「損得で好きになるわけでも 理屈で好きになるわけでもない……倫理に反して好きになることさえもある……それと同じことです 嫌いなものは嫌いなんです」
「この国に妖怪は いらない!」
CV:れいみ
概要
なお、本名は劇中で言及が無い為に不明。
人物
典型的な政治屋で、現状の社会情勢に頭を悩ませる真っ当な一面も持つが、政府至上主義の思想に染まっており、また目的を達成する為ならば手段をいとわない部分がある。
加えて情報の捏造や重大な失言等の問題行動もあり、そこをねずみ男につけこまれたり、関係者の信頼を失いかけたり愛想をつかされたりしている。しかし、それでもなんだかんだと言って乗り切る逞しさや強かさを持っていた。
だが、たびたび感情をむき出しにし、政治的な判断に私情を交えるという公人として一国家の元首として致命的な欠点を抱えており、これが物語の最終章であるぬらりひょん編に於いて、彼女の運命を決定づける原因となる。
人間の弱さや、現代社会が抱える負の部分を象徴したようなキャラクターであり、物語が進むにつれ妖怪を忌避し、敵意を深めていった。
6期鬼太郎は「妖怪と人間との距離感」「多様性の在り方」をテーマとしており、異なる存在や意見の対立と、互いを尊重し許容できるかどうかが、全話を通じて繰り返し問いかけられている。
自分と異なる種族・立場の妖怪を認めることも受け入れることもできない彼女は、そのテーマのもと、犬山まなと対になる存在だったと言える。
ついでに言えば、鬼太郎と明確に敵対した初の総理大臣でもある。
劇中での活躍
11話では名無しの暗躍により復活した刑部狸率いる八百八狸に、一時的とはいえ政権を乗っ取られてしまう。
さらに地獄の四将編では、封印から解き放たれた大逆の四将の1人、九尾の狐・玉藻前の暗躍により、危うく日本が滅ぼされる寸前まで追い込まれた。
こうして二度も国家存亡の危機に立たされたため、総理は妖怪に対して偏執的なまでの恐怖心を抱くことになる。
第89話では自らの政治生命を賭け、妖怪の存在を取り締まり、妖怪テロに対抗できる実力を持つ組織の設立を目指して「妖怪による不当な行為の防止等に関する法律(通称:妖対法)」を施行しようと奮闘した。
しかしこの施策はぬらりひょんの妖怪復権計画に利用された上、空中分解。妖怪たちの報復を恐れた関係者にも見限られた事で、さらに妖怪への敵愾心を燃え立たせた。
- そもそもこの妖対法自体が、ぬらりひょんの入れ知恵によるものともとれる。
第95話では、ぬらりひょんとバックベアードの『妖怪同盟』により、街が破壊された事を契機として妖対法の施行を再度打ち出し、手段を択ばず妖怪たちを根絶やしにするべく行動を起こす。
そして、真の敵から人々を守るべく話し合いに来た(本来ならば味方になるはずの)鬼太郎をも、人間と妖怪は絶対に相いれないと切り捨て、一方的、かつ無抵抗の鬼太郎に何発も銃弾を撃ち込み、冷酷に射殺する。
しかし彼女の行動の全ては、真の黒幕であるぬらりひょんの描いた筋書き通りであった……。
妖怪に対する嫌悪感や強い拒絶反応は、一個人としては仕方ないことだろう。
しかし人間を信じ、心を開いて手を差し伸べて来た、それも無抵抗の相手をただ嫌いだからという理由だけで殺すという行為は、人としてあまりにも倫理感に欠ける。その結果は強力な味方を得る機会を自ら潰した挙句、ぬらりひょん率いる妖怪側に人間を滅ぼす大義名分まで与えてしまうという、一国の指導者以前に政治家として言い訳の出来ない愚行だった。そして、この愚行が最悪の事態を招く事になったのである。
結局総理は、妖怪への憎しみと偏見を捨てられず、個人的な感情に囚われて政治的に正しい判断ができないままとなる。
その結果、首都はぬらりひょん率いる妖怪軍団と、機動部隊による悪夢の様な戦場と化す。巻き込まれた争いを望まない人間や妖怪達にとっては、その状況は「地獄」以外の何物でも無かった。
最終回では徹底抗戦を指示しながら、半ば暴走していたバックベアードの力で首相官邸ごと吹き飛ばされ、死亡したものと思われる。
余談
これだけ重要な登場人物でありながら本名が設定されなかったため、担当声優であるれいみ氏の名前を冠して「れいみ総理」と呼ばれることもある。れいみ氏にとってはとんだとばっちりである。
前述通りのキャラとしての人となりであるために、姓名を設定したらしたで厄介なことになる可能性もあるのだが。
関連タグ
堂波真一:役回りが似ている他作品の総理。
禍根の魔女キャスリィ: 同様の物議を醸すキャラクター.