概要
探偵小説の代名詞であるシャーロック・ホームズシリーズを、彼の宿敵モリアーティ教授側の目線から大胆に改変・再構築したハードボイルド・サスペンス作品。
竹内良輔が構成を担当、三好輝が漫画を描いている。
原典における教授は、全く異なる人生を歩む兄と弟がいた次男であったとされている。
本作はその設定を濾し取ってモリアーティ三兄弟を主役とし、彼ら三人が共同で暗躍を行なっていたという、原典には存在しない独自の解釈で描かれている。
そして如何にして「犯罪界のナポレオン」と呼ばれるまでになったのか、どうしてシャーロック・ホームズと対決する事になったのか、そしてホームズが解決してきた数々の難事件の裏では何が起きていたのか、と言った「裏話」を主軸に置いた物語である。
2020年秋アニメおよび2021年春アニメという形(分割2クール)で、テレビアニメ化されている。
アニメーション制作はプロダクションI.G。TOKYOMX、AT-Xほかにて放送。
あらすじ
19世紀末、完全階級制度が根強いロンドン。
とある貴族に養子として引き取られた孤児の兄弟は、「貴族」の地位にあぐらをかく両親と息子に苛められ、虐げられる毎日を送っていた。
ただ一つ違うのは、兄は幼くして字の読み書きが出来た上に博識な頭脳を持った天才であった事、それに気がついていたのは実弟と引き取り先の長男だけであった事。
やがて彼は貧富の差が激しくなる様と、下層級を見下す貴族連中、そしてこのような腐敗した社会を正そうとしない政府に怒り、二人と共に『闇側から世界を正す』決意を固め、手始めに自分たちを虐げた貴族一家を抹殺して家をのっとる。
こうして後に『犯罪界のナポレオン』と称される犯罪組織の首領、モリアーティ教授の暗躍が始まったのであった───
登場キャラクター
モリアーティ三兄弟
(画像中央)
声:斉藤壮馬
本作の主人公。モリアーティ家次男。
孤児でありながら天才的頭脳と犯罪構築における天賦の才能を持つ。
腐りきった英国社会に憤りを感じ、自分たちを見下していた両親と次男「ウィリアム」を火事に見せかけて殺害し、彼になりすます。
成人後は大学で数学教論をしつつ私立相談役として市民の悩みごとを解決する傍ら、その裏では悪に罰を与える「犯罪相談役」として仲間たちを率いて暗躍している。
(画像左側)
声:佐藤拓也
モリアーティ家長男。ウィリアムとルイスを引き取った貴族一家の跡取り息子で、爵位は伯爵。
彼もまた跡取りとして申し分ない才能を持ち、ウィリアムに隠れた自分に引けを取らない頭脳を見抜くと同時に、『腐りきった貴族』の象徴である両親と弟を見限っていた。そして二人と協力して全員を抹殺し弟の「ウィリアム」を入れ替える。
成人後はイギリス陸軍に入り出世を重ね、退役した後は貿易会社の取締役を隠れ蓑に秘密諜報部MI6の指揮官となる。
(画像右側)
声:小林千晃
モリアーティ家三男。ウィリアムの実弟。引き取られた当初は重い病を患っていたが、後に手術を受け完治した。兄達と協力してモリアーティ家を乗っ取り、成人後は長兄に変わってモリアーティ家領地の管理や屋敷の執務をこなす。火事の『偽装』のため右頬に火傷を負い、以降は眼鏡と髪で隠している。
協力者たち
声:日野聡
モリアーティ家使用人にして構成員。元軍人。
ウィリアムに絶対の忠誠を誓っている。彼の幼少期からの付き合いであり、メンバーの中で一番長い為、よく知っているようだ。
女好き。
声:上村祐翔
モリアーティ家使用人にして構成員。
犯罪ネットワークそのものと言われており、犯罪相談の窓口役。屋敷では庭師として働いている。女装もこなせる変装の達人。
普段は無口だが、ウィリアムと共通して”困ってる人を見過ごせない”性格であり、その実熱い一面を持ち合わせている。
