概要
小田急電鉄の最後の鋼製車両であり、それは小田急の通勤形では唯一の存在となってしまった。6両編成と4両編成が共に16本在籍している。側面窓は9000形や5200形(5000形の一枚窓車)と同じ一枚窓であるが、腐食防止の為にアルミ合金製の枠を加えている。
また、同じく腐食防止の観点から、車体を支える骨組みや屋根などの構造部材はステンレス鋼を用いており、
ステンレス車黎明期によく見られた「スキンステンレス車」の真逆ともいえる車体構造になっているのが特徴である。
デビュー当初は界磁チョッパ制御で、6両編成の8266Fと4両編成の8064F~8066Fを覗いて寒色系の内装で纏められたが、寒色系にも模様があった。又、冷房は集約分散式で連続式を初採用し、室内もラインフロー式に変わり後に1000形や2000形もこの方式を採用した。更に冷房向上の為に広い貫通扉から狭い貫通扉に代わり、引き戸も追加された。前面は9000形に似ているが、ブラックフェイスで近代的な外装に代わった。車体幅は小田急で最後の2900mmの車両であり、地下鉄の制限から千代田線には乗り入れない。
リニューアル工事
2002年から2013年にかけて、リニューアル工事を実施。パンタグラフはシングルアーム化された。
一部車両を除き電気指令式ブレーキへの変更が行われたため、ブレーキ読み替え装置が搭載されていない4両固定編成は、8000形6両固定編成のうちVVVF化されたグループと3000形6両編成しか連結できなくなった。
6両固定編成、8251Fと8255F
2002年リニューアル。種別・行き先の表示装置は3色LED化された。制御方式は界磁チョッパ制御のまま。
この2編成は2020年度までに廃車されている。
2003年から2012年までリニューアル工事を実施した編成
運転席のワンハンドル化と電気指令式ブレーキへの変更、制御方式のVVVFインバータ制御化(IGBT素子使用)が行われた。種別・行き先の表示装置はフルカラーLEDに。
2006年まで施行分は3000形に合わせ、2007年以降施行分は4000形に合わせた。ブレーキの変更に合わせ、6両固定編成はブレーキ読み替え装置を装備。
4両固定編成、8059Fと8061F
2013年リニューアル。改造内容は2003年以降施行分とほぼ同じだが、VVVFインバータ制御装置がSiCモジュール素子に変わった。これはのちに1000形のリニューアルに生かされている。
皮肉にも8000形は現時点で小田急の系列では全編成にリニューアル工事を終えた最後の編成となっている(1000形はワイドドアは勿論、未更新車の廃車が出ている他、2000形はリニューアルされない為。
クヤ31形対応車両
小田急の検測車両『クヤ31形テクノインスペクター』は自走出来ないため、1000形3編成にクヤ31形連結対応改造をし、牽引車として使用してきたが、5000形の導入によりこの3編成は廃車となった。
このため、2021年に8065F、8066Fの2編成にクヤ31形連結対応改造を行い、同車の新たな牽引車両として使用されている。(※通常は他の8000形と同じく営業運転を行う。)
廃車
事故廃車
2019年6月19日に発生した踏切事故により、8264Fの先頭車両(クハ8564)が脱線、脱落した部品に乗り上げ床面が変形するなど大きく損傷した。
この事故により同編成は運用を離脱。そのまま復帰することなく、2020年4月1日に廃車された。(※新宿方に連結されていた8064Fは運用復帰している。)
退役
新5000形導入に伴い、2022年4月現在、界磁チョッパ車である8251Fと8255Fの2編成が廃車となっている。
なお、2019年11月2日に8251Fを使用した界磁チョッパ車ツアーが行われ、実施さよならイベントとなった。
譲渡
2023年9月に西武鉄道よりサステナブル車両第1弾として導入が発表された。(2024年度導入予定)
投入先は国分寺線が予定されている。
ちなみに第2弾は東急9000系となる。
かつて西武とは箱根や伊豆で観光事業の主導権をかけた大バトルを繰り広げており、当時は敵同士だった会社へ譲渡されることは驚きをもって迎え入れられた。
最も、新101系の一部編成から総合車両製作所(旧:東急車輌製造)製となっているが。
編成表
6両編成(界磁チョッパ車)
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車両番号 | 8250 | 8200 | 8300 | 8400 | 8500 | 8550 | 備考 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | M3 | M4 | Tc2 | |
号車 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
車両構成 | CP | SIV,PT | CON,PT | SIV,PT | CON,PT | CP | |
