概要
型式番号AMX-011。ネオ・ジオン軍の汎用攻撃型重モビルスーツ。
ジオン系モビルスーツの始祖たる傑作機『ザクⅡ』の後継機の1つで、アクシズへと逃亡したジオン系技術者がハイザックをザクⅡの正当な後継機とは認めず、本機の開発へと踏み切ったという逸話を持つ。
汎用性の面ではザクを標榜するだけのものがあり、各部のラッチを介して多種多様なオプションを装備することによって任務に応じた機能特化が可能。同時期に開発されたドーベン・ウルフが固定兵装の強化と準サイコミュの採用等、野心的な設計なのに対し、本機は原型機の汎用性を時代に合わせて昇華させているのが特徴である。
また、推進系統が大幅に強化されており、その出力はシロッコ専用機として開発されたあの『ジ・O』をも上回り、第四世代モビルスーツに匹敵するスペックを持つ。このため、名前こそザクを名乗るが、機体特性はむしろ初代ザクと主力機の座を争ったかのゴーストファイターに近い。
アクシズの技術者達が威信をかけてまで開発しただけの性能はあったのだが、先述の通り試作機の完成がドーベン・ウルフと同時期であり、本機は汎用性に優れるものの、火力及び推力において劣っていたとされる。このため人材資源の乏しさから単機の性能を重視せざるをえなかったネオ・ジオンは、次期主力機のコンペで本機を敗北としている(皮肉にも、ドーベン・ウルフはガンダムタイプをベースとした機体であった)。
しかしながら既に第一次ネオ・ジオン抗争末期であったため、実質同数以上が生産されて戦線に投入されており、ラカン・ダカランが灰色に塗装された機体をダブリンで使用している他、一部の機体が第二次ネオ・ジオン抗争後にネオ・ジオン残党袖付きにて運用されている。
なお、第二次ネオ・ジオン抗争ではアクシズの工廠を失った新世ネオ・ジオンがアナハイム・エレクトロニクスにマラサイを元としたギラ・ドーガを発注・使用しているため、ザクの名を冠する機体の系統はオールズモビル戦役でのRFザクが登場するまで途絶える事になる。
武装
設定上、オプション装備は多く開発されていたようだが、シリーズを通して本機が登場する作品が少ない事もあり、どのような装備があったのか全容はわかっていない。
腰部ビーム・キャノン
フロントアーマー下部に内装されたビーム砲。砲身はビーム・サーベルの柄を兼ねている。
発射時は上方に引き起こされ、展開したグリップによって安定した射撃が可能となる。
劇中ではメインの射撃武装として活躍した。
ビーム・サーベル
格闘用ビーム兵装。
ビーム・キャノンの砲身を兼ねており、使用時はフロントアーマーからポップアップする。
また、右肩部シールドにも一般的な形状のサーベルを二本装備している(シールドにはサーベルの他、クラッカー等を収納出来た)。
劇中ではこちらを使用し、キャノン兼用サーベルは未使用。
顎部メガ粒子砲
ザク系MS特有の顎部インテークに設置されたビーム砲。出力はあまり高くないため、主に近接戦時の奇襲用に役立つと思われる。
ビーム・ライフル
携行型ビーム・ライフル。
当初は専用のものを装備する予定だったが、開発が遅れたためR・ジャジャが使用していた銃剣付きのものを代用した。
劇中では腰部ビーム・キャノンがメインの射撃武装となり、携行自体していない。
関連イラスト
バリエーション
ザクⅢ改
型式番号AMX-011S。
ザクⅢの改修機の内の一つ。詳細はザクⅢ改を参照。
ザクⅢ後期型
型式番号AMX-011C。
ザクⅢの発展機の内の一つ。詳細はザクⅢ後期型を参照。
ザクⅢR型
型式番号不明。
宇宙世紀90年台に於ける火星独立ジオン軍(マーズ・ジオン)の主力機。アクシズから入手した設計データをベースに火星プラントで開発した機体である。
実戦経験のない新兵へのジオン兵としての意識の植え付けと士気高揚を狙ってザクⅡに近い機体シルエットに纏められている。
一方でマーズ・ジオンと対立するレジオンはティターンズから接収したハイザックを主力機としており、両組織が軍事的・思想的背景に対照的となっている事を暗に物語っている。
ザクⅢR-G型
型式番号AMX-011RG。
ザクⅢR型の陸戦仕様。
火星重力下での運用を想定し、空間戦闘用の装備が排除されている。
ザクⅢ強行偵察型
型式番号AMX-011EW。
アクシズと火星独立ジオン軍が共同開発したザクⅢの偵察仕様。
ザク強行偵察型に準じた改修が施されており、機体各部にデータ収集用のカメラを増設している他、バックパックにはルッグンと同規格の大型レドームを二基装備する。
宇宙・地上双方での運用が可能な汎用性を持つが、レジオン制圧下の火星ではデッドウェイトとなるレドームを排除し、陸戦で使用された。
ザクⅢ袖付き仕様
第二次ネオ・ジオン戦争後、ネオ・ジオン残党「袖付き」に降った機体。
機体カラー自体は白を主体としたカラーリングのままであるが、腕部にはその所属を示す「袖」を巻く。
機体は独自の改修も施されており、フロントアーマーはサブアームユニットに、左肩のショルダーアーマーはハイド・ポンプ投下機に換装されている他、ギラ・ドーガ用ビーム・マシンガンも携行する。
ガンプラ
通常版のザクⅢが1/144スケールの『ZZ』放送当時の旧キット及びHGUCがザクⅢ改のリデコとして発売されている。
初期BB戦士ではドダイ改のセットが発売(後にザクⅢ改がリデコで発売)。元祖SDガンダムでも発売されている等、商品化には恵まれている。
なお、放送当時のCMではザクⅢが量産機のごとく登場している。