「構いませんよ、でも──」
「いえ。また会いましょう堀北先輩」
『そのまま動かずに聞け』
「少なくとも僕は大切な友達が困っていたら助けるよ。どんな手を使ってもね」
※本記事は本作の重大なネタバレが含まれます。
プロフィール
所属 | 1年Aクラス |
---|---|
学力 | A(95) |
身体能力 | D-(25) |
機転思考力 | B+(77) |
社会貢献性 | D(31) |
総合 | B-(61) |
一人称 | 「俺」(幼い頃は「僕」) |
概要
2年生編から登場するキャラクター。
高度育成高等学校の新入生。
新1年Aクラスのリーダーを務めている。
須藤と同じくらい身長が高く、優秀で情に厚いうえに実行力があり、Aクラスのリーダーとして認められている。
あまり表舞台に出てくるタイプではなく、他クラスのリーダーとの交流会や交渉などの面倒事は副リーダー的存在の高橋修に任せている。
略歴(ネタバレ注意)
名前の初出は2年生編2巻。
本人自体は1年生編9巻から登場している。
1年生編9巻、作中では2月の某日。
午前1時頃に綾小路の携帯に知らない番号から電話がかかってくる。
非常識な時間帯に着信音が鳴ったことで、綾小路は多少警戒しながら通話に出るが30秒ほどの沈黙が続いた。
「綾小路清隆」
電話の男からただ一言名前を呼ばれた綾小路だったが、全く聞き覚えの無い声だった。7巻でホワイトルームの動きを知ったことで、父親の差し金と考えていた綾小路だったが‥‥。
2年生編8巻において、電話の男の正体が石上京だったことが判明する。修学旅行中にその正体に見当がついた坂柳は石上に確認の電話を掛け、その通話を隣で聞いていた綾小路も正体を知ることとなった。
人物
財界人の親繋がりということで、幼い頃の坂柳や神崎と面識を持っていて、神崎とは同じ塾に通っていたこともある。
財界人の親を持つだけの一般生徒かと思いきや、その正体はあの男の浅からぬ関係者だった。石上の父親によると、普段はあまり物事に関心を持たないものの、政治の世界には興味がある。
篤臣とは資金パーティーで知り合い、積極的に声をかけるようになっていった。今では心酔するほど、彼を慕っている。
本人曰く「綾小路先生に勧められて、この高校に入学した」とのこと。綾小路とホワイトルームサイドの争いでは、あくまで中立の立場を主張しているが、篤臣から指示が入った場合には綾小路との敵対も辞さない。
神崎によると、敵には容赦しないタイプだが、敵でも味方でもない相手には無関心を貫く。作中では綾小路や堀北、八神などに関心を抱いている。
一方で仲間や友人に対する情は厚い。資金パーティーにおいて、嘘を追及されて困っていた友人を対話のみで救ってみせた。
神崎と同様に幼い頃から冷静な判断ができているが、考え方は大きく異なり、「大切な友達が困っていたらどんな手を使っても助ける」という言葉から根底には仲間意識の強さがあることが窺える。
また、「モラル」「マナー」を基準に査定される社会貢献性で低評価を受けていることからも窺えるように、癖の強い会話を行う傾向がある。
1学年上である2年生に対して敬語を使う場合とそうでない場合が明確に分かれており、堀北に対しては下級生らしく敬語で話すものの、綾小路や坂柳に対しては常体でしか話さない。
会話の中で伝えたいことを話すタイミングも明確な差が見られる。堀北に対しては相手の状況を考慮に入れ、適切なタイミングを窺うような様子が見受けられるが、綾小路に対しては状況を一切考慮せず、初めから一方的に情報を押し付けたり、聞きたいことを質問する形になることが多い。
実力
2年生編8巻時点で主要人物たちとの対決が実現しておらず、具体的な強さは明らかではないが、神崎によれば常人には考えの及ばない発想を幾つもしている天才である。また、神崎が「一之瀬と坂柳の良い所を抜き出したような男」と表現していることからも本作の登場人物の中で屈指の実力者と考えても支障はない。
普段から表に出ることは少なく、他クラスとの交渉ではクラスメイトである高橋を矢面に立たせておいて、自分は裏から情報収集や作戦の立案をするなど、綾小路のように裏方で動くスタイルが目立つ。
