凍れる時間の秘法
こおれるときのひほう
解説
『ダイの大冒険』に登場する、掛けられた対象者の時間を停止させる術。『勇者アバンと獄炎の魔王』では、『隠れ里ギュータ』でこの呪法に関する書物と、祖父『ジニュアールⅠ世』が遺した天文学に関する論文や古文書を組み合わせて再現。『パプニカ王国』に奇襲した謎の殺戮機械の討伐後、王に舞台となるウロド平原へ呪法を仕掛ける許可を経て、マトリフ、ブロキーナ両名の援護を受け敢行。
術を仕掛けられた対象はアストロンに近い状態となり、基本的に物理攻撃や、呪文等いかなる手を使おうとダメージを受け付けないが、メドローアは例外的に有効。術を掛けられた者は当然、意識も停止し動けなくなる。凍てつく波動であれば解除可能だろうが、『ダイ大世界』に存在しているのかは不明。
ミスト(ミストバーン)と同様に、他者の肉体に取り憑き操る生命体であれば、凍れる時間に封じられた肉体に取り憑き無敵の戦士と化す。
発動させられるのは部分日食ではなく皆既日食の現象時のみで、術者に力が無ければ次の皆既日食発生までの数百年の間には自然と解けるが、術者に力を有し、完璧な発動が出来るのであれば次回まで解けることは無い。詳細は不明ながら術者が任意のタイミングで解呪は可能で、バーンはミストに預けていた自身の肉体の呪法を解いた。
また、術者以外の者による解呪法が存在し、此方も任意のタイミングで解呪は簡単だが、術を発動した時間とは反対の時間に仕掛ける必要がある(秘法を使ったのが真昼の正午ならば、解呪法は深夜午前0時)、特殊な魔法陣を使うなど、条件を揃える必要がある。これを知っているのは完璧な発動が可能な大魔王バーンとその肉体を預かる側近であるミストだけであったが、バーンの意を受けたミストがハドラーの解呪を行わせるべく彼の当時の部下にこっそり伝授した(解呪後に事情を知らされたハドラーは、バーンの差し金と見抜く)。ハドラーの解呪と同時に、共に巻き込まれて停止していたアバンも解呪。アバン達はハドラーの解呪の事を知らなかったため、術者の技量不足のために1年程で解呪されたと捉えていた。天文学が未発達の世界では魔族の古代文明をもってしても正確な算出時期が割り出せず数百年に一度と曖昧で、最大Lvでないと術者側ごと『凍れる時間』の余波に巻き込まれ生命機能が停止する理由から、自在に使いこなすのは極めて難しい高度な術である。
用途
大魔王バーンは、自らの肉体を分離し、片方に生命力の大半を移し(もう片方の本体は魔力を残した老人の姿になる)、それを秘法で凍らせ限りなく永遠に近い寿命を得る意図のもと、数千年前から皆既日食の度に使用し続けていた。肉体の時間が停止、歳も重ねないのを利用したものである。
アバンもハドラーを数百年後の皆既日食まで封印する目的で使ったが、前述の通り使いこなすのは極めて難しい。アバンは魔力が足りず時間停止に巻き込まれた。停止の表現も若バーンとは異なり「固まった」のが一目で判る表現がされた。原作当時は描写不足で術者(アバン)の力不足により1年で自然と解呪されたと思われていたが、前述通り、後年の外伝で解呪法も存在し、それを用いたことが判明している(アバンがハドラーの解呪に伴い解呪され、アバン達はハドラーの部下達が行った解呪法を知らず、術者側の力不足だと認識していた)。
更に同じく外伝で描かれた事だが、生命体に呪法を掛けた場合、呪法を掛けた瞬間の精神が停止した期間そのままに保たれ、解除後も精神に強い影響力を残す。アバンの場合、ハドラーを封印せんとする強い意志や闘志を保ったまま1年間凍結していた影響から解除後は空裂斬を自在に放ち、その流れで必殺剣を完成させた。一方のハドラーの精神にはアバンに封印された瞬間の強い動揺と焦燥が色濃く残った。バーンが呪法による凍結を解除して若さを保った肉体を取り戻した際に、長年培った慎重さや冷静さの経験を「若さ」の反動で失ったのも、この影響である可能性が高い。
本家ドラクエシリーズに於いてアストロンを使用したまま行動するというミストバーンを彷彿とさせるバグ技があり、この漫画からとって「凍れる時の秘法」と呼ばれている。
正確には「時」ではなく「時間(とき)」なのだが、有志による「ドラゴンクエスト大辞典を作ろうぜ」では、あえてバグ技紹介の記事として分割している。
そして本家へ
「時を奪う」という名称の技で逆輸入された。対象一人を強制的にアストロン状態にするというもの。