概要
「我はアークと申す。騎士などではなく、ただの傭兵よ」
MMORPGをプレイ中に寝落ちしてしまい、目が覚めると自分が操作するゲームキャラの姿で異世界に放り出されていた。
身長2m強、体重180kg強(書籍3巻、巻末のプロフィールより)。
『アーク』の名は自身がプレイしているゲームキャラの名前であり、本名や素性は不明。しかし作中の独白から、おそらく引き籠りの廃人ゲーマーと思われる。
職業は彼が元の世界でプレイしていたMMORPGでの最上級職『天騎士』。サブ職業は『教皇』。
全身は天騎士専用装備『ベレヌスの聖鎧シリーズ』という白銀の全身鎧で覆われており、一見すれば立派な神話騎士に見える。
しかし、その鎧の下は全身骨格の骸骨姿であり、どう見てもモンスターにしか見えないその見た目せいで、人前で不用意に鎧を脱げない苦悩に陥ってる。
故に、できるだけ目立たずに暮らす事を決意している。
骸骨姿なのは、異世界転移前にプレイしたゲームにて自分のアバターを有料コンテンツである『全身骨格』にしたためである。
web版によると、コウモリだけが知っているヒーローを意識して骸骨姿にしたらしい。
尤も、ゲーム仲間からは全身鎧着てるから意味がないと言われており、アーク自身も異世界転移後に川の水を飲もうとして兜を脱ぐまで失念していた。
そもそもあのヒーローは頭が骸骨なだけで、首から下は骨ではないことに気付くのは、外見を変えた後だった……。
骸骨姿の影響なのか義憤や悲観、動揺といった大きな感情変化を伴わず、相手の命を奪う事に躊躇いはない(一応、自分のオーバーキルすぎる攻撃に反省する面もある)
しかし、エルフ族や獣人が感じる事ができるアンデッドの気配や穢れはなく、最初は鎧の下の姿を見た彼女達に驚かれたもののすぐに受け入れられた(尤も混乱を避けるため、アークが骸骨姿なのを知っているのは一部の者達だけだが)。
そんなおぞましい見た目や高い能力に反して、性格はドジでお茶目でマイペースで天然。(当り前だが)かなり人間臭い。
そして正義感が強い模様で、目の前の悪事や困った人達を見逃せずついつい助けてしまう。正体がバレないための謙虚な姿勢もあってか、無意識に周囲の好感度を上げる事も多い。
その一方、盗賊や悪党から金品や装備を奪うなどちゃっかりした一面もある(尤も、これは異世界生活する中で先立つものがなければならないという現実的な考えからの行動である)
口調は自身がプレイ中に使っていた『聖騎士の資格を得たものの、呪いで姿を骸骨へと変えられて、その呪いを解く方法を探して各地を放浪する旅人、四十代前半のナイスガイな武人』という設定を基づいて演じている。
元の世界でロールプレイ中に自分で台詞を喋りながらキーボードを打ち込んでいたので、違和感なく演じる事ができると自画自賛していた(とはいっても、作中アークの演技に気付く者は今のところいない)。
ただし、異世界に初めて来た時やビックリした時などは思わず素になる事もある。また、地の文の独白は普通の若者言葉である。コミック版では周囲に他人がいない時は素の喋り方になる。
サブカルチャーに明るいのかよく独白で物事に対してアニメ・映画・漫画を引き合いに出し、逃げる盗賊を追いかける際にテンションが上がって「何処へ行こうというのかね!?」と口走ったり、ポンタを治療する際に「ほら、怖くないぞ」と囁いたりしている。
うっかり者の一面があり、初めてエルフを見かけた際は思わず転移魔法で相手の後ろに回り込んで話しかけてしまうなど、迂闊な行動を取る事も多い。そして方向音痴の気がある。
その一方で冷静沈着な一面もあり、激情する仲間を宥めたり、言葉を選んで相手と交渉する等、頭の回転も早い模様。
異性に対する興味はあるが、自分の正体やそれによる感情抑制のせいかあまり表に出さない。
しかし、扇状的な格好の女性に目のやり場に困ったり、モブや悪党のゲスな欲情に心中で『わからなくもない』と少なからず同意したりと、決して枯れている訳ではない。