1年Cクラスの波田野を退学に追い込んだ犯人が八神だという真相は同期の潜入者である天沢くらいしか知らなかったが、石上はそこに辿り着くほどの異常な情報収集力と分析力を持ち合わせている。また、プライベートプールの予約を装っていた堀北の発言の矛盾点を指摘するなど、洞察力と思考力にも長けている。
その一方で運動や喧嘩は苦手であり、クルーズ船のプールで遊ぶ石上を見た伊吹によって、身体は全く鍛えていない事が明かされている。OAA評価も身体能力の項目は、坂柳や佐倉と同じ25という作中最低値である。
動向
9巻で声だけ初登場。
深夜に綾小路に電話し、無言電話の果てに彼の名前を一言呟いて通話を切るというかなり不気味な動きを見せている。
また、高度育成高等学校の生徒に支給される携帯には外部との連絡を制限するシステムが施されている以上、綾小路と通話ができるのは原則的に学園の敷地内で生活している人物だけであり、この時に敷地内のどこかに潜伏していたことが示唆される。
続いて存在が言及されたのが2年生編2巻。
綾小路を退学させたクラスに2000万ポイントを与えるという試験において、八神の口から、Aクラスからの参加者として高橋と共に名前が挙げられている。
無人島サバイバル前には、1年生の各クラスの代表者が作戦会議で集ったが、石上は高橋に出席を任せ、姿を見せなかった。
そして本人がメインキャラの前で初めて登場したのが2年生編4.5巻である。船上のプライベートプールに予約目的で訪れると、1年生の筆跡を調べていた不審な堀北との会話を試み、堀北の発言の些細な矛盾をタイミングを見計らって指摘した。堀北が苦し紛れの弁解をすると追及を止め、別れ際に再会を示唆する言葉を残した。ここから彼女に何らかの興味を示していることが分かる。
2年生編6巻にて、寮の部屋の扉越しではあったが綾小路と初会話を果たした。体育祭の昼休み、何らかの手段によって坂柳理事長の手配していたロビーの護衛を通り抜け、坂柳が綾小路の部屋を訪れていたタイミングで部屋の前まで来訪する。チャイムを鳴らしてから扉越しに一方的に会話を始め、綾小路に「月城やホワイトルーム生を排除したところで平穏な生活は戻らない」という忠告のような助言をして去っていった。
2年生編7巻では、その巻の本筋に深く関わる行動を起こす。1年Cクラスの波田野を罠に嵌めて退学に追い込んだのが八神だと掴んでいた石上は、宇都宮と椿に協力を持ちかけ、八神からの命令という体で椿に佐藤を脅させていた。
文化祭終盤、クラスメイトを骨折させた犯人を追っていた龍園や、綾小路との契約に従った南雲などに問い詰められ、無人島での傷害行為などを暴露された八神は退学になっている。これは綾小路が暗躍して八神を追い込んだ結果と思われたが、実は一連の流れは全て八神を追い詰める為に綾小路の力を利用したいと考えた石上が用意周到に仕組んだものであることが文化祭後に発覚する。
坂柳との電話越しではあるものの、2年生編8巻ではついに綾小路にその名前を認識されることになった。そして、現状では中立の立場である事、綾小路先生の指示があれば敵対も辞さない事を主張している。
過去編である0巻(アニメ2期の円盤の初回生産特典)においても続いて登場。篤臣の主催する資金パーティーに財界人の子息として参加していた石上は友人である藤に起きていたトラブルに介入。藤の嘘を追及することなく、終始冷静に対応し、リーダー格の子どもに殴られそうになるも機転を利かせてその場に収拾をつけてみせた。
人間関係
崇拝の対象。「綾小路先生」と呼び、彼を強く慕っている。また高度育成高等学校に入学したのは彼の勧めだと主張している。
ホワイトルームの最高傑作というのを知っていて、その実力も強く認めている。彼の力を利用する為、体育祭の昼休みを利用して自らプレッシャーをかけに行ったり、椿と佐藤経由で八神の存在を知らせるなどの行動を取っている。
親が財界人という共通点を持ち、お互いに顔見知りである。体育祭の昼休みに綾小路の部屋に接触してきた際、坂柳からは5年前や10年前くらいの遠い昔に覚えがある気配だと言及されており、かなり幼少期からの付き合いである事が示唆されている。
神崎とは同じ塾であり、親同士も財界人のパーティーで接点がある。綾小路や堀北とは違い、彼のことは眼中に無かった様子。
