【注意】この記事には『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』のネタバレを含んでいます。
概要
アディショナルインパクトとは、碇ゲンドウが自身の目的のために起こそうとしているインパクト。
ゲンドウの目的は旧作同様、エヴァンゲリオン初号機とのシンクロ実験中に初号機に取り込まれ消滅した妻・碇ユイとの再会にある。今作においては、アディショナルインパクトを起こすことで人類補完計画を発動。それによって魂が溶け合って一つの生命体となった人類の中でユイを探し出し再会を果たし、一切の争いや格差のない理想の世界でユイとともに永遠に生き続けることをもくろんでいた。
アディショナルとは、「付加的な、追加の、さらなる」文脈によっては、「さらに~、その上に~」という意味も持つ。
計画の概要
目的、方法
かつてのゲンドウは、碇シンジと同じく孤独であり、S-DATのイヤホンで耳を塞いで外界をシャットアウトしひたすら勉強とピアノに明け暮れる少年だった。
しかし大学時代、ありのままの自分を愛してくれたユイと出会ったことで初めて人といる幸せを知ることができた。
だがユイは初号機とのシンクロ実験により消滅。深い悲しみに沈んだゲンドウは初めて「孤独の寂しさ」を思い知ることとなった。そこでゲンドウは、ユイともう一度逢うために人類補完計画を実行することを決めた。
最初にセカンドインパクトによる「海の浄化」、サードインパクトによる「陸の浄化」を引き起こし、最後にフォースインパクトを起こし「魂の浄化」を行う。
ここまでがゼーレのシナリオ通りなのだが、ゲンドウの目的は人類補完計画が実行されるときに、ネブカドネザルの鍵を使って自分が器となってユイともう一度逢うためのアディショナルインパクトとして利用することにある。
実行のためには過去の人類補完計画と比べて、数多くの手順を踏む必要がある。
トリガーとなるエヴァンゲリオン第13号機、13号機と融合ができる使徒、ロンギヌスの槍、ネブカドネザルの鍵を用意する。さらには新たなる槍となる「黒き月」、4機のNHG、そしてこのアディショナルインパクトを起こすために必要な虚構の世界「マイナス宇宙」にアクセスするための「ゴルゴダオブジェクト」、そしてそこに存在する「エヴァンゲリオンイマジナリー」が必要になる。
顛末
すでに黒き月と南極のカルヴァリーベースを抑え、ネブカドネザルの鍵によって人であることを捨てたゲンドウは、ヴィレが自分を止めに来る事を予測し、黒き月とネルフ本部、第13号機を南極に移送。
予測通りやって来たヴィレに対し、大量のエヴァンゲリオンとNHGで疲弊させ、さらには第13号機の封印のために、式波・アスカ・ラングレーの左目に封印されていた、唯一他者と融合ができる「第9の使徒」を覚醒させ13号機に吸収。AAAヴンダーに封印されていたエヴァ初号機を回収し、全ての手はずを整えてインパクトを発動できる状態にまで持ち込んだ。
しかし、シンジが初号機に搭乗し、第13号機と組み合った状態でインパクトを起こしたため、シンジの意思も一部反映された状態で発動してしまう。
絶望の象徴たる「ロンギヌスの槍」を持ったゲンドウの第13号機と希望の象徴たる「カシウスの槍」を持ったシンジの初号機による、碇父子の記憶がベースとなった虚構の世界での壮絶な戦いが繰り広げられるが、戦況はゲンドウが圧倒的有利だが二人に必要なのは戦いではなく対話だということを知り、シンジはゲンドウと対話を行いゲンドウの過去と目的を知る。
ゲンドウは過去作のシンジと違い「全てが一つになった世界」を望み、実行し「ゴルゴダオブジェクト」に存在していた「エヴァンゲリオンイマジナリー」に到達。「エヴァンゲリオンイマジナリー」は「ロンギヌスの槍」と「カシウスの槍」を取り込んだことで現実世界へと現出。虚構と現実を等しくするために、生命のコモディティ化、エヴァインフィニティーの津波と光の十字架が地球を覆う。それを為し、いくら探してもユイを見つけることができずに意気消沈する。
そのうえで葛城ミサトの犠牲により、「エヴァンゲリオンイマジナリー」を突き破る形で新たなる槍「ガイウスの槍(ヴィレの槍)」が届けられ、それを手にしたシンジの表情を見たことで、息子がすでに大人になっていることを知り、さらには過去のシンジから「自分の弱さと向き合わなかった」ことを指摘され、インパクト続行を断念。すべてはシンジの手に委ねられることとなる。
シンジはアディショナルインパクトを止め、新世紀「ネオンジェネシス」を目指す。そのうえで、エヴァにとらわれたアスカやカヲル、そしてレイを救い出し呪縛から解放。
そしてシンジは過去のように「全てが一つになった世界」にするわけでも、Qの時のように世界を再構築するわけでもなく「エヴァンゲリオンのいない世界」を望んだ。
全てのエヴァンゲリオンを消し去るため、ガイウスの槍を突き刺そうとする。この時点でシンジのシンクロ率は無限大になっており、ガイウスの槍を刺すことはシンジを突き刺すことと同じだった。
だが、初号機の中にいた母・ユイの魂がシンジを救い出し、「ネオンジェネシス」を実現。この時に第13号機の中にいたゲンドウの魂もまたユイとともにネオンジェネシスを目指し、自らとともに全ての世界からエヴァンゲリオンを消滅させた。
マイナス宇宙に取り残されていたシンジは8+9+10+11+12号機に乗った真希波・マリ・イラストリアスに迎えに来てもらい、8+9+10+11+12号機も消滅。
世界は上書きされ、エヴァのいない世界で大人になったシンジたちがそれぞれの道を歩み始めたことで物語は完結した。