前線に舞う、花びら達の狂想曲<ラプソディー>。
イントロダクション
近未来の地球――
人類は「ヒュージ」と呼ばれる謎の生命体の出現で破滅の危機に瀕していた。
全世界が対ヒュージという一事に団結し、
科学と魔法の力<マギ>を結集した決戦兵器「CHARM(チャーム)」の開発に成功、
その使用者となる少女たち「リリィ」を養成する機関「ガーデン」を各地に設立した。
ガーデンの中でも名門と名高い百合ヶ丘女学院に
補欠ながらも合格を果たした一柳梨璃は、
人類存続のために戦うリリィとしての一歩を踏み出す。
かつて、自身の窮地を救ってくれた白井夢結を追ってこの学園を受験した梨璃は
登校初日に邂逅を果たすも、以前の夢結とはどこか違っていて……
儚くも美しく戦う、少女たちの物語が花開く──。
公式サイトより引用
概要
2013年に始まったドールシリーズ・アサルトリリィのメディアミックスプロジェクトの一環として制作されたTVアニメーション作品である。アニメーション制作は『魔法少女まどか☆マギカ』などで知られるシャフト。
元々は2020年7月から放送される予定であったが、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)流行の影響を受け延期。同年10月より放送開始された。
放送局はTBS、テレビ山梨、新潟放送及びサンテレビやKBS京都、テレビ新広島、テレビ愛知に加えてテレビ朝日系列局のごく一部、さらにはBS-TBSとTBSチャンネル1。
見放題配信はAmazonプライムビデオで独占配信が行われ、レンタル配信は各配信サービスにて順次配信開始された(のちに独占解禁となり、2022年現在は各配信サービスにて見放題配信が視聴可能となっている)。
監督・シリーズ構成は『放課後のプレアデス』監督などで知られる佐伯昭志が務める。佐伯監督はガイナックス出身であるが、ガイナックス×シャフト制作『まほろまてぃっく』でメインの演出を務めた縁でシャフト側からオファーを受けるかたちとなった。
キャラクターデザインは細居美恵子が担当。原作者の尾花沢氏がアニメ『あいうら』を好きであったことから、同作のキャラクターデザインを務めた細居氏に声が掛かったという。
本作品は、シャフトの顔とも言える新房昭之氏が(監督・総監督・監修・アニメーションスーパーバイザーなどの)いずれのかたちでも制作に携わっていないシャフト制作テレビアニメとして、2006年放送『REC』以来14年ぶりの作品となる。
また、2021年1月20日にリリースされたゲーム『アサルトリリィ Last Bullet(ラスバレ)』は本作とリンクしており、アサルトリリィプロジェクトの複数存在する世界線(作品設定の差異)の中にあって世界設定を共有している。『ラスバレ』のストーリーはアニメ最終話後の時系列として展開されている。
そのため、アプリラスバレ内の初期ダウンロード画面においてアニメ第1話がまるまる再生されるという珍しいかたちでの配信も行われている。
作品情報
スタッフ
原作 | 尾花沢軒栄(acus) |
---|---|
アニメーション制作 | シャフト |
監督・脚本 | 佐伯昭志 |
アニメーションキャラクターデザイン | 細居美恵子 |
サブキャラクターデザイン・総作画監督 | 潮月一也 |
副監督 | 長原圭太 |
チーフ演出 | 大谷肇 |
総作画監督 | 崎本さゆり、常盤健太郎 |
アクションディレクター | 鈴木勘太 |
チャームデザイン | 秋篠Denforword日和 |
ヒュージデザイン | 石田弘道 |
美術監督 | 丸山康司、北井真理江 |
色彩設計 | 日比野仁 |
CG監督 | 及川恭平、島久登 |
撮影監督 | 会津孝幸 |
編集 | 松原理恵 |
音響監督 | 亀山俊樹 |
音楽 | 松田彬人 |
制作 | アサルトリリィプロジェクト(ブシロード、TBSテレビ、ポケラボ、シャフト、アゾンインターナショナル、丸井グループ、ブシロードクリエイティブ、ブシロードミュージック) |
主題歌
オープニングテーマ
『Sacred world』
作編曲 - 藤田淳平 / 作詞 - Spirit Garden / 歌 - RAISE A SUILEN
