京成高砂(東京都葛飾区)〜印旛日本医大(千葉県印西市)間32.8kmを結ぶ路線を運営する会社。ただし、小室(千葉県船橋市)〜印旛日本医大間12.5kmは千葉ニュータウン鉄道(京成グループの一員。旧公団線区間の路線および車両を都市基盤整備公団から引き継いだ)が第三種鉄道事業者として路線を保有し、北総鉄道が第二種鉄道事業者として運行している。京成グループの一員だが、千葉県や沿線自治体および独立行政法人都市再生機構も出資しているため第三セクター鉄道でもある。1972年創立、1979年千葉ニュータウンに開業。元々は不動産事業も行っていたが、不動産事業撤退のため2004年7月1日に現在の社名に変更した。
運賃がかなり割高で、初乗りが195円(旧公団線区間は299円)なため、全区間乗ると802円にもなった(参考・京王電鉄の場合、京成高砂〜印旛日本医大と同距離で340円。親会社の京成電鉄の場合483円)。これは建設費の高額化と千葉ニュータウンの発展の遅れが原因。つくばエクスプレスなどではこれを教訓として、運賃が高い代わりに駅設備などを充実させるなどの対策を行い、結果利用者獲得に成功した。
そのため、「財布失くしても定期は失くすな」が沿線住民の合言葉らしい。最近になって千葉県および沿線自治体が増資する事により運賃が値下げされることになり、京成成田空港線(成田スカイアクセス)開業時に初乗りが200円から190円に、最高運賃が820円から780円に下がったが、当初出資するはずだった白井市が議会の反対により出資を拒否したが、市長の専決処分で出資が決まった(この問題に際し、千葉県は白井市の出資分は肩代わりしないと言明していた)。なお、京成成田空港線の運賃は北総鉄道とは別立てである。この値下げによって一応は初乗り運賃高額路線のトップ争いから一歩引いたが、未だに「北総が日本一高い鉄道路線」と思っている人が意外と多い。なお、千葉県及び沿線自治体による運賃補助は2015年に打ち切り予定であり、その後の大幅な運賃値上げは確実である。
2010年7月17日に京成成田空港線(成田スカイアクセス)が開業。これにより、北総線全区間が京成の第二種事業区間となり、成田高速鉄道アクセスが建設した印旛日本医大〜土屋(JR成田線空港支線合流地点)間に成田湯川駅(京成管理駅)が新設された。なお、土屋〜空港第2ビル間は成田空港高速鉄道によって整備された。また、成田高速鉄道アクセスの手によって北総線既存区間の高速化改良工事も行われた(退避駅の新設……東松戸・新鎌ヶ谷・小室・印西牧の原、信号の改良など)(成田高速鉄道アクセス・成田空港高速鉄道共に第三種鉄道事業者で、京成が第二種鉄道事業者として運行)。これにより空港アクセス鉄道としての機能をさらに強化された(すでに羽田空港とは直通済み)と同時に、路線保有会社と運行会社の関係が複雑になる現象がおきた(特に千葉ニュータウン鉄道保有区間は京成と北総が第二種鉄道事業者として同時に運行することになった)。
スカイライナーは北総線(成田スカイアクセス)経由となり、京成高砂〜印旛日本医大間は130km/hで、印旛日本医大〜空港第2ビル間は国内在来線最高の160km/hで運行された。(余談であるがアクセス特急は120㎞/h)なお、これにより日暮里〜空港第2ビル間が36分で結ばれるようになった。スカイライナー以外の直通特急(アクセス特急)は北総線内では東松戸・新鎌ヶ谷・千葉ニュータウン中央・印旛日本医大に停車する(以上の停車駅は京成との共用駅となり、駅ナンバリングは京成ではなく北総のもの)。アクセス特急は、羽田空港・西馬込・三崎口と主に都営浅草線経由で運行される(上野発着ももちろんある)。ちなみに、7500形登場と同時に出来た「HO<’SO」ロゴは、製造元の日本車輌がデザインしたそうである(『とれいん』№385「世界へはばたく標準軌!京成電鉄」より)。最近は、テレビCMや番組に出る事が多く(特に矢切駅と印西牧の原駅)、京王電鉄に迫る勢いでメディア露出が多くなっている。
概要
歴史
- 1972年5月10日 北総開発鉄道創立
- 1979年3月9日 北総線第I期線北初富〜小室間開業。新京成電鉄線松戸まで乗り入れ開始
- 1984年3月19日 住宅・都市整備公団線小室〜千葉ニュータウン中央間開業。運営を受託。
- 1988年4月1日 公団線の第2種鉄道事業者となり、路線名を「北総・公団線」と改称。
