概要
(笑)とは、「笑い」を表す日本語表現の一つ。
読み方は「かっこわらい」「かっこわら」「しょう」「わら」など様々である。
ネットスラングの一つとして広く知られているが、古くは第二次世界大戦前から用いられていた。
笑い表記法の歴史
起源
元来は座談会などの発言記録において、発言者や聴衆が笑ったときに記される表現であった(声を上げる上げないは不問)。通常は文節の最後に「(一同笑う)」「(一同うなずく)」のように付け加えられていた。
そのうち拡大解釈され、文章中の笑い所や、会話文において感情を表現する場合などにも用いられるようになった。
昭和以前
明治時代の雑誌『速記雑誌』(速記法研究会)の1890年(明治23年)1月刊行の号の170頁から173頁にかけて(笑)の表記がみられる。前年12月号では(大笑)が使われている。
ネット初期
ネットでは、インターネット普及前のパソコン通信時代から使われていた。
「(苦笑)」「(爆)=爆笑(爆発音の意のこともある)」などの派生形もあったが、2000年代末にはほとんど死語になっている。
「w」の登場
その後、(笑)の省略形として「w」が登場する。
検証はもはや不可能に近いが、『DIABLO』というネットゲームが日本語対応しておらず、「(笑)」を「(warai)」と表記し、省略していった結果「w」が誕生したというのが定説になっている。
なお、PC利用者が多かった時代の日本語環境では「w」はおおむね小文字&全角が多用されていた。これはMS-IMEが日本語モードでは全角を優先するため。
2ちゃんねる内を中心に「w」が普及し「一般的な笑いの表現」の地位を得るにつれて、「(笑)」が2003~2004年辺りから少しずつ嘲笑のニュアンスを帯びてくる。
それ以前はむしろ「w」のほうに嘲笑のニュアンスがあったのだが、2000年代半ばには、同じく2ch内で笑いの表現として使われていた「(笑)」や、その派生「(藁」「(ワラ」などが廃れ、「w」に一本化されていく。
芝生時代
さらにはニュー速VIP板の開設(2004年)により語尾に「wwwwwww」「ワロスwwww」と多数並べるVIP語が2ch中で荒らしも含め席巻し、VIPの影響が強かったニコニコ動画でも流行、さらにはネット全体にも広まっていった。
「wwwwwww」と「w」が並ぶ姿は芝生に例えられ、「w」は「芝」と呼ばれるようになった。
結果、入力も面倒な「(笑)」は必要性も薄くなり、元々パソコン通信時代の表現や顔文字に拒絶感が強かった2chでは、皮肉めいたニュアンスで使われることが増えていく。
スイーツ(笑)
この流れを完全に決定付けたのは2007年、当時のマスコミが突如「お菓子やデザートなどは"スイーツ"と呼ぶべき。従来通りに呼ぶのは流行遅れでダサくて恥ずかしいこと」…のような大々的な喧伝を始め、それに反発したネットワーカーが「スイーツ(笑)」という表記を使い始め、ネット流行語大賞2007の銀賞にまで選ばれてしまったことだ。
スイーツという表現自体は90年代半ばごろにはあったが、この頃はあまり知られてはいなかった。反発する気持ちは判るのだが、何の罪も無い「(笑)」が生贄にされてしまった感は否めない。
草原時代
VIPが荒廃していくにつれて、2011~2012年頃からなんJ・真夏の夜の淫夢連合が台頭する。
淫夢民は「w」を「草」と呼び、「wwwwwww」のようなVIP型のスラングを2chまとめブログ系住民の話法として排除し、彼らはその代わりに「~で草」「草不可避」「大草原不可避」などという書き方を普及させていった。
VIPやニコニコ動画主流の文化に違和感を持っていた層(例のアレ)を中心にこの表記は急速に普及し、再び「w」は「嘲笑的なニュアンスを持った表現」というイメージが復活した。
(笑)の復権
ネットから消え去ったと思われた(笑)だったが、2010年代SNS時代になりまさかの復権をする。「w」の衰退に加え、非オタ系の一般人がネット会話に参加するようになったためである。彼らは古典的かつフォーマルな表現である(笑)を好んだだめ、非オタや企業等の公式アカウント等で、丁寧な笑いの表現として再び用いられるようになった。
笑の登場と混沌化
2010年代には「草」に加え、語尾に直接「笑」をつけるという表記法がスマホ世代を中心に普及する。また、絵文字対応が進んだことで絵文字で表記する方法も多くなった。
一方2ch衰退とともにネットから遠ざかっていた高年齢層がSNSやYouTube等で再始動し「w」も再び使われるなど、笑いの表現は混沌としている。
用法・注意
活字で表現する場合「(笑)」(全角の括弧)と、「(笑)」(半角の括弧)の表記揺れがある。
一般的には笑う表現として用いられるが、前述のように「スイーツ(笑)」のように表現することで侮辱や中傷を示す表現として用いられる場合もある。
基本的には軽いノリの笑いを表現していることが多く、相手側の許容度や文脈などによっては侮辱と受け取られるおそれもあるため、使用には注意が必要である。
また単語と組み合わせ「○○(笑)」のように表現する場合、より甚だしい侮辱や中傷と受け取られる場合もあるため、サイトと管理者によっては掲示板・チャットなどで「(笑)・(笑)」の使用自体を禁止している(NGワードに設定されている)場合もあるので、このあたりは特に気をつけよう。
主語が自分の場合は自嘲的な笑いを表していることが多い。さらに「(爆)」は自嘲的用法で使われることがほとんど(例 : 階段から落ちてしまった(爆))。
関連タグ
湾岸ミッドナイト、エイト(漫画)(楠みちはるの漫画) - ほぼ毎回のように、会話シーンで「(笑)」の記号が用いられている。むしろ「(笑)」のない話がかえって珍しい(例 : くくく(笑))。
単語と組み合わせたタグ
以下のタグは主に侮辱や中傷の意味で使われることが多いので、使い方に注意しよう。