概要
ブラッドヴェインとはトライエース開発、スクウェア・エニックス販売のRPG『ヴァルキリープロファイル』に登場するボスキャラクター。
人語を話す二足歩行のドラゴンで、声にはエフェクトがかけられているため分かりづらいが、声優はブラムスと兼ね役で乃村健次。
最終決戦において主人公レナス・ヴァルキュリアたちに牙をむいてくる。
畏れ敬え! 我が名は、ブラッドヴェイン!
元は霧と氷の世界ニブルヘイムに棲んでおり、比類なき力を持つ四宝の一つ「魔剣レヴァンテイン」を呑みこみ腹中に宿す邪竜。四宝は各世界を守護するもので、魔剣レヴァンテインはニブルヘイムを司っている。
二足歩行で筋肉質な肉体を持つ緑色のドラゴンで、グラフィックの大きさ的にはレナスたちの2倍ほど。背中に背負う一対の翼は体躯に比べるとやや小振り。初登場時のブラッドヴェインはドット絵のため、人によっては六枚羽にも見えることもあるらしい。(その解釈では手前と奥の両方で小中大の3枚の羽が見えることになり少々不自然であろう)
見た目に違わぬ剛力に加え、絶大な魔力と高い知能を有しており、その怪力や口からの火炎放射、そして数々の魔法を駆使してあらゆる敵を捩じ伏せる。
自分こそ最強の存在と疑わず、人間はおろか神族すらも見下す傲慢な性格をしている。
訪れるラグナロクにおいてその戒めを放たれレナスたちと対峙する。
余談だが、「ニブルヘイムに棲む邪竜」という設定からもブラッドヴェインのモチーフになったのは北欧神話に登場する竜「ニーズヘッグ」である可能性が高い。
戦闘
闇の深淵にて重苦にもがき蠢く雷よ、彼の者に驟雨の如く打ちつけよ
分かりにくいイベント条件と封印値調正の果てにたどり着いたAエンディング(ベストエンド)ルートに立ちふさがる最大の難敵。
ラスダンの一本道のダンジョンの途中に登場する中ボス枠ではあるがナメてはいけない。とにかくAIのアルゴリズム(行動パターン)が鬼畜で、かなりレベルを上げても運ゲー要素が抜けない。攻略本でも「強さは、ヘタをすると最終ボス以上」と評されているほど。
以下強さを列挙すると、
- HP・防御力がやたらと高い。
- ドラゴン系の敵に絶大な威力を発揮する剣「ドラゴン・スレイヤー」の効果が通用しない。装備させた場合、ただの壊れやすい棒きれにしかならない。
- 物理攻撃も魔法攻撃も高威力。通常攻撃は食らうと高確率で気絶する。さらに火炎放射は全体攻撃な上に必中かつ4ヒットもする。
- 単発でも強力な攻撃を連続で使う「ブレスディスラプション(爪→火炎の連続攻撃)」「デスサンクション(前述の攻撃+魔法の3連続攻撃)」や、状態異常の追加効果を持つ全体攻撃「ディジーズテンペスト」といった特殊攻撃を持つ。
- 魔法も、状態異常のデパートである「プリズミック・ミサイル」に加え「ファイア・ランス」「イグニート・ジャベリン」と強力なものが揃う。
- この手のボスキャラに有るまじき回復魔法持ち(しかも80%回復、難易度Hardの場合なんとHPが177600も回復する)。
- そして、みんなのトラウマ大魔法「グラビティブレス」。
前半は火炎放射、HPが減ってきた後半ではグラビティブレスが特に厄介で、戦闘前にダメージを食らってやられても耐えられる装備や、復活用スキルの「Guts」(戦闘不能となるダメージを受けても一定確率で瀕死状態にとどめる)を設定しておかなかった場合は本気で泣きを見ることなる。
対策としては、「Guts」と自動で回復アイテムを使う「AutoItem」の修得、透明人間化して攻撃しない限り5ターンを凌げる「ルシッド・ポーション」を使って5ターンの間ひたすら味方をアイテムや呪文で強化してから攻撃するなど、とにかく事前の準備としっかりとした戦略を必要とする。
回復魔法の「キュア・プラムス」は10ターン毎に使用する為、この間に最大220000もあるHPを一気に削らなければならない。しかしそれはぶっちゃけ運である。
HPを30%まで減らすと今度はグラビティブレスを使い始め、全滅をGuts、AutoItem等で回避しながら残りの体力を削りきることになる。火、雷属性への耐性を高めておけば安定性は増す。
中ボスだからとアイテムの使用を渋る人が多いのが敗因の一つ。この後のもう1体の中ボスとラスボスにはアイテムを使用しなくても勝てる方法があるため、ここで使い切っても問題ない。
なお、ブラッドヴェインを倒すと前述の四宝「魔剣レヴァンテイン」が入手できる。
Bエンドルートの場合はダンジョンの奥まった位置で待ち構える隠しボス的な存在であり、戦闘は任意で回避も可能。
しかし、Aエンドルートの場合は一本道ダンジョンという構造上戦闘は必須で、ラスボスまでに立ち塞がる2体の中ボスの一戦目として登場する。このため初見殺しでみんなのトラウマというトラウマの塊と化す。