エンディングテーマ
『Edel Lilie』(第1-4話、第6-7話、第10-12話)
作曲 - 俊龍 / 編曲 - 秋月須清 / 作詞 - 安藤紗々 / 歌 - 一柳隊
『Heart+Heart』(第5話)
作編曲 - 神田ジョン / 作詞 - 安藤紗々 / 歌 - 一柳梨璃&白井夢結(赤尾ひかる&夏吉ゆうこ)
『GROWING*』(第8話)
作曲 - 俊龍 / 編曲 - 大和 / 作詞 - 安藤紗々 / 歌 - 一柳隊
『まばたき』(第9話)
作編曲 - 大和 / 作詞 - 安藤紗々 / 歌 - 一柳結梨(伊藤美来)
各話リスト
話数 | サブタイトル |
---|---|
第1話 | スイレン WATER LILY |
第2話 | スズラン LILY OF THE VALLEY |
第3話 | ワスレナグサ FORGET-ME-NOT |
第4話 | キンモクセイ FRAGRANT OLIVE |
第5話 | ヒスイカズラ JADE VINE |
第6話 | スミレ VIOLET |
第7話 | フリージア FREESIA |
第8話 | ツバキ CAMELLIA |
第9話 | コスモス COSMOS |
第10話 | アネモネ ANEMONE |
第11話 | ユリ LILY |
第12話 | ブーケ BOUQUET |
なお、各回のタイトルコール場面では各エピソードの花の花言葉にちなんだ副題が併せて表示されている。
主な登場人物
百合ヶ丘女学院・一柳隊(主人公陣営)
主人公・梨璃をリーダーとするレギオン。アニメ第6話で結成された。
一柳梨璃(ひとつやなぎ りり)
CV:赤尾ひかる
主人公。かつて自分を助けてくれた夢結に憧れて百合ヶ丘女学院のリリィとなる。
白井夢結(しらい ゆゆ)
CV:夏吉ゆうこ
もう一人の主人公。百合ヶ丘を代表するリリィのひとりであり、梨璃の憧れの人。
楓・J・ヌーベル(かえで・じょあん・ぬーべる)
CV:井澤美香子
フランスのCHARMメーカー「グランギニョル」の令嬢。
高貴な家柄の出身として、卑怯な手段を嫌う正々堂々とした性格。
二川二水(ふたがわ ふみ)
CV:西本りみ
1年生のリリィオタク。入学初日に梨璃と補欠合格仲間として意気投合する。
安藤鶴紗(あんどう たづさ)
CV:紡木吏佐
人を寄せ付けない雰囲気を持つ1年生。猫が好き。
吉村・Thi・梅(よしむら・てぃ・まい)
CV:岩田陽葵
ベトナム出身。夢結と親しい友人関係にある2年生。鶴紗とは猫好き仲間。
郭神琳(くぉ しぇんりん)
CV:星守紗凪
台湾出身。飄々とし、正義感が強い性格。ルームメイトの雨嘉を気にかけているが……
王雨嘉(わん ゆーじあ)
CV:遠野ひかる
アイスランドからの留学生。神琳のルームメイト。
優秀な姉妹に対するコンプレックスで自信が持てない性格。
ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス(みりあむ・ひるでがるど・ふぉん・ぐろぴうす)
CV:高橋花林
ドイツ出身。工廠科に所属する「戦うアーセナル」。
面倒見の良い、のじゃ口調のムードメーカー。
一柳結梨(ひとつやなぎ ゆり)
CV:伊藤美来
第7話にて、海岸で調査中の一柳隊に発見された記憶喪失の少女。
リリィ適性があったため、一柳隊の仲間として生活することとなった。
壱盤隊(二代目アールヴヘイム)
百合ヶ丘女学院を代表する強豪レギオン。
- 天野天葉(あまの そらは)
CV:津田美波
壱盤隊の主将。世界トップクラスの実力を持つリリィ。樟美のシュッツエンゲル。
- 江川樟美(えがわ くすみ)
CV:原田彩楓
天葉のシルト。お姉様が大好き。
- 田中壱(たなか いち)
CV:洲崎綾
樟美のルームメイト。第8話ではミリアムと張り合っている。
- 遠藤亜羅椰(えんどう あらや)
CV:関根明良
壱盤隊のエース。好戦的な性格。好みの女の子に躊躇なく手を出そうとする問題児。
- 番匠谷依奈(ばんしょうや えな)
CV:立花理香
天葉のルームメイト。
生徒会
- 秦祀(はた まつり)
CV:田中那実
三役ある生徒会長の「オルトリンデ」の代行。夢結のルームメイト
