吉川優子
よしかわゆうこ
プロフィール
概要
北宇治高校の2年生で、吹奏楽部に所属。トランペットを担当している。
勝気な性格の持ち主で、そのストレートな物言いによって部内でも大きな影響力を持つ。自分自身よりも部の仲間を思いやる姿勢や、裏表のない純粋な心根ゆえに、周りの部員たちからの信頼は厚い。
低音パートの中川夏紀やオーボエ担当の鎧塚みぞれと同じく、それなり以上の吹奏楽の強豪校である南中学校の出身。中学時代から吹奏楽部を続けている。
また、同じ2年生の夏紀とは”犬猿の仲”の間柄だが、いがみ合いつつもどこか互いに信頼し合える存在でもある。
人物
容姿
原作小説では可愛らしい容姿で、異性から見てかなり魅力的に映るという描写がなされている。(短編集1巻、124ページ)
もっとも、具体的なビジュアルについては原作小説の表紙絵等に登場することはなかったものの、コミカライズ版では団子頭が、TVアニメ版では亜麻色のロングヘアーに黄色のうさ耳リボンが特徴となっている。そのため、ファンの一部や中の人等から「デカリボン先輩」とも呼ばれている。
また、TVアニメ版のうさ耳リボンは、吹奏楽コンクール等の正式な演奏の場では派手さを抑えた茶系の物に付け代えられている。
性格
明るく活発な性格で、ハキハキとしていて誰に対しても物怖じせず、自分の意志をはっきりと伝えるタイプ。
負けず嫌いな面も併せ持っており、自身が信じるものを阻む相手に対しては敢然と立ち向かおうとする行動力も身に付けている。
更に面倒見も良く、空気を読むことにも長けており、かつ人情の機微にも敏感である。
そんな優子のことを、直属の先輩である中世古香織は「優しい子」と評している。(短編集2巻、98ページ)
その活発で気立てのいい性格に可愛らしい容姿も相まって、高校に進学した当初は男子生徒に人気があった。しかし、”犬猿の仲”である夏紀や、憧れの先輩である香織が関わると、やたら短気になったり冷静さを失う面を露わにしてしまう。(それについては本人も認めている)
その影響もあって、本作の主人公である黄前久美子からは一時「感情的で恐い先輩」と思われていたり、また、優子に積極的に関わろうとする男子もあまり居なくなった。しかしそれでもなお、たまに男子生徒から告白を受けている。(短編集1巻、124ページ)
基本的には裏表のない素直な性格であるため、彼女に対する周囲の信頼は厚い。またリーダーシップや掌握術にも秀でているため、のちに吹奏楽部の部長にも指名されている。
なお、好みの音楽はJポップの模様。(原作公式ガイドブック、31ページ)
演奏技術
担当楽器であるトランペットの実力に関しては、原作小説においても特に描写がないため具体的には不明だが、中学時代から吹奏楽部を続けてきた楽器経験者であり、更に吹奏楽コンクールに向けたメンバーを選出するオーディションにも合格していることから、それ相応の実力を持っていると見積もられる。
また、優子は同級生の鎧塚みぞれに対して「トランペットを吹くことが好き」と胸の内を明かしているほか、重ねて「高校卒業しても、大学行っても、楽器は続けたいと思ってる」と述べている。(短編集1巻、170ページ)
彼女が使用するトランペットのモデルは、YAMAHA YTR-850S。香織が使用しているYTR-850と同シリーズの銀メッキ仕様で、癖のないサウンドと快適な吹奏感によってジャンルを問わず愛用されている人気モデルである。(『「響け!ユーフォニアム」北宇治高校吹奏楽部 体験ブック』 株式会社ヤマハミュージックメディア 2016年7月10日発行 10ページ)
自由曲のソロパートをめぐる争い(TVアニメ版1期10話、1期11話を中心に)
曲の発表とオーディション
北宇治高校吹奏楽部のコンクール自由曲である「三日月の舞」には、トランペットのソロという大きな見せ場が存在する。
(なお、原作及びコミカライズ版の自由曲である「イーストコーストの風景」の第2楽章にはコルネットのソロが登場する)
パートリーダーの3年生である中世古香織、新しく入ってきた1年生の高坂麗奈の2人がソロの練習に励む中、優子は敬愛する3年生の香織を応援していた。
反面、1年生の麗奈に対しては少し疎ましく思う面を見せており、TVアニメ版1期7話ではソロパートの練習をする麗奈を見ながら「これ、ソロパートの所じゃないですか。香織先輩が居るのに…」とむすっとする場面が登場する。
そんな後輩を見た香織は、「1年がソロの練習しちゃいけないって決まりはないでしょ? 前にも言ったけど、無視とか嫌がらせとかしてないよね?」と、かつての部活の情勢を例に出しながらしっかりとたしなめていた。
ソロパートの発表
オーディションの結果、自由曲のソロパートは1年生の高坂麗奈が担当することが決定した。
そんなある日の部活終了後、優子はたまたま香織の自由曲の譜面に書かれた「ソロオーディション 絶対吹く!!」の文字を目にした。
優子は、ホルンパートが交わしていた噂話から、滝と麗奈が知り合いであったためにオーディションに贔屓があったと考え、その旨を香織に伝える。
しかし香織は「そうかな? そんなことないよ」と否定した上で、オーディションの結果には素直に納得していること、そして「優子ちゃんもコンクールに出るのよ。これからは、全員で金賞目指して頑張る。違う?」と、自らの事情よりも部活とパートの調和を優先する姿勢を見せた。
だが優子は納得せず迫る。
「香織先輩、諦めないでください!
最後のコンクールなんですよ? 諦めないで…
香織先輩の、香織先輩の夢は、絶対に叶うべきなんです! じゃなきゃ……」
優子は、今まで香織がどれだけ不憫な思いをしながら部活をやってきたかを知っていて、せめて最後のコンクールだけでも香織に報われてほしいと強く願った。
しかし、香織はその優子の言葉を受け止めた上で「ありがとう」とだけ返した。
部内の対立と再オーディションの実施
オーディションの結果発表から数日後、優子は顧問の滝昇に対し、1年生の高坂麗奈と知り合いだったために贔屓があったのではないかと問う。そんな優子に対し、滝は「贔屓の話はデタラメではあるが、麗奈とは前から面識があった」ということを認めた。
勢いづいた優子が更に突っ込もうとした矢先、「だったら何だっていうの?」と制するように麗奈の鋭い声が飛んだ。更に、
「滝先生を侮辱するのはやめてください。
なぜ私が選ばれたか、そんなの分かってるでしょ? 香織先輩より、私の方が上手いからです!」
とばっさりと切り捨てる。
その無遠慮な麗奈の言葉に、優子の頬が怒りに染まる。
「アンタねえ! 己惚れるのもいい加減にしなさいよ!