この邪竜が倒せずにラストダンジョンで途方に暮れたプレイヤーは数知れない。
ちなみに2番手であるフェンリルは、見た目通り氷属性の攻撃を多用し火属性を弱点とするため初見でも対策を取りやすい。さらにこちらはボスキャラにも関わらず特定武器を使えば通常攻撃1発で蒸発するという不遇極まりない扱いを受けている。ブラッドヴェインにはドラゴン・スレイヤー効かないのに…
一応、特殊攻撃の「フロストベイト」は強力なのだが、そもそも攻撃がブラッドヴェインに比べると弱いので普通に戦ってもそこまで強いとは感じないだろう。
また最終ボスについても能力的にはブラッドヴェインよりも強力なのだが、Aエンドルートの総仕上げともいうべきドラマ展開の中での戦闘であり、イベント戦闘のようなものなのでブラッドヴェインよりも苦戦はしない。
形式的ラスボスとまでは言えないにしろ2体のボスを倒してきたパーティが苦戦を覚える相手ではない。その最大の要因はラスボス戦中にレナスの武器がレヴァンテインの攻撃力2200に対して攻撃力6000+決め技ラストに爆発のオマケ付きという尋常ならざる性能の「神剣グランス・リヴァイバー」に変化すること。たとえレベルが足りなくとも、レナスの決め技を中心に戦えばブラッドヴェインのように苦労することはないだろう。
亜種
ブラッドヴェインの同型色違いのエネミーとして「ドラゴンタイラント」が、クリア後のエクストラダンジョン「セラフィックゲート」において登場する。体色は赤茶系。大魔法以外では喋らない。
ステータスは強化され、キュア・プラムスやグラビティブレスを始めとする使用する技も共通、さらには雑魚扱いなので1度に2体同時に出現することもあるといった極めて凶悪な存在である。
しかしキャラクター、装備、プレイヤースキルの向上したパーティにとっては苦戦する強敵ではあってもオリジナルのブラッドヴェインほどの衝撃はない。また他のボスと同型エネミーがレアアイテムをドロップする中、ドラゴンタイラントのそれは貴重でもなく、多くの場合戦闘が割に合わないとして「ディメンジョン・スリップ」(敵との接触を回避する装備品)で戦闘を回避される。
腕試しとしては悪くない相手かもしれない。
メディアミックス
梅村崇のノベライズでは下巻『アスガルド諍乱』にて登場する。
ゲームのイメージとは異なるが、大きな翼をもつ翼竜と描写され飛行する場面も多い。
強力な爪と全てを粉砕する顎を持ち、口からは触れたものを空間ごと消滅させる冥界の炎を吐く。
ラグナロクにおいてフェンリルとともにヴァン神族の大軍勢の先頭を進み、アース神族軍と激突する。
ガルド砦近郊での戦いでは四宝の一つ「光弓シルヴァンボウ」を用いるウルと相対し、シルヴァンボウを噛み砕いたうえでウルを消滅させている。
その後ヴァルハラに現れたレナスらの前にも立ち塞がり激戦を繰り広げる。レナス、アリューゼ、メルティーナを大いに苦しめるが最期はウルにつけられた傷をアリューゼに突かれ討たれている。またブラッドヴェインに剣を砕かれたレナスはその亡骸からレヴァンテインを回収している。
四宝は四宝でしか対抗できないとの設定を活かしシルヴァンボウの助力を得てブラッドヴェインを倒しているのが特徴的。なお、相棒のフェンリルはトールやチュールを倒す活躍を見せてはいるが、レナスら相手の戦闘ではレヴァンテインの試し切りのごとくあっさり斬り伏せられている。
土方悠のコミカライズでも登場しているが、終盤の展開は急ぎ足であり登場シーンは少ない。また人語を発している描写がない。
邪龍ブラッドヴェインとして氷狼フェンリルとともにロキの子供と紹介されている。
原作通りスルトの前に現れたのちアスガルドへの攻撃に参加している。ただ戦闘描写はない。
ラグナロク勃発後、ヴァルハラを進むレナスの前にブラムスが現れ、それに対しアリューゼ(とジェラード)がその相手を引き受ける。ブラッドヴェインはここに両者の共通の敵として現れ、対峙していたアリューゼとブラムスは一時休戦し共闘する。
登場シーンとしてはこの程度で魔剣レヴァンテインも登場しない。
外部出演
スクウェア・エニックスのスマホゲーム『ファイナルファンタジーレジェンズ2』において、同社のスマホゲーム『ヴァルキリーアナトミア』とのコラボイベントにてイベントボスとしてブラッドヴェインは起用されている。
2017年4月10日15:00から4月16日23:59に開催されたコラボイベント第一弾「戦乙女レナス」にて敵として登場し、倒すことで収集アイテムをドロップした。グラビティブレスやキュアプラムスも再現されている。
なおコラボイベント開催時点では、『ヴァルキリーアナトミア』自体にブラッドヴェインは登場していない。