突如として襲った大寒波!
怪獣の出現を前に、オオヤマキャップはなぜか矢的・星の両隊員にUGM基地内に留まることを命じた。UGM必死の攻撃に、遂に大怪獣マーゴドンは死滅した。
オオヤマキャップが秘めていたものとは何か? 実は、そこにはウルトラマン80 / 矢的猛の秘密が隠されていた!
次回『ウルトラマン80』最終回!
「あっ!キリンも象も氷になった!!」
概要
1981年3月25日放送。脚本:石堂淑朗、監督:満田かずほ、特技監督:佐川和夫。
ウルトラマンの戦闘シーンが皆無という異色の最終回。昭和ウルトラマンシリーズ完結編。
登場怪獣
- 冷凍怪獣マーゴドン
あらすじ
ある日、上空から謎の冷気が飛来。一瞬にして、暖かい日差しに包まれていた南原市のビルや道路、水道の水、金魚鉢の水、そして動物園のキリンや象は凍り付いた。UGMでは対策会議が開かれたが、冷気の正体は一切不明。隊員たちにはひとまず待機命令が下った。オオヤマキャップは、去っていく矢的猛をじっと見つめていた。
そのころ、南原市に巨大な白いマンモスのような怪獣が出現。冷気を振り撒きながら暴れ回っていた。
UGMは直ちに出撃するが、マンモスは各武器の熱エネルギーを吸収してますます大暴れする。オオヤマキャップは垂直降下攻撃を行おうとするが、猛は止める。そんな猛にオオヤマは「人間にはできないと言うのか!?」と返す。様子の変なキャップに戸惑う猛。結局攻撃作戦は失敗し、UGMは基地へと退却した。
マーゴドンと名付けられたマンモス怪獣は、惑星の熱エネルギーを吸収し、滅ぼしてしまう宇宙怪獣であることが判明した。このまま放っておけば、地球、果ては太陽系まで滅ぼされてしまう。だから怪獣は倒さなければならない。イケダとセラは80が来てくれないかと呟くと、オオヤマが怒鳴る。
「バカモン! ウルトラマン80はもう現れない! 80の助けはいらない! 断固として80の力を借りないで怪獣をやっつける!!」
UGMは硬くてもろいという氷の性質を逆利用し、マーゴドンの体を氷漬けにして巨大な鉄球をぶつけて爆砕させるジャイアントボール作戦を実行に移す。鉄球を輸送するシルバーガル。しかし、マーゴドンが放った冷気でシルバーガルのワイヤーが切れてしまった。
助けに行こうとする猛と涼子だが、オオヤマに止められた。
オオヤマ「これまでウルトラマン80には、随分助けられた。これまでのお礼を言うよ、ウルトラマン80」
猛「やはり知っていたんですね。僕がウルトラマン80であることを」
オオヤマ「うん、私とイトウチーフは知ってしまった…と言っても、ついこの間のことだ。矢的…いや、ウルトラマン80。君には感謝している。しかし、いつまでも宇宙人である君に力を貸してもらうことに悔しさもある。地球はやっぱり、地球人の手で守らねばならん」
猛「でも広い意味では、地球人も宇宙人です。宇宙人同士、力を合わせて敵に向かうのは当たり前じゃありませんか」
オオヤマ「いや、君のほうに事情があることも知ってしまった。ウルトラの星に戻らなければならないんだろう? それに今度の戦いで君は傷ついてしまった」
猛は前回のプラズマ、マイナズマ戦で深刻なダメージを負ってしまっていた。
「もう80には変身しないでくれ。俺は行くぞ!」
そう告げると、オオヤマは走り去った。
再び作戦が決行された。オオヤマの乗ったシルバーガルが鉄球を回収する。しかし、フジモリ機に燃料トラブルが発生してしまった。そのとき、上空から赤い戦闘機が現れ、フジモリ機に空中給油した。オーストラリア支部に転任していたハラダとタジマが助けに来てくれたのだった。タジマ、ハラダ機がマーゴドンに冷凍液を浴びせて、凍り付かせることに成功。すかさずシルバーガルとスカイハイヤーの鉄球が、マーゴドンを木っ端微塵に粉砕。遂に人類はウルトラマンの力を借りずに怪獣に勝利した。日差しが戻る南原市。
基地に帰還したUGMを出迎えたのは、科学班が開発した城野エミ隊員と瓜二つのアンドロイドだった。
オオヤマは隊員たちに改めて、猛の正体を伝える。基地では猛と涼子のお別れパーティーが開かれた。オオヤマは語る。
「これまで我々は、いつも80の力を借りてきた。我々はいつも弱かった。それは、知らず知らずのうちに80に頼る力が、心のどこかにあったからだろう。残念ながら、私もそうだ。しかし、私はあるとき決心した。自分たちの手で戦い抜かねばならないと! それは、ウルトラマン80が怪獣との戦いで傷つき、さらにウルトラの星に事情ができて、星涼子ことユリアンが80を呼びに来たことが解ってしまったからだ。今我々は怪獣に勝った。80の助けを借りないで、地球最後かもしれない大怪獣をやっつけることができた。これで我々は胸を張って、80とユリアンにさよならが言える」
今後、80とユリアンはウルトラの星で休養し、また他の星に派遣されるかもしれない。地球のことは絶対に忘れないと誓う涼子。泣き出すユリ子。本当はいつまでも地球にいてほしかったと言うオオヤマ。
「さよならは終わりではなく、新しい思い出の始まりと言います。じゃあ皆、元気で!」
分かれの言葉を告げた猛。猛と涼子は最後の1日を公園や街、遊園地を訪れ、思い出に焼き付けた。そして、誰もいない浜辺で80とユリアンに変身すると、遠く輝くウルトラの星へと帰っていった。
「80!!」
ウルトラマン80 -完-
余談
- その最終回らしからぬ冗談みたいなサブタイトルがしょっちゅうネタにされるが、初期案では前後編構成で後編が「UGMの地球平和宣言」というタイトルだった。これが実現しなかったのは、放送枠が特別番組で押されて足りなくなったためである。また、このサブタイトルを作った石堂淑朗氏によると「最終回だとわかっていたらこんなタイトルにはしなかった」とのこと。
- 回想で登場した怪獣は、クレッセント、ザルドン、ギマイラ、ゴモラⅡ、バルタン星人五代目、レッドキング三代目。
- この事件を最後に地球では怪獣と宇宙人の出現がほとんどなくなり、『ウルトラマンメビウス』の時代までの四半世紀は平和な時期が続いたということになっている。
- この放送から25年後の2006年3月25日には、『ウルトラマンマックス』最終回(第39話)が放送された。それから1年余り経った2007年1月27日、先生ウルトラマンとしては微妙な形で終わってしまった『ウルトラマン80』の物語は、27年目にしてようやく終止符が打たれることになる。
- 劇中でオオヤマが口にした「地球はやっぱり地球人の手で守らねばならん」は、かつてこの人たちも同様のことを言っていたが、ウルトラシリーズ全体における防衛隊が目指している理想である。だが、一部の作品では歪んだ形で体現されるケースもあった。
- この回のみED曲として挿入歌「心を燃やすあいつ-矢的猛の歌-」が使用され、本編からCMを挟まずに直接流れるという特別仕様のエンディングとなっている。