概要
ギリシャのペロポネソス半島にあるネメアの谷に住むとされていた人喰いライオン。
ギリシャ語では獅子のことをレオーン(Leon)と呼び、ネメアの獅子のことはネメオス・レオーン(Nemeos Leon)と呼ぶ。
母は怪物の母と評されるエキドナ、父は最強の怪物テュポーンとも、その息子オルトロスともいわれる。または、月の女神セレーネーが母親ともいわれる。エキドナとテュポーンの血をひいているのならば、ネメアの獅子の兄弟も有名な怪物揃いである。
剣や弓矢では決して傷つかない鉄壁の毛皮を持っており、多くの旅人や挑んできた英雄を殺して喰っていた。
元々は、神々の長ゼウスの妻にして、女神の長たるヘラが保有していたが、不義の子供に当たり、後に大英雄となるヘラクレスを始末するために送り込まれた。
第一の難行
英雄ヘラクレスは、後に「十二の功業」と呼ばれる数々の難行の初めに、この怪物を討伐することを命じられた。
当初ヘラクレスは、弓矢でこの獅子を殺そうとしたが、毛皮の守りを破ることが出来ず、剣、棍棒、果ては素手で首を絞めることによって漸くこの怪物を討伐したという。
その後
最終的に、ネメアの獅子の毛皮は自身の爪をナイフ代わりにして剥ぎ取られ、ヘラクレスのトレードマークとして使用されることになる。肉は食ったらしい。多分ヘラクレスだから食って大丈夫だったのだろう…。
残された死骸は、ヘラによって獅子座となった。
後世の伝承によれば、この毛皮に包まれた対象を不死にできるとも言われており、トロイア戦争の英雄アイアスはヘラクレスに助けられた際に不死を得たとされている。詰まる所、アカイア軍にはヘラクレスの弓を持つ英雄とヘラクレスの不死性を持った英雄がいる事になる。そりゃあトロイア軍が勝てないわけである…。
なお、生物学的には現生種または近代まで生存していた種類だと、バーバリライオン/アトラスライオン、ガエトゥリライオン、インドライオン/アジアライオンが比較的ギリシャに分布が近い。また、その生態や体の大きさから「ヨーロッパホラアナライオン」がモデルと言う説もある。
フィクションでの登場
シリーズ第3作において、ヘラクレスの使用する武器がネメアの獅子をモチーフとした籠手「ネメアのカエストス」が登場する。
作中におけるヘラクレスの宝具として「十二の栄光」があり、その一つがこのネメアの獅子の皮とされる。原典で武器を通さなかった逸話が盛られて文明の利器を無効にするというとんでもない効果を与えられ、やはり素手で攻略せざるを得ないチート防具と設定されている。
元ネタ通りライオンをモチーフとしているが、原典での凶暴さは何処へやら、燃え盛る炎の鬣を蓄えたゆるキャラのような姿をしている。
ネメアの獅子をモデルとした「ネメア」というはがねタイプのポケモンが登場。
はがねタイプなのは上記の剣や弓矢では決して傷つかない鉄壁の毛皮が由来と思われる。
鼻先から赤いツノを伸ばした暗黒獅子のような姿をしていて、分類は「ししポケモン」。
性質は深淵を見せる力を持ち、この世のどんなものよりも凶暴とされていて、世界で最も深い谷に住むという。
勿論、公式に存在せず、非公式の改造作品のキャラクターである。
関連タグ
コンモドゥス:ヘラクレスの獅子の毛皮の逸話に倣い、闘技場で獅子の毛皮を被っていたという逸話が残されている。