マンダロリアンとは、映画「STARWARS」シリーズに登場する戦闘民族である。
概要
惑星マンダロアに移住したタウングという種族に起源を持つが、人間を中心に様々な種族の人物によって構成されておりマンダロア以外の惑星の住人にも広く門戸が開かれている。
ボバ・フェットやジャンゴ・フェットの出で立ちに代表されるT字型のバイザーが付いたヘルメットが印象的な装甲服が大きな特徴であり、様々な武器を巧みに駆使した高度な戦闘能力を持つ。
その戦闘能力はフォースを操る力を持たないにもかかわらずジェダイ・マスターと互角に渡り合う者さえいるほどである。
映画ではその文化については全く語られておらず、言及されたスピンオフ作品も未邦訳の物が多いため日本のスター・ウォーズファンにはなじみが薄い。
しかし、邦訳されている作品で言えばゲーム作品『ジャンゴ・フェット』や3Dアニメ『クローン・ウォーズ』といった作品で語られた事などから海外を中心に一部ファンの間で熱烈な人気を誇っている。
なお、現在、スター・ウォーズのスピンオフ作品にはフォースの覚醒以降の映画に繋がる正史(カノン)を描いた作品とそちらに繋がらない非正史(レジェンズ)を描いた作品が存在するが、この記事では両方の設定について解説する。
派閥
旧共和国末期及びそれに続く銀河帝国の時代にはマンダロリアンは次のようないくつかの派閥に分かれている。
新マンダロリアン
数々の凄惨な戦いで多くの血を流した反省から戦士としての文化を捨て去り、平和主義を唱えた一派。
装甲服を着けている者も警察などごく一部に限られる。
「クローンウォーズ」で描かれたクローン大戦の時代まではマンダロリアンの主流派となっており、サティーン・クライズ公爵とマンダロアのアルメック首相が指導者となっていた。
クローン大戦では中立の立場を取る惑星の代表となっていたため、デス・ウォッチと共謀した独立星系連合の攻撃を受けたり、共和国の惑星から経済制裁を受けたこともあった。
そして新マンダロリアンを代表する元老院議員であったタル・メリクが実はデス・ウォッチのスパイであったことが判明し、サティーン・クライズ抹殺を図るが、アナキン・スカイウォーカーによりメリクが殺害されたことで失敗。さらにはアルメック首相が汚職の発覚によって逮捕され、ダース・モールと手を組んだデス・ウォッチによるクーデターの際にサティーン・クライズが処刑される。
そして釈放されたアルメックがデス・ウォッチの傀儡として首相に復帰させられ、アルメックは新マンダロリアンの戦士文化への回帰を宣言。新マンダロリアンは実質的に崩壊する事となる。
その後、共和国やその後身である銀河帝国による占領(正史)や、クローン大戦末期において共和国を裏切ったエリートクローントルーパーのスパーにより復興した真マンダロリアンの台頭(非正史)により正史・非正史のいずれの歴史においても新マンダロリアンは完全に退けられ、マンダロリアンの歴史から姿を消している。
主な人物
- サティーン・クライズ公爵
- アルメック首相(後にデス・ウォッチの傀儡となる)
- タル・メリク元老院議員(後にデス・ウォッチのスパイであったことが判明する)
真マンダロリアン
新マンダロリアンのように戦士文化を捨て去るのではなく、ジャスター・メリールが制定した新たな規律に基づき、戦士文化の改革を行う事を唱えた一派。
新たな規律を拒むデス・ウォッチとの武力衝突の際にメンバーの一人モントロスの裏切りでジャスター・メリールが殺害され、その後はジャスターにより育てられた若き日のジャンゴ・フェットが新たなリーダーとなりモントロスを追放。
デス・ウォッチのリーダートア・ヴィズラをも退けるがデス・ウォッチの残党と共謀した惑星ガリドランの総督の陰謀によりガリドランでジェダイ・マスター・ドゥークー率いる機動部隊の攻撃を受けてほぼ全滅する。
ジャンゴ・フェットとモントロスは共に賞金稼ぎに転向し、その後ドゥークーがシスの暗黒卿ダース・シディアスの弟子ダース・ティラナスとなって新たなクローンによる軍隊の遺伝子提供者を捜すよう命じられた際に真マンダロリアンの生き残りに目を付ける。
ドゥークーは遺伝子提供者のテストとしてジャンゴ・フェットとモントロスに彼のジェダイ時代の元弟子コマリ・ヴォサ(彼女もガリドランで真マンダロリアンを攻撃した部隊に参加していた。)が支配する邪悪なカルト教団バンド・ゴラの壊滅を依頼。この依頼を達成したジャンゴはクローントルーパーの遺伝子提供者となり、クローントルーパーとこの時ジャンゴの希望により作られた遺伝子操作されていないクローンの「息子」ボバ・フェットにより真マンダロリアンの文化は受け継がれる。
