花ヨメゾンビさん
あんでぃのよめ
概ィ…要ォォ…
課題(クエスト)「UMA スポイルの捕獲」で、アメリカ西部の田舎・ロンギングを訪れた「アンディ・出雲風子・シェン」の一行が出会った、まだ『心』は腐ってない女ゾンビ。
未確認現象を検証するためアンディは、腹部に受けたUMA・スポイルの「人をゾンビ化させるタイマー」が0(ゼロ)になるまで待ち、女ゾンビと同じゾンビ化現象を身に受ける。
不死者の彼は右半身が腐敗し常に体が再生する状態となった。そして半分は腐乱死体(ゾンビ)となった事で、それまで「あ゛―」しか発しない女ゾンビの言葉・ゾンビ語(!?)が分かるようになり、話を聞くことができた。
「女ゾンビ=彼女」は課題対象「UMA スポイル」の居場所を教える条件として、彼女の「結婚式を挙げたい」望みを叶えるため花婿役を承知したアンディと町の教会で式を挙げるのだった。
彼女が夢だったウェディングドレスを着せてもらって―
※以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます。本誌派以外の者(コミックでこれからを楽しみにしている人達)は閲覧注意。
あ゛ あ゛りが…
生前の彼女はロンギングにある『SUN_FLOWER_NURSERY(ヒマワリ保育園)』で保育士をしていた。
一週間前、突然町の中心部に「UMA スポイル」が現れた場面を園児達と目撃しており、その直後に「人のゾンビ化現象」に遭遇してしまう。彼女達も含め町人達の腹部に「人をゾンビ化させるタイマー」が浮かび、大人から次々と腐乱死体(ゾンビ)になっていった。その光景を目の当たりにし、保育士の彼女は園児達を守りながら町の地下シェルターへ避難させた。しかし、その時点で彼女の右半身はゾンビ化が進行しており、最後の時間が差し迫っていた…
" 非常食もあるね 皆しばらくここにいて!! "
それでも彼女は子ども達の身を案じ地下シェルターへ匿った。子ども達の一人が「先生は?」と、彼女を心配するが、当人は地上から迷いのない言葉を返す。
" 先生は大丈夫!! "
" かっこいいダンナみつけて 式挙げるまで絶対死なないから!! "
" いいみんな!! 辛くなったら将来の夢を考えなさい!! 夢があれば 腐ったりなんかしないから!! "
" じゃあね "
それが彼女の最後の言葉だった。
ヒマワリのロゴがあるエプロン姿に長髪を1つ結びにした彼女は、腰に手をあて自分の大好きな花のように太陽へ向かって成長するように真っ直ぐ立って告げ、晴れやかな笑顔を最後にシェルターの蓋を閉めた…
「彼女=先生」の言葉を子ども達は誠実に守った。
まだ幼い自分達には、将来の夢を考える術(すべ)が「声に出して語る」だったのだろう。
彼女が子ども達に贈った言葉は、現在の絶望によって心も腐らないようにいつわりの言葉だったのかもしれない。しかし、結果は希望となって真の効果を現したのだった。
それはUMA・スポイルの「人をゾンビ化させるタイマー」が減っても回避する方法でもあった。夢を語り「心を腐らせない」という意思を見せることで減ったカウントを増やす事が出来るのだった。
それから一週間、
地下シェルターでは子ども達は「人をゾンビ化させるタイマー」が減るたびに夢を語りあい―
地上ではゾンビ化した町人達が、保育士の彼女のように自我を僅かに保つ者も〝腐敗で体が蝕まれても死ぬことができない苦しみ〟に苛まれ―
それが組織(ユニオン)が来るまでの出来事だった…。
『SUN_FLOWER_NURSERY(ヒマワリ保育園)』のケンから、一週間前に起きた出来事と「人をゾンビ化させるタイマー」の対処法を聞き出した風子(ヒロイン)。因みに同行していた組織の否定者(ひていしゃ:世界の理(ルール)を否定する超能力者)・シェンは彼女らの近くにいながらそっぽを向いて話を聞いていた。これは興味がないからではなく彼自身のある事情で、風子達の会話を邪魔しないようにとった態度と思われる。
その時、地下シェルターにいた彼女達は地下まで届く轟音と揺れに驚く。一行が地上に出るとアンディがゾンビと共闘して、巨大なバケモノ姿のUMA・スポイルと激戦を繰り広げる凄まじい光景があった。
アンディは風子達に気づくと、守りながら抱えていた花ヨメ(ゾンビ)を「まだ式が途中でな!!」と彼女らに預け、戦いに戻ていった。一緒に地上へ出ていた『SUN_FLOWER_NURSERY(ヒマワリ保育園)』の子ども達は、すぐに自分達の先生だと気づき花ヨメ(ゾンビ)へ駆け寄った。風子は子ども達の話で出てきた彼女の変わり様を目の当たりにし愕然とする。
あ" あ"りが…
風子は〝今の〟彼女の言葉を聞いた。その時、アンディの戦いに加わろうと駆けるゾンビ達に風子は触れてしまった。自身に触れた者へ不運を与える否定者に触れてしまったゾンビはUMA・スポイルに辿り着くも、その巨体に触れたタイミングで〝看板の落下(途中スポイルに当たった物)により死亡する不運に遭って〟事切れてしまった。その現象を目撃したアンディは状況を理解し、これを好機とみて「腐乱死体(ゾンビ)たち=町人達」へ【風子に触れてUMA・スポイルに向かえば大ダメージを与えられる】特攻作戦を伝え、スポイルに一泡吹かせてやろうと発破をかける。
作戦の要にされた少女は、彼の勝手な作戦と町人達が無残に死ぬかもしれない事に困惑すr…
ギュッ… (触れたら不運を与えてしまう少女に抱きつく花嫁)
涙目に風子は彼女の〝言葉なき言葉〟を「わかった…」と抱きしめて応えた。
そして花ヨメゾンビは駆ける。
子ども達の叫びを背に受けながら、ウェディングドレスのスカートをたくし上げUMA・スポイルに立ち向かって行った。
UMA・スポイルは向かってくる人間(花ヨメゾンビ)を乱暴に掴むが、不運にもバランスを崩して背後にあった西部劇の撮影で使われる火薬庫へ倒れ大爆発に遭ってしまった。
それが反撃の狼煙となり、