2年生編4.5巻にて初めて接触している。堀北が自分を含めた1年生の事を嗅ぎ回っている事に気付いており、彼女に再会を示唆する言葉を投げかけた。2年生編8巻現在、石上が姿を見せて敬語で会話する唯一の2年生でもある。
また、堀北からは「温厚そうだがちょっと不気味」という印象を持たれている。
1年生の中でも隠れて問題を起こす八神のことは目障りだと感じているようで、綾小路や椿を使って彼を退学させようと動いていた。
石上五郎
0巻で登場した父親であり、石上の母親は再婚相手。石上グループの会長を務める。50歳ほどの年齢差があり、孫のように大事にされている。石上の政治界への関心を汲み、篤臣が政界に返り咲いた際には側仕えにさせるように頼んでいた。
伏線
ぽっと出のキャラクターのようにも思えるが、一応彼が電話の男であるという要素や伏線は2年生編8巻以前の要所で散りばめられている。
- 1年生編9巻時点で綾小路が一度も声を聞いた事がない人物
主人公という設定上、綾小路は9巻までには作中の登場人物の殆どと何かしらの接点を持っており、9巻時点で声を聞いた事が無いとなると新キャラクターの可能性が考慮されていた。
- 2年生編2巻にて、綾小路の2000万ポイントの試験を知っていると示唆された事
電話の男が父親の関係者と綾小路が予想していた事。そして実際にホワイトルーム生だった天沢がこの試験内容を知っていた事もあり、関係者と思われる電話の男も月城や2000万の試験の事を知らなければ逆に不自然。
- 2年生編4.5巻にて、星之宮から「随分前に見た事がある気がする」と言及され、1年生だと知って驚いていた事
1年生編9巻時点で学園の敷地内にいた可能性があり、その時に敷地内のどこかで星之宮に目撃されていても不思議ではない。
また、外部との接触を絶っている以上、生徒が入学前に敷地内にいることは原則的に不可能であり、星之宮が石上を目撃したのが年度が変わる前の1年生編時点なら、石上のことを2年生か3年生だと勘違いしてしまうのも無理はない。
- 2年生編6巻にて、「電話を掛けた直後に不都合なことが起きた」と言っていた事
クルージング中など学園の敷地外においても携帯は通じていた為、電話の男が学園の敷地内にいたことは確定しておらず、星之宮が石上を目撃した時期を前年度だと勘違いしているだけの可能性があった。
しかし、電話の男が星之宮と学園のどこかで鉢合わせしていない限り、この発言の整合的な説明がほぼ不可能になった。
このように、石上が電話の男であるという証拠は巻を増す毎に積み重なっていき、読者の予想が石上でほぼ一致したところでその正体が確定した。
余談
初めて名前が出た際には『石神京』と表示されていたが、その後の4.5巻では『石上京』と修正されており、読者を長年混乱に陥れていた。
しかし、2年生編8巻のあとがきにて作者の衣笠彰梧からは「石神は大間違い」と誤字を明言された為、改めて石上京という名前で確定している。
誤字の理由については「多分、疲れていたから」との事。無意識なら仕方ない。
関連タグ
類似しているキャラクター
稀咲鉄太‥‥頭脳面が作中随一であり、周囲を動して用意周到に計画を遂行する所に共通点がある。また稀咲は喧嘩においては作中でも最弱に近く、石上も身体能力のOAA評価は男キャラの中で作中最弱である。
ルルーシュ・ランペルージ‥‥『類稀な頭脳の持ち主で戦略家』『成績優秀だが、体力が非常に低い』『基本的に非情だが、気に入った仲間に対しては情に甘くなる』『黒の騎士団のリーダーとして仲間から信頼されている』など、石上と似ている特徴が多い。
紫宮京‥‥『主人公の年下』『頭脳明晰の天才』『裏から人の行動や状況を操る』という点で石上と似ているが、紫宮は身体能力も抜群で空手と柔道の黒帯という文武両道型。性格面ではどちらかと言うとこの人によく似ている。
市丸ギン‥‥『天才』『長身』『ボス格キャラの下に付いている』『捉えどころがない』『他人に否定的感情を抱かれやすいが、三番隊の仲間からは信頼されている』など、いくつかの類似点が見られる。石上の綾小路先生への心酔に理由がある場合は更に類似性が高まる。どちらかと言うとこの人によく似ている。