御用の方へ 半沢工業は倒産しました 警視庁特車二課
概要
「機動警察パトレイバー」の主人公たちが所属する部署。
正式な名称は、「警視庁警備部特科(特殊)車両二課」。
注)「機動警察パトレイバー」はメディアミックス作品の為、作中での描写、設定資料全集、ムック、雑誌によって設定の相違点が非常に多い事にご注意下さい。
解説
東京湾埋め立て工事、国家的大規模事業「バビロンプロジェクト」により急激に普及した多足歩行式作業機械「レイバー」による犯罪に対抗するため警視庁警備部特科車両隊に創設された特機部隊(中隊)を、レイバー犯罪の多発・凶悪化に対応して特科車両隊から独立させた部署。特車二課創設により従来の特科車両隊は「特車一課」となっている。
なお、実際の警視庁警備部特科車両隊は10隊ある機動隊のうち第十機動隊に相当する大隊である(大隊は課に相当する)。
大隊(大隊長は警視)は少なくとも4個中隊によって編成され、その中隊(中隊長は警部)は3個小隊によって編成される。
特車二課は11番目の機動隊にあたることになるが実働部隊は2個小隊しかなく、人員の大半を占める整備班を含めても中隊程度の規模であり、課として独立するにはあまりにも小さい組織である。
これは特車二課がレイバー部隊の運用及びレイバー犯罪への対応のノウハウの確立と蓄積のための実験部隊としての性格が強いため。
作中ではバビロンプロジェクト終了後に大隊規模への再編及び全国の県警でのレイバー隊の本格的な創設が予定されていた。
今後製作される(恐らくTV・新OVA準拠)と思われるREBOOT/EZYの世界では、その後も一般的な重機としてレイバーが普及・存続し、警察用レイバーには、ピースメーカーやヴァリアントではなく改良を重ねたイングラムの新造機が継続して納入されている模様。
これは旧OVA・劇場版のその後の流れでは世界的な経済不況によってレイバーシステム自体が衰退してしまったため、さらに15年後の『THE NEXT GENERATION -パトレイバー-』の時代(西暦2013年)では第一小隊は解隊され、第二小隊のみがレイバー隊の運用技術を後世に伝えるという名目でかろうじて残されている状態にある。
(メタなことを言えば、作品の予算不足と押井守の好みに起因する)
課員構成
第二小隊
・後藤喜一:隊長
・泉野明:一号機フォワード(操縦担当)
・篠原遊馬:一号機バックアップ(指揮担当)
・太田功:二号機フォワード
・進士幹泰:二号機バックアップ→二号機キャリア・後方支援
・山崎ひろみ:一号機キャリア・後方支援
・香貫花・クランシー:二号機バックアップ
・熊耳武緒:二号機バックアップ
・相沢義衛:若きキャリア警察官。第三小隊隊長と目されたが、後藤の陰謀により本庁に帰される。
第一小隊
・南雲しのぶ:隊長
・五味丘務:TVアニメ版一号機フォワード
・結城:TVアニメ版二号機フォワード
・石和&古賀:漫画版の一号機、二号機パイロット。
他…
整備班
・榊清太郎:班長
・シバシゲオ:主任。後に班長に就任。
・ブチ山
他多数
その他
・祖父江守:課長(旧OVA版)
・福島隆浩:課長(TV~新OVA・漫画版。)
物語冒頭の時点で第二小隊が新説され、第一小隊、第二小隊の2個小隊により構成される。事務部門は警視庁本庁にある。
第一小隊隊長は南雲しのぶ警部補、第二小隊隊長は後藤喜一警部補である。幻の第三小隊という話も作中で登場したが、実現しなかった。
後藤隊長も「独立愚連隊」などと自嘲するほどであるが、第一小隊に関してはエリート部隊として位置付けられている。
第二小隊は、その「活躍」ぶりから都民からも評判があまりよろしくなく、レイバー犯罪に巻き込まれた被害者ですら第一小隊ではなく第二小隊が駆けつけたと知るや、青ざめたり「もうダメだー!」と大騒ぎしたりする始末である。
責任者である特車二課長は、週に1、2回通勤している模様である。しかしお説教を受けるのは隊長の2人ぐらいなもので、泉はしばらく知らなかった。ただし事実上の決定権を握っているのは、本庁警備部長で後の警視総監、海法である。
