経歴
高校時代
地元、開星高校に進学すると1年からベンチ入りを果たし、2年春には第81回選抜高等学校野球大会に出場。2回戦敗退。3年春には2年連続となる第82回選抜高等学校野球大会に出場し、初戦敗退。夏には第92回全国高等学校野球選手権大会に出場し、初戦敗退。
仙台育英高との初戦、糸原は一番サードとしてスタメン出場。先発は当時2年生にしてエースだった前横浜DeNAベイスターズの白根尚貴。
9回表、後攻だった開星は5-3と宮城県代表・仙台育英をリードし勝利目前。しかし先発・白根が一点を失いなお満塁。ツーアウトまでこぎ着けた白根は、打者をセンターフライに打ち取り試合終了……とはならなかった。
センターの本田がフライを落球し、5-6と逆転を許す。その裏、ツーアウト、ランナー1、2塁。一番糸原の打球は左中間を抜ける長打になるかと思われたが、レフトのダイビングキャッチにより試合終了。
「世紀の落球」と言われたこのプレーは、今なお語り継がれている。
この時、糸原を始めとするチームメイト達は決して本田を責めることなく、それどころか「落としたくて落としたわけじゃない」「甲子園に来れたのはお前のおかげ」と本田を慰めたという。
高校卒業後
その後、プロ志望届は出さずに明治大学に進学。2年から主力選手として試合に出場し、3年には首位打者になりベストナインを獲得。
しかし4年に不振に陥り、プロには進まずJX-ENEOSに入社。現東北楽天ゴールデンイーグルスの高梨雄平と共に1年目から公式戦に出場。第86回都市対抗野球大会では予選でJX-ENEOSは破れたものの東芝の強化選手として本戦に出場した。
阪神タイガース入団後
2016年のドラフト会議では、阪神タイガースから5巡目で指名を受けた。明治大学時代の一年下の後輩である高山俊・坂本誠志郎と再びチームメイトとなる。
金本知憲監督が彼を指名したのは、糸原が懇意にしていたジムのトレーナーから噂を聞きつけたからだという。また、先述の高山・坂本に「糸原健斗はどのような人間だ?」と聞き取りをしたところ、二人が口をそろえて「プロでやっていける性格をしている」と答えたことから指名に踏み切ったとされている。
一年目から一軍春季キャンプに帯同。
WBC強化試合では秋吉亮から二塁打を放つなど好成績を残し、開幕一軍を果たす。
北條史也の不振から遊撃手としての出場機会が増えたが、アマ時代のほとんどを三塁手ないし二塁手でプレーした糸原は不慣れゆえ杜撰な遊撃守備が散見された。
しかし打撃は開幕以来好調で、5月には新人記録となる10打席連続出塁を記録するなど遊撃手のスタメンを勝ち取る。
7月9日の対読売ジャイアンツ戦ではプロ初の本塁打を放ち、同日プロ初のサヨナラ打も放つ。
しかし7月19日にショートフライを追って背走中に転倒し靭帯を損傷した。
シーズン中は治療とリハビリに専念することになるが、クライマックスシリーズに一軍登録。主に代打での出場になったが、第2戦では安打を放った。
2018年も昨年に引き続き一軍春季キャンプに帯同。
二塁手にコンバートされた鳥谷敬や正三塁手として固定された大山悠輔の兼ね合いもあって、再び遊撃手として植田海、北條史也らとスタメンを争った。
開幕後は、鳥谷敬・大山悠輔の不振もあって三塁・二塁での出場機会が増え、上本博紀が怪我で離脱すると遊撃手を植田海が、二塁手が糸原という形でひとまず固定されることになる。
一年目から下位打線を打つことが多かった糸原だが、6月7日のオリックス・バファローズ戦からは一番・二塁手としての出場がシーズン終盤まで続く。
この年、最下位に終わったチームで唯一全試合出場を果たし、チーム最多となる150安打、86の四球を選びリードオフマンとして低迷するチームを支えた。
2019年に矢野燿大が監督に就任すると糸原キャプテンに選出された。
2021年にキャプテンの座を大山に譲ると「名誉キャプテン」と呼ばれるようになる。
シーズン序盤は調子の挙がらない近本光司に変わってヒットを量産。チーム快進撃の立役者となったが、下半身のコンディション不良で離脱を余儀なくされ、出塁率も.350を割ってしまった。
2022年は、その前のシーズン終盤からタイムリーの打てない打線への対処法として、彼の落合博満も好んで用いたという「内野ゴロの間に一点」をとる打球が打てる打者として開幕5番に抜擢。序盤こそ極度の不振に陥るものの、5月以降は6番打者・7番打者としてヒットや「3塁ランナーを返す内野ゴロ」を量産し、得点力の乏しいチームを支えた。
2023年は、代打での出場がメインとなっている。
選手としての特徴
身長175cmと小柄ではあるが、打撃センスが高く評価されている。
長打は少ないが、コンタクト力が高く直球にも負けない鋭いスイングが特徴。
また、選球眼も良いとされ.350前後の出塁率をマークする年も多い。
その反面守備への評価はあまり高くなく、特にプロ入り後に守る機会が増えたセカンド・ショートの守備範囲の狭さを指摘されることが多い。