七の至宝
せぷとてりおん
概要
ゼムリア大陸において信仰される空の女神=エイドスは世界に七つの至宝を与えた。それは、現代において強力な力を持つ古代遺物(アーティファクト)の中でも極めて強大な力を持つものであった。
至宝は7つ、現代の戦術オーブメントで用いる導力魔法(アーツ)と同じ、地・水・炎・風・空・時・幻の七つの属性に分かれており、古代人は七つに分かれてその至宝によって現代の導力技術すらも遥に凌駕する繁栄された文明を築いていった。
しかし、1200年前の『大崩壊』によって古代ゼムリア文明は完全に崩壊し、至宝も人の歴史から忘れ去られた。古代遺物自体が一般には広く知られておらず、至宝などを知っていてもせいぜい伝説やお伽噺の枠を出ていない。
至宝の実在を認知しているのは、現在の大陸を構成する国の王家や情報機関、古代遺物の回収を星杯騎士団に命じる七耀協会、そして正体不明の組織身喰らう蛇だけである。
その中でも身喰らう蛇は《オルフェウス最終計画》の中でこの至宝の力を必要としており、各計画においてその国の至宝の力を利用している。(ただし至宝そのものを手に入れる事が目的ではなく至宝の力が消滅した場合でも特に執着はしていない)
至宝の種類(ネタバレ注意)
大地の至宝
エレボニア帝国に伝わる二つの至宝のひとつ。能力は不明だが『守護神』と呼ばれる巨大な人形兵器の形をしている。同じく帝国の至宝である焔の至宝とその眷属である魔女とは長年対立をしておりその闘争の果てに二つの至宝がぶつかり合い融合される。その後の顛末は後述参照。
至宝の力を失った器だけの守護神は現在ノルド高原に放置されている。
水の至宝
名称 | 不明 |
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所在地 | 不明 |
眷属 | 不明 |
聖獣 | 不明 |
登場作品 | 未登場 |
焔の至宝
エレボニア帝国に伝わる二つの至宝のひとつ。能力は不明だが『守護神』と呼ばれる巨大な人形兵器の形をしている。同じく帝国の至宝である大地の至宝とその眷属である地精とは長年対立をしており、その闘争の果てに二つの至宝がぶつかり合い融合される。その後の顛末は後述参照。
至宝の力を失った器だけの守護神は現在ブリオニア島に放置されている。
風の至宝
名称 | 不明 |
---|---|
所在地 | 不明 |
眷属 | 不明 |
聖獣 | 不明 |
登場作品 | 未登場 |
空の至宝
リベール王国に伝わる《空》の至宝。空の属性のとおり、古代人達は空中都市リベル=アークを建造し、そこで製造された端末ゴスペルを通じて《環》の力で望みが叶えられ、痛みや苦しみのない楽園で繁栄していく……………………はずであった。
《環》による奇蹟の力で無制限に叶えられる欲望が次第に人々の肉体と精神を腐敗させ、《環》によって与えられる夢=仮想現実に安息を求めて現実から逃避し、倫理と向上心の欠如による精神失調、出生率が低下するのに自殺率や異常犯罪の増加、社会システムの停滞など、リベル=アークは堕落と腐敗による崩壊の一途を辿った。
この《環》の力の最大の恐ろしさは抑制というものを持っていない点にある。自律性を確立した《環》は都市の存続のみを優先し、上述されるような社会全体の堕落が起きても無制限に人間の願いをかなえ、更には異物を排除する働きもあるために、それらを止めようとした動きさえも《環》が出現させた防衛兵器(トロイメライ)によって排除されてしまった。いつしか、リベル=アークは《環》の力で完全に管理、支配されるようになっていった。
これに危機感を抱いたセレスト・D・アウスレーゼを責任者とした『封印機構』は《環》諸共リベル=アークを異空間に封印する計画を立てる。《環》に悟られないように慎重且つ綿密な計画を進め、地上にデバイスタワーと封印区画を建設、途中で《環》に計画を嗅ぎつけられながらも封印区画を起動、市民を地上に脱出させて《環》とリベル=アークを封印させることに成功する。