初代課長は祖父江守警視正。旧OVA版では第二小隊開設・98式AV配備後も彼が特車二課長だったが、TV版では泉野明配属・イングラム配備前に後藤がなんかやらかした責任を取らされて免職されたらしい。旧OVA版では南雲の口調から自己保身に関わる事柄以外はいい加減な人物だったようだが、TV版17話にスポット出演した際は後藤を相当恨んでおり第二小隊まとめて復讐しようとした。
福島隆浩課長は漫画版でもしばしば登場している。アニメでは融通の利かない下級官僚型の人物として描かれているが、漫画ではたまに後藤が感心するほどの冴えを見せることもある。
「特車二課で一番偉いのは整備の神様、整備班長、榊清太郎。次が南雲しのぶ、そこからぐっと下がって後藤喜一」というのが課員たちの認識となっている。
ただし榊本人は、プログラムやパソコン関係には着いていけないと漏らし、実質は若い連中で回していると考えている。また何といっても「カミソリ後藤」の異名を持つ後藤喜一こそ、特車二課のブレーンなのである。
時折、第三小隊(や第四小隊)設立の話が挙がるが、トラブルが生じるなど何かしらの理由により編成がされる事は無く、ゲーム版といった外伝的作品以外では設立はされていない。
第二小隊の設置と泉野明の配属
旧OVA版、漫画版では香貫花/熊耳(この2人に関しては後述)以外の5人が揃った状態で部隊開設となり、98式AVの配備もそれと同時となる。
TV版~新OVA版では野明を除いた4名ですでに開設されており、使用機体は第一小隊の97式改バイソン配備に伴い余剰となった96式アスカMPLを運用しており、野明の配属と同時にイングラムが配備されることになる。
二号機バックアップ
第二小隊二号機の指揮担当は、進士幹泰、香貫花・クランシー、熊耳武緒になっている。
これは最初の担当が進士だったのだが、進士では太田の暴走を止められないために交代となった。しかしそれで進士が特車二課を辞めた訳ではなく、キャリア担当となり、必要とあれば前職の知識を活かして補佐を行うなどもう一人のバックアップと言える立場となっている。香貫花、熊耳が不在の時には代わりに二号機バックアップを務める。
残る2人は漫画版が熊耳武緒、旧OVA版が香貫花・クランシーになっている。TV版~新OVA版はTV版前半が香貫花だがTV24話で帰国、TV26話から熊耳となる。作品シリーズの違いであり、2人が同時に特車二課に在籍している訳ではない。
作品シリーズによる、この2人の扱いの違いは大人の事情である。推して知るべし。
本部
とにかく待遇が悪すぎることで知られている。
本部の立地の悪さは特車二課への周囲の期待度を示す演出でもあるがストーリーに取り入れられることもある。
本部施設
レイバーの維持費等に膨大な予算を要する部署でもあるため「金食い虫」等と揶揄され、警視庁内でも「島流し」と見られている。太田が「左遷される」とぼやいた時に遊馬は「ここ以上の左遷があるか!」と答えている。
本部施設は、陸の孤島というべき雑草だらけの東京湾岸の埋立地に所在し、島流しといった場末の雰囲気が漂う。建屋は、もともと工場だったらしく「半沢工業は倒産しました」という注意書きが貼られている。
太田は「バビロンプロジェクトが進めば、この辺りも賑やかになる」と話していたが、劇場版第2作の段階になっても変わっていない。泉によれば第二小隊の活躍(?)によりシャワー室が増設されたらしい。
地下には埋め立て工事を行う際に使用された地下道が網目のように存在し、誰も知らない秘密の進入路がある。これらのギミックもストーリーに反映されて来た。
廃棄物シリーズ事件の際は、海沿いで周囲に被害が出ない場所として廃棄物13号を誘い込み、決戦の場となった。グリフォンとの最終対決では、橋や電話線を断たれ、スタンドアローン状態になり、内海から「テロ対策が出来てない」と揶揄されており、劇場版第2作の際もガンシップに強襲され、格納庫のレイバー全機が破壊されているなど劣悪な環境である以上に劣悪な警備状況となっている。
ちなみに「本部」ではなく「基地」と呼んではどうか?という意見が作中で出されたことがある。
生活の場
いくら首都圏にレイバーが集中しているとはいえ、たった2つの小隊で日本中のレイバー犯罪に対応している為、宿直勤務等日常茶飯事。もはやここで暮らしているといっても過言ではない。
