概要
小説『機動戦士ガンダムUC』11巻のエピソード『不死鳥狩り』を初出とする存在。
魂が集うフィールドとして
『不死鳥狩り』で全体と繋がったニュータイプのヨナ・バシュタのモノローグによれば、宇宙世紀の人間はこの世に産まれ、寿命を全うし、死ぬ(肉体を捨てる)と全体へと還る。全体はこの循環運動を繰り返している。 全ての人間が高次の存在となって刻を見られるその日が来るまで千年、万年、億年の時間がかかるかもしれないが、それは全体にとっては見渡せる刻の積層でしかないという。
『機動戦士ガンダムNT』では全体と繋がってモノローグをするキャラがいないのでミシェル・ルオが立てた仮説という形で説明される。彼女曰く「宇宙世紀の人間は宇宙世紀の人間は死ぬと魂(エネルギー体)となり、認識の及ばない高次元にある魂が集うフィールドに行く。」
ニュータイプは生きたまま、魂から発する未知のエネルギーを操って現実に働きかける者で、サイコミュは時に魂のエネルギーを集め物理的なエネルギーに変換してモビルスーツに作用させる装置。
サイコフレームは全体と繋がって時を操る力を引き出す媒体である。
集合精神として
死者の魂が全体の中へ還っても、人間としての自我は個々で残っている。ただし姿・形は接触する生者のイメージに依存するようで、ヨナ・バシュタが幼馴染のリタ・ベルナルと世界の界面(現世とあの世との境界)で再会した際にはヨナの持っている記憶が反映されて、リタは幼少期の姿をしていた。
全体の一部となって出てきた人物
リタ・ベルナル
U.C.0095、地球連邦軍とアナハイム・エレクトロニクスとの合同評価試験に強化人間として参加したリタは、搭乗機体ユニコーンガンダム3号機フェネクスのリミッターを外された事で試験中に死亡。全体の一部になった。フェネクスの全身がサイコフレームで出来ていた為、彼女の魂はフェネクスに憑依、機体が彼女の肉体となった。
イアゴ・ハーカナ
U.C.0096、袖付きのヤクト・ドーガをコアとした不完全なネオ・ジオングとの戦闘で機体を操られ、止む無く味方のヨナ・バシュタに自分を討つよう命令したイアゴは死亡。全体の一部となった。
『機動戦士ガンダムNT』では、死亡せずイアゴは全体の一部とならなかった。
行動目的
『不死鳥狩り』では、全体の一部となったリタ・ベルナルの魂がユニコーンガンダム3号機フェネクスを肉体として、フル・フロンタルの手にネオ・ジオングが渡り、準備の出来ていない人類に刻を見せてしまう前に破壊しようとしていた。
『機動戦士ガンダムNT』ではほぼ同様の理由でフェネクスは行動しており、フロンタルの死後、地球連邦軍に接収されていた試作機Ⅱネオ・ジオングを破壊するため、ヨナに助けを求めた。
全体の性質
フルサイコフレームの機体に魂を移す
サイコフレームが人の意思を集積する金属だからか、全身がサイコフレームで出来たいわゆるフル・サイコフレーム機体を全体は依代とする事が出来る。『不死鳥狩り』および『機動戦士ガンダムNT』ではユニコーンガンダム3号機フェネクスにリタ・ベルナルの魂が乗り移っている。
フェネクスは『不死鳥狩り』では半年間、『機動戦士ガンダムNT』では約2年間無補給で活動した。また、『不死鳥狩り』ではバズーカよりも速いと形容されたスピードは、『機動戦士ガンダムNT』ではビーム光より速い、時には光速だとも表現された。
既知
他人の既知の伝播
『不死鳥狩り』でヨナはフェネクスの近くにいた影響で、誰のものかも分からぬ他者の魂の既知が自分の既知と同化して、本来ならば知りえない対象の情報を獲得し、短期間でパイロットしての技術も向上した。
可視化された刻を見る
『機動戦士ガンダムUC』のEP7で、ネオ・ジオングのサイコシャードによって、フル・フロンタルはバナージ・リンクスに一年戦争時代の映像を刻として垣間見せた。『不死鳥狩り』ではヨナが既知にアクセスし可視化された刻を通して、リタの過去の映像を視た。これらの事からニュータイプは、既知へアクセスすることで過去の映像を視ているらしい。
この世ならざる知識の引き出し
『機動戦士ガンダムNT』では、フル・フロンタルがこの世ならざる知識でネオ・ジオングを造り上げたとの噂が袖付き内で流れていた。サイコシャードによって過去と未来の映像を可視化した事を考えれば、全体の中には、死者の生前の記憶だけでなくあらゆる知識が蓄積されたアカシックレコード的な側面を持っているとも言える。
関連動画
『機動戦士ガンダムNT』×『機動戦士ガンダムオンライン』 コラボレーション対談 #02
上記の動画の27:05~29:45
機動戦士ガンダムUCと機動戦士ガンダムNTの作者福井晴敏で、大まかに全体の概念を解説した。
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