アリアンに偶にセクハラ発言し、彼女を怒らせる事もある(彼女の照れ隠しもあるかもしれないが)
また、戦闘能力以外にも意外に高性能な一面もあり、観察眼も優れ、会話から相手の考えや敵の思惑を推理する勘の鋭さを持つ。
ちなみに骸骨姿ではあるが食事や睡眠する事はできる。
舌が無いにも拘わらず味覚を感じ、食べたものはどこかへと消えていき、その行方はアーク自身もわからない(アーク曰く、四次元胃袋)。
胃袋が無い影響かいくらでも食べられるが、暫く何も食べなくても問題はないらしい。
しかし、骸骨姿なので公の場で食事できないので、主に宿屋の自室か路地裏などのひと気のない場所で食事する。
なお、寝ている間にポンタが肋骨の中に潜り込まれていた事があり、アークが余計に自分の身体に混乱する羽目になった。
元の世界で長い間1人暮らししていたためか、意外にも料理に対する造詣が深い。
調味料を一から自作する程の凝りようで、アラビアータや鶏の照り焼き、焼き鳥などを披露しており、エルフ族や刃心一族の面々も絶賛する程の腕前。
アーク自身も食に対する探究心が高く、異世界にトマトやトウガラシがある事を知った時にはわざわざ遠出しようとし、アリアンが拒否したクラーケンも迷う事無く実食した。
お風呂大好き日本人のさがか風呂に対する熱意は高く、ララトイアの街に風呂があった事を知った時にはかなり食いついた。
絵心もあり、独白によると元の世界では何度か展覧会に出品されていたらしい。しかし本人は『素人に毛が生えた程度』と称しており、何時頃の出来事だったか自分より絵が上手いと思っていたクラスメイトを差し置いて展示会に出品され、申し訳ない気持ちになったとの事。
異世界転生早々に盗賊に襲われた貴族ルビエルテ家のお嬢様ローレンとその侍女リタを救い、ルビエルテの街で傭兵に就職する。
各地を転々しながら盗賊やモンスターを討伐する中、綿毛狐のポンタとダークエルフのアリアン、そして獣人のチヨメと出会い、アリアンに雇われて奴隷として囚われたエルフの解放に協力する事になる。
戦闘能力
レベルカンストしているためか戦闘能力は高く、盗賊相手なら一撃で瞬殺できるほど。素手でも人間の頭部くらいなら易々と粉砕できる。
ベレヌスの聖鎧のお陰で防御力も高く、骸骨の身体なので鎧の隙間を狙った刺突攻撃はほとんど効果が無い。……ちなみに異世界において初めてのダメージは、寝ぼけて木の上から落下した時。
敵が仕掛けた罠を真正面から粉砕して迫る姿は、もはや悪党が気の毒になるレベル。しかも本人がノリノリだから始末に悪い。
その強さ故にゴエモンと初対面から意気投合し、書籍版では共に行動する事が多くなっているため連携技を編み出すほど息ピッタリになっている。
また、天騎士を含め、天騎士に就職するためにこれまで転職した全10種の職業のスキルや魔法を使用できる(召喚士、聖騎士、教皇、魔導師、騎士、司教、魔法士、戦士、僧侶)
しかし元々のゲームでは他の職業のスキルは他の職業では使えないらしく、アークはこれを「ゲームではなく現実なら覚えた技能は転職しても使えなくなるわけじゃない」と考えている(柔道家がボクシングに転向しても柔道の技が使えない訳ではないのと同じ)
これによりゲームでは浪漫だけの天騎士でも、右も左もわからない異世界で充分戦えるようになっている。
物語の舞台となる異世界では珍しいが、魔法を詠唱無しで打てる。
しかし、大技には流石に多少のインターバルが必要の模様。
しかし、高いステータスや強力なスキルを使えると言っても、それは彼の身体となっているゲームキャラの恩恵であり、アーク本人(プレイヤー)は戦闘とは無縁な一般人=素人である。
そのため、グレニスのような達人クラスが相手だと、戦闘経験皆無なところを突かれて苦戦しやすい。……というより、一方的に惨敗してしまう。『スキルをフルに活用すれば勝てる』と思われそうだが、龍王戦の様に高いステータスと豊富なスキルを持ってしても勝てる訳ではない。