「職員の胃袋を支えるのは、最寄りの中華料理屋上海亭のみ」と語られており、周囲にどれほど建物が少ないかは、推して知るべし。
このため鶏小屋で鶏を飼って卵を確保し、トマト畑を耕し、海でハゼを釣って干物にするなど自給自足の生活を強いられている。また食事が原因で壊滅しかけたり、危機的状況に陥ったこともある。
遂には宿直室に大量のエロ本を持ちこむ整備員がいたため、榊班長を怒らせ発見されたエロ本全てが焚書され、後に「火の七日間」と呼ばれる綱紀粛正の嵐まで巻き起こった。
TNGパトレイバー
実写映画ではもっと悲惨なことになっており、第一小隊が解散したことで特車二課の24時間常時待機を第二小隊6人で二つの班に分かれ、24時間勤務と8時間準待機を繰り返すという人権ガン無視なシフトとなっている。
しかも二日間で許されている16時間も睡眠と出勤で取られる事から自由時間は実質1時間しかない。また準待機でも帰宅こそ認められているが非常事態にはすぐに出勤しなければならず、緊急時に備えて居場所を明らかにし、携帯電話の電源を切ることも許されない。
食事面も相変わらず自給自足品以外はコンビニと上海亭頼りだが、上海停の店長が中国の人になった為言葉が通じないことをいいことに楽して作れるメニューを勝手に作って持ってくるため好きなものを食べる自由すらない。
一応ガス抜きとして隔週の水曜日には大規模なバーベキュー大会が開かれており、そこでフランクフルトや焼きそばを作り、上海停の主人を呼んで子豚の丸焼きを作って食べている。
生活の大半を二課で過ごす関係上隊員の私物や暇つぶしグッズが大量に持ち込まれており、レトロアーケードゲームやバスケットゴールといったゲーム用品や簡易プールや水着、日傘や水鉄砲といったアウトドア用品も置いてある。
幻のクーデターの時にヘルハウンドの攻撃でかつてあった二課の場所が壊滅したことで埋め立て地の別の場所に引っ越している。地下通路も相変わらず健在で、金に目がくらんだ整備員が開放したことで悲惨なことになった。
また先述の「火の七日間」で問題になった大量のエロ本・グラビアがこの新棟に埋蔵されており、その一部が現在の整備班員に発見されてその発掘に夢中になった。
ちなみにこれらの騒ぎの時、榊班長時代には榊を宥めたり隊長陣に助けを求めたりしていたシゲは、今度は自身が班長となってこれらの整備班員の問題行動に容赦なく制裁を加えている。
なお爆発オチで三回くらい木端微塵に吹き飛んだはずだが、なぜか次の回には直っている。
ハゼ
特車二課特製「ハゼの干物」のこと。
貧しい食生活を改善するため、職員の誰かが作ったのが始まり。
本来、ハゼは「外道」、狙って釣るような魚ではなく、漁師にとっても「雑魚」、市場価値のない魚である。これを特製のタレに浸け、天日で干したそれは、通念に反し、大変に美味であり、特車二課の多くの職員が中毒症状にも似た習慣性を引き起こし、食べられない時には禁断症状を起こすまでになった。
こうして職場全体でハゼ需要が高まる中、幾らハゼが「ダボハゼ」と揶揄されるほど針にかかり易い魚でも非番の職員だけでは漁獲量が足らず、後藤喜一の陰謀により、本庁警備部所有の高速艇を利用して本格的な漁業、および家内制手工業による大量生産体制が整えられた。挙句、ネット通販によりハゼの干物は特車二課の小遣い稼ぎ(どころか、正規予算では賄い切れない不足分の予算の補填ができるほどの売り上げを叩き出す)にまで利用されて行く。
これにより特車二課は法的には警視庁警備部内の課の一つではあるが、経済的には完全に独立を手中に収めた(ある意味、超法規的な)部署として活動していくことになる。
本来なら漁業権の侵害と公務員の副業で立派な犯罪だが、背に腹は代えられぬとして暗黙の了解となりつつある。
ハゼ事件は、特車二課職員が、如何に職場と強く結びついているか。そして後藤喜一なる人物が、最初はそれとなく、しかし事態が進展するにつれ、誰も抜け出せない状況を作り上げてしまう天才的詐欺師ということを示すエピソードとなっている。
関連イラスト
第二小隊の「あっ軽い人々」
隊長さん達
整備班の方々(代表)