『元気とユーモアのない社会に未来はないと私は思っている』
『真に賢しい敵は闇に潜む』
プロフィール
冷静沈着・頭脳明晰! 未来を見通すブレーン!!
オールマイトの元相棒!! 未来を変える為に"抗う"
―――僕のヒーローアカデミア 公式キャラクターブック2 Ultra Analysisより
概要
オールマイトの元サイドキック。オールマイトによれば、当時サイドキックを取るつもりはなかったが、熱意で根負けさせ自身を雇わせた。現在は独立し、サイドキック2名とインターン生1名で事務所を運営する。
オールマイトに憧れ、髪にメッシュを入れる。一見細身な体格だが、その身体は非常に鍛え上げられ、サポートアイテムに「超質押印」という1個5kgの印鑑型投擲道具を複数持ち歩く。印鑑型なのは自らの姿に合わせたユーモアで、左手にストックして右手で投げる。
人物
自分にも他人にも厳しく、ストイックな仕事ぶりが有名。その鋭い眼差しは、モニター越しでも見る者をゾワッとさせるほど。
その一方で、仕事においては元気とユーモアを最も尊重していると語り、生真面目な性格から、事務所内ではユーモア第一のルールを徹底している。サイドキックには「報告は元気に一息で」と指示したり、それを守れなかった者を『TICKLE HELL』と書かれた強制拘束くすぐりマシンで笑わせるといったギャグ漫画さながらのシュールな一面も。
コンビを組む以前からオールマイトの重度のファンだったようで、事務所内には多くのオールマイトグッズが置かれている。その収集の徹底ぶりは、ヒーローオタクの緑谷も舌を巻くほどである。
彼の前でクオリティの低いオールマイトのモノマネでもしようものなら、ユーモアのカケラもない顔でブチ切れられることになる。
コスチューム
白(もしくは薄いグレー)を基調とした金ボタンのシングルスーツに、白いワイシャツ、赤地に白抜き水玉模様のネクタイというデザイン。
サイドキック時代は黒のシングルスーツ、黄色のネクタイを着用していた。
多くのヒーローが、自らの個性の補強・補完をヒーローコスチュームに求めるのに対し、彼の個性は目を使用するものであるためか、そういった要素は衣服には見られない。
一見してヒーローには見えず、一般のビジネスマンといった出で立ちである。
異形型個性の登場で「普通の外見」の範疇が大きく広がった作中世界においては、この外見はなおのこと目立たないようで、バブルガールからは「今日もまた地味ですねオイ!」と言われていた。
作者コメントでは、オールマイトがアメリカンなイメージなので、相棒たる彼はジャパニーズなイメージにしたとのこと。
※イメージです。
サポートアイテムに『超質量印』という印鑑型の投擲武器を複数持ち歩く。印鑑型にしてるのは自らの姿に合わせるユーモア。左手にストックして右手で投げる。なんと小型サイズでありながら1個5kg!
当然ながらそんな代物を携帯、使用する本人の筋力も並ではなく、作中では投擲により巨漢を一撃で吹き飛ばしている。
相澤の言うように、「一芸だけでヒーローは務まらない」ということがよく分かる。
活躍
ナイトアイ事務所の経営を行いながら、サイドキックにバブルガール、センチピーダーを雇用し、通形ミリオのインターンを引き受けている。
オールマイトが無個性の緑谷を継承者に選んだことは、あまり快く思っていない。そのため、自身は根津校長が候補として見出していたミリオの育成に着手する。
ミリオの紹介を通じて緑谷が、インターンを申し込んできた際も「雇うメリットがない」と言うが、無理難題な採用試験を受けさせる。試験自体は不合格だったが受け入れてもらえることになった。
緑谷のインターン申し入れを受諾した際にも、終始彼の未熟さを知らしめる厳しい言葉をかけている。
ただ、緑谷のヒーローとしての資質を1から10まで否定しているわけではなく、彼への評価が辛辣なのは、あくまでも緑谷を次世代のオールマイト(平和の象徴)として見ているため。
また、本人の見ていない場面では、緑谷のことを「自分の理解できなかったオールマイトの狂気によく似ている」とも語っており、突き放すような態度で接しつつも、あくまでもオールマイトの意志を尊重しようとする姿勢も見られる。
当時、指定敵団体「死穢八斎會」の若頭・オーバーホールを追っており、ファットガム、リューキュウらプロヒーローに協力依頼し、違法薬物の製造・販売の事実を突き止めたため警察と共に死穢八斎會潜入捜査を敢行する。
八斎會構成員らの激しい抵抗にあうも、オーバーホールの元にたどり着き交戦するが左腕切断、腹部に大穴を開けられる重症を負った彼は戦闘終了後、最寄りの病院へと緊急搬送された。しかし時すでに遅く、生きているのが不思議なほどの怪我に、病院側やリカバリーガールも打つ手は無かった。怪我さえも無かったことにできる個性を持つ壊理も個性が制御できない上、奪還後発熱し眠りについたままだったため頼りにすることはできなかった。
上司の今際の際にあってバブルガールが自己判断でオールマイトに連絡したことで、彼らはコンビを解消してから実に6年ぶりに元相棒との直接の再会を果たした。
そこで「緑谷が治崎に敗れる」予知を覆したのを見たサーは、死に際に自身の予知へのひとつの仮説を語る。
それは『自分の望む未来のヴィジョンを強く持つこと』『複数人でその一つの未来を望むこと』。