アークもこの弱点を自覚しており、戦い方を学ぶためグレニスやアリアンと何度か手合せしている。
また、ここまで凄い戦闘能力を有しているが、書籍1巻の盗賊相手の初戦では転移魔法による不意打ちを行っている。
これは前述の戦闘経験皆無なことに加え、『ゲームの様に問題なく戦えればいいが、そうでなかったらこっちがやられるかもしれない』という御尤もな考えがあっての事である。まあ、杞憂に終わったが。
要するに、一言で言えば戦闘経験が少ないがチートクラスな身体能力とスキルを有し、それらにものを言わせた歩く理不尽。
身も蓋もなく言うなら歩くMAP兵器。
装備
ベレヌスの聖鎧
頭、胴、腕、腰、足の計五種類から構成される鎧。
光と火の加護を受けて対応する属性攻撃を半減、一定時間ごとの体力回復、防御力強化、攻撃力強化といった補助効果を持つ壊れ性能を持っている。
ただし、如何せん目立ちやすいため潜入に向かない。
夜天の外套
鎧と共に纏っている、夜の闇を彷彿させる漆黒のマント。
闇の加護を受けて対応する属性攻撃を減少させる効果と、一定時間ごとの魔力回復機能を付いている。
そのため、調子に乗って大技を連発しない限り魔力切れにならないと思われる。
潜入の際はこれを全身に被る。
テウタテスの天盾
高い防御力に加え、レベル分の数値を全て状態異常耐性に付加という性能持ち。
薬草採取クエストの際には、これでジャイアント・バジリスクの石化攻撃から依頼人の少女を庇っている。
聖雷の剣(カラドボルグ)
高い攻撃力を誇り、敏捷力上昇効果を持つ両手剣。
アークは天騎士の職業アビリティのお陰で、これを片手で振るう事ができる。
付与された戦技は、蒼い雷を纏う様に、通常の倍以上の長さの閃光の刀身を発生させる。アーク曰く、ライトセイバーモード。
主な使用スキル
- 飛竜斬(ワイバーンスラッシュ)
中級職『騎士』のスキル。
剣閃を飛ばし、近・中距離の敵を両断する。
その威力は、試しに繰り出したら大木を両断してしまった程。
- 火炎(ファイヤ)
基本職『魔法士』のスキル。
右手から火炎放射器の如く炎を出す。
この魔法は異世界では一般的な魔法らしいが、アークのそれは威力が高すぎて料理などには向かない。
- 転移門(ゲート)
中級職『魔導師』の補助魔法スキル。
ゲームでは訪れた事のある街へ瞬時に移動する。要するに屋内でも使えるルーラ。
異世界においては自分の記憶内でイメージできる場所へ転移するというものになっている。
記憶に依存するため、印象的な場所でないと転移できないという欠点を持つ。そのため5巻からは転移先をスケッチして記録するようにしている。
エルフ及び獣人解放の際は、これでエルフや獣人達を安全に転移させ、一度来た場所へ遠出する際にも使用する。
コミック版では初使用の際、危うく崖から転落しかけた。
- 次元歩行(ディメンションムーブ)
魔法士の補助魔法スキル。
転移門と違い、こちらはゲームでは任意の場所にタップする事でその場所にワープするもの。序盤では敵の範囲攻撃や包囲網からの回避に使用されてたそうだが、中盤以降は範囲攻撃が全画面になってしまったため死にスキルと化してるらしい。
異世界では目視できる距離にワープする短距離転移魔法になっている。
これにより道中の移動の短縮化、及び敵の背後に転移しての不意打ち、敵地潜入などに使用される。
しかし、視界に依存するため、夜中や森の中といった視界が限られる場所では使えない。
逆に施錠された扉を鍵穴から向こうの部屋の様子を観察し、次元歩行で飛び越えるという応用法がある。
- 審判の剣(ジャッジメント)
上級職『聖騎士』の戦技スキル。
遠距離単体の魔法攻撃で、剣を振り下ろし、敵の足元に魔法陣を出現させ、そこから天に向かって巨大な光の剣を突き出す。
中級スキルだが、異世界においては軍出撃レベルのジャイアントバジリスクを一撃で葬るほどの威力を誇る。
- 治癒(ヒール)
基本職『僧侶』の初期回復魔術。
アークはあまりダメージを負わない為、怪我をした仲間や一般人に対して使われる。