黒のアイマスクをした、「Q」のコードネームでMI6に所属するドイツ人の技師。Q課(quartermaster:兵器課)の課長。盲目ながらもその技術は折り紙つきで、時代の先を行く発明品を多数開発している。
目は見えないが表情は多彩でよく笑いよく驚く。
米国出身の女優。英国にまつわるとある醜聞を知ってしまったためにMI6に命を狙われる中、交渉のためシャーロックとモリアーティ陣営の両方に接触していた。その後はウィリアムとの取引によって表向き死亡したことにしてMI6に加わり、男装して「ジェームズ・ボンド」を名乗る。
モリアーティ家が火事になった後、三兄弟が一時身を寄せたロックウェル伯爵家の執事。第一次アフガン戦争では”英軍にジャックあり”と敵味方から恐れられた白兵戦の英雄でもある。普段の立ち振舞いだけで、隠していたその兵士であった過去をウィリアムに看破され、貴族たる振る舞いを含めた“特別な教育”を三兄弟に施すことになる。
ホワイトチャペルにてある連続殺人が起きた後、三兄弟を頼ってモリアーティ家を訪れる。
スコットランド・ヤード犯罪捜査部(CID)の警部。レストレードと同期の間柄にある。更迭されたアータートンに代わり、CID主任警部に昇格した。裏ではMI6の内通者として暗躍しており、事件やホームズたちの動きを常に監視しアルバートに報告している。「○○のよしみだ」が口癖。
好敵手
声:古川慎
言わずと知れた私立探偵にしてもう一人の主人公。
「諮問探偵」を自称し、労働階級の訛った(コックニー)話し方をする。面倒臭がりでだらしの無い性格に拍車がかかっている。
探偵としての能力は非常に高く、ウィリアムも一目置いている。
しかし本作でのホームズは、モリアーティ達の階級社会に疑問を抱かせるための計画的英雄として担ぎ上げられた存在であり、現時点では彼等の掌の上で踊らされているだけに過ぎない。
ホームズも自分がモリアーティ陣営に及ばない事を自覚しており、時に彼らに頼らざるを得ない事に苦悩する。
(イラスト右側の人物)
声:小野友樹
言わずと知れたシャーロック・ホームズの相棒。アフガン戦争帰りの元軍医。
彼とはとある事件に巻き込まれた所に居合わせ、ホームズの手柄を英国警察(ヤード)に取られたことに憤慨し、事件を元にした小説「緋色の研究」を発表する。
声:阿澄佳奈
ホームズとワトソンが借りている部屋、ベーカー街221Bの家主。自称、永遠の17歳だが四捨五入すると3……。
家賃を滞納する上しょっちゅうトラブルを持ち込むホームズに手を焼きつつも心配している。部屋の中で発砲されたりある作戦の為に部屋を爆破されたりもしたが何だかんだで器が大きいようだ。
声:小松史法
スコットランド・ヤード犯罪捜査部(CID)の警部。ヤードの中ではホームズを信頼している方の刑事。
ウィギンズ
ベーカー街で暮らすストリートチルドレンによって構成されている、ベーカー街不正規隊(ベーカーストリートイレギュラーズ)の隊長。失せ物探しや使いっ走りまでなんでもこなすホームズの手足。隊員に、バトラー、ユーリー、グリーン、スカイ、リードなどがいる。
イギリス陸軍関係者
声:安元洋貴
イギリス陸軍情報部の長官でアルバートの直属の上司。シャーロックの兄。
アルバートがMI6に移ったあとも、大英帝国からの指令をアルバートに下す立場としてしばしば登場する。シャーロック曰く“政府そのもの”。
弟を上回る推理力を持ち、詰めが甘くて決めつけすぎるきらいがある彼に苦言を呈する事がある。
マネーペニー
MI6の女性諜報員。元々はMI5所属だったが、MI6設立にあたりアルバートに引き抜かれた。
モランからは第一印象で「陰気」と言われたが立派な物をお持ち。
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