【注意】この記事には、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』及び『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』のネタバレが含まれます。
概要
WILLEが保有する空中戦艦。正式名称は「Autonomous Assault Ark Wunder」。なお「ヴンダー(Wunder)」とはドイツ語で「奇跡」の意、ヴンダーは略称として呼称される。
左右に広げた巨大な鳥、或いはヒトの腕のような翼、艦中央下部より後方に長く伸びた尻尾状の構造物等、およそ通常の艦船からはかけ離れた異様な姿をしている。詳細なスペックは明らかにされていないが、劇中におけるエヴァの大きさとの比較から察するにその全長は優に2000mを超える様子。
衛星軌道上から回収したEVA初号機を主機動力とし、ATフィールドを発生させる事が出来る他、強力な重力制御システムを有し、起動時に周辺で作業を行っていた艦隊をまとめて浮かせた他、艦体を垂直にし回転させるという芸当も可能となっている。ピアノ線のようなものを発生させ、物体を吊り上げる(劇中では”操演”と呼称される)機能も備わっており、有人・無人双方の水上艦艇の制御や、エヴァの戦闘を上空から支援することも可能。
ブリッジは通常艦橋と戦闘艦橋に分かれており、戦闘態勢に移行するとヒルムシュタムタワーを経由し、艦橋の座席ごと戦闘艦橋へ移動、艦橋内にL.C.Lガスが注入される。
外見的、装備やシステムの面でも従来の艦船とは一線を画するが、ミサトが劇中でAAAヴンダーを「神殺しの力」と呼ぶ場面があり、まだ明かされていないシステムや能力の存在が示唆されているが、『Q』劇中では最後まで明らかにされる事は無かった。
艦船情報
ATフィールドと光輪を主な推進力とし、重力制御の機能も存在するため、非常に高い空中制御力を持つ。基本的には重力制御による操縦を行うが、側面には緊急用の反動推進型エンジンによるブースターが備わっている。
武装は主砲砲塔レールガンが4門。後に艦尾に1門増設。連射可能かつATフィールドにも有効な最も基本的な砲弾であるエネルギー貫通弾、ATフィールドを用いて光線を反射させる曲射弾、超電磁直撃弾など、数種の砲弾を装備している。限定的な装備ではNERV本部強襲に使用されたN2爆弾搭載型宙対宙艦船流用式誘導弾なども存在する。
艦載機はエヴァ2号機とエヴァ8号機の2機、エントリープラグに似た筒状の脱出艇(元々はNERVからNHG-Bußeを強奪する際に利用された「ねこざめ級軌道強襲艇」)、多様な生命種を保管した生命種保存カプセルなど。
劇中での活躍
US作戦で奪取した初号機を主機とする起動準備中にネーメズィスシリーズの奇襲を受ける。
その後、ミサトの指揮の下ぶっつけ本番で起動を試みた結果、見事飛行に成功。直後に偽装コクーン内部に潜伏していたコアブロックからの攻撃で両主翼を損傷するも葛城大佐の奇策により偽装コクーンからそれらを引きずり出し、主砲の一斉射を叩き込みネーメズィスシリーズの殲滅に成功する。
その後、フォースインパクト阻止の為に碇シンジと渚カヲルが乗るエヴァンゲリオン第13号機をATフィールドによる封じ込めで無力化しようとするも、第13号機の護衛に就いていたエヴァンゲリオンMark.09の攻撃により失敗。その後も複数回Mark.09の攻撃を受け各部を損傷した上に船体に取りつかれコントロールシステムを奪われ始めてしまう。
直後、Mark.09を排除するべく「コード777」を始動したエヴァ改2号機による自爆攻撃によりMark.09は沈黙。ヴンダーのコントロールシステムは回復するも、主機の復旧までには至っておらずシンジ、式波・アスカ・ラングレーらの回収はできずに物語は終わる。
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||にて
元はNERVから強奪されたものであることが判明。
NHGの一番艦であるNHG-Buße(ヴーセ)が本来の名称。主機はエヴァンゲリオンMark.09。本来の想定では無人で動き、人類補完計画に利用される予定であった。
しかし、NERVから強奪され、加持リョウジによって種の保存としての無人式のノアの方舟と呼ぶべき運用用途を構想されていたが、本人がサードインパクト阻止のため犠牲になったため、ヴィレによって生き残った人類を守るために戦闘艦へと改造されたことが明かされた。
また、未完成のまま強奪したために、二番艦以降が完成形として洗練された外見を持つのに対し、ところどころを人類の技術で無理矢理補正してることも併せて明らかとなった。
劇中に映る情報によると
Buße(AAA Wunder)
Kiellegung 21 Juni 11805
Sonderbehörde NERV(WILLE)
Leitschiff der Hüter von Guf-Klasse
ヴーセ(AAAヴンダー)
11805年6月21日起工
特務機関ネルフ(ヴィレ)
ガフの守人 1番艦
※カッコ内はヴィレの面々によって上から殴り書きされている。
ところで起工された年の11805年とは果たして物語における西暦なのかそれとも…?
余談
AAAヴンダーが初めて起動し飛行するシーンのBGMは、『ふしぎの海のナディア』に登場する万能戦艦N-ノーチラス号の起動シーンのBGMをリメイクしたものである。
『Q』本編冒頭のUS作戦でもナディアのものをリメイクした楽曲が使用されている。
また、起工年月日は映画『緯度0大作戦』に登場する万能潜水艦α号のもののオマージュである。
更に「シン」ではAAAヴンダー起動準備中に高雄コウジが「推力上昇。1160万トン!」と発言しているが、これは『ふしぎの海のナディア』の登場人物のネモ船長が前述のN-ノーチラス号の初起動の際に言った台詞と全く同じである。
更に言えばAAAヴンダーもN-ノーチラス号も「発見、運用している人類の技術レベルやテクノロジーでは到底作り出せないオーバーテクノロジーを用いた飛行戦艦」という点で共通している。
生物的要素を持つヴンダーだが、その主機は心臓のように鼓動しているものらしい。その内部にエヴァ初号機が存在している……らしいが、山下いくと氏のツイッターには主機内部の構造を描いた図に「たぶん」と書かれているため、信じるかどうかはあなた次第。
元々は超巨大エヴァ論が制作当初に存在していたらしい。そのため完成形であるNERV保有のNHGを超巨人とする案もあった。山下いくと氏のお気に入り。
関連項目
結末
以下ネタバレ注意。
碇ゲンドウによる主機の奪取、エヴァMark.9-Aによる侵食、Bußeとしてのアナザーインパクト及びアディショナルインパクトの発動など、満身創痍を極めるヴンダーだが、赤木リツコと伊吹マヤを中心とした残ったクルーの手により、脊椎結合パーツを組み換え、最後の希望であるエヴァ初号機に乗ったシンジに向けた新たな槍・ヴィレの槍を形成する。
そしてその最後は、1人残ったミサトの反動推進型エンジンによるラム特攻で敵の妨害を突き破り、槍を託す事に成功。全ての役目を終えたヴンダーはそこで大破し、爆散した。