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ファンタジアの編集履歴

2022-06-27 15:38:42 バージョン

ファンタジア

ふぁんたじあ

フィンランド語では「ファンタジー」、音楽用語では「幻想曲」を指す。本項ではディズニー映画について解説する。

曖昧さ回避

  1. 1940年にディズニーが制作した長編アニメーション。本項で解説。
  2. RPG『テイルズオブファンタジア』(TOP)の通称。
  3. pixiv内の企画『pixivファンタジア』シリーズのこと。

登録タグでは2が大半を占める。


概要

世界初の「ステレオ映画」であり技術的に見て非常に重要な歴史的な映画である。


音楽が主体のため、映画というよりは「音楽作品」として評価される事が多い。

また作品自体がとても長く、幾度も発売されているがカットされていたり再編されていたりする。


中でも『魔法使いの弟子』は特に有名。この作品で出るミッキーは赤いローブに青いとんがり帽子をかぶっている。


続編として『ファンタジア2000』が、上映から60年後に製作された。

製作

魔法使いの弟子

1937年の夏(1938年という説もある)、ビバリー・ヒルズで食事中だったウォルト・ディズニーは、指揮者のレオポルド・ストコフスキーと偶然居合わせた。クラシック音楽の指揮者としては珍しく、映画出演などで有名になっていた彼のファンだったウォルトは「ミッキーマウスの短編映画を"魔法使いの弟子"をもとに作りたいので指揮を頼みたい」と明かした。ディズニー作品のファンだったストコフスキーはこれを快諾、意気投合した2人によって企画が始まった。

こうして1年をかけて「魔法使いの弟子」は完成したが、録音だけでも総勢100人のスタッフを動員したことで16万ドルも費やしてしまい、それまでの短編作品とは比べ物にならない破格のコストが掛かった。これにより、ウォルトは「魔法使いの弟子」を長編の一部にしようと提案し、アニメーションとクラシック音楽の調和をテーマとした「コンサート映画」と題した映画の企画に発展させる。

長編映画化

製作にあたり、ウォルトとストコフスキーはクラシック音楽を大衆に分かりやすく、親しみやすく広めようと考えていた。そこで、音楽評論家ディームズ・テイラーのラジオでのユーモラスな解説をウォルトが気に入っていたことから、彼が解説担当として迎えられた。

選曲には多くの議論がなされた。ウォルトは時代を超えた傑作を選ぶため、数百曲のクラシック音楽を聴いたという。「熊蜂の飛行」や「ワルキューレの騎行」といった様々な曲が候補に上がったが、最終的に8曲に決定した。

長期に及ぶ製作

規格外の作画枚数、当時最新のステレオ録音技術の導入など、大規模な製作が祟り、完成には長い期間と多額の経費が掛かった。こうして3年が過ぎ、映画はようやく完成し、1940年11月13日に公開された。ウォルトは「やっと完成させられたが、もう二度と作れないだろう」と語っている。

完成間近に、ストコフスキーによって映画のタイトルは「ファンタジア」に決定した。

解説

編曲

本作では初めてクラシック音楽に触れる人にも親しみやすくするために、曲を編集して短くしたり、曲順を入れ替えたりするなどの大胆なアレンジが行われた。ウォルトのこのような方針について、ストコフスキーは「木の剪定のようなものだ」と支持した。

また、本来は挿入していない、作中の効果音に見立てた編曲も随所に見られる。

ファンタサウンド

ストコフスキーは本作の全ての曲をステレオ録音しようと画策していた。各部門とソロは別々のマイクで録音し、後にミックスするという提案にウォルトも賛成し、開発された音響システムがファンタサウンドである。しかし、そのためには大量のスピーカー(30〜80個)が必要になった。それ故に映画館に多くの設備を導入するためにウォルトは独自に配給班を編成した。

前例のないスケール

まだコンピューターなどが存在しない年代にも関わらず、制作期間3年、11人の監督、120人以上のアニメーター、103人編成のオーケストラ、上映時間126分、原画枚数100万枚とかつてない程の大規模なスケールで制作されたことから、史上最も手間を掛けたアニメーション映画の1つともいわれている。

トッカータとフーガ ニ短調

映画の幕開けとなる曲。この曲は指揮者のストコフスキーの十八番であり、冒頭に持ってくることについては皆同意見だったという。監督はサム・アームストロング。序盤では指揮者と演奏家の色付きのシルエットが続く。今でこそ当たり前のように行われている撮影方法だが、当時は影の投射に巨大な照明が必要だったため、撮影が非常に困難だった。また、ウォルトはこのシーンを3Dで表現しようとも考えていたという。