香織先輩がアンタにどれだけ気使ってたと思ってるのよ!!」
「優子ちゃん、やめて…」という香織の言葉も聞かず麗奈のもとへ大股で歩み寄り、やめなよ!と割って入ってきた中川夏紀も「うるさい!!」のひと声で退けようとするが「やめて!」と叫ぶ香織の声よって我に返る。
肩を震わせ「やめて…」と願う香織を前に、優子は言葉を詰まらせる。
相対する麗奈は「ケチつけるなら、私より上手くなってからにしてください」と吐き捨て、そのまま部室を飛び出していった。
この一件の後、吹奏楽部は3年生の香織を支持するか、今のまま1年生の麗奈にソロを吹かせるべきかで大きく2つに分かれてしまう。
他のパートの部員が裏で麗奈や顧問の滝への陰口を言い合っている中、優子は決してその陰口の中に加わったりせず、また他の部員を扇動するようなこともしなかった。
そんなある日、顧問の滝から吹奏楽部に向けて再オーディションの話が持ちかけられる。
部員の全員で判断することによって、オーディションの結果から生じた不和を解消するのがその狙いであり、その意図を汲んだパートリーダーの中世古香織は希望者として自ら進んで志願した。
そしてそんな香織の姿を見た優子は、その目にうっすらと涙を浮かべていた。
歴然とした実力差の自覚
滝から再オーディションの実施を認められた香織は、来るべきその日に備えてソロの練習を重ねていた。
その姿を間近で見ていた優子は、「すごい良い音ですね。どこまでも響いていきそう」と憧れの先輩と彼女の奏でる旋律を褒める。
そうかな?と香織はタオルで汗を拭いながら答えるが、優子は更に言葉を重ねる。
「そうですよ! だから、もっと聴かせてください。
先輩のトランペット…… 聴いていたいんです」
目をきらめかせ、少し照れながら紡がれるその言葉には、単純に先輩に対する憧れの気持ち以外にも、優子が香織の奏でる「音」や「旋律」を心の拠り所にしていること、そしてその拠り所を自らの夢や青春にさえ据えていることが伺える。
そんな自らの拠り所を荒らす者には敢然と立ち向かう優子であったが、それでも同じトランペット吹きとして高坂麗奈の実力は「1年でこの音って、ずるいよね。反則だよ……」と認めていた。
麗奈へのお願い
その翌日、誰もいない教室に麗奈を呼び出した優子は、「私どうしても、香織先輩にソロを吹いて欲しいの。だから…」と彼女に口を開くと、直後、「お願い!」と深々と頭を下げた。
「ワザと、負けろっていうんですか」と聞き返す麗奈に、優子は「バレたら、私が脅したことにしていい。いじめられたって言ってもらって、構わない」と、奏者として、何より人として口に出すべきではない言葉の数々を並べていく。
そんなことしなくても、オーディションで香織先輩が私より上手く吹けばいいんです。となおも調子を崩さない麗奈に対して、優子は香織の辿ってきた過去を打ち明けた。
当時2年生だった香織は部の中でもダントツの実力者であったが、学年順という理由から、ソロを全然練習もしていないような上級生に渡すこととなった。
また、辞めようとしていた1年生を引き留めるために、香織はコンクールメンバーを辞退までしようとしていた。
そんなんだから、コンクールでの演奏も滅茶苦茶で…… と続けようとする優子を、「関係ないですよね?」の言葉で止めた麗奈は、念を押すように「私には、関係ないことですよね?」とより強く問いただした。
「そうね。関係ないよ。全然関係ない。
でも、あなたには来年もある。再来年もある! 滝先生だったらもっと部は良くなる。
香織先輩は最後なの。今年が最後なの! だから……!!」
詰まった言葉の先を深々と下げた頭で示した優子であったが、その願いも空しく、麗奈は「やめてください」と受け入れを頑なに拒んだ。
再オーディション
ソロパートの再オーディションは、宇治文化センターでのホール練習前の余白時間をもって実施された。
本番前の音出しをする香織に付き添っていた優子は、ホールのセッティングに戻る間際に、「あの、」ともう一度だけ香織に話しかけようとする。
しかし、その時心中に溜めていた言葉は結局口から出てこず、ただの「頑張ってください」の笑顔の一言にしかならなかった。
感情を持て余した優子は、それを抱きかかえたまま全速力で廊下を駆け抜け、階段を駆け上がった先に認めた中川夏紀の背中に声も上げずに泣きついた。
部の中で唯一、自分と対等に張り合い、そして自分のことを一番よく分かってくれる相手の背中に涙を押し付けた優子は、そのまま再び駆け出して立ち去っていった。
そして再オーディションの本番を迎え、舞台上に立つ香織と麗奈に顧問の滝から説明が下される。
2人と同じ楽器を担当していることもあり、どちらの方が演奏技術が上なのかということについて、優子はよく分かってしまう立場にいた。実際、2人の演奏を間近で立て続けに聴くことにより、その格差はより一層際立って見えるものであった。
それでもなお、滝の発した「中世古さんが良いと思う人」という声には、優子は自ら進んで票を入れた。
結果として2対2という同率の票数になると、滝は舞台上に立つ香織に対して「中世古さん、あなたがソロを吹きますか?」と問いかける。
しかし、自らの演奏技術と麗奈の奏でる「音楽」との差を誰よりもよく分かっている香織は、その申し出を断った上で「ソロは、高坂さんが吹くべきだと思います」と自ら進んでソロパートへの道を断ち切り、再オーディションは終わった。
そして、トランペットを心から愛するがゆえにソロパートを次代へ託した香織の姿に、優子は誰にもはばからず号泣することとなる。
傘木希美の復帰を巡って(優子視点-TVアニメ版2期)
優子の動き(TVアニメ版2期1話-2話)
吹奏楽コンクール京都大会において、北宇治高校吹奏楽部が関西大会(支部大会)に出場することが決まり、同大会に向けて練習が始まった頃、優子と同じ南中学校出身で1年前に吹奏楽部を退部した傘木希美が副部長の田中あすかから復帰の許可を得るべく低音パートを訪れた。
その際にあすかは希美の復帰を許可しなかったが、希美は諦めずに中川夏紀のサポートを得ながら練習後を見計らい、連日のように低音パートに通って直談判を繰り返した。
希美の直談判は低音パートにおいて秘密裏に行われたが、やがてその一件は部内の噂となり、部長の小笠原晴香や優子の知るところとなった。
そして宇治川花火大会の開催される日の朝、優子は朝練習に来ていた鎧塚みぞれに”かつて退部した元部員が復帰しようとしている噂”について聞いていないかどうかを訊ねたところ、みぞれは「何の話?」と答えた。
噂の具体的な内容についてみぞれが知らない事が分かると、優子は「そっか…… どうしようかな?」とみぞれに話の続きをするべきかどうかを躊躇った。
その直後に同じく朝練のために音楽室に入って来た高坂麗奈たちとひとしきりの話を終えると、優子は再びみぞれの方に向き直り、「さっきの話、希美の事なんだけど……」と、先ほどの噂の主が希美であることを告げた。
その瞬間、閉じかけていたみぞれの瞼が大きく持ち上がり、驚いた様に口を開けた彼女は、少しの間を置いて「希美……」とその名を反復する。
そして優子はみぞれに「希美がね、部活に復帰したいと言って来たらしいの」と続けると、みぞれはゆっくりと目を伏せながら「……そう」と一言だけ反応を示した。
その後、優子は花火大会に同じトランペットパートの同級生である加部友恵と遊びに来ていたが、その時、夜店の屋台で夏紀と品定めをしている希美の姿を目にする。その瞬間、優子は手にしていた屋台の菓子をぎゅっと強く握り締めている。(※表情は映していない為、不明)
部活が休みとなった盆休みの日に優子は花火大会と同じく加部友恵とプールに遊びに出かけた。(※なお、原作小説ではみぞれと一緒に遊びに出かけている)