骸骨姿にも拘わらず回復魔法を使える事によりアリアンにアンデッドではないと看破され、彼女と信頼関係を結ぶきっかけの1つとなっている。
- 鎧ラリアット
書籍、及びコミック版のみの技。Web版では出てこない。厳密にはスキルでも魔法でもない。
その名の通り、鎧の身体でラリアットを繰り出して相手の首をへし折る。
コミック版では喰らった相手は星になった。
- 抗呪式(アンチカーズ)
中級職『司教』の解呪魔法。
アイテムやステータスの呪い属性を解く。
囚われたエルフの首に付けられた喰魔の首輪をこれで外した。
ちなみに、自身に対して使うと部分的だが一時的に肉体を得たものの、すぐに骨の身体に戻ってしまった(その事により、ロールプレイのつもりだった呪われた身体が事実であると確信できた)。
上級職『教皇』の魔法スキルに神聖浄化(ホーリーピュリファイ)があり、こちらは呪い解除に加えてアンデッドに大ダメージを与える事ができる。
- 再生復活(リジェネイティブ)
教皇の蘇生魔法。
死者を生命力全快で蘇生させる魔法。ただし、激しく損傷した死体や毒で死んだ者は蘇生できない。
これでユリアーナ王女とその側近の一部を蘇生させ、図らずもセクト王子の陰謀をぶっ潰した。
しかし、死ぬ運命だった王女を蘇生したことで自分は重大なことを仕出かしたのではないか、と流石に思い悩んだが……結局、何も無かったと忘れる事にした。
もう一つ、司教の蘇生魔法で蘇生復活(リニメイション)と言うものがあり、こちらは死んだ相手を生命力を一割弱で蘇生させる。だがアークは、現実に一割回復させて復活させても瀕死ですぐに死んでしまうと考え、こちらはあまり使用しない。
- 強打盾(シールドバッシュ)
基本職『戦士』の初歩的な戦技スキル。
盾を持って相手を打ち据えるだけの技だが、アークの場合、神話級の盾とレベルカンストの身体能力のため当たると相手の身体があらぬ方向に曲がる。
- 召喚
上級職『召喚士』のスキル。
異界から召喚獣を呼び出して戦わせる。
ただし、召喚獣は自動で戦う為コントロールできず、効果時間はたったの数分。
- 炎獄魔人(イフリート)
アークが異世界にて最初に召喚した召喚獣。初期から召喚できる召喚獣らしい。
物理攻撃が主体で、炎属性単体魔法を操る。
……だが、ヒュドラとの戦いでは何故か暴走し、ヒルク教の教会諸共ヒュドラを爆発四散させた。
異世界においては、罪咎のある者を地獄の業火にくべる獄卒と、古い伝承で伝えられてる模様。その結果、ヒルク教はレブラン皇帝によってライブニッツァ領での信仰を失墜されてしまう。
- 執行者(エクスキューショナー)焰源の熾天使(ミカエル)
天騎士の四つのスキルの内の一つ。鎧を纏った巨大な天使を召喚し、融合する事で超強力な焔属性の戦技を使用できるようになる、というもの。アークによると、他の三つのスキルも同じようなものらしい。
レベルカンストしたアークでも魔力の三分の一を消費し、その行使時間は5分、おまけに再び使えるには半日かかるという非効率なスキルである。
……しかし実際は憑依している間、肉体と精神に凄まじいまでの負荷がかかる。5分しか使えないのではなく5分以上はアークの身体と精神が持たないという危険なものであった。そして、アークが熾天使を操るのではなく、どっちかというと熾天使にアークが操られる様である。
とはいえ、そのデメリットも納得な程に使用できる権能はどれも凄まじく、国をも滅ぼしかねない程のアンデッドの軍勢を一瞬の内に塵に還す。……というか、このスキルを発動した余波で周囲三百メートル以内にいたアンデッド達を消し飛んだ。
なお、アンデッドの軍勢に攻め込まれたノーザン王国の人々がこのスキルを目撃した途端、王と兵士達の指揮が向上、絶望していた民達は希望を取り戻し、アンデッドを攻め込ませた黒幕は怒りのあまり醜態をさらし、後にアーク達の手で成敗された。
余談だが、後でアークは仲間から『もう二度と使うな(意訳)』と釘を刺された。
