概要
体長1.8~6cm。
中央アメリカのニカラグアから南アメリカのブラジルまで、約186種が生息。
それを敵に知らせる為の警告色として、派手な体色を持っており、昼行性である。
卵を陸上に産み、オタマジャクシが孵化すると、親が水のある所に運ぶ。
餌は、現地に棲むアリ、ダニ、蛾の幼虫、小さな甲虫等。これらの虫は、現地の植物が持つ微量な毒を体内に持っており、それらを摂取する事で体内に毒を蓄積していく。
その為、自分で毒を精製出来ず、飼育下で無毒な昆虫などで育てられた個体は毒を持たないとされている(これはフグも同様)。しかし、万が一の危険性と、人間の体温はカエルには高すぎるので、お互いの為にも素手で触ってはいけない。
毒
彼らが持つ毒はアルカロイド系の神経毒で、最も強い毒を持つモウドクフキヤガエルは、地球上の生物が持つ毒の中では最強とされる「バトラコトキシン」を持つ。
毒性は青酸カリのおよそ1000倍で、人間の致死量は0.01㎎。
一匹が持つ毒で、マウスなら1万匹、成人男性なら10人、バッファロー1頭を殺せる。
この毒はヤドクガエルの皮膚から分泌され、全身を覆っている。皮膚に浸透して侵入してくる為、素手で触っただけでアウト。
強力な毒に彼ら自身が何故耐えられるのかは不明だが、近年の研究で彼らの神経は進化の過程で、塩基配列レベルで神経毒に耐えられるらしい事が判明している。
また、彼らの毒は少量なら依存性のない麻酔薬にもなる為、医療関係でも注目されている。
名前の由来
ヤドクガエルは強力な神経毒を持つが、獲物から毒を摂取する生き物は、自分で毒を精製する毒蛇や蜂等とは異なり、牙や毒針のような毒を注入する器官は持たず、その毒はあくまで捕食者から身を守る為である。
かつて先住民が本種の毒を吹き矢に塗って狩猟に使っていたのが「矢毒蛙」の由来。
ノハラツヤヘビ属のヘビが本種にとっては最大の天敵。こちらも、未だに学術的な理由は不明だが、同属のヘビは本種の神経毒に耐性があり、このヘビに狙われたヤドクガエルは、あっさり捕食されてしまう。