途中からは抽象画のようなアニメーションが展開される。これは当時ウォルトがレン・ライオスカー・フィッシンガーの抽象映画に影響を受けていたことによる。フィッシンガーは1938年頃よりディズニースタジオでアニメーターとして雇われており、「トッカータとフーガ ニ短調」の制作に携わっている。ウォルトは「音楽会でウトウトしている雰囲気」を目指し、演奏家と抽象的なイメージを求めたが、フィッシンガーのリアリズムを完全に排除した抽象性の強いデザインに対し、「観客は新しいものを好むが、そればかりだと落ち着きをなくす」と述べ、最終的にフィッシンガーの表現は大幅に修正された。後に彼はスタジオを去ったが、修正されたとはいえ本作では至る所に彼のデザインの影響が垣間見える。

組曲"くるみ割り人形"

主題とアニメーションはそれまでのシリーシンフォニーシリーズに近い作品。8つの楽章の内6つが使用されている。チャイコフスキーのバレエ組曲をバックに、花や魚や自然の精霊たちが幻想的な踊りを繰り広げる。また、昆虫の音楽隊を出す案もあったらしい。

こんぺい糖の踊り

ディームズ・テイラーはこの曲について、「交響曲ではないため各楽章に繋がりはないので順序を入れ替えても差し支えないだろう」と言った。そこでウォルトは、原作のお菓子の国の妖精を露の精として解釈し直した。以降は自然探求をテーマに、妖精や精霊達を描いていく。

前作に引き続き監督はサム・アームストロングが担当。妖精のハチドリのような動きは、ナイン・オールドメンの1人レス・クラークが考案した。

劇中で蜘蛛の巣を露がつたうシーンには精巧な作画が見られる。

中国の踊り

7体のマッシュルームのダンサー達が輪になって踊る。当初ウォルトはカエルの前でトカゲを踊らせるつもりだったが、スタッフの1人がキノコに東洋的な要素を見出したことでそちらに変更された。ダンサーの動きは「三ばか大将」を元にしている。

あし笛の踊り

水面上でバレエを踊る花達を描いている。アニメーターの参考用に多くの実写映像が撮影された。花がくるくると回りながら滝に落ちていくシーンはウォルトの発案である。

アラビアの踊り

海の底の金魚の舞。劇中の金魚の動作はウォルトが細かく指示を出している。ウォルトは「魚達は女性的で美しく魅惑的だ」と語り、金魚のなまめかしい動きを表現してほしいと要請した。ウォルトの金魚に対するこだわりは前作「ピノキオ」のクレオにも見られる。

クラークと同様にナイン・オールドメンのフランク・トーマスオリー・ジョンストンは、透き通って繊細なこのアニメーションを絶賛した。

ロシアの踊り

活気に満ち溢れた花達のダンス。背景を森林ではなく黒にしたことで花の色彩と動きが強調されて見える。花のエネルギッシュな動きの作画にはかなりのテクニックを要したようである。

花のワルツ

様式的な表現が一掃され、「こんぺい糖の踊り」と同様に妖精の世界が現れる。しかし登場する妖精はそれとは別のものである。このシーンでは場面が夏、秋、冬へと移り変わっていくのが特徴。葉が紅葉して舞っていくシーンや、種がバレリーナのようにふわふわと飛ぶシーンはウォルトの希望によるもの。なお、後者は描くのに1枚5時間は掛かるのだという。氷の精が水面を滑走する様子はスケートの動きを参考にしている。クライマックスシーンは雪の結晶の形をレール上で動かし、妖精のアニメーションを二重露出で合成して表現された。


楽曲

ファンタジア

  1. トッカータとフーガニ短調
  2. バレエ組曲「くるみ割り人形
  3. 交響詩「魔法使いの弟子
  4. バレエ音楽「春の祭典

  1. 交響曲第6番「田園」
  2. オペラ「ラ・ジョコンダ」より「時の踊り」
  3. 交響詩「禿山の一夜」
  4. 歌曲「アヴェ・マリア

ファンタジア2000

  1. 交響曲第5番「運命
  2. 交響詩「ローマの松」
  3. ラプソディ・イン・ブルー
  4. ピアノ協奏曲第2番
  5. 組曲「動物の謝肉祭」より「終曲」
  6. 交響詩「魔法使いの弟子」
  7. 行進曲「威風堂々
  8. バレエ組曲「火の鳥

関連タグ

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