そこで先輩の中世古香織らと出会ってその水着姿に狂喜し、続いて現れた中川夏紀と互いに着ていたTシャツのデザインを巡って言い争いを始めた。
夏紀との言い争いを終えて落ち着くと、優子は嫌味を交えながら夏紀が誰とプールに来たのかを尋ねた。
そして夏紀の口から「希美だよ。傘木希美」という答えが返ってくると、優子は表情を変える事無く声のトーンを落とし、「希美……」とその名を口にした。
あすかと優子の考え(TVアニメ版2期3話)
希美に田中あすかが頑なに彼女の復帰を拒む理由を聞き出す事を約束し、また希美の部活復帰をサポートしている夏紀の思いに共感した黄前久美子は合宿2日目の夕食後、あすかに希美の部活復帰に反対する理由を訊ねた。
あすかの「後で困るよ?」「聞いたら、黄前ちゃんが辛くなるよ。それでもいい?」という警告に対し、意を決した久美子は「教えてください」とあすかに答えたため、あすかは「黄前ちゃんは頭はいいのに、愚かだね…… ちゃんと警告したからね」と前置きをした上で、希美の復帰を拒む理由を語り始めた。
吹奏楽部の唯一のオーボエ奏者である2年生の鎧塚みぞれは、希美に対して「顔を見ただけで気持ち悪くなるくらいのトラウマ」を抱えているのだが、当の希美は自分がそう思われていることに全く気づいておらず、今でも仲良しの幼馴染だと思っている。
そんな希美に「今アンタが戻ってくるとみぞれちゃんがオーボエを吹けなくなる。だから戻ってくるな」とストレートに説明する事も出来ないため、頑なに拒むしかないのだと言う。
優秀なフルート奏者が1人復帰するというプラスの面より、それによって部内唯一のオーボエ奏者が潰れて関西大会に支障が出るというマイナスの面の方が遥かに大きいため、あすかは天秤にかけるまでもなくみぞれを優先するスタンスをとっていたという真相を告げた。
あすかが語った希美の復帰を拒む本当の理由や、その後のレクリエーションでも顧問の滝昇の隠していた辛い過去の話を聞いた久美子は、その夜なかなか寝つくことが出来ずに夜中に部屋を抜け出し、テラスのベンチに腰掛けた。
丁度その時、希美の部活復帰問題が膠着状態に陥ったために業を煮やしていた夏紀と希美のかつての仲間である優子が、彼女の復帰の件で揉めあっている様子を偶然目にする。
話の内容から優子もあすかと同様に希美の復帰に反対している様子だが、夏紀はその理由を明らかにしようとしない優子に「はっきり言いなよ。どうして希美が部に戻っちゃダメなの?」と納得する様子を見せない。
一方、優子も希美の復帰に反対する本当の理由を明らかにする訳にもいかず、曖昧な答えを使ってはぐらかそうとする。
夏紀は希美が今からコンクールに出たいという訳では無く、ただ純粋に手伝いたいだけだと訴えるが、優子は「それでもだめなの!」と言葉を荒げた。
それに怯むことなく、夏紀は冷静に優子に対して「やっぱり、それだけじゃないよね。何かある。何なの?」と問い続けたが、そこで久美子の立ち聞きに気がついた優子は「だから、あんたが関わるとこんがらがるから関わるなと言っているの!それだけ!!」と強く言い張って夏紀との議論を打ち切ると、その場から立ち去るついでに隠れている素振りを見せている久美子についてくる様に促した。
その後、優子は久美子にジュースをおごり、中世古香織への思いなどを語り始めた。
その話の流れの中で、優子は先ほどの議論を「どこまで立ち聞きしていたわけ?さっきの話」と久美子に問いただし、それを受けた久美子はあすかから聞き出したみぞれと希美の関係性を優子に語った。
久美子の話に優子は「あすか先輩は知っているんだ。さすがだなぁ」と感心するとともに、久美子に「あっ!言っとくけど、夏紀には内緒だからね」と釘を刺した。
夏紀先輩なら協力してくれるかも知れないのに、と不思議がる久美子に対し、優子は「あんなのに協力されたら、迷惑でしょ」と毒づきながらも、「それに、夏紀は純粋に希美の事を思って部に戻そうとしてるんだから、みぞれの事を聞いたらどうして良いか分からなくなる。あいつの性格的に……」と夏紀への気遣いを暗に示しながら言葉を紡いだ。
そしてその後、優子は久美子とコンクールについてどう考えているかを語り込み、その折に優子は後輩である高坂麗奈のソロパートの支持を示唆する言葉を漏らした。その優子の憎めない振る舞いに、久美子は思わず微笑みを浮かべている。
みぞれ騒動の勃発(TVアニメ版2期4話)
関西大会まで10日を切っていた頃、外部指導員の橋本真博や新山聡美からみぞれに対して感情を込めて演奏する様に求められていた。
感情を込めて吹くという課題に悩むみぞれに優子は練習に付き合い、「もう少したっぷりめで吹いてみたら?」と優子なりにアドバイスをしていたが、同じ頃、みぞれが課題に悩んでいる事を聞きつけた希美がみぞれの相談に乗ろうとして一人で廊下で練習をしていたみぞれのもとに現れた。
みぞれのもとに現れた希美が「久しぶりだね。みぞれ」と声をかけると、みぞれは怯えた様に表情を変えて楽譜を床に落とし、「待って!みそれ!」という希美の声を振り切って廊下を駆け出して行った。
廊下で起こった騒動を聞きつけ、教室から出てきた優子は逃げ出すみぞれとみぞれの方向に手を差し出す希美の姿を認めると、怒りの表情を浮かべながら希美の腕を強く掴み、声のトーンを低く落として「やめて」と声をかけ、一方、状況を呑み込めていない希美の方は困った表情をしながら「優子?」と反応を示した。(※原作の同場面では優子は希美の胸倉を掴み上げ、「ちょっとアンタ!どういうつもりなん!」「なんでここまで来てあの子を苦しめんのさ!」と詰問している。)
優子と同様に騒動を耳にして廊下に出てきたあすかは自らが回避しようとしていた最悪の事態が起こってしまった事を認識すると、眉間に皺を寄せて露骨に不快そうな表情を浮かべ、舌打ちをしながら「ちっ…最悪」と言葉を口にした。
優子は希美の腕を掴み、怒りに声を震わせながら、「どういうつもりよ?」と希美に迫ろうとしていたが、優子の背後から夏紀がその肩に手をかけ、「ちょっと!希美が何したっていうの!」と尋ねながら、優子を制止しようとした。夏紀の制止に対して優子は声を荒げながら、「何もしてない…だから怒ってるの!!」と答えたが、優子の怒りの背景を知らない夏紀は「はぁぁ?」と反応した。
その後、みぞれの事が気になった優子は怒りを一旦収め、神経をみぞれの方に向けた(「とにかく、早く探さなくちゃ」)。そして、優子は周囲を見渡して久美子の姿を認めると、彼女のもとに近づき、久美子に「黄前さん」と声をかけ、「あの子の事情、知ってるよね?みぞれのこと探してくれない?あの子、慣れていない子と会うとやばいから。お願い!」と久美子にみぞれ探しの協力を依頼した。一体、何が起こったのか、まだ事態を理解できていない久美子であったが、優子のあまりにも真剣な表情と口ぶりにとにかく久美子も「は…はい」と依頼を引き受けざるを得なくなった。
騒動の収束(TVアニメ版2期4話)
優子と久美子は校内の各階の教室などを駆け回りながら、みぞれを探した。丁度、その頃、あすかの方も希美と夏紀にオーボエをみぞれに渡す様に託した。(※原作ではあすかはこの騒動を機にみぞれと希美を和解させるべく、オーボエをみぞれに手渡す様に希美に託したとその理由を久美子に語っている。)
久美子は汗だくになりながら探し回った末にようやくとある教室の隅でうずくまっているみぞれを見つけた。
久美子は目の前にいるみぞれに事情を確かめるべく、「何があったんですか…?希美先輩の事、嫌いなんですか…?」と尋ねた。これに対してみぞれは希美では無く、自分自身に責任があると久美子に告げ(「希美は悪くない…。悪いのは全部私…私が希美に会うのが怖いから」)、久美子にその理由を語り始めた。
