曖昧回避
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概要
ACEとは、近畿日本鉄道の所有する汎用型特急専用車両の愛称。名前の由来は、「エースカー」と呼ばれていた10400・11400系の置き換え用車両であったことからという説があり、「ACE」という3文字のアルファベットにはAdvanced(進化した),Confortable(快適な),Common(汎用の),Easy-operation(容易な操作),Express(特急・急行)の頭文字からとっていると思われる。
「ACE」には22000系グループと22600系グループの二つが存在し、一般的に、前者は「ACE(エースまたはエーシーイー)」、後者は「Ace(エース)」とつづる。
4両固定編成、2両固定編成の2種類が用意され、2両編成~10両編成の各組成に対応している。電気指令式ブレーキ方式を採用したが、在来の電磁直通式ブレーキの特急形車両との分割併合に対応させたことから、ブレーキ読替装置を搭載している。またこの場合は、併結相手の性能上の都合から最高速度が130km/hから120km/hに落とされる。
ビスタカーの10000系以来親しまれてきた近鉄特急の橙+紺の塗装は、2015年から新たに設定された黄色+白に金帯のものに変更されており、「ACE」22000系についてはリニューアル工事と同時に塗装変更をすすめている。
車両
22000系「ACE」
10400系・11400系「エースカー」の置き換えを目的に1992年に運行開始。1994年までに4両編成15本・2両編成13本の計86両が製造された。近鉄の特急形車両で初めてVVVFインバーター制御方式を採用しており、GTO素子を本系列では搭載している。近鉄大阪線西青山~東青山間の新青山トンネル内22.8‰上り勾配においても、均衡速度130km/hでの走行が可能なように、登場当初から全電動車方式とした。
2015年より新塗装化及びリニューアル工事を開始。乗り心地向上のための座席交換や、車内照明・行先表示器のLED化、バリアフリータイプのトイレの多目的化(※4両編成のみ。2両編成は当初から非対応)、喫煙室の設置などの改造が行われた。なお、GTO素子のVVVFインバーター制御方式は変更されていない。
16400系「ACE」
狭軌路線である南大阪・吉野線向けとして、1996年に2両編成2本が製造された。サービス向上を目的に16000系の初期2編成を置き換えている(※この初期2編成はのち大井川鐵道へ移籍)。
吉野特急は2両編成単独での運行が基本であるため設計変更が行われた。22000系2両編成とは異なりバリアフリー対応で、ドアの配置も変更されている。IGBT素子使用のVVVFインバータ制御が本系列で初採用され、また路線規格の都合から吉野方先頭車を電動車・大阪阿部野橋方先頭車を制御付随車とした「1M1T」方式をとっている。
22000系よりも先に2編成ともリニューアル工事が2015年に実施された。のちの22000系リニューアル車とは異なり、26000系「さくらライナー」と同等の内装に仕上げている。22000系とは異なり行先表示器のLED化は行われなかったことから、2018年に実施された新塗装化の際には、外観でも22000系との違いがはっきりしている。
22600系
12200系「スナックカー」のうちの初期グループの置き換えを目的に2009年に運行開始。2010年までに4両編成2本・2両編成12本の計32両が製造された。22000系をベースとした流線型の車体をもつ。この車両フォルムから「スズメバチ」と呼ばれることも。
2002年製造の21020系「アーバンライナーnext」から電動機出力が向上されたため、本系列は機器類やインテリアについて21020系と同一のものを採用した。IGBT素子のVVVFインバータ制御方式で、編成の半分が電動車(「1M1T」または「2M2T」)。
前頭部左右の窓の上部にはHID型の前照灯をそれぞれ2個ずつ搭載しているほか、車掌台側の窓の下部には赤色と白色の表示ができるフルカラーLED方式の行先表示装置を、客室側窓上には3色LEDの行先表示装置を設けている。また、種別標識灯・尾灯は通勤車シリーズ21と同様、車体前面底辺と排障器との間に装備した。座席間隔は22000系では1,000mmであったが、当系列では21020系と同等の1,050mmに拡大されている。
