小田急7000形
おだきゅうななせんがた
概要
箱根方面への特急ロマンスカーに使用されていた3000形(初代)「SE」の置き換えを当初の目的として1980年に登場。それまでの特急ロマンスカーのイメージを尊重しつつ斬新さを追求し、居住性や機能性の向上を図った。"Luxury Super Express"(略して「LSE」)という愛称がある。
1981年には鉄道友の会よりブルーリボン賞が授与。1984年までに11両連接車が4編成製造された。
1982年には1編成が国鉄に貸し出され、東海道本線での試運転に使用された。その理由は、新型の特急車両の開発するにあたり、ボギー車との乗り心地などのデータを比較するため(比較対象となったのは183系)で、当時国鉄には連接車がなかったためである。
晩年
小田急開業から80周年・ロマンスカー3000形登場から50周年を迎えた2007年、1編成が登場当時の塗装に戻された。また、10000形に準じた塗装デザインの車両による運行は2012年で終了、当時現存していた編成についても元の塗装に戻された。
老朽化と70000形「GSE」の製造・増備により、2018年7月10日をもって定期運用を終了。
第3編成の新宿方先頭車がロマンスカーミュージアムに保存されている。また、小田原方先頭車の運転席がシミュレーターに利用されている。
長期的な活躍の理由
2012年には後輩の10000形、20000形が引退しているが、本形式は前者より7年、後者よりも11年古いにもかかわらず2018年まで活躍した。
これは設計時点で長期的な活躍ができるように製造されたことと、時流の変化期に更新時期を迎えリニューアルを受けたことで時流に乗ることができたためである。
90年代から叫ばれるようになったバリアフリーに10000形と20000形はハイデッカー構造故に対応できず、更新することなく早期廃車となったが、本形式は更新の邪魔となるような要素を持たなかった結果更新を受けることができたこと、そのリニューアルによってバリアフリー対応車となったことで生き残ることができたのである。
LSEから3年後にデビューした8000形も同じように長期的な活躍を見越した構造でデビューし、リニューアルも大規模であったことからHISE、RSE、VSEと多くの後輩車両の誕生から引退までを見守り、これら車両の引退後も活躍、長生きすることとなった。
これら一連は、たとえ古くても時流に乗れば生き残れること、独自のスタイルを持っていても時流にある程度乗らなければたとえ古くなくても生き残れないということを痛感させる出来事にもなった。
幻の御殿場線直通編成
御殿場線直通の連絡急行「あさぎり」(後の特急あさぎり→現・特急ふじさん)で使用された3000形(初代)の置き換えに、本形式の短編成タイプが作られる予定であったが、諸事情で頓挫し3000形を更に延命する事になった。