- 1991年3月31日 北総線第II期線新鎌ヶ谷〜京成高砂間開業。京成線・都営浅草線・京急線に直通開始
- 1992年7月8日 新京成電鉄線との直通中止(新京成線に新鎌ヶ谷駅開業のため)に伴い北初富〜新鎌ヶ谷間廃止
- 1995年4月1日 千葉ニュータウン中央〜印西牧の原間(第二種鉄道事業)開業
- 2000年7月22日 印西牧の原〜印旛日本医大間(第二種鉄道事業)開業
- 2004年7月1日 社名を北総鉄道に改名。路線名を「北総・公団線」から「北総線」に変更
- 2007年3月25日 開業時から走り続けた7000形(ゲンコツ電車)が引退
- 2010年7月17日 京成成田空港線(成田スカイアクセス線・第二種鉄道事業)開業。スカイライナーは北総線経由となり、一般特急(アクセス特急)も運行開始。開業以来初の運賃値下げ実行。駅ナンバリングもこのタイミングで実施。
駅一覧
京成押上線・都営浅草線・京急線経由羽田空港国内線ターミナル駅まで直通(一部は都営浅草線西馬込などに直通)。
☆アクセス特急(羽田空港・西馬込・京成上野・三崎口〜成田空港。京急線内はエアポート快特または特急、都営浅草線内はエアポート快特または各駅停車、種別表示は「『アクセス特急』または『士アクセス特急【都営浅草線・京急線内でエアポート快特になる列車に限る】』)
★特急(印旛日本医大→京成高砂→押上→西馬込。京成押上線内も特急、都営浅草線内は各駅停車。朝ラッシュ時のみ運転)
◎急行(西馬込→押上→京成高砂→印旛日本医大。都営浅草線内各駅停車、京成押上線内は快速。夕ラッシュ以降のみ運転)
●普通(印旛日本医大まで運転。京急線内は快特またはエアポート急行、都営浅草線内は各駅停車。西馬込始発もある)
駅名(よみがな) | 駅番号 | アクセス特急 | 特急 | 急行 | 普通 | 乗り換え路線および特記事項 |
---|---|---|---|---|---|---|
京成高砂(たかさご) | KS10 | ☆ | ★ | ◎ | ● | 京成本線・京成金町線乗り換え |
新柴又(しんしばまた) | HS01 | | | | | ◎ | ● | 北総鉄道管理駅で唯一の東京都内の駅 |
矢切(やぎり) | HS02 | | | | | ◎ | ● | トンネル内の駅ながら2面4線の追い抜き可能な構造が特徴 |
北国分(きたこくぶん) | HS03 | | | | | | | ● | 半地下構造である |
秋山(あきやま) | HS04 | | | | | | | ● | 半地下構造である。この人とはまったく関係ない |
東松戸(ひがしまつど) | HS05 | ☆ | ★ | ◎ | ● | JR武蔵野線乗り換え・京成と共同使用 |
松飛台(まつひだい) | HS06 | | | | | | | ● | 都立八柱霊園・佐渡ヶ嶽部屋最寄 |
大町(おおまち) | HS07 | | | | | | | ● | 市川市動植物園最寄 |
新鎌ヶ谷(しんかまがや) | HS08 | ☆ | ★ | ◎ | ● | 新京成電鉄線・東武野田線乗り換え。京成と共同使用 |
西白井(にししろい) | HS09 | | | ★ | ◎ | ● | 旧車両基地所在 |
白井(しろい) | HS10 | | | ★ | ◎ | ● | この人とはまったく関係ない。梨の産地でもある |
小室(こむろ) | HS11 | | | ★ | ◎ | ● | ここまで北総鉄道第一種鉄道事業区間。やっぱりこの人とはまったく関係ない |
千葉ニュータウン中央(ちばにゅーたうんちゅうおう) | HS12 | ☆ | ★ | ◎ | ● | 千葉ニュータウン鉄道保有・北総鉄道管轄。京成と共同使用 |
印西牧の原(いんざいまきのはら) | HS13 | | | ★ | ◎ | ● | 千葉ニュータウン鉄道保有・北総鉄道管轄。印旛車両基地最寄 |
印旛日本医大(いんばにほんいだい) | HS14 | ☆ | ★ | ◎ | ● | 千葉ニュータウン鉄道保有・北総鉄道管轄。京成と共同使用 |
成田湯川(なりたゆかわ) | KS43 | ☆ | | | | | | | 成田高速鉄道アクセス保有・京成電鉄管轄。ここから単線区間 |
新根古屋信号場(しんねこや) | | | | | | | | | | | 成田空港高速鉄道保有・京成電鉄管轄 |
