概要
Windows xp(ウィンドウズ エックスピー)とはMicrosoftが2001年に発表したWindowsシリーズのOS。Windows2000/WindowsMeの後継。
「xp」は商標名で、正式なバージョンはWindows NT Ver5.1。
以前は、業務用であるWindowsNTと家庭用であるWindows9xが並行開発・販売される状態が続いていたが、Microsoftにとっては大きな負担であった。
また、9x系は構造上、システムリソースを起こしやすくなっており、特にMeはクラッシュが多発するなど、限界が見え始めていた。
そこでMicrosoftは、かつてNT系と9x系の統合を試みたWindows2000をベースに、Meの機能を取り込む形で拡張されたのがWindowsXPである。このOSの成功により、NT系と9x系の統合がなされ、マイクロソフトは長年の懸案であった 9x系の終息をなすことができた。
本バージョンの登場時期は、ブロードバンドインターネットの普及期に当たる。そのため、インターネットを通じてコンピュータウイルスなどの悪意のあるソフトウェアや、不正アクセスもかつてない規模で蔓延し、その多くがWindows固有の脆弱性を標的にしていた。当時のWindowsにはセキュリティ対策ソフトの導入は必須と言われ、って言うか今も必須だよ。
(一応Vista以降にはWindowsDefenderが標準でついてくるが)
また、これが原因でセキュリティに関する従業員のトレーニングやSP2の開発が必要になってしまい、次期OSのリリースが大幅に遅れてしまった。
2007年にようやく登場した後継のWindowsVistaも、高機能なGPUを要求し当時のローエンドのパソコンでは満足に動かなかったため、Windows7が登場するまでXPが実に10年近くもの間パソコンOSの事実上の主力として君臨。当時、延長サポートの対象外だったHomeEdition・MediaCenterEditionも延長サポートの対象とされ、XPのサポートは2014年4月9日まで継続された。一般消費者のPC向けOSのサポートが12年半も続くのは極めて異例のことであり、Windowsの中では3番目に長いサポート期間となった(1番長いのはWindows1.0で16年、2番目に長いのはWindows2.0で14年)。
Microsoftの公式サポート終了後も、スタンドアローン(ネットに接続しない)で使用されていることがある。但し、例えネット接続していなくとも、USBメモリ経由などであっという間に感染するので注意(これはウィルス防護の仕組みが後発のOSよりも根本的に劣るのが大きな理由)。用途によっては、Linuxをインストールすることでマシン自体を再利用することもできる(必要なデータは事前に別のマシンへ必ず移しておくこと)。
XPは「経験、体験」を意味する eXPerience に由来する。開発時のコードネームは Whistler(ウィスラー)と呼ばれていた。
Pixivでは「OSたん」、「OS娘」、「擬人化」タグなどと一緒に付けられることが多い。
種類
主に以下の3種類が日本国内では広く使われた。
Home Edition
一般家庭での使用を前提とした物で基本的な機能を使用可能。イメージカラーはグリーン。
Professional
上級ユーザーあるいはビジネスでの利用を想定したHome Editionの上位に位置するタイプ。ファイルシステムの暗号化など高度なセキュリティ機能を備えている他、リモートデスクトップのホスト機能などを備える。イメージカラーはブルー。
Embedded
組み込み用途向けエディション。専用の構築ツールを利用することで必要なOSの機能をカスタマイズでき、搭載製品の構成や用途に応じたOSパッケージの作成が可能。なお通常のパソコンにインストールすることも出来ないわけではないが、非常に手間がかかる上、入手も難しいので個人用パソコンで使うことはまず無い。但しOSのファイルサイズは非常に小さい。
Home、Professionalのサポートは既に終了しているが、こちらEmbeddedはサポートが継続されているのでアーケードゲームの基板、POSシステム、ワンマン運転用運賃表示モニターなどで今も広く使われている。
旧OSからのアップグレード
WindowsXPのアップグレード対象は、WindowsNT4.0・Windows98(SE含む)・WindowsMe・Windows2000である。
但し、HomeEditionへは98・Meからしか出来ない。
また、Windows95は対象外なのでセットアップすら起動せず、CDから起動する必要があるが、パッケージによっては95からセットアップを起動し、新規インストール出来るものもある。
98・Meからアップグレードした場合、アンインストールして旧OSに戻すことが出来る。
アップグレード版を使用して新規インストールする場合、途中でアップグレード認証が必要なので、上記のアップグレード対象のCD(通常版・アップグレード版問わず)を用意する必要がある。
なお、上記の対象OS以外にも、WindowsNT3.51・Windows95のCDも使える。アップグレード認証とはなんだったのか…。
ちなみにアップグレード認証には、Windows95CompanionCDやWindows98SecondEditionUpdateCDなどといった格安CDも使用できる。
新OSへのアップグレード
WindowsXPからは、WindowsVista※1・Windows7※1・Windows8※2にアップグレードすることが出来る。
但し、7へは新規インストールしか出来ないので注意。
9x系からXPアップグレードした環境をVista以降にアップグレードすると、9x系の環境は削除されるので注意(システムファイルを強制的に9x系非対応のNTFSに変換されるため)。
どのOSにアップグレードしてもアンインストールしてXPに戻すことは出来ないので注意。
※1…SP2を適用する必要がある。
※2…SP3を適用する必要がある。
余談
実は64bit版(Windows XP Professional x64 Edition)もあったが、OEMとDSP版だけで一般向けには販売されず、当時のパソコンの性能では32bit版でもこと足りたことと、互換性にも問題があったため、あまり広くは使われなかった。
セキュリティ面の懸案からMacintoshにユーザーを奪われた、という言説もあるが、当時Appleが「それまでのMacOS」からやはり後継として送り出した「Mac OS X」は所謂「UNIXの系譜」であるため悪意あるユーザーからのクラッキングには大して強くない上、CPUをPowerPCからx86に変更したため結局その脆弱性をWindowsと共有してしまった。この為Microsoftが揺れるほどのシェア逸走は起こしていない。
(と言うか、実はAppleの筆頭株主がMicrosoft創業者のビル・ゲイツである。これは日本の独占禁止法に当たるアンチトラスト法逃れの為とされている)
WindowsXP停滞の原因はぶっちゃけハードウェアにある。32bitの命令セットのCPUベースでは4GBを超える量のメモリを認識できず、またストレージの容量も1論理ドライブあたり4TBが頭打ちとなり、これらの理由で新OSを必要としなかったのである。
この為MicrosoftはIntelに対してブチ切れる。ハードウェアの停滞をもたらしていたものがIntelの執拗な「x86脱却」だったためである。しかしIntelの新世代64bit命令セットアーキテクチャはどれも致命的な問題を抱えていた。そこへAMDがx86の拡張版であるx86-64(x64、AMD64)を発表し、安定した性能を見せたためMicrosoftはIntelに対し、自社製品のx86-64以外でのアーキテクチャでの開発の中止を通告、Intelの寡占を覆せるほどではないとは言え、Microsoftの後ろ盾を得たAMDは躍進した。
XPは、Microsoft Plus!が発売された最後のOSでもある。
近年はインターネットダウンロードで何とかなってしまうので、仕方ないが…。
XPは2014年4月9日にサポートが終了したが、今でも利用者が多いためか、深刻な脆弱性が見つかると例外的に更新プログラムが提供される。
今のところ例外的に提供されたのは、2014年4月26日・2017年5月15日・2019年5月14日の3回。
擬人化
関連タグ
Microsoft/マイクロソフト Windows XP OS
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