概要
江戸時代前期に日本からシャム王国(現在のタイ王国)に移住し、日本人町を中心に東南アジアで活躍した武士。通称は仁左衛門(にざえもん)。
日本での知名度はかなり低いと扱われる人物だが、江戸時代を扱った一部書籍(例:学研の『徳川家光』には天草四郎と共に同時期の英雄として描かれる)には登場する。
出生は駿河国(現:静岡県中部・北東部)の駿府馬場町とされるが、伊勢や尾張とする説もある。
沼津藩の藩主「大久保忠佐」に仕え、駕籠かき(駕籠を担ぐ人)をしていたが、1612年に朱印船に乗って長崎から台湾を経てシャム(現:タイ)に渡り、「津田又左右衛門」筆頭の日本人傭兵隊に加わって頭角を現し、後にアユタヤ郊外の日本人町の頭領となった。
スペイン帝国の艦隊によるアユタヤへの侵攻を、二度に渡っていずれも斥けた功績により、スコータイ王家のアユタヤ王朝24代国王であるソンタム王(ボーロマトライローカナートソンタム王、ボーロマラーチャー1世)の信任を得てシャム王国王女と結婚し、オークヤー(後にプラヤーと呼ばれた)・セーナーピムック(タイ語:ออกญาเสนาภิมุข)という王国の第三官位・欽賜名を授けられ、チャオプラヤー川から入る船から税を取る権利を得た。
登場作品
タイ映画
彼は現地タイでは伝説的な人物として称えられており、2010年には彼を主人公に添え、その活躍を描いたタイ映画「ヤマダ アユタヤの侍」が公開され、人気を博した。
原題「Yamada The Samurai of Ayothaya」
予告編
監督はノッポーン・ワルティン氏、長政を演じているのはタイを拠点に活動している日本人俳優の大関正義。
更に共演にはK1ファイターのブアカーオ・ポー.プラムック選手が出演している。
大関氏は日本での出演作品は殆ど無く、タイでの活躍は全く報道されていないため、日本での知名度はかなり低いが、現地タイでは「セキ・オーセキ」とも呼ばれ、知らない人はいないほど有名である。
本作は『タイ・アカデミー賞2011』において『視覚効果賞』『メイキャップ賞』『作曲賞』の3部門にノミネートされた。
更にそれ以前にも、日本・タイの合作映画である時代劇アクション『山田長政 王者の剣』が1959年5月1日公開している。こちらは日本の主催で、主演は長谷川一夫、監督は加戸敏が務めた。
ゲーム
コーエーテクモの歴史シミュレーションゲーム『蒼き狼と白き牝鹿Ⅳ』に、長政が仕官したアユタヤ朝が選択可能な勢力として登場(当時の日本は室町時代扱い)。また、シリコンスタジオが運営しているソーシャルゲーム『戦国武将姫MURAMASA』において、彼をモデルとする同名の美少女キャラクターが登場する。