他にも、作中で様々なスキルを使用している。
本作において
骸骨姿がバレない様に目立たず活動する事を信念に置いているが、本人に自覚は無いものの、彼が動く度に悪党共の策謀が尽く崩れていく。
悪党共にとっては気の毒だが、アークにとってはあくまでも善意やうっかりから来た行動である。
例:
ルビエルテ子爵への揺さぶりのために、悪徳貴族がジャイアントバジリスクを2匹放つ
↓
偶然、とある依頼で森の中に来ていたアークがその内の1匹と遭遇、瞬殺する
↓
結果、ジャイアントバジリスクの討伐に向かった兵士の被害が激減し、悪徳貴族の目論みが破綻する
セクト王子の刺客が、ユリアーナ王女の命を奪う
↓
偶然そこへ、アークによって親玉を討たれたホーンデッドウルフの襲撃を受けてしまい、刺客達は王女の遺品をあまり回収できないまま退却を余儀なくされる
↓
結果、その間に通りかかったアークによって王女達を蘇生されてしまい、セクト王子の目論みが失敗に終わる
ヒルク教国がアンデッドを使役し、密かに魔晶石の回収させる
↓
偶然、戦闘における事故で、アーク達がその現場へ迷い込む
↓
結果、魔晶石を回収していた船が爆破・轟沈してしまう
尤も、これらは悪党側が『自身の計画を過信して、邪魔や横槍を念頭に置いていない』事にも原因がある。
本作において悪党が何かを企み、成功を過信して高を括るのは死亡フラグである。
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ネタバレ
書籍4巻にて、今まで人間に捕らわれていたエルフ達の救出を助けてくれた報酬として、龍冠樹(ロードクラウン)の傍にあるという『あらゆる呪いを解く効果があるという泉』の場所を教えてもらう。
トラブルから龍王ウィリアースフィムと一戦を交える事になったが何とか和解し、例の泉……というより温泉を見つけ、早速浸かったが……
何と全身骨格に変更する前に彼自身が設定していたアラビア系の褐色肌で長めの黒髪、真紅の瞳を持ち、顎に無精髭を生やした筋肉質なエルフの姿になっていた(本作のダークエルフは我々のイメージと異なり、薄紫の肌で耳がエルフより少々短いというものである)。
だが、それもつかの間、突如として異世界転移してから今まで抑圧されていた憤怒、憎悪、恐怖、悔恨や嫌悪といった負の感情が自らの心に押し寄せて来た結果、六日間意識を失ってしまう。
ちなみに、アッチの方は本来の姿の1.5倍との事。
ウィリアースフィムの見立てによると、アークの『呪い』には感情の起伏を抑制する効果があったようで、温泉の力で肉体を得た(全身骨格から、ダークエルフ風のアバターに戻される)事により、今まで押しとどめられていた感情が反動となって戻り、結果としてその負担に耐えられずに気絶したと推察されている。
つまり、定期的に肉体を得る習慣をつけ、感情による負荷を出来る限り抑えなければ、やがて取り返しのつかない事になる。アークの場合、転移してから1ヶ月も満たなかったため気絶程度で済んだのだ。
ちなみに、龍冠樹の温泉は飲んでも同じ効果を得られるので、以降アークは兜を脱がなければならない場面に出くわした時、汲んできた温泉を飲んでダークエルフ風の姿になる様にしている。
一方で、生身の状態では感情の起伏が戦闘行動にも表れてしまい、戦闘に支障をきたすという弱点も露見した。対してアークは『骸骨姿のままで戦っても成長しない』と考え、弱点を克服する為に肉体を得た状態での戦闘訓練も視野に入れている。
その後、グレニスから南の大陸にトマトがあると聞き、そこへ向かう為の交易船に乗るためにララトイアの里に所属する事を決意し、以降『アーク・ララトイア』と名乗る様になる。
その為、ララトイアの里へ里変えして苗字をララトイアに変えたアリアン(本人曰く、アークのお目付け役としての異動との事だが、真意は不明)と夫婦と誤認されてしまうというハプニングに出くわす(エルフ族では苗字を所属している里の名前にするという風習がある)。
……爆ぜろ。