2014年からは近鉄特急の阪神電気鉄道乗り入れが「団体列車」の形で開始されることになり、22601・22602・22651・22652編成計12両が阪神乗り入れ改造を受けている。
16600系「Ace」
狭軌路線である南大阪・吉野線向けとして、2010年に2両編成2本が製造された。サービス向上を目的に16000系の2編成を置き換えている。
吉野特急は2両編成単独での運行が基本であるため、16400系と同様設計変更が行われている。また路線規格の都合から機器類は通勤車シリーズ21の6820系と同等のものが搭載された。IGBT素子使用のVVVFインバータ制御。
運用
- 22000系・22600系は共通運用を組んでおり、近鉄特急が走っている標準軌区間であればどこでも見ることができる。
- 16400系・16600系は在籍両数としては少数派であるが、両者の所属する南大阪・吉野線は、特急形車両が合計29両しか在籍していないので、滅多に見られないレベルではない。
エースカー
ACEファミリーの車両愛称名の元となったとされる、すでに全車退役した近鉄特急汎用車。
近鉄の看板である名阪ノンストップこそビスタカーが登場して華やかになったが、名阪乙特急や伊勢志摩方面への観光特急などには依然、ツリ駆け駆動の2200系などが現役という状態であり、その刷新を迫られていた。
そこで登場したのが、ビスタカーのようにある程度まとまった単位で運用するのではなく、2Mユニット基準で編成を自在に長短できる10400系エースカーである。
エースカーの愛称の由来はポーカーでストレートを組むときに“A・2・3・4・5”でも、“10・J・Q・K・A”でも成立するということから、事実上名阪ノンストップ専用車のビスタカーに対し、冗長性のある車両としてトランプのエースに由来している。
このことから22000系・16400系を3代目、22600系・16600系を4代目ととらえる場合がある。
当代ACE同様、乙特急用として生み出された初代エースカー10400系だったが、その直後に東海道新幹線が開業、名阪ノンストップの乗客は激減し、従来の定数だった10100系ビスタII世2重連では収容力がありすぎるため、ビスタII世3連接1ユニットにエースカーを付け加えて定員を調整することになり、思わぬ形で名阪ノンストップにも進出することになった。
しかし特徴的なビスタカーがフラットカーのエースカーと手を組む姿はビスタカーだけの編成とはまた違った趣があり、VistaとAceの組み合わせであることからVA編成と呼ばれ親しまれた。
10400系
現役時の通称は旧エースカー。前面の構造などはビスタII世の貫通型構造を引き継いでいた。制御機・主電動機も当初はビスタII世と同じで電動機出力125kW。
当初は採用した冷房装置が能力不足で、固定式窓のため夏場は車内の不快指数が上がり乗客から不評を買った。この為、11400系登場後早々に更新改造が行われ、冷房装置や制御機・主電動機を11400系と統一している。また、前面構造は12000系スナックカーなどで採用された「ヒゲ」種別・行先表示付の構造に改造された。
11400系
現役時の通称は新エースカー。前面の構造は一新され、腰部にフォグランプと一体になった尾灯を装備し、貫通扉に電光式の種別・行先表示機を装備した。
10400系の反省からビスタカー由来のセパレート式エアコンをやめ、オーソドックスな分散型ユニットクーラーを搭載し冷房の能力を強化した。
また主電動機と主制御機も改良が加えられ、電動機出力は145kWに向上した。
この為、名阪ノンストップにエースカーの電動車が入ると荷重出力比が良くなり、青山峠越えが楽になると乗務員からは好評だった。
番外編・16000系
吉野特急向けに開発された南大阪線・吉野線向けの特急形車両。近鉄側は公式の愛称を与えてはいないが(部内で「吉野特急車」と呼んだことはあるらしい)、一部ファンからは「吉野エース」の名で呼ばれていた。
⇒16000系の記事を参照