・スラヴォルム(スラヴ人年代記)』に記録した。
そこでスラヴ人の独特な慣習として、円陣を組み、その中でゴブレットを渡していく、という作法があげられている。全ての良い事を善の神に対して褒め称え、全ての悪い事を悪の神に対して呪うためであるという。
この箇所において、悪の神についてZherneboh(チェルノボグ)の名があげられる。が、善の神のほうの名については記されていない。ベロボーグとはチェルノボグの語義(「黒い神」)から対なる神の名称として想定されたものである。
ベロボーグの言及は16世紀の歴史家トマス・カンツォウ(Thomas Kantzow)がドイツ語で記した文献『ポメラニア年代記』に現われる。「白い神」であるBialbugと「黒い神」Zernebugについて書いてあり、他の神々よりも信仰されているという。
専門家の間では、この両神を信仰する集団が実在していたかどうかに統一意見はない。北欧神話のヘルモーズ神からの発明だという意見、チェルノボーグとベロボーグが他の神の異称だという意見もある。
チェコのBělbožice、ウクライナのBilobozhnytsia、ポーランドのBialobozeといった地名はこの神名が実際に存在していた傍証とされた。ドイツ東部のラウジッツにはBilebohやCzornebohという地名があり、こちらはチェルノボグに対応するものとみなされた。