みぞれ自身の語る所によると、みぞれは「私、人が苦手。性格暗いし、友達も出来なくてずっと1人だった」と言い、その様なみぞれに対して「鎧塚さん、部活入ってる?何も入ってないんだ」と初めて声をかけてきてくれた人物が希美だった。
その後、みぞれは希美と親しくなり、希美に誘われるがままに中学校の吹奏楽部に入部した。みぞれにとって希美と過ごす部活の日々は「嬉しかった…。毎日が楽しくて」と言い、一人ぼっちだったみぞれを救い上げてくれた希美は彼女にとって「私にとって希美は特別。大切な友達」と語った。
だが、みぞれは自身と対照的な希美の社交的な性格についても認識しており、「でも希美にとって私は友達の中の1人。沢山いる中の1人だった」とも語り、続けて「だから部活辞めるのだって知らなかった。私だけ知らなかった。相談一つなかった。私はそんな存在なんだって知るのが怖かった…」と語り、「分からない…どうして吹奏楽部にいるのか分からない…」と口にしている。
そこで久美子はみぞれにどうして吹奏楽部を続けているのかと尋ねると、みぞれの口からは「楽器だけが…私と希美を繋ぐものだから」という答えが返ってきた。その答えは久美子にとって到底考えられないものであり、久美子は続ける言葉を失ってしまった。
丁度、その時、汗だくの状態になった優子がみぞれと久美子がいる教室に入ってくると、うずくまっているみぞれの両肩に手をかけて「もう何やってんのよ、心配かけて。まだ希美と話すの怖い…?」と問いかけた。
優子に問いに対して「私には希美しかいないから…拒絶されたら…」とみぞれが答えると、優子は興奮しながら「なんでそんな事言うの…そしたら、みぞれにとって私は何なの!?」と重ねて尋ねた。すると、みぞれは優子に向かって「優子…私が可哀想だから優しくしてくれた。同情してくれた…」と言葉を返した。
すると、優子は両手でみぞれの頬を押さえいじくりながら、「バカ!あんたマジでバカじゃないの!?」と声を荒げ、「私でもいい加減キレるよ!!何が好き好んで嫌いな奴と行動するのよ!!私がそんな器用な事ができるはずがないでしょ!同情、何それ?みそれは私の事を友達と思ってなかったわけ!?」と続けながら、みぞれを床に押し倒した。
そして、眼に涙を浮かべながら、優子は「部活だってそう!本当に希美の為だけに吹奏楽続けてきたの!?あれだけ練習して、コンクール目指して何もなかった!?府大会で関西行きが決まって嬉しくなかった!?」と続け、「私は嬉しかった!!頑張って良かった、努力は無駄じゃなかった!!中学から引きずっていたものからやっと解放された気がした!みぞれは違う!?何も思わなかった!?」とみぞれに言葉を放った。
優子の言葉にみぞれの方も涙を浮かべながら、「嬉しかった…。でもそれと同じくらい、辞めていった子に申し訳なかった…喜んでいいのかなって」と答えると、優子は「いいに決まってる!」と即答し、みぞれの腕を掴み、それまでみぞれがうずくまっていた机の陰から日向へと引き起こした。そして、優子は涙交じりの優しい笑みを浮かべながら、「良いに決まってるじゃん。だから…笑って」と語りかけた。優子の言葉に感極まったみぞれは溜めていた思いを吐き出す様に泣き出した。
教室の外では夏紀とあすかから託されたオーボエを持った希美が待機していたが、「どうする?」と夏紀に促された希美は教室に入り、みぞれのもとに近づいてきた。みぞれは希美の姿を認めて少し怯えていたが、優子に「ちゃんと話してみたら」と優しく促されると、みぞれは立ち上がってうつむきながら希美のもとへ近づいた。みぞれが希美の目の前に来ると、希美はあすかに頼まれてオーボエを持って来た事をみぞれに伝えた。
続けて希美の「私、何か気に障る事しちゃったかな?私、馬鹿だからさぁ、なんか心当たりがないんだけど」という言葉に対してみぞれは退部の際に声をかけなかった理由を希美に尋ねた。
みぞれの問いに対する希美の答えは「だって必要なかったから」というもので、希美自身が部活に対する不満を燻らせて腐っていた時、そして、部員の誰もが真面目に練習しようとしなかった時にもみぞれ一人はオーボエを熱心に練習していたからというのが希美が口にした理由だった。
更に希美は続けてみぞれを仲間はずれにした訳ではない事、吹奏楽コンクール京都大会を見に行った事を告げ、みぞれのオーボエの音が好きと語って演奏をリクエストした。
その時、優子と夏紀は複雑な表情を浮かべていたが、みぞれの方は涙を浮かべながら満面の笑みを浮かべ、「私も聞いて欲しい」と答えてオーボエの演奏を始めた。
優子、夏紀、久美子の3人が教室を出て、夕日の射す窓の外を眺めながら、みぞれのオーボエを聞いていたが、久美子は「すごい綺麗な音…」と感想を漏らし、続けて夏紀も「こんな風に吹けるんだ」と言葉を紡いだ。
そして、優子は「結局みぞれの演奏は、ずっと希美の為にあったんだね」と口にし、「希美には勝てないんだなぁ…1年も一緒にいたのに」と少し寂しそうな笑みを浮かべながら続けた。
優子の言葉に夏紀は「そんなの当然でしょ?希美ってあんたの100倍いい子だし」と毒づくと、優子の方も「そうね。あんたの500倍はいい子かも」と返した。
その直後、夏紀はふと「でもさ、みぞれにはあんたがいて良かったと思うよ」と言葉を漏らし、優子に向かって笑みを浮かべると、優子の方も、一瞬、表情を変えた後に笑みを浮かべて「もしかして…慰めてくれてる!?」と夏紀に言葉を返し、「照れない照れない!きゃ~夏希が優しくしてくるよ~!」と言いながら廊下を駆け出した。そして、夏紀の方も「何それ」、「気持ち悪い事言うな」と毒づきながら優子の後を追いかけて行った。
その後、久美子はあすかから「でもずるい性格してるよね、みぞれちゃんも。」、「みぞれちゃんが希美ちゃんに固執してるのって結局1人が怖いからでしょ。優子ちゃんは保険だね」、「案外、人って打算的に動くものだと思うな」という言葉を聞いた時、直接、優子やみぞれ達のやりとりを見ていた久美子はあすかの見解を受け入れ難いのか、曖昧な笑みを浮かべながら、「あすか先輩は…穿った見方をしすぎですよ」と手の拳を握りしめてあすかに答えた。久美子の答えにあすかは笑いながら、「穿ったか?確かにそうかもね。」と答えている。
リーダーシップの片鱗(TVアニメ版2期5話、2期7話)
関西大会当日(TVアニメ版2期5話)
関西大会当日、北宇治高校の出番を目の前にして、同大会本番を自身の高校生活最後のステージとして捉えていたトランペットパートのリーダーである中世古香織は同パートのメンバーが集まっている中、優子に対して「これからも部の事、よろしくね」と語って自身の引退後の部活を託した。
優子に対する言葉に続いて、香織はパートのメンバーに対して「みんなも今までこんな私についてきてくれて・・・」と言葉を紡ぎ、リーダーである香織自身に今までついてきてくれた事について感謝の念を表そうとした所、優子は香織に向かって「香織先輩!違います!ここで終わりじゃありません!」と口を挟んで香織の言葉を遮り、「私たちが目指しているのは全国です!私たちは香織先輩と一緒に全国に行くんです!」と続けると、右腕を高らかと挙げて人差し指を真っ直ぐに上の方へと立てた。
優子に続いて同パートの同級生である滝野純一も真剣な面持ちで同じ様に人差し指を高らかと差し上げ、その後、他のメンバーも続いて同じポーズを取った。
香織達から少し離れた場所にいた黄前久美子と高坂麗奈も彼等に続いて右手の人差し指を高く挙げ、低音パートの後藤卓也達も続けて人差し指を挙げていった。
それらの様子を見ていた香織の同パートの同級生である笠野沙菜は香織に向かってその名を呼んで促すと、香織も微笑みながら右手を高らかに挙げて人差し指を真っ直ぐ上の方に向けると、「行きましょう」、「みんなで全国へ」と声を挙げ、傍らにいた優子は眼に涙を浮かべながら微笑んだ。
