(笑)とは、「笑い」を表す日本語表現の一つ。
ネットでも早期に定着し長らく普通の表現であった。
しかし2005年前後?から、侮辱や中傷を伴う、悪意ある表現の代表格のようになってきてしまっている。主語が自分の場合は自嘲的意味合いが強い。
笑い表記法の歴史
起源
元来は座談会などの発言記録において、発言者や聴衆が笑ったときに記される表現であった(声を上げる上げないは不問)。通常は文節の最後に付け加えられる。
そのうち拡大解釈され、文章中の笑い所や、会話文において感情を表現する場合などにも用いられるようになる。
ネット初期
ネットでは、インターネット普及前のパソコン通信時代から使われていた。
「(苦笑)」「(爆) = 爆笑(爆発音の意のこともある)」などの派生形もあったが、2000年代末ぐらいにはほとんど死語になっている。
「w」の登場
その後、(笑)の省略形として「w」が登場する。
検証はもはや不可能に近いが、『DIABLO』というネットゲームが日本語対応しておらず、「(笑)」を「(warai)」と表記し、省略していった結果「w」が誕生したというのが定説になっている。
なお、PC利用者が多かった時代の日本語環境では「w」はおおむね小文字&全角が多用されていた。これはMS-IMEが日本語モードでは全角を優先するため。
2ちゃんねる内を中心に「w」が普及し「一般的な笑いの表現」の地位を得るにつれて、「(笑)」が2003~2004年辺りから少しずつ嘲笑のニュアンスを帯びてくる。
それ以前はむしろ「w」のほうに嘲笑のニュアンスがあったのだが、2000年代半ばには、同じく2ch内で笑いの表現として使われていた「(笑)」や、その派生「(藁」「(ワラ」などが廃れ、「w」に一本化されていく。
芝生時代
さらにはニュー速VIP板の開設(2004年)により語尾に「wwwwwww」「ワロスwwww」と多数並べるVIP語が2ch中で荒らしも含め席巻し、VIPの影響が強かったニコニコ動画でも流行、さらにはネット全体にも広まっていった。
「wwwwwww」と「w」が並ぶ姿は芝生に例えられ、「w」は「芝」と呼ばれるようになった。
結果、入力も面倒な「(笑)」は必要性も薄くなり、元々パソコン通信時代の表現や顔文字に拒絶感が強かった2chでは、皮肉めいたニュアンスで使われることが増えていく。
スイーツ(笑)
この流れを完全に決定付けたのは2007年、当時のマスコミが突如「お菓子やデザートなどは"スイーツ"と呼ぶべき。従来通りに呼ぶのは流行遅れでダサくて恥ずかしいこと」…のような大々的な喧伝を始め、それに反発したネットワーカーが「スイーツ(笑)」という表記を使い始め、ネット流行語大賞2007の銀賞にまで選ばれてしまったことだ。
スイーツという表現自体は90年代半ばごろにはあったが、この頃はあまり知られてはいなかった。反発する気持ちは判るのだが、何の罪も無い「(笑)」が生贄にされてしまった感は否めない。
草原時代
VIPが荒廃していくにつれて、2011~2012年頃からなんJ・真夏の夜の淫夢連合が台頭する。
淫夢民は「w」を「草」と呼び、「wwwwwww」のようなVIP型のスラングを2chまとめブログ系住民の話法として排除し、彼らはその代わりに「~で草」「草不可避」「大草原不可避」などという書き方を普及させていった。
VIPやニコニコ動画主流の文化に違和感を持っていた層(例のアレ)を中心にこの表記は急速に普及し、再び「w」は「嘲笑的なニュアンスを持った表現」というイメージが復活、さらには「昔のネット住民っぽい、おっさん臭い」というイメージまで付けられてしまった。
(笑)の復権
ネットから消え去ったと思われた(笑)だったが、2010年代SNS時代になりまさかの復権をする。「www」の衰退に加え、非オタ系の一般人がネット会話に参加するようになったためである。彼らは古典的かつフォーマルな表現である(笑)を好んだだめ、非オタや企業等の公式アカウント等で、丁寧な笑いの表現として再び用いられるようになった。
笑
2010年代には「草」に加え、語尾に直接「笑」をつけるという表記法がスマホ世代を中心に普及する。また、絵文字対応が進んだことで絵文字で表記する方法も多くなった。
2020年代初頭現在、「草」はオタク系ネット空間、「笑」はノンケ系ネット空間、「www」は古いネット空間、「(笑)」はフォーマルなネット空間といったような使い分けがされている。絵文字はユニコード対応ならどこでも使える傾向。
用法・注意
前述のように、今日では「スイーツ(笑)」のように表現することで、侮辱や中傷を示す表現として用いられることが多々ある。
基本的には軽いノリの笑いを表現していることが多く、相手側の許容度や文脈などによっては侮辱と受け取られるおそれもあるため、注意が必要。
また単語と組み合わせ「○○(笑)」のように表現する場合、より甚だしい侮辱や中傷と受け取られる場合もあるため、サイトと管理者によっては掲示板・チャットなどで「(笑)・(笑)」の使用自体を禁止している(NGワードに設定されている)場合もあるので、このあたりは特に気をつけよう。
主語が自分の場合は自嘲的な笑いを表していることが多い。さらに、「(爆)」は自嘲的用法で使われることがほとんど(例 : 階段から落ちてしまった(爆))。
読み方について
「わらい」「しょう」「わら」「かっこわらい」など読み方は複数ある。
活字で表現する場合「(笑)」(全角の括弧)と、「(笑)」(半角の括弧)の混在による、揺れがある。