概要
南米のベネズエラ、コロンビア、ペルーに分布するタテヅノカブト属(Golofa)のカブトムシ。学名をそのままカタカナ表記したゴロファ・ポルテリとも呼ばれ、一部書籍や媒体ではポルテリータテヅノカブトと表記されることもある。
本属の基準種にして最大種で、飼育下では最大110mmの個体も記録されている。
ただし野外ではこのような大型個体は稀。
学名は「Golofa porteri」。
種小名は本種の標本を母国へ持ち込んだイギリス人画家、ロバート・カー・ポーター卿への献名である。
ちなみに属名は本種の現地での呼び名から来ているとされる。
他の本属に属するカブトムシと同じく雄の体色は橙色~茶色で、名の通り胸角が縦に伸びる。異様に長い前脚とノコギリ状の突起のある頭角が本種の特徴。雌はネプチューンオオカブトやサタンオオカブトのそれのように全身が黒色で体表がざらついている。
産地によって体毛の色が異なり、ベネズエラ産は黄土色、コロンビア産やペルー産は濃い橙色になるとされる。
生態
標高1000m以上の高山帯に生息する。
ベネズエラでは雨季の6月〜7月に発生し、その時期に出る竹に近い植物(日本の竹とは異なり幹の中が詰まっていて水分も多い種)の新芽の汁を吸う。
強靭な角で相手を落とす多くのカブトムシとは異なって、長い前脚で相手の足場を無くさせながら、フェンシングのように華奢な頭角で投げ落とすというテクニカルな方法で戦う。
雑誌『ビー・クワ10号』には本種を得るためベネズエラへ向かった採集者の記事が掲載されており、生息地ではエアクスタテヅノカブトもしくはその近縁種と思われる別種のタテヅノカブトと混生していることが記述されている。
また、雄は昼行性なのに対し、雌は夜行性と性別によって活動時間帯が異なるという記録がある。
飼育
ヘラクレスオオカブトやネプチューンオオカブト、コーカサスオオカブトといった他の外国産大型カブトムシと同じ方法で容易にできる。幼虫期間は1年〜2年行かないほど。
ただし、成虫の寿命は短く他のカブトムシほど性欲が強くないため交尾にはコツが必要。また角が細長いため蛹化のときに曲がりやすく、真っ直ぐ上に伸びる角にしたければ本種に合った傾斜のある人工蛹室を作り、前蛹のときに入れてあげることを推奨される(基本的にカブトムシは傾斜のある蛹室で蛹化するのだが、本種はヘラクレス等と比較してやや傾斜が強い)。
成虫も他のカブトムシと比較すると角が折れやすい。
甲虫王者ムシキングシリーズでのノコギリタテヅノカブト
初期シリーズより登場。
つよさ100のアタックタイプで必殺技のすくみはパー。肩書きは「恐怖の前足」。
カードに表記されている体長が65ミリメートルとだいぶ控えめな大きさとなっている。
このことや、(アダー完結編以前の)ゲーム上のグラフィックやカードイラストでは上翅がレモンの皮のような色や質感をしており、特徴的な頭角のノコギリ状の突起も再現されていないことから似た外見の種である「エアクスタテヅノカブト」をモデルにしてしまっていると誤解するユーザーも散見される。
しかし、公式が発売していた本作のカードイラストとモデルとなった昆虫の標本を比較する児童書『甲虫王者ムシキング カブトムシ・クワガタムシ大ずかん』でのノコギリタテヅノカブトの標本の写真には本種が使用されているためこの説は誤りであることがわかる。
おそらくだが、当時はまだ外国産カブトムシやクワガタが現在以上に大変高価なものであったため資料として角の短い小型個体の標本しか入手できなかった可能性や、体色も標本の色褪せたものを参考にしたこと、技術的な制約が理由であると思われる。
また、本種とエアクスは一見似ているとはいえ角の形状や長さ、全体的なプロポーションは全く異なる。
余談だが、このデマが流布される発端となったツイートは、SEGAとも監修元のむし社とも関係ない一昆虫写真家の発言であることに留意したい。
キプルツヤクワガタの登場していない『甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道DS』においてはムシキング・テリーの相棒として抜擢されていた。
超必殺技は「(スーパー)サイドロックボム」、アダー完結編以降の必殺技は「(スーパー)ソードアンドスフィア」。
新甲虫王者ムシキング
2016 3rdより登場。レアリティはSR(旧作のつよさ160~180相当)。
肩書き、必殺技は旧作(アダー完結編以降)と同じ。
SR甲虫の中では超大型標準値でも65mmと、最も小柄なムシとなっている。
鳴き声に関しては、ロケテストバージョンにて全てのムシの鳴き声として、以降も2016ファーストまではCPUのムシを怒らせた際に発する鳴き声として使用されていた。
肝心の本人の鳴き声はというと、旧作にてカウントダウン中に発する短めな鳴き声の方が採用されておりミヤマクワガタと同様の待遇となってしまった。
2016サード後期より登場した赤目タランドゥスステージ以外には基本的に出現しないというSR甲虫としては珍しい特徴があり、実装当初は入手が極めて困難だった。(ただしバイオリンムシ、アカネクマゼミとは異なり新規記録カードを用いたSR以上確定枠には含まれるため、入手自体は可能ではあった。)
希少性だけで言えばバイオリンムシらにも劣らないものはあったものの、覚醒ヘルクレスオキシデンタリスの完全下位互換に当たる性能も手伝って特に高騰することは無かった。
激闘2弾以降は後述の「ポルテリータテヅノカブト」に統合されSRとしての再登場はしておらず、台湾版にはティティウスヒラタクワガタ共々未登場となってしまった。
そして激闘2弾より「ポルテリータテヅノカブト」が新規参戦することが判明。レアリティはSSR、肩書きは「伝家の大鋸(おおのこ)」、必殺技はパーの「ポルテリーウィップ」。
先述の通り「ポルテリ」はノコギリタテヅノカブトの学名であり、そのノコギリタテヅノカブトは参戦済みなので、だとしたらコイツは一体何なんだと思われていたが、現実のノコギリタテヅノカブトの最大サイズが大きく更新されているために別枠のSSRとする措置が取られた、つまり「SSR:ポルテリータテヅノカブト」と「SR:ノコギリタテヅノカブト」は別枠だが同種であるということが公式HPで明言された。
同種で上位レアリティなので、実質的に覚醒甲虫とも見てとれる。
肝心な性能は攻撃力 120・テクニック 110に加えお助け相性がかのアクティオンと同じグー+チョキ+パーと、スマトラオオヒラタクワガタと同等かそれ以上の攻撃特化である。
超神化3弾においてブラック甲虫として再収録。以前と同様のお助け相性に加えて、テクニックが伸びている。
超神化2弾ではチョキに炎のスーパーVブースターを持った激闘2弾仕様のポルテリーがNPC専用のムシとして登場した。
ザックの冒険編
ヤイバ(ザックの冒険編)を参照。
主要キャラクターとして登場し、後にカード化された。
- ヒシガタタテヅノカブトやピサロタテヅノカブトよりも先に登場したため、登場してしばらくは唯一「ノコギリタテヅノカブト」とタッグ相性◎にできる甲虫だった。
関連タグ
- カブトムシ
- ヘラクレスオオカブト ゾウカブト : 同じく中南米の大型カブトムシ
- ゴホンヅノカブト:上翅が茶褐色、竹の汁が好物、旧ムシキングでは小型甲虫扱いだったが新ムシキングでSRに出世など共通点が多い