- 出江史房(いずえ しのぶ)
CV:長妻樹里
三役ある生徒会長の「ブリュンヒルデ」
- 内田眞悠理(うちだ まゆり)
CV:櫻川めぐ
三役ある生徒会長の「ジーグルーネ」
その他
- 真島百由(ましま もゆ)
CV:水瀬いのり
工廠科2年生。夢結の友人。ミリアムと仲良し。
- 川添美鈴(かわぞえ みすず)
CV:川澄綾子
夢結のシュッツエンゲル。
- 六角汐里(ろっかく しおり)
CV:高橋李依
梨璃のクラスメイト。
- 伊東閑(いとう しず)
CV:七瀬彩夏
梨璃のルームメイト。
- 高松咬月(たかまつ こうげつ)
CV:中田譲治
百合ヶ丘女学院理事長代行。
他メディアとの共通点・差異
原作のアサルトリリィプロジェクトには数多くのリリィたちが登場するが、アニメ内にそれら全てを出演させることはできないため、主人公・梨璃とそのシュッツエンゲルである夢結の二人を中心とした物語となっている。登場するキャラクターは主人公の梨璃をはじめとするレギオン一柳隊をメインに据えており(キャストは舞台版と同一)、彼女たちの在籍する百合ヶ丘女学院を舞台としている。
基本的に他のガーデンのリリィは物語に関わることはなく、第9話で例外的にヘルヴォルとグラン・エプレがスポット登場したのみだが、制作スタッフの遊び心的に「隠れリリィ」として何かしらの形で登場している。
そして、原作の設定をベースに、小説や舞台に登場しない新たなキャラクターが登場するほか、これまで存在のみが明かされていたキャラクターのビジュアルが公開され、作中の物語の根幹に大きく関わる役割を果たすことになる。
アニメに登場するヒュージはこれまでに公表されてきたデザインのものとは異なるアニメオリジナルのデザインとなっており、アニメ化に当たって行われた設定整理の過程でヒュージの発生機序に関する設定が変更されている。原作に登場したヒュージの分類や名称は、第12話にてようやくアルトラ級としてその名称と骨格が登場する。デザインに限らずヒュージとは何者であるのかという根幹そのものが設定され直したアニメ版において、ヒュージとリリィは「来訪するものとそれを迎えるもの」という関係で捉えられている。なお、ヒュージに関するアニメ版の設定はアプリゲームでもおおむね踏襲されている。
本作品の舞台となった百合ヶ丘女学院は、原作のドールシリーズにおける初期設定ではその名の通り川崎市百合丘地区に所在していたが、アニメ版の設定では「海から来訪するヒュージを迎撃する場所」として、海に面し三方を山に囲まれた地形を有する鎌倉周辺に設定された。
ファンの反響
プロモーションが公開されると、その中で流れたCHARMの変形シーンからの梨璃によるサンライズパース(※本作品はシャフト制作である)が大きな話題となった。また第一話放送時からTwitter上では梨璃をはじめとするキャラクターの太ももに注目するファンが散見された。
一方で、ED映像の一部カットからは不穏な空気感が流れており、ファンの不安と期待を煽っていた。作品後半でその懸念は現実ものとなってしまい、多くの視聴者に衝撃を与えた。これに関連してpixiv上では当該人物が生還(若しくは蘇生)してほしいという願いを込めたIFの物語がいくつも投稿される事態となった。
作中でペヤングが登場した際には(まるか食品との公式のコラボ)、Twitterにてキャラクター達がペヤングを調理したり食したりするファンアートが散見されるなど盛り上がりを見せた(とはいえ、実際に登場した回は上述の衝撃的なエピソードであり、何のおふざけも無かったのであるが…)。
第10話ではそれまでコメディ・リリーフ的な役割を担う場面の多かった楓・J・ヌーベルが面目躍如となる活躍を見せ、その結果Twitter上に本名フルネームでのトレンド入りを果たした。
一柳梨璃の出身地で、作中にも登場した山梨県甲州市はファンによる舞台探訪がおこなわれ、甲州撤退戦の舞台となった「祝橋」や、第5話で登場した勝沼ぶどう郷駅、日原商店などがいわゆる聖地巡礼の対象となっている。本作品とのコラボレーションも実施されており、甲州市による紹介PVの制作や、同市内の関連施設における展示などが行われている。