そして帝国時代を描いた非正史(レジェンズ)のコミックで真マンダロリアンの指導者が語る所によると、クローン大戦の末期に共和国を裏切ったエリートクローントルーパーのスパー(元々はボバ・フェットとされていたが、エピソード2でクローン大戦時代にボバがまだ子供であった事が判明したため、コミックの作者により「ボバと同じくジャンゴ・フェットのクローンであるスパーがジャンゴの息子を自称していたため、スパーが正体不明の賞金稼ぎであるボバの正体であると認識されていた」という設定が作られた)が惑星マンダロアで新マンダロリアンを退けて真マンダロリアンの戦士文化を復興。マンダロリアン・プロテクターと呼ばれる戦士集団を結成しマンダロリアンの主流派となったとされている。
また、ジャンゴの死後はマンダロリアンが教官として起用されなかったことからクローントルーパーにおける真マンダロリアンの文化の影響は失われていき、ストームトルーパーへの移行後は優秀な帝国軍兵士を原体としたクローンや徴兵された一般人も多く採用されたことで真マンダロリアンとは完全に別の物へと変化していった。
一方、正史では旧三部作の数年前を描いたアニメ「反乱者たち」において反乱グループの一人として活躍するマンダロア出身の少女、サビーン・レンはマンダロアが帝国の占領下に置かれトルーパー養成アカデミーも設立されていると語っており、この頃に真マンダロリアンがどの程度マンダロアにおける影響力を持っていたかは定かではない。そもそも正史ではこの派閥自体が元から存在しない可能性も高い。
主な人物
デス・ウォッチ
新マンダロリアンの平和主義も真マンダロリアンの戦士としての新たな規律も拒み、従来の暴力的な伝統を継承することを唱えた一派。
トア・ヴィズラをリーダーとして真マンダロリアンと武力衝突し、真マンダロリアンのリーダージャスター・メリールを殺害するがリーダーを引き継いだジャンゴ・フェットによりトア・ヴィズラも殺害されてデス・ウォッチは衰退の一途を辿る。
しかしその後もデス・ウォッチは密かに生き残っており、アニメ「クローンウォーズ」ではマンダロアの衛星コンコーディアの総督プレ・ヴィズラをリーダーとしてクローン大戦の勃発後独立星系連合と共謀し、サティーン・クライズ公爵の暗殺と政権の奪回を画策する。
だが、計画が失敗したことでドゥークーに見限られて支援を打ち切られ、独立星系連合とは袂を分かつ事になる。
その後ダース・モールが弟サヴァージ・オプレスの助けを借りて帰還した際にデス・ウォッチはモールと手を組んでサティーン・クライズの政権に対してクーデターを起こし、一時はマンダロリアンにおける主導権を奪回。しかし、プレ・ヴィズラがダース・モールと決別して一時はモールを逮捕したものの脱獄される。そして一対一の決闘の末にヴィズラはモールに殺害される。残されたデス・ウォッチのメンバーはヴィズラの副官であったボ=カターン・クライズを支持するグループとダース・モールを支持するグループに分裂。その直後にダース・モールの元マスターであるダース・シディアスがモールらを攻撃しサヴァージ・オプレスを殺害、モールも捕縛した。
その後マンダロアは共和国の占領下に置かれたと思われるが、アルメック含めデス・ウォッチの一派は逃れたらしく投獄されていたモールを救出したことがクローンウォーズの未制作に終わった脚本を元にしたコミックにより語られる。
しかし、正史・非正史のいずれにおいても帝国時代のマンダロリアンが登場する作品では惑星マンダロアが他の勢力による統治を受けている事が語られており、この頃にはデス・ウォッチによるマンダロアの支配は既に終焉を迎えていたと思われる。
主な人物
プロテクター
惑星マンダロアでは無く、かつてマンダロリアンの戦争により荒廃した惑星コンコード・ドーンを統治する一派。
デス・ウォッチと対立しており、正史のアニメ「反乱者たち」で語られた所によるとクローン大戦時代には共和国側に付いてクローントルーパーの訓練などを行っていたという。
そして帝国時代には帝国軍による反乱勢力の取り締まりに加担し、反乱グループのコンコード・ドーンでの通行許可を求めてこの星系を訪れたヘラ・シンドゥーラのスターファイター部隊を攻撃。ヘラに重傷を負わせた。
しかし、その後ヘラの仲間でクローン大戦時代に戦場でプロテクターに命を救われたことのある元ジェダイのケイナン・ジャラスと、同じくヘラの仲間でデス・ウォッチの家系に生まれた母を持つマンダロリアンの少女ザビーン・レンによってリーダーのフェン・ラウが拘束され、プロテクターは反乱グループへの加担を余儀なくされる事になる。
非正史の作品ではジャーニーマン・プロテクターという名称になっており、ボバ・フェットが一時期この派閥に加わっていたとされている。