それが未来を動かすエネルギーとなり、多くの人々が同じ未来を望み、集約することで、自身の変えられない未来予知をも覆せるというものだった。「オールマイトの死」という未来を変えるべく足掻き続け、そこに一筋の光明を見出した彼の顔は安らかだった。
そして重症を押して駆けつけたミリオに対して、サーは師としての最後の言葉を残す。
最初は『器』として引き入れたつもりが、いつしか彼自身の誇りとなっていた一番弟子。サーはミリオに対して予知を発動した。
『おまえは…誰より立派なヒーローになっている…
この…未来だけは…変えては…いけないな だから 笑っていろ
元気とユーモアのない社会に 明るい未来は やって来ない』
そう自身の弟子に未来を託し、彼は享年38歳という若さでこの世を去って行った。
過去
オールマイトがNo.1ヒーローであった当時、5年ほどブレインとしてサイドキックを務めた経歴を持つ。しかし作中6年前にオールマイトの行く末を巡り対立し、コンビを解消。以来、オールマイトとは疎遠となっている。
オールマイトの話によれば、当時サイドキックを取るつもりはなかったオールマイトにその熱意で根負けさせ、サイドキックとして自身を雇わせたという。
ブレイン的なサイドキックという役割から、事件解決後の事後処理や、他ヒーローや警察との提携、更にはオール・フォー・ワンの捜索などの、対外的な事務を引き受けていたと思われる。
彼が活動を共にしていたのは、オールマイトがオール・フォー・ワンと対決するまでの全盛期にあたる期間であったため、その仕事量もすさまじいものだっただろう。
スピンオフ作品『ヴィジランテ』では、その一端が描かれている。
事件とあらば突発的に動いてしまうオールマイトは、その都度大量の申請書類を作らねばならず、その処理を一手に引き受けていたのがサーであった。
コンビ解消後、サーが抜けたことで、オールマイト事務所の事務処理能力はガタ落ちしてしまい、オールマイトは一時非常に困窮したという。
個性
個性は『予知』。
一時間の間その人物の取りうる行動を先に"見る"ことができる。
対象人物の一部に触れ、目線を合わせることで発動する。条件は社外秘。
対象人物のすぐ近くの視点から撮ったカメラのフィルムのような形式で、対象の未来の行動を見ることができる。数分後から数年先まで見通すことができるが、遠い未来になるほど時間的なブレが大きくなりいつ起きるか把握できない。一度発動すれば再使用に24時間のインターバルが必要。
対処済みの未来を見る
サーが対象の人物の近くにいる場合、その未来を見たサーが、その事象に対応した未来が見える。
緑谷の採用試験では彼の未来を予知、自身が完全に緑谷の動きに対応した未来を見ることで室内を縦横無尽に動き回る緑谷の攻勢を避け切って見せた。
捉え方によっては、その人の未来をサーにとって都合よく修正できる個性とも言える。
情報源として有能
調査型の個性でもあり、サーはこの個性を使って女児用玩具を購入する死穢八斎會の下っ端の未来を把握。それによって一般には知られてなかった死穢八斎會の地下施設の存在やその入り口の場所・入る方法、果ては捜索対象の少女の居る部屋まで捜査してみせた。
しかし対象が個人、そして24時間のインターバルの関係上、無闇に使うと大事な情報を逃す場合もあるというギャンブルめいた側面もある。 サーは誰が未来がどんな情報を持っているか、ある程度把握してから使うようにしているようだ。
また、この個性の副産物として、未来を見続けた彼は相手の動きの予測に非常に長けており、個性を使わずとも敵の動きを読むことで、あたかも「未来が見えているかのような」戦い方をすることができる。
再修正不可!?確定する未来
傍目には強力極まりない個性であるが、サー自身にとっては、それと同時に限りなく無力な個性でもある。
彼の予知の的中率は100%。情報源としては有難いが、それはつまり、彼はこれまで一度として自分の予知した未来を曲げることができていないということをも意味している。
サーが見た未来に対して修正を加えようとしても、長くて数分の後、帳尻を合わせるような内容の別のフィルムが差し挟まれ、元の流れへと戻されてしまうらしい。
つまり
A → B → C
という流れの未来に対してBをDに変更しようとしても、それを修正する流れ-Dが挟まれ
A → D → -D → B → C
と修正される。つまりB → Cの未来は一切変わらない。
以上の結果と、とある人物の見てはいけない未来を見てしまった彼は、それを原因として強力なこの個性を、確信のダメ押しや最後の手段といった限定的な使用に留めている。
他者の不幸を予知してもそれを回避することはできず、戦闘で勝つことができない相手は、例え予知を駆使しても絶対に勝つことができない。サー自身はこの現象を「予知することによって、未来を確定してしまう」と自責的に解釈している。
必殺技
- 押印
余談
- 14巻裏表紙にて、彼の黒髪に白メッシュ(もしくは部分白髪)だと思われていた髪型は、実は緑髪に金メッシュだったことが明らかになっている。おそらく金髪で2本の立ち上がった前髪が特徴的なオールマイトを意識した髪型なのではと察せられるが、眉の色も金(ついでに眼鏡の色も金)であるため、金色の地毛を緑に染めているのではという可能性も考えられる。