田中あすかの退部騒動と小笠原晴香の覚悟(TVアニメ版2期7話)
北宇治高校の文化祭が終わって数日後、田中あすかの母である田中明美が北宇治高校に乗り込んで顧問の滝昇と教頭に向かってあすかを退部させる様に迫る出来事が起こった。
その日は一旦保留という形で収まったものの、吹奏楽部の支柱とも言うべきあすかに起こったこの出来事は部員達に大きな動揺をもたらし、その翌日、あすかは部に姿を現して、低音パートのメンバーや小笠原晴香と中世古香織に対して誰にも迷惑をかけないと宣言したものの、その日以降、あすかは部活から姿を消した。
あすかが吹奏楽部から姿を消して1週間が経ち、教頭が田中あすかの退部届を代理で受け取ったという噂が伝わると、部に再び大きな動揺が走った。
その結果、部員達は合奏練習に集中する事もできず、滝はその様な部の状況を見て、「なんですか?これ。皆さん、ちゃんと集中してます?」と合奏を中断した。
すると、優子は挙手した上で立ち上がると、「あすか先輩の退部届、教頭先生が代理で受け取ったって話は本当なんですか?」と部員の誰もが知りたがっていた当該事実の有無を滝に尋ねた。
滝は「そのような事実はありません。」と答えると、「皆さんはこれからも、そんな噂話が1つ出るたびに集中力を切らして、こんな気の抜けた演奏をするつもりですか?」と言葉を続け、その日の合奏練習を切り上げると音楽室から去っていった。
部員の誰もが動こうともせず、重苦しい空気に包まれている中、覚悟を決めた部長の晴香が「みんな、少しだけ時間くれる?」と部員達に呼びかけると、前の方へと出て教壇に立ち、徐ろに自身の思う所を部員達に語り始めた。
「あすかがいなくて、皆不安になるのは当然だと思う。でもこのままあすかに頼ってたらだめだと思うの。あすかがいないだけで不安になって、演奏も駄目になって。でも、部活ってそうじゃない。」
「私は自分よりあすかの方が優秀だと思ってる。だから、あすかが部長をやればいいって、ずっと思ってた。私だけじゃない。みんなもあすかがなんでもできるから頼ってた。あすかは特別だからそれで良いんだって。」
「でもあすかは特別なんかじゃなかった。私達が勝手にあの子を特別にしていた。副部長にパートリーダーにドラムメジャーとか・・・仕事を完璧にこなすのが当たり前で、あの子が弱みを見せないから平気なんだろうって思ってた。」
「今度は私達があすかを支える番だと思う。あの子がいつ戻ってきても良いように。もちろん、去年の事があるから、むかついている人もいると思う。あすか以外、頼りない先輩ばっかって感じてる子もいるかもしれない。それでもついてきてほしい。」
そして、晴香は部員達を前に「お願い・・・します」と言葉を紡いで頭を下げた。
すると、少し間を置いて立ち上がった優子が頭を下げている晴香に対して、
「あんまり、舐めないで下さい!」
と声をかけ、
「そんな事、言われなくてもみんなついてゆくつもりです。本気なんですよ、みんな。」
と晴香に告げた。その優子の言葉を受けて晴香は頭を上げ、又、それまで意気消沈としていた他の部員達の表情も明るさを取り戻した。
すると、すかさず夏紀が「アンタの場合、好きな先輩に対して私情を持ち込みすぎだけどね」と揶揄を入れたのに対して、優子は「うっさい!」と反応し、二人でいつもの言い争いを始めた。その光景を見ていた部員達は笑い出し、教壇に立つ晴香は眼を潤ませつつ笑みを浮かべ、香織も黙って微笑んでいる。
原作小説でも同様の場面が出てくるが(原作3巻79-83ページ)、原作の方は優子に揶揄を入れる人物が夏紀では無く、晴香自身であり、香織は揶揄に恥じらって顔を赤らめているが、TVアニメ同様、部員達に明るさが戻ってきている。
部長としての優子
部長就任(TVアニメ版2期13話)
TVアニメ版2期13話の冒頭では、3年生引退後の新体制の要である次期部長・副部長の選出を取り扱っている。(準拠元の原作としては短編集の「新3年生会議」が相当)
北宇治高校の吹奏楽部では部長と副部長の選出は前任者からの指名制であり(ただし、指名された本人には拒否権がある)、指名された次期部長が新体制の役職を決める新3年生会議の議事進行を担う決まりになっている。また、同会議において指名に関して異議がなければ正式に部長、副部長の就任が決定するシステムとなっている。
なお、優子の部長指名はあすかにより行われた模様だが、副部長については新3年生会議当日まで候補者は伏せられていた。(原作第2楽章後編376~377、379ページ)
優子の次期部長就任に関しては、新3年生(現2年生)の間でも特に異議はなく、傘木希美や滝野純一も同意の声を挙げている。
続いて夏紀の副部長指名が明らかになると、優子は一応の反発を示し、後藤卓也も「あの人(※前任者である田中あすか)、完全に面白がっているな…」と頭を抱えたものの、結局、夏紀の副部長が確定し、優子・夏紀による新体制がスタートした。
また、原作公式ガイドブック所収の短編「冬空ラプソディー」によれば、鎧塚みぞれが定期演奏会係に就任しており、TVアニメ版2期13話では3年生部員の卒部会において傘木希美が在校生部員の学生指揮者を務めている。(卒部会限定の臨時のものか、あるいは常任のものかは不明)
そして、部長就任間もない頃に行われた部活の音合わせの際に優子は3年生部員が抜けた後の在校生部員の音の薄さを痛感しており、「来年は頑張って新入生、勧誘しなくっちゃ…」と決意している。
3年生部員の卒部会では冒頭から香織との別れを惜しんで「香織先輩~」と泣き出しており、夏紀に「早っ」とツッコミを入れられている。
また、元部長となった晴香に対してプレゼントの贈呈を行っている。
その後、在校生による演奏に先立って全国大会金賞獲得の決意を宣言しているところで噛んでしまい、またもや夏紀に「大事なところで…」とツッコミを入れられている。
原作公式ガイドブック「冬空ラプソディー」「星彩セレナーデ」
部長としての優子は大人数の部員の統率に腐心し、そのため険しい表情を浮かべることも多くなったが、一方で優れた統率力を発揮し、部内会議の議事進行も円滑に進めている。(※ただし、夏紀のツッコミが入ると、進行を中断して言い争いを始めることもある)
久美子によれば、3月に行われた立華高校との合同演奏会の頃には、部員達の間において優子の部長というイメージがすっかり定着している。
かかる優子が掲げる北宇治高校吹奏楽部の目標は「全国大会金賞」獲得で、当該目標を単なるスローガンに終わらせない様に部長としての職務に励んでいる。
部長としての彼女について、同級生のみぞれは高く評価しており、元部長となった小笠原晴香に対して「優子は頑張ってます。すごく」と彼女なりに力強く言い切っている。また、優子の直接の先輩である中世古香織にも「安心して、大丈夫です」と語っている。
原作第二楽章
概要
新入生部員の加入で新体制が本格的に稼働すると、改めて「全国大会金賞」を部の目標に掲げている。(第二楽章前編、75ページ)
楽器やパート紹介時においてトランペットパートの紹介は部随一のトランペットの実力を誇る高坂麗奈に委ねたほか、欠員が生じているファゴットについては優子自らが紹介している。
また、5月に行われたサンライズフェスティバルではドラムメジャーを務めている。
部長としての統率力も十分に発揮し、麗奈も「アタシさ、優子先輩って結構部長に向いていると思うねんな」と久美子に評している。(第二楽章前編、29ページ)
