今のはメラゾーマではない、メラだ
いまのはめらぞーまではないめらだ
概要
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』第22巻にて、その事件は起きた。
超魔ハドラーの体内に仕込まれていた黒の核晶を取り出した竜騎将バランは、自らの命と引き換えにその大陸をも破壊する魔力を抑え込み息絶えた。ダイ一行は魔王軍の進撃に終止符を打つべく、大魔宮バーンパレスの中へと向かおうとするが、そこに魔王軍の総帥・大魔王バーンが現れる。
ダイ一行をナメきっているバーンは部下二人を差し止め、自分一人で全員を相手してやると告げる。そして、竜の騎士として散っていったバランに敬意を表するため、小さな火の玉を飛ばして彼の亡骸を焼き尽くした。
その爆炎を見て、魔法使いのポップは「メラゾーマだ!!」と叫び、ダイはバーンに突撃していくが一瞬で返り討ちにされる。ダイに対しても先刻の火の玉を放とうとするバーンに対し、ポップはメラゾーマで抑え込もうとする(※ちなみに、この時点でポップは荒波を瞬時に凍らせるヒャダルコを使えるため、荒れ狂う大波の運動エネルギーを上回るメラゾーマを使用できる。それを踏まえて以下を読んでいただきたい)。
ところがそのテニスボールにも及ばないような小さな火の玉は、ポップの放つ炎の激流をあっさり掻き消し、そのままポップの胸元に着弾して爆炎を上げた。この時に彼が身に付けていた特殊な布と法術で編まれたパプニカの法衣(メドローアの習得の際に何度もポップの右腕がメラ系の炎に包まれた時でさえも焦げる程度で済んだ程の魔法耐性を誇る)を焼き尽くした。
「あっ…あんな小さな火の粉なのに…大魔王のメラゾーマはおれの何倍の威力もあるってのかよ…!!!」
底知れぬ大魔王の魔力に震えるポップだったが、バーンは「…今のはメラゾーマではない…」とおもむろに語りだす。あまりの破壊力をもたらすその呪文が、メラゾーマでないとしたら一体どのような恐ろしい呪文なのか。
だが、続けて蔑むような目で冷酷に告げられた呪文名は、ダイ一行にとって衝撃のものだった。
「メラだ…」と。
解説
ドラゴンクエストにおけるメラとは火炎系の基本呪文であり、これより強いのがメラミ、メラミより強い火炎系最強呪文(当時)がメラゾーマである。
したがって、ここでは「作中でも一・二を争うレベルの魔法使いの強力な呪文を、それよりはるかに弱いはずの呪文で撃ち破る(つまり、本気を出されたら『勝てる気がしない』どころか絶対に勝てない)」というとんでもないシーンが描かれているわけだ。
分からないようであれば、「全力の体当たりをデコピン一発で弾き返された」くらい絶望的なシーンと思ってくれればよい。
それだけ桁外れな力を持つ敵が、今度は真面目にパンチすれば一体どうなるか?……そういうことである。
なお、原作では「…今のはメラゾーマではない…」で一旦区切り、次のコマに移って(丁度メイン画像の構図で)「メラだ…」と発言する流れで描かれているがネタにされる際は当項目名の様にワンフレーズで表記されることがほとんどである。
ゲームの仕様との違いについて
レベルや術者の能力によって同じ呪文でもダメージ量が変わる仕様は、ドラクエに限らず他のRPGやバトル系漫画作品でもおなじみで、今から見れば不自然がないような描写にも見えるが、連載当時は原作のゲームとは明らかに違う仕様を盛り込んだことで波紋を呼んだ。
ダイの大冒険の原作であるゲームのドラクエシリーズでは連載当時(連載終了時は6発売の1年後)は、作品毎に違いはあるものの、おおむね同じ呪文なら誰が唱えてもほぼ一定のダメージ(最小○~最大○ポイント)を与えており、たとえばドラクエ3のラスボスのゾーマが唱えるマヒャドは、味方の魔法使いや賢者などが唱えるのと同数値のダメ-ジ量で、バーンのように能力やレベルの違いで与えるダメージは変わることはなかった。
能力値などの違いでダメージが変わる仕様となるのは、連載終了の8年後に発売されたドラゴンクエスト8からである。前述したように他の作品ではおなじみではあったので、ゲームがダイの大冒険からの逆輸入であるとは言い切れないが、先取りした形とはなった。
余談
2017年9月、何とLINEスタンプでダイの大冒険がリリースされ、その中の一つで今回の台詞がスタンプになった。
内訳としては、「今のはメラゾーマではない」→「メラだ」という風に2種類のスタンプで分離しているのだが……。
どのような使い道があるのか……迷う所ではある。
関連項目
私の戦闘力は53万です:似たような例
カイザーフェニックス:大魔王のメラゾーマ
リリーナ:まったく別のRPGの話だが「最弱魔法で他のキャラに最強魔法を使わせた時のような威力を発揮できる」という実例
シャントット:かつてのライバル、今は同僚のRPGシリーズからの実例。今のはファイガではない。ファイアだ。