ティルピッツ

てぃるぴっつ

ドイツ人の姓。海軍大臣、軍艦、豚、ゲーム・キャラクターなど。

曖昧さ回避

ティルピッツ提督。
ドイツの客船
ビスマルク級戦艦2番艦。
イギリスの軽巡洋艦グラスゴーで飼育されていた豚。
戦艦少女の登場キャラ。

ティルピッツ提督

アルフレート・フォン・ティルピッツ(1849年3月19日～1930年3月6日)

ドイツ帝国海軍の軍人。後に政治家。

海軍拡張によりイギリスの海上覇権を脅かして外交を有利にすすめる事を期待したが、イギリスはこれに反発し、ドイツの仇敵・フランスへ接近する事となった。

1849年3月19日、プロイセン（プロシア）王国のキュストリンで誕生。父は上級官史。

1865年、キール海軍兵学校に入学。

1869年、兵学校を卒業。

1871年、ドイツ帝国海軍創立。水雷戦隊に所属。

1877年、水雷戦隊司令。

1892年、軍令部長。

1896年、東アジア巡洋戦隊司令官。

1897年、海軍大臣となる。

弱小だったドイツ帝国海軍を世界2位の大海軍に成長させ、ヴィルヘルム2世から貴族に列せられる。

1911年、海軍元帥。

1914年、第一次世界大戦が勃発。

1916年、無制限潜水艦戦を主張し海軍大臣を解任される。

その後、ドイツ祖国党党首、戦後はヴァイマル共和国国会議員を務める。

1930年3月6日、エーベンハウゼンで死去。ミュンヘンの森林墓地に葬られた。

客船「ティルピッツ」

ドイツのハンブルグ・アメリカ・ラインの客船。

1913年、進水するも放置され、その後に第一次世界大戦の賠償として英国に譲渡。

1921年、イギリスのカナディアン・パシフィック・ラインズ社が購入し、エンプレス・オブ・チャイナ、更にエンプレス・オブ・オーストラリアと改名され、1922年に再就役。

1952年、解体された。

戦艦「ティルピッツ」

ビスマルク級戦艦2番艦。ノルウェーのレジスタンスが名づけた『極北の孤独な女王（原文：Lonely Queen of the North）』も有名。

性能諸元

基準排水量 : 42,900t。

満載排水量 : 52,600t。

全長 : 251m。

全幅 : 36m。

最大速力 : 30ノット。

兵装 :

38cm連装砲塔4基。
15cm連装砲塔6基。
10.5cm連装高角砲塔8基。
37mm連装機関砲8基。
20mm四連装機銃2基。20mm単装機銃12基。
53.3cm四連装魚雷発射管2基。

装甲 : 水線320mm。甲板110mm。司令塔350mm。主砲前盾360mm。主砲天蓋130mm。

乗員 : 2,608名。

艦歴

1936年11月2日起工。1939年4月1日進水。1941年2月25日竣工。

1942年1月14～16日、装甲艦アドミラル・シェーアと共にトロンヘイム（ノルウェー）に進出。

3月6日、PQ12、QP8船団攻撃の為、オットー・チリアクス中将の艦隊の旗艦としてトロンヘイムを出撃するが、会敵出来ず。

9日、トロンヘイムに帰投中、イギリス海軍空母ヴィクトリアス艦載機に雷撃されるが、損害なし。

7月2日、PQ17船団攻撃の為にオットー・シュニーヴィント大将の艦隊に加わりトロンヘイムを出撃。アルタ・フィヨルドでオスカー・クメッツ中将の部隊と合流。

5日、アルタ・フィヨルドを出撃するも、PQ17船団は散開の情報が入り、連合国軍による触接を受けていたので帰投した。

1943年9月6～9日、オスカー・クメッツ大将の艦隊に加わり、スピッツベルゲン島の連合軍基地施設を艦砲射撃（シチリア作戦）。

22日、アルタ・フィヨルドでイギリス海軍特殊潜航艇X艇の攻撃で、ノルウェーでの完全修復は困難な損傷を受ける。工作艦ノイマルクが応急修理を行う。

1944年4月3日、イギリス海軍空母ヴィクトリアス、フューリアス艦載機の空襲を受け、爆弾14発を被弾し大破。8月まで断続的にイギリス海軍空母の攻撃を受ける。

9月15日、RAFのアブロ・ランカスター爆撃機に空襲を受け、右舷前部へトールボーイ（5t爆弾）が一発命中。キールが曲がり、速力も数ノットしか出せない状態となる。

10月、トロムソへ移動。更に、ハーコイ島へ曳航される

10月15日よりハーコイ島で浮き砲台としての設置工事が始まる。

11月12日、RAFの空襲でトールボーイ爆弾3発が命中し、大破横転しそのまま沈没着底。

1948年、ノルウェー海軍特務艦クリングにより雷撃処分となり、解体撤去された。

艦長

初代

カール・トップ(1941年2月25日～1943年2月21日)

ヒトラーは大型艦指揮の経験のない経歴に難色を示したが、その責務に足る事を証明した。

二代目

ハンス・マイヤー(1943年2月22日～1944年5月)

1943年4月3日の空襲で両耳が引き裂かれるなどの重傷を負った。

三代目

ヴォルフ・ユンゲ(1944年5月～1944年11月)

乗艦経験がほとんどなく、乗員たちに不評だった。

四代目

ロベルト・ヴェーバー(1944年11月)

大破横転したティルピッツに閉じ込められて死亡。

評価

特に戦果は無かったが、初出撃で沈んだビスマルクと違い、ノルウェーに3年間存在する事で連合軍の兵力を拘束し続けた。

ティルピッツ出撃の報が入ると輸送船団護衛中の連合国軍艦艇が逃げ、散開した輸送船は航空機やUボートの餌食となった。

余談

ドイツ空軍のミステルによるスカパ・フロー（イギリス本国艦隊本拠地）への攻撃計画が破棄されたのは、ティルピッツ撃沈を受けて主力艦が引き払った事も理由の一つとされる。
イギリス海軍は口頭でも文書でも「アルフレート・フォン・ティルピッツ」と、ティルピッツ提督のフルネームで呼称していた。チャーチルがティルピッツを『野獣(beast)』と呼んだのはそれが面倒くさくなったため。