しかし、部長としてあらゆる仕事を抱え込み、周囲に頼るという事を知らないため、副部長の夏紀や新入生の指導係を担当する加部友恵らは優子のことを心配しており、夏紀は優子のブレーキ役を果たそうとし、友恵は「優子が抱えている仕事をぶんどってこようかな」と考えている。
運営方針
上記の通り、部の目標として「全国大会金賞」を掲げているが、前年におけるトランペットのソロ争い時の部内の騒動等の反省を踏まえて部内の融和を重視し、部員が無理をせずストレスが無い形でベストな状態を実現しようとしている。
その結果、局地的なトラブルはあるものの、前年の様な部内に亀裂が走る様な事態も、また目立った喧嘩も無く、部員はあまりストレスを感じることなく活動できている。
だが、上記の部内の状態について麗奈は不安を感じており、また、久美子もこれまで見てきた部長としての優子の働きぶりから、他の部員も負うべき負担を優子が一人で全て負っているのではないかと危惧している。
評価
部長としての評価は非常に高く、久美子や麗奈といった主要キャラクターからは優子先輩が部長で良かったと心の底から感謝されている。また、部長経験者である希美からも理想的な部長と評されている。
卒業後
卒業後、優子は夏紀や希美と同じ大学に通う予定で、かつ希美と夏紀は自宅から通学する為、当該大学の所在地は少なくとも遠隔地では無い模様。もっとも優子の場合、卒業後、自宅を出て下宿を始める予定である。
主要キャラクターとの関係
中世古香織
香織への心酔
トランペットパートのリーダーを務める3年生の先輩。優子は「香織先輩」と呼び、香織は「優子ちゃん」と呼んでいる。
香織の信者を自称するほどに彼女を一途に心酔する優子は(原作2巻、212ページ)、同じパートの同級生である加部友恵と一緒になって「香織親衛隊」なるファンクラブも結成している。(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、5ページ)
香織への心酔ぶりを示す例として、新しく入ってきた新入部員に対して楽器紹介をする香織を見ながら「香織先輩、今日もチョー美人!」と両頬を押さえて悶えていたり(TVアニメ版1期2話)、サンライズフェスティバルにおけるパレード用のコスチュームを配られた際には「きゃあああああ!先輩可愛いいいい! マジエンジェル!」と絶叫し、一緒に写真を撮るよう懇願したりもしている。(原作1巻、116ページ、TVアニメ版1期5話)
そのような香織への心酔は彼女の部活引退後も醒めることはなく、部長就任後初となる定期演奏会のパフォーマンスに際して乙姫役を担当することになった優子は、衣装合わせの時にも香織の乙姫姿を想像して頬を赤らめており(原作公式ガイドブック、90ページ)、卒業式の日、優子は香織の制服のスカーフを握り締めながら彼女の胸に顔を埋めており、優子は香織に頭を撫でられながら「部長でしょ、しっかりしなきゃ…」と語りかけられている。(TVアニメ版2期13話)
また、その後の立華高校との合同演奏会当日、既に卒業生となっている香織があすかや晴香とともに姿を見せると、優子は部長という立場を忘れて香織に黄色い悲鳴を上げて晴香を呆れさせ、同時に、この頃すっかり部長のイメージが定着していた優子に関して、久美子に彼女が香織の熱狂的な支持者であるという忘れかけていた事実を思い起こさせたりしている。(原作公式ガイドブック、176~178ページ)
香織に心酔するようになった理由
その言動等から誤解されがちだが、彼女が香織を好きなのは、ただ外見が愛らしいからというだけではなく、実はもっと深い理由によるものである。
久美子たちが入部する1年前、やる気のある当時の1年生(今の2年生)のグループが当時の3年生(今の卒業生)たちと衝突を起こし、次々と退部する事件が起きた。(詳しくは斎藤葵の記事を参照のこと)
優子もその「やる気のある1年生のグループ」のひとりであり、同じグループの同級生が当時の部の状況に失望し、見限りを付けて次々と辞めていく中で、優子自身も辞めるかどうかで悩みを抱えていた。そしてその時に「部活続けようよ」と引き留めて応援してくれたのが、当時2年生だった香織であった。(原作2巻、212ページ)
また、香織は当時の怠惰な3年生部員たちに対して「1年生を無視するのをやめてください」と頭を下げるなどして部内の環境調整にも奔走しており、その部活に対する自己犠牲的な姿勢もまた優子が香織に強く惹き込まれる一因となった。
そのため、優子の香織に対する敬愛の念はこの物語を通して決してブレることはなく、また、香織がいかに優れた人物であるかを他者に伝えることにも何ら抵抗は持っていない。(短編集1巻、169ページ)
中川夏紀
優子と同じ南中学校の出身だが、”犬猿の仲”の間柄。また、互いに知り合ったのは北宇治高校へ進学してからである。
性格や部活に対する意識の差、果ては目玉焼きに何をかけるかに至るまで、事あるごと張り合っている。
その不仲ぶりはTVアニメ版でも、優子が楽器を背負った夏紀を無理やり押しのけて通ったり(TVアニメ版1期7話)、あるいはTシャツのデザインを巡って言い争ったり(TVアニメ版2期2話)、また北宇治高校の文化祭の時に夏紀が優子にサービスと称して生クリームなどを山盛りにして原形を全く留めていないいちごクレープを提供したりするシーン(TVアニメ版2期6話)等に見て取ることができるが、その一方であがた祭りに一緒に遊びに出かけるシーン(TVアニメ版1期8話)も登場するなど、必ずしも互いに避けているということはない。
また、2人の不仲ぶりは優子と夏紀がそれぞれ新部長・新副部長へ就任してからも変化がなく、2人の争いは新体制が発足してからの部の日常風景と化し、久美子を含む部員の誰もが気にする様子を見せなくなる。
むしろ同級生達からは2人の不仲ぶりは面白がられている節があり、定期演奏会において優子と夏紀は同級生達の手によりコスプレをしたまま2人そろって歌を披露する羽目になってしまっている。
このような2人の関係は、同じ2年生の長瀬梨子に言わせれば「羨ましいほどに仲が良い2人」。
要するに“喧嘩するほど仲がいい”関係ということである。(※実際、肝心なところでは2人の息は合っている)
大学の志望校も同じらしく、夏紀は「大学でもずーっと友達だネ」と優子に揶揄を入れており、そんな夏紀に優子は「最悪」と返している。(第二楽章前編、284ページ)
新入生が入部して新体制が本格的に始動すると、部長として「全国大会金賞」を目標に掲げてあらゆる仕事を抱え込む優子を本気で心配しており、梨子の見立て通り、夏紀は突っ走りがちな優子にブレーキをかける役割を担っている。
実際、夏紀が優子の為に色々と動いている事は優子自身も認めており、「アイツ、ああ見えていろいろやってくれるし」と久美子に恥じらいながら語っており(第二楽章後編、214ページ)、また、別の場面では夏紀を意識しつつ、「コイツ(※夏紀)みたいにこっちが文句言っても強引に止めてくれるやつが身近にいるといい。本気でアンタのことを想ってくれて、フォローしてくれるやつ。」と久美子に語っている。(第二楽章後編、379ページ)
高坂麗奈
TVアニメ1期~2期(原作1巻~3巻、短編集、公式ガイドブック)
トランペットパートのひとつ下の後輩。優子は「高坂」と呼び、対する麗奈は「優子先輩」と呼んでいる。
吹奏楽コンクール京都大会(府大会)の前にソロパートの担当の件で、上記の通り優子は麗奈と一悶着を起こした。
ただし、彼女の持つ高い実力については認めており、彼女の同級生である黄前久美子に対しては「本気で全国行こうと思うんだったら、上手い人が吹くべきだと思う」とその内情を明かしている。(原作2巻、216ページ、TVアニメ版2期3話)
