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仮面ライダー響鬼製作スタッフ交代騒動の編集履歴

2023-03-26 14:15:20 バージョン

仮面ライダー響鬼製作スタッフ交代騒動

かめんらいだーひびきせいさくすたっふこうたいそうどう

本記事では、特撮テレビドラマ『仮面ライダー響鬼』にて発生した、制作スタッフの交代とそれに伴う路線変更、そしてそれに端を発したファンの間での騒動について取り扱うものとする。

概要

平成仮面ライダーシリーズ第6作として、2005年から2006年にかけて放送された『仮面ライダー響鬼』は、「」をモチーフとして取り入れた異色の仮面ライダーとして話題となったが、TVシリーズの物語も全体の折り返しを過ぎた巻ノ三十(2005年9月6日放送分)において、プロデューサーをはじめとした制作スタッフの交代と、物語の大幅な路線変更に踏み切った。

平成ライダーにおいて、このような大規模な路線変更自体が初の事態であったが、中でもチーフプロデューサーの髙寺成紀が降任したという事実は、巻ノ三十放送の前日に封切られた劇場版が、(パラレル設定であったとはいえ)TVシリーズとは明らかに趣を異とする内容であったことや、(テコ入れはともかくとして)制作統括者であるチーフプロデューサーの更迭が長い日本の特撮の歴史の中でも異例の出来事であったことも相俟って、ファンの間でも特に衝撃を持って受け止められた。

一般的にはプロデューサー交代として知られているが、実際のところは後述するように脚本・演出などにも影響を及ぼす形となっている。


交代・加入したスタッフ、およびテコ入れの内容は以下の通り。

  • チーフプロデューサーが髙寺成紀から、白倉伸一郎(当初は劇場版のみに参加予定であった)に変更。白倉が新しいスタッフ集めに奔走することとなった。
  • 脚本面では、きだつよし大石真司に代わって井上敏樹が巻ノ三十以降のほぼ全ての脚本を担当。他、一部の話数においては次作『仮面ライダーカブト』でメインライターを務めた米村正二も参加。
  • 撮影監督のローテーションに鈴村展弘田村直己が参加。
  • 戦闘シーンの大幅増加。フルCGを使った巨大魔化魍を極力減らし、等身大怪人との戦いを増やす。
  • メインキャラクターに桐矢京介を新たに追加。さらに安達明日夢がヒビキに弟子入りするなど人間関係の整理。
  • 山中や遠方でのロケを中止、もしくは大幅に縮小。
  • ED映像の廃止、およびOP映像の刷新。

この路線変更により、ファンの中で「巻ノ三十以前の雰囲気のままが良かった」等の前期響鬼派と「巻ノ三十以前より面白い」といった二つの派閥に分かれてしまい、商品化リクエストサイト「たのみこむ」で路線変更前のスタッフ復帰を求める嘆願が行われたほか、同時に劇場版の公式ブログにスタッフ・キャストに対する誹謗中傷を書き込むという迷惑行為に及ぶ者も現れた。現在でも「前期(後期)の響鬼が好き」という具合に、前期・後期がまるで別作品の様に語られることも珍しいことではない。


一方で、ストーリーのテーマに関しては、路線変更後もなるべく維持が続けられるよう努力がなされており、この点については難色を示した側からも一定の評価が与えられている。


どうしてこうなった

こうなった原因は現在でもよくわかっていない。ネット上で議論されたものとして、以下のようなものがある。

  • 細部まで妥協せずに作り込むという高寺Pの悪癖が出て、労力・予算・時間を好きなように注ぎ込んで趣味を追求し遠方へのロケなど資金や時間のかかる方法を多用した結果、制作体制が崩壊した。
  • 玩具売り上げの低迷
  • 制作体制崩壊と商業的失敗を受け、制作側から改善の要求が出されたが拒否したため。

1点目の制作側崩壊については、後に出版された書籍でのインタビューにて高寺・白倉両プロデューサー共に認めている。また井上に関しては物語の方向性を守った事、汚れ仕事であることを承知で請け負ってくれた事もあり、両プロデューサーから非常に感謝されている。

また、「細部まで妥協せずに~」との点については、番組立ち上げの段階で参加していた片岡力が著書において、「『クウガ』の頃と違って髙寺の中には番組作りを通じて表現したいことがもはや残っておらず、はじめから作品を貫徹できるテーマを持ち得なかった」とも推論されている。


松田賢二の証言

2015年、高寺がMCを担当するラジオ番組『怪獣ラジオ』にてザンキ役の松田賢二がゲスト出演した際に、この騒動についてほのめかす発言をしていた。

要約すると、

  • 三つ子の魂百までということわざがあるように、小さいころ大人に見せられた価値観は大人になっても残ってしまう。そんな多感な時期に人間同士がエゴをむき出しにして醜く争うものを刷り込むのはどうかと思う。仮面ライダーとは「将来こうなりたいと思う大人の見本」であり、自分も父となった現在当時よりももっと強く子供に見せる番組に対してそう感じる。
  • 井上は後半の路線変更脚本を不服としており、「仕事だし会社の命令だから」として嫌々ながら脚本を書いていた。井上としては、前半の「従来の東映による子供向け番組の枠を打ち破ろうとしていた」高寺率いる響鬼前半制作陣のマンネリ打破の意欲を支持しており、作風を変えろ、いつも通りに戻せと圧力をかけられながらも出来るだけ抵抗して響鬼らしさを変えすぎないように、いつもの平成ライダーになるべく戻らないように抵抗していた。
  • 出演していた俳優陣も、後半になってから士気が下がったり内容に納得がいかず抗議や衝突も見られた。しかし出演者の不満を解消するために井上の真意を聞かされて事情を説明されたのもあり、だからこそ現場ががんばって作品の質を落とさないよう演技でがんばるしかないと納得させ使命感と現場の団結に変わっていった。

といったものである。


その後

『響鬼』の制作現場より離れた高寺は、それから1年弱後の2006年5月末日をもって東映からも去り、角川書店へと転職。これについて高寺は、『響鬼』での件が原因で退職した訳ではなく、あくまで個人的な理由によるものであると説明している。

同社においては『大魔神』のリメイクである『大魔神カノン』(2010年)のチーフプロデューサーも務めている。同作への評価についてはここではさておくとして、皮肉にもその存在が本騒動に端を発したファン同士の対立に、ある程度の収束をもたらす要因の一つとなったのではないか、と見る向きもある。

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