空港第2ビル(くうこうだいにびる) | KS41 | ☆ | | | | | | | 京成本線・JR成田線乗り換え。成田空港高速鉄道保有・JRと京成で共同使用 |
成田空港(なりたくうこう) | KS42 | ☆ | | | | | | | 京成本線・JR成田線乗り換え。成田空港高速鉄道保有・JRと京成で共同使用 |
自社車両
※現役車両は印旛日本医大まで運行。
- 7000形(ゲンコツ電車) - 1979〜2007
- 7050形(京成3150形リース車) - 1995〜2001
- 7150形(元京急1000形) - 1991〜1998
- 7250形(京成3200形リース車) - 2003〜2006)
- 7260形(京成3300形リース車) - 2006〜現役
- 800形(新京成800形リース車) - 1991〜1992
- 7300形(京成3700形同形車) - 1991〜現役
- 7500形(京成3000形同形車) - 2006〜現役
- 7800形(京成3700形リース車) - 2003〜現役
- 9000形(千葉ニュータウン鉄道保有) - 1984〜現役
- 9100形(C‐Flyer 千葉ニュータウン鉄道保有) - 1994〜現役
- 9200形(京成3000形同形車 千葉ニュータウン鉄道保有) - 2013〜現役
一時的に京成3400形がリースされた事があった - 2002年6〜8月
乗り入れ車両
- 京成AE形 - スカイライナーとして成田空港まで運行)
- 京成3050形(2代) - アクセス特急として成田空港まで運行。北総線内普通列車として運転される事もある
- 京成3000形(2代)- 8両編成である3001編成・3026編成・3027編成・3028編成のみ。アクセス特急としても運行可能
- 京成3700形 - 6連である3828編成と3838編成を除く。アクセス特急としても運行可能
- 京成3400形 - 印旛日本医大まで
- 京成3500形 - 更新車のみ印旛日本医大まで。未更新車はイベント列車として印西牧の原まで入線実績あり
- 京急1000形(2代)ステンレス車 - 2010年落成の第10次車(1121編成)以降の編成はアクセス特急として成田空港まで運行。それ以外は印旛日本医大まで
- 京急1000形(2代)アルミ車 - 印旛日本医大まで。まれにアクセス特急の代走を行う事あり
- 京急600形 - アクセス特急として成田空港まで運行。印旛日本医大折り返し運用に就く場合もあり
- 京急1500形 - 印旛日本医大まで
- 東京都交通局5300形 - 印旛日本医大まで
過去の乗り入れ車両
- 新京成200形
- 新京成800形
- 新京成8000形
- 新京成8800形
- ※以上各車は松戸〜北初富経由小室(後に千葉ニュータウン中央)まで乗り入れていた。200形は吊り掛け電車であった。
- 京成3050形(初代)
- 京成3100形
- 京成3150形
- 京成3200形
- 京成3300形
- 京急1000形(初代)
- 東京都交通局5000形
- 東京都交通局5200形
- ※都営の2車種は、最高速度が遅い(高速域での速度の伸びが悪い)ため5300形導入以降も千葉ニュータウン中央止まりの運用がメインであった。なお5200形は印西牧の原への乗り入れ実績あり。
その他
1912年に浦安〜木下(きおろし、現在の千葉県印西市)間に免許申請をした鉄道も「北総鉄道」と名乗っていたが、1916年に免許失効した。また、東武野田線に相当する区間が東武鉄道に合併される前に一時期「北総鉄道」と名乗ったことがあった(1923年〜1929年)。したがって現在の北総鉄道は名称としては3代目、実際に営業運転した鉄道会社としては2代目に当たる。北総線の駅および車両にある路線図には、京成の路線図には無い東京メトロ半蔵門線の全駅路線図が書き込まれている。
駅をイベント会場として貸し出すシステムがある。毎年春に千葉ニュータウン中央駅周辺で沿線自治体および企業と共同で『ほくそう春祭り』というイベントを行うが、その際に京成上野始発千葉ニュータウン中央行きの臨時特急電車(2012年のみ八千代台始発)が運行された(2009年は千葉ニュータウン鉄道9100形、2010年は千葉ニュータウン鉄道9000形、2012年は千葉ニュータウン鉄道9100形で運行)。
過去に千葉ニュータウン鉄道保有車も含む自社車両のNゲージ鉄道模型(金属キット、7000形・9100形・9000形)を発売した事がある。