自由曲のソロパートの問題が解決してからも麗奈とのあいだには少し微妙な空気が漂っており、関西大会への出場が決定してから数日後、2人の間の微妙な空気を感じ取ったみぞれから「2人は仲が悪いの?」と問われた麗奈と優子は、「そうなんですか? 先輩」「さあ? どうなんだろうね、後輩」と答えた上で、「うふふ」「あはは」と互いに笑い合っている。そして、その場に居合わせていた久美子は背中に何か冷たいものが走るのを感じている。
顧問の滝に亡くなった妻がいたことを知り、彼に対する様々な想いが込み上げて演奏にキレが無くなった麗奈を気にかけた際には、「ここんとこ、集中、切れているでしょ」と前置きをしつつ「香織先輩も心配してたから。何かあるなら話してよ。私じゃ、話しにくいかも知れないけど」と励まし、麗奈のモチベーションの回復に一役買っている。(TVアニメ版2期11話)
また、全国大会の授賞式における指揮者賞の授与の際、約10年以上ぶりの出場となる北宇治高校吹奏楽部では顧問の滝へのかけ声を決めておらず、上級生部員達が焦っていたが、その時、麗奈は突発的に立ち上がると、壇上の滝に向かって「先生、好きです!!」と大声で叫んだ。(※全国大会に出場した団体の指揮者に対して指揮者賞が授与されるが、その際に各団体は指揮者を務める顧問に声援を送ることが慣例になっている)
麗奈自身は滝への告白のつもりで叫んだのだが、その掛け声を滝への単なる声援と受け取った優子は「高坂、いまのはマジ、ファインプレーやった。ありがとう」と礼を述べている。(原作3巻、355~357ページ、TVアニメ版2期12話)
その後、全国大会での成績が銅賞で終わると、会場外でトランペットパートが集まっている中、麗奈は「すみませんでした、先輩」と香織に謝罪したが、これに対して香織は「高坂さんが謝ることじゃない。これが私達の実力だったんだよ」と答えている。
すると、すかさず優子は麗奈に向かって「高坂、来年、金取るよ」と声をかけると、麗奈は優子に「はい!」と答えている。(TVアニメ版2期12話)
(※原作3巻でも上記と類似の場面があるが、原作では会場内で銅賞に涙する麗奈の頭を優しく撫でながら労う香織に麗奈が謝罪し、それに対して香織は涙と笑いを交えつつ、「謝ることなんてなんもないのに。ここまで来れたんは麗奈ちゃんのおかげやわ」と答えている)
上記の麗奈と香織、優子とのやりとりの後、滝がトランペットパートが集まっているところに来ると、麗奈に指揮者賞授与の際のかけ声についてこれまでの自身の指導を振り返りつつ礼を述べた。これに対して麗奈は部員達が滝のことを尊敬している旨を告げると、続けて麗奈は滝を慕って北宇治高校に来たことを語り、改めて「先生! 私、本当に滝先生のことが好きなんです」と告白し、その場にいた香織、笠野沙菜、そして優子は驚いている。
しかし、麗奈の告白に対して滝は「そう言っていただけると、教師冥利に尽きます。ありがとうございます、高坂さん」と微笑みながら立ち去り、麗奈は滝に自身の言葉が告白として受け取られなかったことに肩を落としてがっかりしている。
そのような麗奈に優子は「高坂…」とその手を彼女の肩にかけ、香織も麗奈に「頑張ろっ」と声をかけて励ましている。(TVアニメ版2期12話)
(やはり、原作小説でも類似の場面があるが、原作ではあすかや久美子がいる場所で上記の応答を行っており、麗奈は滝の言葉に喜んでいる。ただし、あすかや久美子には麗奈の言葉が滝に告白として受け取られていないことを見透かされている)
卒部会では在校生部員によるコンクール曲「三日月の舞」の演奏における麗奈のトランペットソロを穏やかな表情で笑みを浮かべて聴いている。
部長就任後、優子による新体制発足後初の定期演奏会当日において、部員への挨拶の中で「去年はいろいろあったけど、でも、それがあったからこそいまこうしてみんなとこんなふうに音楽ができてんのかなって思います」と述べた際には麗奈と見つめ合っている。(原作公式ガイドブック、110ページ)
原作第二楽章
優子部長による新体制下において優子と麗奈は良好な先輩後輩関係を築いており、新入生部員へのパート紹介の際には部長とトランペットパートのリーダーを兼務する優子からトランペットパートの紹介を委ねられている。また、麗奈の口から何かと優子の名前が出てくることが多くなっている。
更に、麗奈は優子に関して突っ走りがちな面があることを認めつつも部長職に適していると評しており、傘木希美が優子とあすかを比較した際には麗奈は憮然として「優子先輩は有能やと思いますけど」と反論し、希美を驚かせている。(第二楽章前編、283ページ)
なお、麗奈とは部の在り方をめぐって意見が対立する事があるものの、1年前の場合とは異なり、互いの考え方は理解している模様で、久美子ら周囲から見て喧嘩の様に映っても、麗奈の方は優子の立場などに理解を示しつつ意見を述べているだけとして喧嘩である事を否定している。また、優子の方も麗奈の音楽的な実力を高く評価しており、そのため、麗奈を部内の人間関係に関して無駄に悩ませず、音楽関係に専念させたいと考えている。
そして、コンクールシーズンが終わった頃には麗奈は「アタシ、優子先輩が部長で良かったと思ってる」と言葉を噛み締めるように語っている。(第二楽章後編、349ページ)
黄前久美子
本作の主人公であり、吹奏楽部のひとつ下の後輩。優子は「黄前(黄前さん)」と呼び、久美子は「優子先輩」と呼んでいる。
上記の通り、麗奈とのあいだで一悶着あったこともあり、その友人であり常に麗奈の側にいた久美子に対しても何かしら思うところがあったようで、吹奏楽部の夏合宿のとき、夜中に偶然出逢った久美子に対しては「げ」とあからさまに顔をしかめたりしている。(なお、TVアニメ版2期3話では合宿時の久美子との出会いのシーンが原作小説と多少違っていて、優子と夏紀が傘木希美のことで議論を交わしているのを久美子が立ち聞きし、それが優子に見つかるという流れになっている)
その後、優子は久美子にジュースを奢りながら、香織を慕うようになった理由や吹奏楽コンクールに対する意識の持ち方など、様々な話題を2人きりで話し込み、久美子はこれをきっかけとして優子を「いい人かもしれない」「憎めない人」と素直に思うようになり、以降の良好な関係の構築に繋げている。(原作2巻、217ページ、TVアニメ版2期3話)
その後も、久美子と優子の絡みはしばしば見られるようになり、希美と鉢合わせて逃げ出したみぞれを手分けして探し出したり(TVアニメ版2期4話)、文化祭で相席を求めた久美子に対して、夏紀に関する愚痴を語ったりもしている。
優子部長による新体制の発足後も、優子は引き続き久美子に目をかけており、定期演奏会係の担当となったみぞれの補佐や、加部友恵とともに新入生部員の指導係を任せている。とりわけ、久美子の新入生部員へのカウンセリングは評判が良く、優子からもその点を評価されて「黄前相談所」と呼ばれるようになる。また、優子も相談事をもちかけてくる1年生部員に対して久美子に相談するように誘導している。
久美子もまた、吉川・中川体制の部活運営に関して、ときおり不安を感じることもあったものの、コンクールシーズンが終わる頃には「優子が部長で良かった」という麗奈の言葉に心の底から同意するようになる。(第二楽章後編、349ページ)
鎧塚みぞれ
オーボエを担当する同級生で、中学時代の吹奏楽部の頃からの知り合い。
ただし、2人が親しくなったのは物語の1年前に起こった1年生部員の大量退部事件の後であり、それまでみぞれは優子のことが苦手であった。(短編集1巻、167~168ページ)
優子は何かとみぞれのことを気にかけており、その様子はTVアニメ版の第1期、第2期でも度々映っている。