その後、セレスト・D・アウスレーゼを始めとした脱出した古代人達は地上で封印区画とデバイスタワーを中心に新たな文明を築いた。それが現代のリベール王国であり、セレストはリベール王家の始祖にあたる。尚、デバイスタワーは現代においては四輪の塔という古代遺跡として残り、封印区画の真上にはリベール王家の王城グランセル城が建設され、《環》の存在と封印は1200年の間にその詳細な意味を喪いながらも、解放してはならぬものとして王位継承者に伝えられている。
七耀暦1202年、セレストの子孫を始めとした若者達がこの至宝の存在を知り、その出現と悪用を阻止しようとすることになる。
結果、《環》は消失しリベル=アークは崩壊。《環》の力そのものは身喰らう蛇の手中に収まる事になる。
時の至宝
名称 | 不明 |
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所在地 | 不明 |
眷属 | 不明 |
聖獣 | 不明 |
登場作品 | 未登場 |
幻の至宝
クロスベルに伝わる《幻》の至宝。知覚と認識を司り因果を御する属性であり、基本的には《輝く環》と全く同じ能力だが、古代人達の『神が欲しい』という願いを受諾したことで高位の人格を形成した。
《環》と同じく奇蹟の力で人々の願いをかなえ続ける事が出来るが至宝そのものに叡智と判断力があったため人を堕落する事なく導く事が出来た。
しかし、人間とほぼ同質の感情と知性を持つが故に人間や世界の不条理や醜さに心が耐えられなくなり、自らがいずれ暴走し守るべき人々を傷つける事を恐れたため、その存在の因果を解き消滅したのである。
至宝の派生物
影の国(ファンタズマ)
空の至宝の副産物と言うべき世界。至宝の力で願いをかなえられた人々の想念で構成されていたが、《環》がリベル=アークごと封印されたことで機能を停止していた。しかし、《環》が消滅したことで制御を失い、強いトラウマを持つ人間を自らの核に求めた。
それが《環》の事件を解決した英雄達を更なる異変に巻き込んでいき、いずれは現実世界をも侵食する恐れさえ持ってしまった。
碧のデミウルゴス
幻の至宝の再現、至宝を喪った人々は恐慌状態に陥り、至宝を授けられた錬金術師達(クロイス家)は至宝の再現を試み、1200年もの時間と妄執を掛けてクロスベル全体を巨大な陣とし、大地の至宝を守護する一族と技術を盗み合いながら至宝の核となる御子を生み出すと共に傘下の教団を立ち上げるなど暗躍を続け、更に現代の導力技術までをも取り込んでいく。
そして、七耀暦1204年に幻の至宝の再現が現実のものとなる。
その力はオリジナルのデミウルゴス以上であり、幻の他にも空と時の力を持ちクロスベルの主要都市近辺に巨大な結界を生成したり、結社の神機アイオーンに無尽蔵のエネルギーを与え、そのうちの一機であるαには空の力であるはずの空間消失能力を使えるようにしたのである、また高度な修復能力などももっており現代医療では治療が困難であったシズク・マクレインの盲目も治す事に成功したのである。
オリジナル同様因果律の操作も可能であり、本来D∴G教団との戦いで特務支援課が全滅した世界を「なかったこと」に書き換えたのであった。
最後は自らが創った蒼の大樹で特務支援課との決戦の末、核であった御子キーアが支援課の皆との絆を受け入れ力を放棄。御子の存在だけを残し力は完全に消滅したのである。
しかし……帝国から始まる呪いが解決した後、とある存在に乗っ取られたある存在がこれともまた違う形で《幻の至宝》を再現してしまうこととなる。
巨イナル一
