「もう少しで…俺の『夢』が…」
演:山本耕史
概要
「息子」である幼き日の或人とともに平和な時間を過ごしていたが、突如起こった謎の大規模な事故(または事件)デイブレイクで発生した爆炎から或人を身を挺して守り「死亡」(命日:新2007年12月2日)。同時にバックアップも消滅しており、その後復元はされていない。
穏やかな物腰で、自分を笑わせようとする或人を「面白いな」と笑って褒めてみせる優しい「父親」だったが、AIであるゆえか『心から笑う』ことが出来なかった。
その点に関しては「何度やっても結果は同じ」といささか突き放した態度だったが、幼い或人はそれを不満に思って「この『父』をいつか絶対笑わせる」という誓いを立てており、それが後に彼がお笑い芸人を目指すきっかけとなった。
また、或人を助けた後「夢に向かって飛べ」という言葉を遺しており、「夢」に向かって邁進する或人の人格形成の一端になったと思われる。(また、この言葉が或人自身が歩む路において重要なファクターとなっている)加えてバックアップが消滅して復元できなかったことが、或人に「ヒューマギアはただの機械ではなく人間と同じ生命」という価値観を抱かせる大きな要因となった。
遺言からシンギュラリティに目覚めているのでは…?という意見もあるが不明。
モデルとなった亡き父親
作中の回想や劇場版に登場した其雄は、或人の亡き父親の姿と性格を再現したヒューマギアとして製造されている。
或人の実父である本物の其雄は、第15話にて或人が生まれて間もない新1997年7月7日に死亡していた事が判明。彼の妻であり或人の母親だと思われる飛電嘉乃も同日に死亡している。
或人が活躍する現代では『人工知能特別法』により故人に似せたヒューマギアを本人の許可なく作ることは違法となっている。其雄の遺言に従って製造はされたのか、その辺りの経緯に関しては不明。
考察
作中における現代(新2019年)のヒューマギアは耳のパーツ同士が目立ちにくい黒いバンドで接続されているが、彼の装備するヒューマギアモジュールは白くヘッドホンのようなやや太めのバンドで接続されており、耳のパーツの形状も異なるなど、ヒューマギアの中でも初期型であることが伺える。
余談
演じる山本氏は、特撮ドラマの出演は本作が初ではあるが、アニメーション作品への出演経験もあり、『明日のナージャ』ではラファエル、『プリキュアオールスターズみんなで歌う♪奇跡の魔法!』ではトラウーマを演じている。
更に山本氏は特撮俳優が多く出ている大河ドラマ・真田丸にて石田三成として出演しており、特撮に出演した俳優が増えることとなった。
過去作品では、主人公側の父親や兄などの親族と意見の相違で対立し戦うというケースが多かったが、本作でも息子である或人との戦いが劇場版で実現される形となった。ただ、映画を見ればわかる通り、今までの親族争いとは別の意味で一線を画している。その活躍は是非映画を見てもらいたい。
関連タグ
マーシャ/絹島ミチルの父:人間の子供を親代わりとして育てていたアンドロイド繋り。
アーサーG6:アンドロイド形態ではないロボットだが、子供の親代わりをしていた。
日向恭太郎:作品のメインライターが共通すると共に、主人公の命を救った恩人であることも共通。
劇場版にて
フィーニスの介入によりアナザーゼロワンが誕生し、歴史が改変された2020年の世界で暗躍。
タイムジャッカー・フィーニスによりアナザーゼロワンの力を得たウィルが社長である飛電インテリジェンスに属していたが、現状を受け入れているわけでもなく独自の立ち位置で動いていた。
ゼロワンへの変身が出来なくなった或人に滅亡迅雷フォースライザーを渡し、「夢を忘れずに戦え。戦わなければ人類は滅亡する」と忠告した。
その後、或人はジオウ達と合流し、歴史改変そのものを阻止すべくタイムマジーンで新2007年12月2日に移動。ヒューマギア製造工場で暴走した素体たちとの乱戦になるが、そこに変身した状態で出現。
001を圧倒し、さらにジオウ達をも高速移動で翻弄するというとんでもない強さを見せ、一体のヒューマギアを正常に戻した。
さらにそののち、アークの打ち上げ自体を阻止すべく発射施設にやって来た或人だが、そこでウィルと対峙する其雄と遭遇する。
ウィルはいつまで経ってもヒューマギアが人間の道具扱いであり、その位置を脱せないことを不満に思っており、アナザーライダーの力で是之助を抹殺、飛電を乗っ取り歴史を変えると言い放つ。
だが其雄はそれを否定し、未来から来た息子を前に語る。
ウィル「アークは打ち上がる…私が歴史を変えるからな。私が飛電インテリジェンスを乗っ取り、ヒューマギアが笑える世界を作る!」
其雄「そんな世界では或人は笑えない。俺の夢は……俺が笑い、或人が笑う世界だ。だから力が必要だったんだ。ヒューマギアも人間も守る―――“仮面ライダー”の力が」
そう告げて仮面ライダー1型に変身、001となった或人と共にアナザーゼロワンとなったウィルと激突するがアークの打ち上げ阻止には失敗。アークの意志を受けて暴走状態に陥り、或人を抹殺すべく襲い掛かる。
「アークの……意思のままに」
「俺を越えない限り、お前が夢を見る未来は来ない!」
さらにその直後、アナザー1号が乱入して来たことで撥ね飛ばされた或人にトドメを刺そうとするが、仮面ライダーゲイツの横槍で失敗、2020年に帰還するのを見送った。
そして改変された2020年において、飛電インテリジェンスに乗り込んだ或人の前に出現。2020年の時代ではある目的のために再び或人と激突。高速移動対決を優勢のまま運ぶが、
或人「叶えて見せる……俺の夢を! 父さんを止められるのはただ一人! 俺だ!!」
信念を糧に奮起した001に押し返され、ライダーパンチの押し合いで競り負けたところで互いに跳躍、最終的にライダーキックの打ち合いになるも、
「もう大丈夫だ……或人」
その呟きと共に激突に打ち負け、変身解除された。
戦いの後、満身創痍の其雄は或人に真意を語る。
実はアークのハッキングの影響を受けておらず、自分の意志で1型として戦っていたのだ。
父との別れに涙する或人に、飛電インテリジェンスから奪回したゼロワンドライバーを手渡し、
「それでいい、或人。夢に向かって……跳べ」
或人「父さん、アークにハッキングされた振りなんかを……何で……?」
「お前に気付いてほしかった。お前は、誰の後継者でもない……お前自身の夢に向かって跳ぶ、“新時代の1号”であることを」
そして今まで見せなかった心からの笑顔を見せる。
「不思議な……気分だ……」
或人「父さん……!父さん……!!父さん……」
その言葉を最後に、其雄は機能を停止。
イズ「―――或人様の夢である笑顔を、一つ検出しました」
シェスタ「緊急動議が可決しました。飛電インテリジェンスの社長に、飛電或人を任命します」
その後、ゼロワンの力を取り戻した或人は、ソウゴと共にフィーニスを撃破。
アナザー新1号の消滅と共に歴史が修正されたことにより、其雄も「アークの打ち上げを阻止して機能を停止した」という正しい状態に戻り、ロッキングホッパーゼツメライズキーと共に消滅していった。