ミネバ・ラオ・ザビ
みねばらおざび
人物像
またザビ家唯一のニュータイプでもある。
その容姿は父親よりも母親であるゼナに近いが、生粋の武人であった父親譲りの気質は訓練された兵すらも圧倒するカリスマ性を持つ。
幼いながらもザビ家最後の血統としての重責を背負っている一方で、歳相応の少女としての一面も持ち合わせる。
身の安全のため一時的に行方不明となるも、ある事件を切っ掛けに、再び表舞台へと、凛々しく成長したその姿を晒す事となる。
来歴
一年戦争
一年戦争当時はまだ生まれたばかりの赤ん坊であり、父の手で母ゼナと共に陥落するソロモンから脱出させられ、ソロモンに救援として赴いていたマ・クベ艦隊に収容される。ドズルとの脱出直前の会話ではグラナダに向かったものとみられた。
一年戦争終盤にジオンの敗北が決定的となった際にアクシズ方面へ脱出、そこでザビ家最後の血統として兵士達の求心のシンボルとされるも、ハマーン・カーンによってアクシズの傀儡君主として育てられた。
グリプス戦役~第一次ネオジオン抗争・第二次ネオジオン抗争
グリプス戦役に於いてアクシズが地球圏へ帰還した際に、その姿を見たクワトロは「偏見の塊」に成長させられたと激昂。この為にアクシズ・エゥーゴ間の交渉は物別れに終わっている。
しかしこの際、ミネバ自身はシャアを「自分を一番わかってくれるような気がする」と慕っていた。また、ハマーンの目の届かない所では歳相応の感情を表している。
第一次ネオ・ジオン抗争時に於いても、アクシズから改称したネオ・ジオンの君主として奉られたものの、同期間において表舞台に姿を見せていたのは影武者であり、本人はシャアの手によって連れだされ、スイート・ウォーターに匿われていた。
その後、シャアと分かれた彼女はスベロア・ジンネマンと行動を共にし、ガランシェールで逃亡生活を送っていたとされている。
なお、ハマーンと分かれた後に非戦主義として育った為、結果として武力でジオンの再興を目指したハマーンの思想とは袂を分かつ形となった。
ラプラス事変
ネオ・ジオン残党軍『袖付き』ザビ派の筆頭として、既に多数の派閥で形成されている同軍の、最大派閥の一角を纏めあげるためのシンボルとして活動していた。軍組織内では「姫」、一般世間からは「殿下」の敬称が用いられている事から、その立場(ジオン軍残党という組織)の不安定さが垣間見られる。
しかし自らに残った影響力を鑑みて、ビスト財団が秘匿して来た『ラプラスの箱』によって引き起こされるであろう戦争を食い止めるべく、たった一人で『箱』の取引が行われるサイド4のスペースコロニー・インダストリアル7へと訪れる。
その場所においてバナージ・リンクスと運命的な出会いを果たし、様々な人の協力を得て『箱』の謎に迫った。
バナージとの出会いでは身分を偽り、オードリー・バーンの偽名を使って正体を隠すが、程なくして正体がダグザ・マックールにより露見させられた事で、連邦軍により人質として扱われる。その後彼女を慕うリディ・マーセナスの手によって地球へ逃げ延び、リディの父である連邦上院議員ローナン・マーセナスへ協力を乞うべく彼の下へ訪れる。
しかし、ローナンからは期待していた助力を得られないばかりか、政治的な駒としてマーセナス邸に軟禁される。その間、連邦の貴族社会においてアースノイドが抱くスペースノイドへの偏見を目の当たりにし、次第に自身の在り方を見失ってゆく。
失望の念を抱いたミネバは屋敷を飛び出し逃亡。その際に訪れたダイナーの老主人との会話を切っ掛けに弱腰になっていた自分の行いを悔い改め、課せられた運命と対峙する覚悟を決める。その直後にローナンの手の者によって身柄を拘束され、マーサ・ビスト・カーバインの下へと引き渡されるが、彼女を救出すべく行動したジンネマンやバナージ達によって救出され、再び宇宙へと上がる。
そして、バナージの乗るユニコーンガンダムが示したラプラスプログラムの最終座標点であるコロニービルダー「メガラニカ」へと向かうべくネェル・アーガマ隊、ガランシェール隊と共に待ち受ける袖付き艦隊を突破し、ついにメガラニカへと辿り着く。そこに待ち受けていたサイアム・ビストの口から「箱」の正体を伝え聞き、そこに込められた“祈り”を全世界の放送をジャックした電波に乗せ、『箱』の真実を公表するに至った。
この「ラプラス宣言」そのものの影響は非常に小さいものであり、結果的にスペースノイドの大多数が既にジオニズムとそれによって引き起こされた戦争から興味を失っていることが世に示され、宇宙世紀0100年のジオン共和国の自治権放棄を滞りなく行わせたと推察される。
つまり最終的には、祖父の政治的野心(あるいはジオン・ダイクンへの嫉妬)から始まったザビ家の罪に対して、禊を成したと言えるのかもしれない。
一連の騒動の後はメガラニカのビスト邸で生活している模様。
余談
上記の通り、スペースノイドの民権運動において極めて重要な位置に立つキャラクターであるが、『機動戦士ガンダムΖΖ』放映終了時(1987年)には「影武者を残して行方不明」という、(わざと)ぼかされた結末となり、非常に“使いやすい”状態で置かれていた。
このため、その後の1990年~2000年代におけるガンダムコンテンツの拡大において、様々な作家がifストーリーにミネバを用いて、オリジナルストーリーを展開させていった(『逆襲のギガンティス』、『ムーン・クライシス』などがファンの間では有名)。
これら作品については、本物か影武者か真相は有耶無耶になっていたが、ガンダムUC映像化によりサンライズ公式年表にミネバのメガラニカ演説が追加されたため、少なくとも影武者である事になった。