《大地の眷属》地精と《焔の眷属》魔女がそれぞれの至宝同士の闘争の末にぶつかり合い融合した巨大な鋼、言わば《鋼》の至宝へと変質したものである。
内部で無限に自己相克を繰り返していくこの究極にして不安定な力は余りにも強大であった。二つの一族はこれを制御できないと確信し、聖獣と共に様々な方法で封印を試み、最後の試みとして地精が作り上げた七つの器に、魔女が力を分割して封印する形でそれに成功した。そして、それは七の騎神(デウス・エクセリオン)として封印され、以後は帝国の幾多の闘争で姿を現す。
しかし、建造された騎神の内一体が《鋼》に蓄えられていた人々の多大な欲望によって生まれた邪悪な力《巨イナル黄昏》によって汚染、これによりエレボニア帝国はおろか他国すらも巻き込んで千年以上にわたり黄昏による《呪い》によって度重なる災いや争いへと導いていかれることになる。
それは七耀暦1204年のクロスベルの混乱とほぼ連動し、やがて大陸全土を滅ぼすほどの存在へとなる。同時に帝国の若者達がそれに巻き込まれていく。
そして七耀暦1206年、表で世界大戦が進み始める裏で始まった騎神での相克の争いの末、リベールとクロスベルの英雄達の協力を得た呪いの贄となった青年を中心にした若者達の活躍により黒幕と共に帝国を蝕んでいた呪いは消失、同時に七つに分散されていた騎神も最後の【裏技】を使った事によりその力を使い果たし魂ごと消失していったのであった。
が、選ばれなかった可能性の分岐点においては異なる形でこれが再錬成され、クロスベルで新たな災いを引き起こす。
聖獣
至宝にはそれそのものと関わる人々を見守る聖獣が女神によって遣わされており、気付かれないように至宝とそれを取り巻く人間達を見守っている。
基本的には不干渉ではあるが、場合によっては至宝そのものとの決別を試みる者達に力を貸している。
どの聖獣も1200年以上の長い歳月を生きている上特別な肉体により大陸最硬の石であるゼムリアストーンの武器ですらも屠る事は不可能。(ただし黒の工房が特注で作り上げた【根源たる虚無の剣】ならば唯一屠ることが可能である)
自らの眷属を創る事も可能であり、その姿はその聖獣そのもの、又はその一部を引き継いだ姿をしている。
至宝に関わる英雄達
《空》の英雄達…リベール王国で遊撃士や王族、果ては一般人の子供までも交えて、空の至宝を取り巻く王国軍の陰謀とそれさえも操っていた組織の陰謀に立ち向かっていく。《空》の至宝の戦いの後も《幻》、《大地》、《焔》の至宝の戦いにも身を投じる。
《零》と《碧》の英雄達…クロスベルでただの警察の一部署でなかった彼らだが、数奇な出会いを経て幻の至宝とそれを与えられた錬金術師の一族の妄執に立ち向かう。
《焔》と《大地》の英雄達…エレボニア帝国の士官学校の一学生に過ぎない彼らであったが、トールズ本校に至宝の一部が眠っていたことがきっかけで、至宝を取り巻く戦いに巻き込まれていく。特に彼らの重心は深い業を背負っていた。
英雄達の影…リベールやクロスベルの英雄達ほど、至宝との関わりは深くない。だが、クロスベルと帝国で発生した至宝の力による霊脈の異常な乱れと現代の導力技術によって出現した機械知性…技術的特異点との関わりは最も深い。ただし、彼らの中心人物は帝国の至宝とも接点を持つ。
至宝の実在を知る者達
身喰らう蛇…現代において暗躍する正体不明の組織。リベール、クロスベル、帝国と各地で至宝或いはそれに関わりのある一族に接触して、至宝の回収や行く末に干渉している。
七耀協会…古代遺物の回収を星杯騎士団に命じている、女神を信仰する宗教。大陸全土に大小の聖堂を設けており、特に至宝についてはその悪用とそれによる混乱を阻止するために動く。
これらの他にも各至宝を与えられた一族の末裔がいる。ただし、リベール王家は至宝そのものを危険視して封印した経緯から、王家の伝承の一つとして認知されるに留まっている。