第1編成 | 8251 | 8201 | 8301 | 8401 | 8501 | 8551 | 2021年廃車。 |
第5編成 | 8255 | 8205 | 8305 | 8405 | 8505 | 8555 | 2020年廃車。 |
6両編成(VVVF車)
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車両番号 | 8250 | 8200 | 8300 | 8450 | 8500 | 8550 | 備考 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | T1 | M3 | Tc2 | |
号車 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
車両構成 | CP | SIV | CON,PT | SIV | CON,PT | CP | |
第2編成 | 8252 | 8202 | 8302 | 8452 | 8502 | 8552 | フルカラーLED |
第3編成 | 8253 | 8203 | 8303 | 8453 | 8503 | 8553 | |
第4編成 | 8254 | 8204 | 8304 | 8454 | 8504 | 8554 | VVVF化第一号 |
第6編成 | 8256 | 8206 | 8306 | 8456 | 8506 | 8556 | 2023年10月までに引退予定。 |
第7編成 | 8257 | 8207 | 8307 | 8457 | 8507 | 8557 | |
第8編成 | 8258 | 8208 | 8308 | 8458 | 8508 | 8558 | |
第9編成 | 8259 | 8209 | 8309 | 8459 | 8509 | 8559 | |
第10編成 | 8260 | 8210 | 8310 | 8460 | 8510 | 8560 | フルカラーLED |
第11編成 | 8261 | 8211 | 8311 | 8461 | 8511 | 8561 | フルカラーLED |
第12編成 | 8262 | 8212 | 8312 | 8462 | 8512 | 8562 | フルカラーLED |
第13編成 | 8263 | 8213 | 8313 | 8463 | 8513 | 8563 | フルカラーLED |
第14編成 | 8264 | 8214 | 8314 | 8464 | 8514 | 8564 |
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第15編成 | 8265 | 8215 | 8315 | 8465 | 8515 | 8565 | フルカラーLED |
第16編成 | 8266 | 8216 | 8316 | 8466 | 8516 | 8566 | フルカラーLED |
4両編成
4両編成は全ての編成がフルカラーとなっている。
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車両番号 | 8050 | 8000 | 8100 | 8150 | 備考 |
MT構成 | Tc1 | M1 | M2 | Tc2 | |
号車 | 10 | 9 | 8 | 7 | |
車両構成 | SIV,CP | SIV | CON,PT | CP | |
第1編成 | 8051 | 8001 | 8101 | 8151 | |
第2編成 | 8052 | 8002 | 8102 | 8152 | |
第3編成 | 8053 | 8003 | 8103 | 8153 | |
第4編成 | 8054 | 8004 | 8104 | 8154 | |
第5編成 | 8055 | 8005 | 8105 | 8155 | |
第6編成 | 8056 | 8006 | 8106 | 8156 | |
第7編成 | 8057 | 8007 | 8107 | 8157 | |
第8編成 | 8058 | 8008 | 8108 | 8158 | |
第9編成 | 8059 | 8009 | 8109 | 8159 | SiC採用 |
第10編成 | 8060 | 8010 | 8110 | 8160 | |
第11編成 | 8061 | 8011 | 8111 | 8161 | SiC採用 |
第12編成 | 8062 | 8012 | 8112 | 8162 | |
第13編成 | 8063 | 8013 | 8113 | 8163 | |
第14編成 | 8064 | 8014 | 8114 | 8164 | |
第15編成 | 8065 | 8015 | 8115 | 8165 | |
第16編成 | 8066 | 8016 | 8116 | 8166 |
関連タグ
小田急4000形については4000形を参照。