みぞれと優子は互いに友達と思っているものの、関西大会を目前にしたある日、みぞれを訪ねてきた希美から逃げ出し、教室の机の影でうずくまっているところを見つけた優子に向かい、みぞれは「私が可哀想だから優しくしてくれた」という想いをぶつけたところ、優子は「何が好き好んで嫌いな奴と行動するのよ! 私がそんな器用なことができるはずがないでしょ!?」と彼女の主張を強く否定している。(原作2巻、262ページ)
また、優子は上述のみぞれの騒動の後も引き続きみぞれを気にかけており、吹奏楽コンクール全国大会の時には彼女にグータッチを勧めており、みぞれは優子の勧められるがままに久美子とグータッチを交わしている。(原作3巻、328~330ページ)
(なお、TVアニメ版ではこの時のみぞれのグータッチが優子に勧められたものかどうかについては触れられていない。余談だが、みぞれはこのグータッチを気に入ったらしく、本番演奏の終了後、希美やその他の部員たちにグータッチをして回っている。※TVアニメ版2期12話)
新体制の発足後は定期演奏会係となったみぞれの補佐に夏紀と協力して久美子を宛て、また、みぞれが定期演奏会のパフォーマンスに際して浦島太郎の亀役に立候補した際にはみぞれに付き合う形で優子は夏紀とともにそれぞれ乙姫役、浦島太郎役を担当することになった。
また、従来、希美が独占していたみぞれの心を優子の存在が少しずつかつ確実に占めつつあり、そのことを久美子もみぞれの言葉から感じ取っている。
傘木希美
1年生の時に北宇治高校の吹奏楽部を退部し、その後、翌年(2年生)の夏に部活に復帰した同級生。
優子とは中学時代からともに吹奏楽部の活動に励んできた仲で、物語の1年前は「やる気のある1年生グループ」のメンバー同士でもあった。
しかしながら、希美が吹奏楽部を退部する際に親友であるはずのみぞれにそのことを告げず、かつ関西大会直前に騒動を起こすまでみぞれのことを放置し、また、その結果みぞれを苦しめていたことに無頓着であった希美に対して、優子は強い怒りを感じていた。(原作2巻、251ページ)
みぞれと希美の騒動の一件後、優子は夏紀、みぞれ、希美といった元南中学校出身の吹奏楽部の同級生4人と行動をともにすることが時々見られるようになる。しかしながら、この騒動の後、優子と希美のあいだには距離があるためか、2人の直接的な絡みは見られない。もっとも、原作小説ではみぞれと夏紀を交えた4人組で行動している描写があるため、少なくとも現在のところは両者に目立った対立はない模様。(原作2巻の関西大会および原作3巻)
なお、希美は上級生引退後の新役職会議において、優子の部長就任に同意の声を挙げている。(TVアニメ版2期13話)
吉川・中川体制を取り上げている原作第二楽章(久美子2年生編)において、両者の直接的な絡みは無く、また久美子の前で希美は部の運営能力に関してあすかと優子を比較してみせるなど、優子に対して好意的と見られる感情は抱いていない様子である。その一方で、優子による希美についての言及は無いため、優子の希美についての考え等は不明である。(※そのため、希美の方が部長としての優子について意識をしている節が見られる)
ただし、あすかとの比較は夏紀が優子の無茶な仕事ぶりをたしなめるために言い出したことであり、希美の発言は有能すぎる人間=あすかの実質的な後釜を担う優子を慮ったものであるとも考えられる。希美はこれを「あすか先輩の呪い」と称している。(第二楽章前編、283ページ)
なお、吹奏楽部を引退した後の夏紀との会話では、部長として振る舞うかつての優子の姿を思い出しながら、「引退するその瞬間まで、彼女は理想的な部長だった」と評している。(短編集2巻、136ページ)
加部友恵
同じトランペットパートに所属する同級生。吹奏楽部は高校に進学してから始めている。
入部当初、右も左も分からなかった初心者の彼女のために、優子は先輩である香織と一緒になって面倒を見ていた。(第二楽章前編、251ページ)
そのため、現在では部活の内外を問わず優子とよく遊ぶ間柄であり、とくに優子が部長になって以降は、あらゆる仕事を率先してこなそうとする優子のことを支えようとも考えている。
田中あすか
吹奏楽部のひとつ上の先輩。
原作小説では直接の絡みはなく、あすかや優子の発言のなかで互いの名前が言及される程度である。
ただし、あすかは久美子、みぞれ、希美らのことをちゃんづけで呼んでいるのに対して、優子については同級生たちと同様に「優子」と下の名前で呼び捨てにしていることから、あすかと優子らの距離は近い様子が伺える。(※もっとも、TVアニメ版ではあすかは「優子ちゃん」と呼んでいる)
また、のちに優子が部長に指名された際の振る舞いには、夏紀や卓也をして「あすかを連想させるものがあった」ということから、無自覚ないし無意識にせよ、あすかの持つリーダーとしての手腕に少なからず影響を受けている様子である。
部長への就任後、優子はあらゆる仕事を周囲にほとんど頼ることなくこなそうとしているが、その姿勢は彼女のあすかに対する意識によるものであることを夏紀や希美といった周りの部員たちに見透かされており、また、彼女自身もそのことを自覚している。(第二楽章前編、282~283ページ)
なお、優子を次期部長に指名したのはあすか自身であり、その理由として優子が「部長以外の役職につけない」ということを挙げている。これについては、良くも悪くもカリスマ性がありすぎ、トップ以外の場所に立つとトップが機能しなくなるという、「無自覚な部活クラッシャー」としての性質を優子が持っているためであるとあすかは述べている。(短編集2巻、98ページ)
小笠原晴香
吹奏楽部のひとつ上の先輩。バリトンサックス担当。
優子は晴香のことを「部長」「小笠原部長」と呼んでおり、一方、晴香は夏紀たちのことを「夏紀ちゃん」というようにちゃんづけで呼んでいるのに対して、優子については同級生と同様に「優子」と下の名前で呼び捨てにしていることから、両者の距離は近い様子。(なお、あすかたち同級生とのあいだで話題に上がった際には「吉川さん」と呼んでいる。※短編集2巻、96ページ)
また、あすかの退部騒動において部員たちが動揺した際、晴香が部員の前で自身の心情と決意を表明した際には、優子は後輩部員を代表して真っ先に動き、彼女なりの言葉で晴香をフォローして励ましている。(上記「田中あすかの退部騒動と小笠原晴香の覚悟(TVアニメ版2期7話)」の記事を参照)
もっとも、晴香は優子に関して晴香自身よりも部長という役職に適していることを認めつつも、優子の視野がいささか狭い点や自身が信じる正義にこだわり過ぎる点、そして周りが心配になるほど頑張り過ぎるところ等に不安を感じており、あすかとは対照的に優子を部長に就かせることに反対していた。(短編集2巻、96ページ)
長瀬梨子
チューバを担当する同級生で、高校に入ってからの友達。吹奏楽部の新入部員に対する楽器振り分けの日に、優子の方から声をかけてきたことが知り合ったきっかけである。(短編集1巻、125ページ)
初対面時における優子の梨子に対する印象は「美味しそう」であり、一方、初対面にも関わらず親しげに接してくる優子に対して梨子が抱いた印象は「変な子」。
現在では互いに友達と思っているが、梨子は自身と優子の親密度について、優子と夏紀のそれには及ばないものと考えている。
トランペットパートのメンバー一覧(原作第二楽章版)
※氏名や役職等判明分のみ
(なお、小日向夢の他に同パートには3名の1年生部員(氏名不詳)がいる。※第二楽章前編、376ページ)
関連イラスト
冬制服
夏制服
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
私服姿(あがた祭り)
Tシャツ姿(プール)
部屋着(合宿)